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公開番号
2025163187
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-28
出願番号
2025130460,2023197046
出願日
2025-08-05,2018-06-12
発明の名称
全身免疫抑制を必要としない同種免疫寛容
出願人
シナイ ヘルス システム
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C12N
5/10 20060101AFI20251021BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】同種宿主に移植された場合に移植部位で局所免疫抑制を提供するための遺伝子修飾された細胞、この細胞を作製及び使用する方法を提供する。
【解決手段】トランスジーンのセットであって、各トランスジーンは、細胞質性、膜結合性又は局所作用性である遺伝子産物であって、その機能は、抗原提示細胞の活性化及び機能を緩和すること、移植片攻撃白血球活性又は細胞溶解機能を緩和すること、同種移植片細胞のマクロファージ細胞溶解機能及び食作用を緩和すること、移植片攻撃白血球においてアポトーシスを誘導すること、局所炎症タンパク質を緩和すること、及び白血球媒介アポトーシスから保護することの1つ又は複数である、遺伝子産物をコードする、トランスジーンのセットを含む、細胞が提供される。
【選択図】図1A-D
特許請求の範囲
【請求項1】
同種宿主に移植された場合に移植部位で局所免疫抑制を提供するための少なくとも1つの機構を含むように遺伝子修飾された細胞であって、
- トランスジーンのセットであって、各トランスジーンは、細胞質性、膜結合性又は局所作用性である遺伝子産物であって、その機能は、
a)抗原提示細胞の活性化及び機能を緩和すること、
b)移植片攻撃白血球活性又は細胞溶解機能を緩和すること、
c)同種移植片細胞のマクロファージ細胞溶解機能及び食作用を緩和すること、
d)移植片攻撃白血球においてアポトーシスを誘導すること、
e)局所炎症タンパク質を緩和すること、及び
f)白血球媒介アポトーシスから保護すること
の1つ又は複数である、遺伝子産物をコードする、トランスジーンのセット
を含み、前記トランスジーンのセットは、以下の遺伝子:PD-L1、HLA-G又はH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG又はFasL、Ccl21又はCcl21b、Mfge8及びSerpin B9又はSpi6或いはPD-L1、HLA-G若しくはH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG若しくはFasL、Ccl21若しくはCcl21b、Mfge8又はSerpin B9若しくはSpi6のアゴニストとして作用する生物学的物質をコードする遺伝子の2つ以上を含む、細胞。
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
前記トランスジーンのセットは、以下の遺伝子:PD-L1、HLA-G又はH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG又はFasL、Ccl21又はCcl21b、Mfge8及びSerpin B9又はSpi6或いはPD-L1、HLA-G若しくはH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG若しくはFasL、Ccl21若しくはCcl21b、Mfge8又はSerpin B9若しくはSpi6のアゴニストとして作用する生物学的物質をコードする遺伝子の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つ全てを含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記トランスジーン遺伝子のセットは、PD-L1、HLA-G若しくはH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG若しくはFasL、Ccl21若しくはCcl21b、Mfge8及びSerpin B9若しくはSpi6又はPD-L1、HLA-G若しくはH2-M3、Cd47、Cd200、FASLG若しくはFasL、Ccl21若しくはCcl21b、Mfge8及びSerpin B9若しくはSpi6のアゴニストとして作用する生物学的物質をコードする遺伝子を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項4】
