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公開番号
2025161156
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-24
出願番号
2024064102
出願日
2024-04-11
発明の名称
T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)レパトアおよび遺伝子発現の同時解析を可能にするNGSライブラリ調製方法
出願人
株式会社日立ハイテク
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C12Q
1/6806 20180101AFI20251017BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】T細胞受容体またはB細胞受容体のレパトア解析用のライブラリと、遺伝子発現解析用のライブラリを同時に調製する方法を提供する。
【解決手段】(1)固相表面に固定化されたRTプローブを用いて、細胞から溶出されたmRNAを捕捉する工程と、(2)捕捉された前記mRNAを鋳型として用いて、1st cDNAを生成する工程と、(3)前記1st cDNAの合成に寄与しなかった過剰なRTプローブを除去する工程と、(4)前記1st cDNAを鋳型として、PCR増幅を行う工程と、(5)前記PCR増幅工程による増幅産物に対し、Ligaseを用いて環状DNAを形成させる工程と、(6)前記環状DNAを鋳型として、PCRにより増幅する工程と、(7)(4)の前記PCR増幅工程で得られた増幅産物の一部を遺伝子発現解析用に分離し、前記対象の遺伝子の少なくとも一部の領域をPCRにより増幅する工程を含む、方法とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)のレパトア解析用のライブラリと、遺伝子発現解析用のライブラリを同時に調製する方法であって、
(1)固相表面に固定化された、5’側から順に、増幅用配列、バーコード配列およびオリゴ(dT)配列を含むRTプローブを用いて、細胞から溶出されたmRNAを捕捉する工程と、
(2)捕捉された前記mRNAを鋳型として用いて、Template Switching機能を有する逆転写酵素およびTemplate Switching Oligo(TSO)を含む逆転写反応溶液において1st cDNAを合成することにより、3’末端に既知配列(TS)が付加された1st cDNAを生成する工程と、
(3)前記固相表面に固定化されたRTプローブのうち、前記1st cDNAの合成に寄与しなかった過剰なRTプローブを除去する工程と、
(4)前記1st cDNAを鋳型として、前記1st cDNAの5’末端に存在する前記増幅用配列と3’末端の前記既知配列(TS)を利用したプライマーセットを用いてPCR増幅を行う工程と、
(5)前記PCR増幅工程による増幅産物に対し、Ligaseを用いて環状DNAを形成させる工程と、
(6)前記環状DNAを鋳型として、Forward(FW)方向およびReverse(RV)方向の両方のプライマーがTCRまたはBCRのC領域の配列を利用して設計されたプライマーセットを用いて、前記バーコード配列およびTCRまたはBCRの可変領域(VDJ)を含む領域をPCRにより増幅する工程と、
(7)(4)の前記PCR増幅工程で得られた増幅産物の一部を遺伝子発現解析用に分離し、前記増幅用配列と対象の遺伝子に特異的な配列を利用したプライマーセットを用いて、前記対象の遺伝子の少なくとも一部の領域をPCRにより増幅する工程と、
を含む方法。
続きを表示(約 3,000 文字)
【請求項2】
T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)のレパトア解析と遺伝子発現解析の同時解析方法であって、
(1)固相表面に固定化された、5’側から順に、増幅用配列、バーコード配列およびオリゴ(dT)配列を含むRTプローブを用いて、細胞から溶出されたmRNAを捕捉する工程と、
(2)捕捉された前記mRNAを鋳型として用いて、Template Switching機能を有する逆転写酵素およびTemplate Switching Oligo(TSO)を含む逆転写反応溶液において1st cDNAを合成することにより、3’末端に既知配列(TS)が付加された1st cDNAを生成する工程と、
(3)前記固相表面に固定化されたRTプローブのうち、前記1st cDNAの合成に寄与しなかった過剰なRTプローブを除去する工程と、
(4)前記1st cDNAを鋳型として、前記1st cDNAの5’末端に存在する前記増幅用配列と3’末端の前記既知配列(TS)を利用したプライマーセットを用いてPCR増幅を行う工程と、
