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公開番号2025164039
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-30
出願番号2024067761
出願日2024-04-18
発明の名称プラスチック光ファイバーの製造方法及び製造装置
出願人日東電工株式会社
代理人弁理士法人青藍国際特許事務所
主分類G02B 6/44 20060101AFI20251023BHJP(光学)
要約【課題】伝送損失の増大が抑制された、着色層を備えたプラスチック光ファイバーの製造方法を提供する。
【解決手段】製造方法は、(II)プラスチック光ファイバー本体部の表面に、着色剤を含む紫外線硬化性組成物を塗布して塗膜を形成することと、(III)プラスチック光ファイバー本体部に長軸方向に引張応力を加えながら、塗膜に紫外線を照射して塗膜を硬化させて着色層を形成することと、を含む。(III)において、引張応力σd(MPa)と、紫外線のエネルギーE(mJ/cm2)とは、以下関係式(1)から(4)を満たす。σd≦aE2+bE+23…(1)a=10-7Tg1 2-0.0001Tg1+0.0153…(2)b=-4×10-5Tg1 2+0.0195Tg1-2.0987…(3)100≦Tg1≦150…(4)ここで、Tg1は、プラスチック光ファイバー本体部の最外層を形成する材料のガラス転移温度(℃)である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
プラスチック光ファイバー本体部と、前記プラスチック光ファイバー本体部の外周を被覆する着色層と、を備えたプラスチック光ファイバーの製造方法であって、
前記製造方法は、
(I)前記プラスチック光ファイバー本体部を準備することと、
(II)前記プラスチック光ファイバー本体部の表面に、着色剤を含む紫外線硬化性組成物を塗布して塗膜を形成することと、
(III)前記塗膜が形成された前記プラスチック光ファイバー本体部に長軸方向に引張応力を加えながら、前記塗膜に紫外線を照射して前記塗膜を硬化させて前記着色層を形成することと、
を含み、
前記(III)において、前記引張応力σ
d
(MPa)と、前記紫外線のエネルギーE(mJ/cm
2
)とは、以下関係式(1)から(4)を満たす、
プラスチック光ファイバーの製造方法。
σ
d
≦aE
2
+bE+23 …(1)
a=10
-7
Tg
1
2
-0.0001Tg
1
+0.0153 …(2)
b=-4×10
-5
Tg
1
2
+0.0195Tg
1
-2.0987 …(3)
100≦Tg
1
≦150 …(4)
ここで、上記関係式(2)から(4)において、Tg
1
は、前記プラスチック光ファイバー本体部の最外層を形成する材料のガラス転移温度(℃)である。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記(III)において、前記紫外線の前記エネルギーE(mJ/cm
2
)は、10mJ/cm
2
以上である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項3】
前記(III)において、前記引張応力σ
d
(MPa)は、5MPa以上である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項4】
前記(III)において、前記紫外線の前記エネルギーE(mJ/cm
2
)は、50mJ/cm
2
以下である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項5】
前記(III)において、前記引張応力σ
d
(MPa)は、20MPa以下である、
請求項3に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項6】
前記プラスチック光ファイバー本体部の前記最外層は、ポリカーボネート樹脂を含む、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項7】
紫外線硬化性組成物は、紫外線硬化型多官能アクリレートと、前記着色剤とを含む、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項8】
前記プラスチック光ファイバー本体部は、
コアと、
前記コアの外周に配置されたクラッドと、
前記クラッドの外周に配置された被覆層と、
を備え、
前記被覆層が前記最外層であり、
前記コアの材料のガラス転移温度(℃)をTg
2
と定義したとき、
前記ガラス転移温度Tg
2
と前記ガラス転移温度Tg
1
との差が、10℃以上である、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項9】
前記ガラス転移温度Tg
2
は、前記ガラス転移温度Tg
1
よりも高い、
請求項8に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
【請求項10】
前記プラスチック光ファイバー本体部は、
コアと、
前記コアの外周に配置されたクラッドと、
前記クラッドの外周に配置された被覆層と、
を備え、
前記被覆層が前記最外層であり、
前記コアの材料のガラス転移温度(℃)をTg
2
と定義したとき、
前記ガラス転移温度Tg
2
は、前記ガラス転移温度Tg
1
よりも高い、