以下のトランスジーン:TGF-β、Cd73、Cd39、Lag3、Il1r2、Ackr2、Tnfrsf22、Tnfrs23、Tnfrsf10、Dad1及びIFNγR1 d39又はTGF-β、Cd73、Cd39、Lag3、Il1r2、Ackr2、Tnfrsf22、Tnfrs23、Tnfrsf10、Dad1若しくはIFNγR1 d39のアゴニストとして作用する生物学的物質をコードする遺伝子の1つ又は複数をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項5】
前記TGF-β又は生物学的物質は、移植片環境内で局所的に作用する、請求項4に記載の細胞。
【請求項6】
幹細胞、ゲノム編集に従う細胞及び/又は治療細胞型の供給源である、請求項1~5のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項7】
胚幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞、間葉幹細胞、内皮幹細胞、上皮幹細胞、脂肪幹細胞又は前駆細胞、生殖幹細胞、肺幹細胞又は前駆細胞、乳腺幹細胞、嗅覚成体幹細胞、毛包幹細胞、腸管幹細胞又は前駆細胞、複能性幹細胞、羊膜幹細胞、臍帯血幹細胞、神経幹細胞又は前駆細胞、成体幹細胞、体性幹細胞、組織特異的幹細胞、全能性幹細胞、線維芽細胞、単球前駆細胞、B細胞、外分泌細胞、膵臓前駆細胞、内分泌前駆細胞、肝芽細胞、筋芽細胞、前脂肪細胞、肝細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、K562ヒト赤血球系白血病細胞株、骨細胞、滑膜細胞、腱細胞、靭帯細胞、半月板細胞、脂肪細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、赤血球性-巨核球性細胞、好酸球、マクロファージ、T細胞、島β細胞、ニューロン、心筋細胞、血液細胞、外分泌前駆細胞、管細胞、腺房細胞、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞、胆管細胞、白色又は褐色脂肪細胞、ホルモン分泌細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、腎細胞、生殖細胞、骨格関節滑膜細胞、骨膜細胞、軟骨膜細胞、軟骨細胞、内皮細胞、心膜細胞、髄膜細胞、ケラチノサイト前駆細胞、ケラチノサイト幹細胞、周皮細胞、グリア細胞、上衣細胞、羊膜又は胎盤膜から単離された細胞、漿膜細胞、体細胞或いは皮膚、心臓、脳若しくは脊髄、肝臓、肺、腎臓、膵臓、膀胱、骨髄、脾臓、腸又は胃に由来する細胞である、請求項6に記載の細胞。
【請求項8】
細胞増殖を制御するための少なくとも1つの機構をさらに含み、
a)1つ又は複数の細胞分裂遺伝子座(CDL)の遺伝子修飾であって、前記CDLは、1つ又は複数の内在性又は外性遺伝子座であって、その転写産物は、分裂細胞によって発現される、1つ又は複数の内在性又は外性遺伝子座であり、前記遺伝子修飾は、
i)前記CDLをコードするDNA配列に転写によって連結される陰性選択マーカをコードするDNA配列を含むアブレーションリンク(ALINK)系、及び
ii)前記CDLに作動可能に連結される誘導性活性化因子に基づく遺伝子発現系を含む、CDLの調節の外性活性化因子(EARC)系
の1つ又は複数である、遺伝子修飾
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項9】
前記CDLの前記遺伝子修飾は、
a)前記ALINK系を含むDNAベクター、
b)前記EARC系を含むDNAベクター、及び
c)前記ALINK系及び前記EARC系を含むDNAベクター
の1つ又は複数を用いて前記CDLのターゲティングされた置換を行うことを含み、前記ALINK及び/又はEARC系は、それぞれ前記CDLに作動可能に連結されている、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
前記ALINK系を含む前記CDLの前記遺伝子修飾は、同型接合性、異型接合性、半接合性若しくは複合異型接合性であり、及び/又は前記EARC系を含む前記CDLの前記遺伝子修飾は、前記誘導性活性化因子に基づく遺伝子発現系の誘導物質によってのみ前記CDLの活性化をもたらす、請求項8又は9に記載の細胞。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、移植の分野に関する。本開示は、移植された細胞の環境において局所免疫抑制を生じるための方法にさらに関する。
続きを表示(約 6,900 文字)
【背景技術】
【0002】
ヒト胚幹(ES)細胞及び誘導多能性幹(iPS)細胞の出現は、再生及び翻訳医学に対してパラダイムシフト効果を有している。これらの細胞は、人体内で任意の細胞型に分化する能力を保持しながら、多能性状態で無期限に自己再生することができる。このような特性により、研究者は、ヒトの発達及び発達障害の病因をよりよく理解することができた。研究者は、いくつか例を挙げると、脊髄損傷、糖尿病、盲目、多発性硬化症及び癌を含む、従来の医学で処置することが難しいか又は不可能であった疾患に対する強力な新しいツールも現代医学に与えた。細胞療法に適用可能な疾患の有効性及び範囲は、幹細胞分化を制御する方法及び分化した細胞産物の生物学についての理解が高まるにつれてのみ増加する。