(5)前記PCR増幅工程による増幅産物に対し、Ligaseを用いて環状DNAを形成させる工程と、
(6)前記環状DNAを鋳型として、Forward(FW)方向およびReverse(RV)方向の両方のプライマーがTCRまたはBCRのC領域の配列を利用して設計されたプライマーセットを用いて、前記バーコード配列およびTCRまたはBCRの可変領域(VDJ)を含む領域をPCRにより増幅する工程と、
(7)前記(6)でPCR増幅された配列を解析する工程と、
(8)(4)の前記PCR増幅工程で得られた増幅産物の一部を遺伝子発現解析用に分離し、前記増幅用配列と対象の遺伝子に特異的な配列を利用したプライマーセットを用いて、前記対象の遺伝子の少なくとも一部の領域をPCRにより増幅する工程と、
(9)前記(8)でPCR増幅された配列を解析する工程と、
を含む方法。
【請求項3】
T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)のレパトア解析用のライブラリを調製する方法であって、
(1)固相表面に固定化された、5’側から順に、増幅用配列、バーコード配列およびオリゴ(dT)配列を含むRTプローブを用いて、細胞から溶出されたmRNAを捕捉する工程と、
(2)捕捉された前記mRNAを鋳型として用いて、Template Switching機能を有する逆転写酵素およびTemplate Switching Oligo(TSO)を含む逆転写反応溶液において1st cDNAを合成することにより、3’末端に既知配列(TS)が付加された1st cDNAを生成する工程と、
(3)前記固相表面に固定化されたRTプローブのうち、前記1st cDNAの合成に寄与しなかった過剰なRTプローブを除去する工程と、
(4)前記1st cDNAを鋳型として、前記1st cDNAの5’末端に存在する前記増幅用配列と3’末端の前記既知配列(TS)を利用したプライマーセットを用いてPCR増幅を行う工程と、
(5)前記PCR増幅工程による増幅産物に対し、Ligaseを用いて環状DNAを形成させる工程と、
(6)前記環状DNAを鋳型として、Forward(FW)方向およびReverse(RV)方向の両方のプライマーがTCRまたはBCRのC領域の配列を利用して設計されたプライマーセットを用いて、前記バーコード配列およびTCRまたはBCRの可変領域(VDJ)を含む領域をPCRにより増幅する工程と、
を含む方法。
【請求項4】
T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)のレパトアの解析方法であって、
(1)固相表面に固定化された、5’側から順に、増幅用配列、バーコード配列およびオリゴ(dT)配列を含むRTプローブを用いて、細胞から溶出されたmRNAを捕捉する工程と、
(2)捕捉された前記mRNAを鋳型として用いて、Template Switching機能を有する逆転写酵素およびTemplate Switching Oligo(TSO)を含む逆転写反応溶液において1st cDNAを合成することにより、3’末端に既知配列(TS)が付加された1st cDNAを生成する工程と、
(3)前記固相表面に固定化されたRTプローブのうち、前記1st cDNAの合成に寄与しなかった過剰なRTプローブを除去する工程と、
(4)前記1st cDNAを鋳型として、前記1st cDNAの5’末端に存在する前記増幅用配列と3’末端の前記既知配列(TS)を利用したプライマーセットを用いてPCR増幅を行う工程と、
(5)前記PCR増幅工程による増幅産物に対し、Ligaseを用いて環状DNAを形成させる工程と、
(6)前記環状DNAを鋳型として、Forward(FW)方向およびReverse(RV)方向の両方のプライマーがTCRまたはBCRのC領域の配列を利用して設計されたプライマーセットを用いて、前記バーコード配列およびTCRまたはBCRの可変領域(VDJ)を含む領域をPCRにより増幅する工程と、
(7)前記(6)でPCR増幅された配列を解析する工程と、
を含む方法。
【請求項5】
前記バーコード配列が、細胞識別バーコードおよび分子識別バーコード(UMI)を含み、前記細胞が、単一細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記バーコード配列が、分子識別バーコード(UMI)を含み、前記細胞が、複数個の細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(6)のPCR増幅する工程において、プライマーセットとして、TCRレパトア解析のためのTRA(もしくはTRG)用の第1のプライマーセットと、TRB(もしくはTRD)用の第2のプライマーセットを用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