請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチック光ファイバーの製造方法及び製造装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
プラスチック光ファイバー(以下、「POF」と記載する)は、例えば、光を伝送する部分としての中心部のコアと、当該コアの外周を覆うクラッドとを備えている。コアは、高屈折率を有する樹脂材料によって形成されている。クラッドは、光をコア内に留めるために、コアの樹脂材料よりも低い屈折率を有する樹脂材料によって形成されている。さらに、POFには、POFの機械的強度を向上させるために、クラッドの外周に被覆層がさらに設けられた構成を有するものもある。
【0003】
POFは、光伝送機能を主機能とする製品であるため、伝送損失が小さいことが要求される。例えば、特許文献1は、コア、クラッド、及び保護機能層(上記の被覆層に相当する層)を備えたPOFを製造する際の延伸時に、コア及び/又はクラッドにクラックが発生することによって、伝送損失が大きくなってしまう問題を解決するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2014/042023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
POFでは、複数のPOFが組み込まれたケーブルにおいてPOFを識別し、さらにPOFを保護するために、POFの表面に着色層が設けられることがある。すなわち、ケーブル化が想定されるPOFでは、上述のコア、クラッド、及び被覆層等で構成されたPOF本体部に、当該本体部の外周を被覆する着色層が設けられることがある。
【0006】
しかし、着色層が設けられたPOFでは、伝送損失が大きくなる問題が発生する場合がある。
【0007】
本開示は、着色層を備えたPOFについて、伝送損失の増大が抑制されたPOFを製造することが可能なPOFの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来、光伝送部であるコアを含むPOF本体部については、伝送損失を低減するための技術が提案され、伝送損失が低減されたPOFが提案されている。しかし、そのような、伝送損失が低減されたPOF本体部を用いても、当該POF本体部に対して着色層を形成した場合、伝送損失が増大してしまう。そこで、本発明者らは、着色層の形成と伝送損失の増大化(すなわち、POFにおいて光不通が生じること)との関係について検討を行った。着色層の形成によって光不通が生じたPOFについて、POFの長さ方向に沿った断面を顕微鏡で確認したところ、POF本体部の光伝送領域(すなわち、コア)に複数のクラックが確認された。さらに同じPOFについて、POFの長さ方向に沿った断面を確認しながら通光させたところ、クラックが生じている位置で通光輝点が確認された。すなわち、POFのクラックに相当する位置で光の散乱が確認された。この現象から、本発明者らは、着色層の形成によってPOFの光伝送領域にクラックが生じ、それによって光不通が生じていることをつきとめた。なお、POFの長さ方向とはPOFの長軸方向であり、すなわちPOFの光伝送方向である。
【0009】
本発明者らは、着色層の形成によってPOFの光伝送領域にクラックが生じることの原因についてさらに検討を行い、着色層をPOF本体部の外周に形成する際にPOF本体部に加わる熱と、着色層を形成する際にPOF本体部に付与される引張応力とが関係していることをつきとめた。着色層の形成には、一般的には紫外線硬化反応が利用される。すなわち、着色層をPOF本体部の外周に形成する際にPOF本体部に加わる熱とは、紫外線照射に起因する熱であり、照射される紫外線のエネルギーと関係している。以上の知見に基づき、本発明者らは、さらなる鋭意研究の結果、着色層の形成に伴う伝送損失の増大を抑制するための、着色層を形成する新たな条件をつきとめ、以下の本開示の第1態様に係るPOFの製造方法と、当該製造方法を実施するための第2態様に係るPOFの製造装置とに到達した。
【0010】
本開示の第1態様に係るPOFの製造方法は、
POF本体部と、前記POF本体部の外周を被覆する着色層と、を備えたPOFの製造方法であって、
前記製造方法は、
(I)前記POF本体部を準備することと、
(II)前記POF本体部の表面に、着色剤を含む紫外線硬化性組成物を塗布して塗膜を形成することと、
(III)前記塗膜が形成された前記POF本体部に長軸方向に引張応力を加えながら、前記塗膜に紫外線を照射して前記塗膜を硬化させて前記着色層を形成することと、
を含み、
前記(III)において、前記引張応力σ
d
(MPa)と、前記紫外線のエネルギーE(mJ/cm
2
)とは、以下関係式(1)から(4)を満たす。
σ
d
≦aE
2
+bE+23 …(1)
a=10
-7
Tg
1
2
-0.0001Tg
1
+0.0153 …(2)
b=-4×10
-5
Tg
1
2
+0.0195Tg
1
-2.0987 …(3)
100≦Tg
1
≦150 …(4)
ここで、上記関係式(2)から(4)において、Tg
1
は、前記POF本体部の最外層を形成する材料のガラス転移温度(℃)である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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