【0003】
これらの用途では、重要且つ重大な課題が生じる。細胞の安全性に加えて、最も重要な関心事の1つは、異なる遺伝的背景からの細胞の免疫拒絶である。免疫系は、ドナーとレシピエントとの間で異なる、特定のタンパク質フラグメント(特に主要組織適合性複合体(マウスにおけるMHC、ヒトにおけるHLA)由来のもの)を発現する「非自己」細胞を認識及び排除するための複雑な一連の機構を進化させたため、免疫拒絶は、依然として重要な障壁である(Yang et al.,Nat Rev Genet.18:309-26(2017))。この応答は、日和見感染及び悪性腫瘍(多くの場合、「外来性」タンパク質及びエピトープの存在によって定義される)に対して保護するための進化的圧力の副産物であることは、ほぼ確実である。文脈に依存して、移植された細胞又は組織の拒絶は、分/時間(超急性)、日/月(急性)及び月/年(慢性)の時間スケールにわたって生じ得る(LaRosa et al.,J Immunol.178:7503-9(2007))。この拒絶は、先天性(Murphy et al,Immunol Rev.241:39-48(2011))及び適応免疫(Issa et al.,Expert Rev Clin Immunol.6:155-69(2010))の両方に由来する細胞型の複雑で協調した効果に起因する。
【0004】
拒絶に対する最も重要な経路の1つは、適応免疫系のプライミング及びCD8+細胞傷害性T細胞の活性化である。これは、抗原提示細胞がドナー特異的ペプチドを処理し、次いで二次リンパ器官において同じペプチドに特異的であるレシピエントT細胞を活性化した後に起こる(Lechler et al.,J Exp Med.155:31-41(1982);Guermonprez et al.,Annu Rev Immunol.20:621-67(2002);Stockwin et al.,Immunol Cell Biol.78:91-102(2000))。次いで、これらのT細胞は、移植された細胞又は組織に遊走し、パーフォリン及びグランザイムのような細胞溶解因子の放出を伴って、移植された細胞又は組織を死滅させる。NK細胞は、外来MHC発現又はMHC発現なしに基づいてドナー細胞においてアポトーシスも誘導し得(Kitchens et al.,Transplantation.81:811-7(2006);Benichou et al.,Curr Opin Organ Transplant.16:47-53(2011))、マクロファージのような他の細胞型は、移植部位での炎症誘発性サイトカインの放出を伴う拒絶を支持し得る(Mannon,Curr Opin Organ Transplant.17:20-5(2012))。多くの他の細胞型及び亜型も同種移植片拒絶において役割を有する。これらは、一般的なウイルス性及び細菌性病原体を排除するために使用される同じ免疫経路であるため、同種移植片の拒絶と共に脊椎動物種にわたって高度に保存されている。
【0005】
同種移植片の拒絶を防ぐための現在の解決策は、以下の2つの選択肢を含む:一致した組織適合性ハプロタイプを有するドナーを見つけること(ほとんどは、遺伝的に関連するファミリーからのものである可能性がある)、及びより一般的には広範に指向される免疫抑制薬を使用すること(Wiseman,Clin J Am Soc Nephrol.11:332-43(2016);Malaise et al.,Transplant Proc.37:2840-2(2005))。一般的な薬物としては、カルシニューリン阻害剤(Flechner et al.,Clin Transplant.22:1-15(2008);Casey et al.,Curr Opin Nephrol Hypertens.20:610-5(2011))、抗増殖剤(Hardinger et al.,World J Transplant.3:68-77(2013))、mTOR阻害剤(Macdonald,Expert Rev Clin Immunol.3:423-36(2007);Neuhaus et al.,Liver Transpl.7:473-84(2001))及びステロイド(Steiner et al.,Semin Immunopathol.33:157-67(2011))のファミリー由来のものが挙げられ、これらの全ては、T細胞の増殖又は機能を抑制する(特に最初の3つ)。これらの薬物は、生涯にわたって毎日服用する必要があり、1回の服用を忘れても拒絶反応の危険性が増大することがある。しかし、それらは、常に機能するわけではなく、それらが機能する場合、慢性拒絶反応の割合は、依然として経時的に継続的に上昇する(Demetris et al.,Ann Transplant.2:27-44(1997);Libby et al.,Immunity.14:387-97(2001))。