(6)のPCR増幅する工程において、プライマーセットとして、BCRレパトア解析のためのIgA/IgD/IgE/IgG/IgM用の5種類の第1のプライマーセットと、BCR-light鎖解析のためのIgL/IgKの2種類の第2のプライマーセットを用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(6)のPCR増幅する工程において、プライマーセットとして、PCR増幅される前記領域が1000塩基未満となるようにC領域の配列の5'末端付近および3’末端付近の位置に設計されたプライマーセットを用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(4)のPCR増幅を行う工程において、プライマーセットとして、5’末端がリン酸化修飾されているプライマーセットを用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)レパトア解析用のNGSライブラリ、および遺伝子発現解析用のNGSライブラリを同時調製する方法、およびT細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)レパトアの多様性および遺伝子発現を同時解析する方法に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)
【背景技術】
【0002】
免疫応答で重要な役割を担うTリンパ球、およびBリンパ球の機能解析を目的とし、細胞表面に存在するT細胞受容体(TCR)をコードする遺伝子TRATRB、およびB細胞受容体(BCR)をコードする遺伝子の可変領域(VDJ)の多様性を調べる方法としてレパトア解析がある。TCRレパトア解析は、がん患者における微小残存病変(MRD:minimal residual disease)を検出する目的にも利用される。従来法としては、通常、複数細胞(10
6
個など)から抽出したRNAを逆転写反応でcDNA合成し、TCR遺伝子の可変領域に対応した複数種類のプライマー(FWプライマー)と、C領域配列に対応したRVプライマーを用いたMultiplex PCR増幅によりライブラリを調製後、次世代シーケンサ(NGS)で解析する方法がある(非特許文献1)。あるいは、同様に複数細胞(10
6
個など)から抽出したRNAを、TSO(Template Switching Oligo)を用いた逆転写反応でcDNA合成させてTCR遺伝子(mRNA)の5’末端側にTS(Template Switching)配列(既知配列)を導入し、このTS配列に対応したFWプライマーとC領域配列に対応したRVプライマーのセットを用いたPCR増幅によりライブラリを調製後、NGS解析する方法がある(非特許文献2)。これらの方法は複数細胞を用いたバルク解析であり、MRDの検出や、クローナリティを調べる検査には有用である。
【0003】
一方、一細胞レベルのTCRレパトア解析で得られるTCRα・β(もしくはγ・δ)のペア情報は、T細胞療法・ワクチン開発に有用である。また疾患に関連する複数遺伝子の発現情報は、細胞状態を特定するのに役立つ。近年、TCRレパトアのペア情報、および遺伝子発現情報を同時に取得できる単一細胞解析方法が報告されている(非特許文献2)。単一細胞解析とは、単一細胞から溶出したmRNAを解析する方法である。非特許文献2のFIGURE 3のAに記載の方法は、オイル中の液滴内(エマルジョン)に細胞とビーズを一つずつ封入することで、細胞を単離する方法である。液相状態の共通配列付加オリゴ(dT)およびビーズ固定化TSOプローブを用いた逆転写反応により、個々の細胞由来のmRNAからcDNAを得ることができる。すなわち個々の細胞に含まれるmRNAの5’側へ増幅用配列、細胞識別バーコード、分子識別バーコード(UMI)、およびTS配列が挿入されたcDNAが合成される。その後、エマルジョンを壊し、cDNAを回収して、TS配列と共通配列(オリゴ(dT)に付加)に対応したプライマーセットでPCR増幅する。この増幅産物を利用して、レパトア用および遺伝子発現用のライブラリをそれぞれ調製する。具体的なレパトア用ライブラリの調製方法としては、TS配列とC領域配列に対応したプライマーセットでPCR増幅させる。調製したライブラリを用いて、次世代シーケンサ(NGS)解析を行う。非特許文献2のFIGURE 3のBに記載の方法は、マイクロプレートの各ウェルへ一細胞および固相担体(磁気ビーズ)をソートして分画する方法である。磁気ビーズ表面には、共通配列、細胞識別バーコード、UMI、およびオリゴ(dT)配列からなるプローブが固定されており、一細胞由来のmRNAが磁気ビーズ表面に捕捉され、そのままcDNAが合成される。各ウェルから磁気ビーズを1本のチューブへ回収後、ポリA配列が付加されたTSO(液相状態)を用いて逆転写反応によりcDNA合成を行う。