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公開番号
2025165654
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-05
出願番号
2024069856
出願日
2024-04-23
発明の名称
静電荷像現像用トナー及びその製造方法
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類
G03G
9/09 20060101AFI20251028BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約
【課題】プラスチックフィルムなどの印刷媒体(基材)に対して、堅牢性の高い印刷塗膜を形成できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【解決手段】非晶性樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂C、及び着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む、静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
非晶性樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂C、及び着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、
前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む、
静電荷像現像用トナー。
続きを表示(約 880 文字)
【請求項2】
前記黄色顔料が、イソインドリン系顔料及びベンズイミダゾロン顔料から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー185及びC.I.ピグメントイエロー180から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記炭素数4の脂肪族ジカルボン酸が、フマル酸を含有する、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記結晶性ポリエステル樹脂Cのカルボン酸成分が、更に炭素数6以上24以下のモノカルボン酸を含む、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記着色剤の含有量が、トナー粒子中、前記結晶性ポリエステル樹脂C 100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記非晶性樹脂Aに対する前記結晶性ポリエステル樹脂Cの質量比(結晶性ポリエステル樹脂C/非晶性樹脂A)が、トナー粒子中、5/95以上40/60以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
非晶性樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Cを同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子と、着色剤とを、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、
前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
印刷メディアの多様化により、紙以外の印刷メディアへの電子写真印刷が求められ始めている。主要なメディアとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムなどのプラスチックフィルムがあり、ペットボトルラベルや種々のパッケージなどに用いられている。これらプラスチックフィルムは、表面が平滑であるために、当該表面と、当該表面に電子写真用トナーを印刷して形成される塗膜(印刷塗膜)との間にアンカー効果が働きにくく、プラスチックフィルムから印刷塗膜が剥がれやすい。
特許文献1には、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムへの画像形成方法であって、得られる画像の画像濃度に優れ、更に、画像の耐擦過性に優れる画像形成方法を提供することを目的として、結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cを含有するトナーにより、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムに画像を形成する方法であり、該結晶性ポリエステル樹脂CのSP値が9.0以上10.1以下であり、結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂Cの含有量が10質量%以上60質量%以下であり、該ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムの印刷面の表面張力が35mN/m以上49mN/m以下であり、定着温度が、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムの融点より5℃高い温度以下である、画像形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-54448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペットボトルラベルやパッケージフィルムなどの包装印刷物は、内容物の品質保護や情報表示の観点から、印刷塗膜に高い堅牢性が求められる。包装印刷物用の印刷インキを用いて形成される印刷塗膜では、鉛筆硬度試験による塗膜硬度の評価がなされている。本発明者らが検討したところ、プラスチックフィルム等の印刷媒体に、特許文献1に記載の画像形成方法により印刷塗膜を形成して得られる上記包装印刷物は、テープ剥離試験や爪擦り試験に対する印刷塗膜の堅牢性は得られるものの、鉛筆硬度試験に対する堅牢性は改善が必要であることが分かった。
本発明は、プラスチックフィルムなどの印刷媒体(基材)に対して、堅牢性の高い印刷塗膜を形成できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、トナー粒子が、非晶性樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、及び着色剤を含有し、結晶性ポリエステル樹脂が、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を特定量以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、結晶性ポリエステル樹脂Cのエステル基濃度が特定の範囲内にあり、着色剤が、NH基量が特定の値以上である黄色顔料を含むことにより、上記トナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを用いて、堅牢性の高い印刷塗膜を形成できることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕 非晶性樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂C、及び着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、
前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む、
静電荷像現像用トナー。
〔2〕 非晶性樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Cを同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子と、着色剤とを、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、
前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、プラスチックフィルムなどの印刷媒体(基材)に対して、堅牢性の高い印刷塗膜を形成できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、非晶性樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)、及び着色剤を含有する。
前記結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂Cのエステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下であり、前記着色剤は、1分子中に有する-NH-及び-NH
2
の合計数を、分子量で除した値をNH基量としたとき、NH基量が6.0mmol/g以上の黄色顔料を含む。
以上の特徴により、本発明のトナーにより堅牢性の高い印刷塗膜が得られる。
なお、非晶性樹脂A、樹脂C、及び着色剤を含有するトナー粒子(以下、単に「トナー粒子」ともいう)を、本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
【0008】
本発明のトナーにより、堅牢性の高い印刷塗膜が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
プラスチックフィルム等の基材に形成された印刷塗膜の鉛筆硬度試験に対する堅牢性を向上させるには、印刷塗膜自体の硬さが重要であることが分かった。これは先端が尖った鉛筆で塗膜を削る際に、局所的に強い力が加わるためであると考えられる。本発明のトナーでは、トナー粒子が含有する結晶性ポリエステル樹脂Cが、アルコール成分と、炭素数4の脂肪族ジカルボン酸を70mol%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、かつ、エステル基濃度が6.0mmol/g以上9.5mmol/g以下である。更に、着色剤である黄色顔料のNH基量が6.0mmol/g以上であることにより、結晶性ポリエステル樹脂C中に炭素数4の脂肪族ジカルボン酸から派生する近接したエステル基を含む所定の間隔で配されたエステル基と黄色顔料に含まれるNH基とが効果的に相互作用して、結晶性ポリエステル樹脂Cの凝集力が大幅に向上する。その結果、塗膜形成後に、非晶性樹脂A中で結晶性ポリエステル樹脂Cの再結晶化が促進されて、印刷塗膜の硬度が高まり、堅牢性が向上すると考えられる。
【0009】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
明細書中、ポリエステル系樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解してカルボン酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
炭化水素基に関して、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「スチレン系化合物」とは、無置換又は置換のスチレンを意味する。
【0010】
〔トナー粒子〕
本発明において、トナー粒子は、非晶性樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)及び着色剤を含有する。
なお、トナー粒子は、非晶性樹脂A、樹脂C及び着色剤等の各成分(必須成分及び任意成分)を1種単独で含有してもよく、2種以上組み合わせて含有してもよい。また、アルコール成分、カルボン酸成分等のトナー粒子が含有する各成分の原料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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