最も重要なことに、それらは、全身作用性であり、最終的に癌及び生命を脅かす感染の増加した割合で患者を免疫不全にする(Gallagher et al.,J Am Soc Nephrol.21:852-8(2010))。ES細胞に関連して、これらの薬物は、MHCバリアを横切る生存を可能にする際にわずかな改善のみを示した(Swijnenburg et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.105:12991-6(2008);Toriumi et al.,Neurol Res.31:220-7(2009))。より新しいよりターゲティングされた免疫抑制剤が利用可能になり、皮膚及び心臓(Larsen et al.,Nature.381:434-8(1996))並びにES細胞同種移植片設定(Pearl et al.,Cell Stem Cell.8:309-17(2011))で試験されるようになってきているが、それらは、依然として全身作用性であり、従って宿主免疫を損なわれたままにする可能性が高い。
【0006】
iPS細胞の発見に対する1つの提案された利点は、それらが各患者から及び各患者のために生成され得ることであった。これらの細胞は、理論的には、対応する患者による免疫拒絶から保護されるはずである(Pearl et al.,Sci Transl Med.4:164ps25(2012))。しかしながら、iPS細胞状態の誘導は、異常及び悪性腫瘍を生じ得るエピジェネティックな変化及びインビトロ培養圧力を含み、従って安全性及び機能を達成するために各細胞株を激しく試験及び/又は遺伝子修飾する必要がある(Hussein et al.,Nature.471:58-62(2011);Laurent et al.,Cell Stem Cell.8:106-18(2011);Lister et al.,Nature.471:68-73(2011))。最終的に、個々の患者ごとにiPS細胞株を作製し、試験するのに必要なコスト及び時間は、このアプローチを実際的且つ経済的に非現実的にする。たとえコストが劇的に低減されたとしても、(とりわけ)火傷、心臓発作、卒中及び脊髄損傷のような状態のために即座の処置を必要とする患者を助けることはできない。さらに、最近の知見を考慮すると、iPS細胞由来の細胞型が、それらが由来する同じ宿主に移植された場合でも、免疫拒絶から真に保護されるかどうかは、議論の余地がある(Zhao et al.,Nature.474:212-5(2011))。
【0007】
この点に関して提案された1つの解決策は、治療用細胞又は組織の移植前、その間又はその後に増殖及び/又は移植される、Tregなどの自然に抑制又は調節する免疫細胞を使用することであった(Cobbold et al.,Cold Spring Harb Perspect Med.3(6)(2013);Wood et al.,Nature reviews Immunology.12:417-30(2012))。これらの戦略は、抑制性免疫経路の認識、特にCD4+細胞調節性T細胞のサブセットをプログラムするマスターレギュレータFoxP3の発見(Hori et al.,299:1057-61(2003);Fontenot et al.,Nat Immunol.4:330-6(2003))及び同種移植片に対する耐性を促進する際のそれらの決定的な重要性の証明(Kendal et al.,J Exp Med.208:2043-53(2011))に基づいて示唆されている。この考えは、骨髄移植と結合したモノクローナル抗体によるエフェクタT細胞の枯渇及びドナーキメリズムの創出にほとんど排他的に焦点を当てた最初の寛容誘導戦略のいくつかと対照的である(Cobbold et al.,Nature.323:164-6(1986);Qin et al.,J Exp Med.169:779-94(1989))。抑制性T細胞表現型の重要性は、細胞を殺滅しないが、それらを同種移植片に応答しないままにし(Cobbold et al.,J Immunol.172:6003-10(2004))、なお同時に他の特異性のナイーブT細胞を抑制することができるような方法において、重要なT細胞受容体を遮断した戦略で後に評価された(Cobbold et al.,Immunol Rev.129:165-201(1992);Qin et al.,Eur J Immunol.20:2737-45(1990))。Tregsとして現在認識されているこれらの細胞は、TGFβ(Nakamura et al.,The Journal of experimental medicine.194:629-44(2001);Nakamura et al.,J Immunol.172:834-42(2004))、CTLA4(Tang et al.,J Immunol.181:1806-13(2008);Walker et al.,Trends Immunol.36:63-70(2015))、IL10(O’Garra et al.,J Clin Invest.114:1372-8(2004);Chaudhry et al.,Immunity.34:566-78(2011))及びIL35(Collison et al.,Nature.450:566-9(2007))のような抑制因子の発現並びにIL-2の優先的な消費(Shevach et al.,Immunity.30:636-45(2009);Setoguchi et al.,J Exp Med.201:723-35(2005))、抗原提示細胞の操作又は殺滅(Mahnke et al.,Cell Immunol.250:1-13(2007);Shevach et al.,Immunol Rev.212:60-73(2006))並びに局所ATP(Regateiro et al.,Eur J Immunol.41:2955-65(2011);Regateiro et al.,Clin Exp Immunol.171:1-7(2013))又は必須アミノ酸(Cobbold et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.106:12055-60(2009))の枯渇を含む(しかし、これらに限定されない)多くの機構によって寛容を促進し得る。
【0008】
Tregの潜在的な治療的使用のための2つのアプローチは、移植と結合したドナー抗原を使用するインビトロ拡大又は調節性T細胞とエフェクタT細胞との間の差異を活用する選択的インビボ拡大のいずれかを含む。これらの戦略は、興味深いが、今日まで、同種移植片の長期的な受容は、インビトロ又はインビボで拡大されたTregの使用のみによって実証されていない。Treg生物学には、インビトロ又はインビボ拡大のための最適な方法論並びに治療に関連する用量及びタイミングを含む多くの合併症及び未知の側面が残っている。また、抗原特異的Treg抑制は、炎症状況に応じて「打ち負かす」ことができ(Korn et al.,Nat Med.13:423-31(2007))、Tregは、NK細胞によって殺滅できることが示されている(Roy et al.,J Immunol.180:1729-36(2008))。
【0009】
Tregsに加えて、樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞などの他の抑制細胞型も同種移植片耐性を誘導するために探索されている(Walker et al.,Trends Immunol.36:63-70(2015))。DCは、自然免疫と適応免疫との間の関連であり、それらの成熟状態及び局所炎症性キューのような状況に依存してエフェクタ及び抑制免疫応答の両方を誘導し得る。同種移植片拒絶中、DCは、同種移植片特異的T細胞クローンが認識して活性化される、CD80、CD86及びCD40(とりわけ)のような共刺激分子と共に、MHC(マウス)又はHLA(ヒト)分子の結合溝の内側の同種移植片抗原をそれらの表面上に提示する(Walker et al.,Trends Immunol.36:63-70(2015))。寛容原性DCは、MHC及び共刺激分子の発現レベルを低く保ち、次いでDC-T細胞相互作用時にナイーブT細胞をアネルギー性又はさらにT調節性サブタイプに促進する抑制キューへの曝露によって未成熟状態から誘導され得る。
【0010】
治療的に、この生物学の1つの適用は、目的の特異的同種移植片抗原及び免疫抑制因子に同時にインビトロで曝露されるDCを拡大することであり、その多くは、試験されており、それらは、TGF-β、IL10、cAMP、プロスタグランジンE2、ヒスタミン、神経ペプチド、ビタミンD2、B2アゴニスト、HLA-G、グルコサミン並びにコルチコステロイド、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、アスピリン、メコフェノール酸モフェチル、サングリフェリン及びデオキシスペルグアリンなどの薬物を含む(Hackstein et al.,Nat Rev Immunol.4:24-34(2004))。代わりに、DCは、TGF-β、IL-10、VEGF、FasL、CTLA4-Ig、IDO、NFKbデコイ受容体、可溶性TNFR、CCR7及びIL-12のsiRNA誘導サイレンシングのような免疫調節因子を直接発現するように遺伝子操作されている(Morelli et al.,Immunol Rev.196:125-46(2003))。次いで、これらの培養又は操作されたDCを同種移植片と同時にレシピエントに移し、同種移植片特異的T細胞を抑制するか、又は同種移植片集中型T調節細胞の数を増加させるという仮定の下で、同種移植片の生存を延長し得るか否かを試験する。
(【0011】以降は省略されています)
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