そのため、合成したcDNAの3’末側(mRNAの5’側)にTS配列およびポリA配列が追加される。次に磁気ビーズに固定化されているプローブのオリゴ(dT)配列とハイブリダイズ後、DNAポリメラーゼを含む試薬で相補鎖合成することで、細胞識別バーコード、UMI、共通配列がmRNAの5’側に追加される。これによりcDNAの両末端に同じ共通配列が付加されるため、この共通配列とC領域配列に対応したプライマーセットでPCR増幅させてレパトア用ライブラリを調製する。ビーズ表面に残されている、他の発現遺伝子から合成されたcDNAを鋳型とし、共通配列と遺伝子特異的配列に対応したプライマーセットでPCR増幅させて遺伝子発現用ライブラリを調製する。これらのライブラリを用いて次世代シーケンサ(NGS)解析を行う。これら2つの方法では、1000塩基未満の短いライブラリを調製してレパトア可変領域をNGS解析できるよう、ともに一細胞解析で必要な配列(細胞識別バーコードおよびUMI)がmRNAの5’側へ導入されている。
【0004】
一細胞解析で必要な配列(細胞識別バーコードおよびUMI)をcDNAの5’側へ導入する遺伝子発現解析方法(特許文献1)が開示されている。この方法は、多くの一細胞をデバイス内の個々の微量反応槽で捕捉・溶解し、cDNA増幅または核酸増幅までのプロセスを同一デバイス上で行う方法である。この方法では、複数存在する微小反応槽中に、増幅用配列、UMI、細胞識別バーコード、オリゴ(dT)から成るRTプローブ固定化ビーズが複数個充填されており、この微小反応槽で単一細胞を捕捉し、単離・溶解させる。細胞から溶出したmRNAをビーズまたは多孔質材料表面上に固定されたRTプローブで捕捉する。一般にビーズに結合可能な総DNA量は、ビーズの総表面積(ビーズ1個当たりの表面積xビーズ数)に比例する(非特許文献3および4のTable 2、その他の記載情報から試算)。そのため、この方法におけるビーズ表面積(複数個の微小ビーズの総和)は他技術(非特許文献1のFIGURE 3のA、Bの方法)に比べて2桁ほど大きく、したがってmRNAを捕捉するためのRTプローブ量が2桁ほど多い。そのため高い効率でmRNAを捕捉することが可能である。逆転写反応により合成されたcDNAを遺伝子特異的配列(複数種類)、および増幅用配列のプライマーセットでPCR増幅したライブラリをNGS解析することで遺伝子発現解析する方法である。この方法はmRNAからcDNAへの変換効率が高く、高感度な一細胞の遺伝子発現解析が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
US10646869B
【非特許文献】
【0006】
R. Amoriello and C. Ballerini, EBioMedicine 61 (2020) 103021
Hiroyasu Aoki et al., Frontiers in Immunology 13, Article 807696 (2022)
invitrogen Catalog Nos. 65001, 65002(インターネットサイトhttps://assets.thermofisher.com/TFS-Assets/LSG/manuals/dynabeads_myone_savC1_man.pdf)
invitrogen Catalog Nos. 11205D, 11206D, 60210(インターネットサイトhttps://assets.thermofisher.com/TFS-Assets/LSG/manuals/MAN0014017_Dynabeads_M280_Streptavidin_UG.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
がん、感染症の診断・治療方法の研究開発に伴い、細胞表面に存在するT細胞受容体(TCR)またはB細胞受容体(BCR)の可変領域の多様性を調べるレパトア解析が注目されている。特にNGSの普及とともに高スループットな解析が可能となり、レパトア情報と同時に遺伝子発現解析情報を同時取得できる手段として単一細胞解析が注目されている。
【0008】
例えばTCR遺伝子(mRNA)104は、図1の(1)に示すように、5’末端側に可変領域101(VDJ、300~400塩基程度)、その3’末端側に長いC領域102(例_ヒトTRA:978塩基、ヒトTRB:760塩基、ヒトTRD:720塩基、ヒトTRG:2730塩基)が存在する。またBCR遺伝子も、5’末端側に可変領域(VDJ,300~500塩基程度)、その3’末端側に長いC領域(Heavy鎖の例_ヒトIGHG1:2619塩基、ヒトIGHG2:2594塩基、ヒトIGHG3:2751塩基、ヒトIGHG4:2597塩基、ヒトIGHA1:1310塩基、ヒトIGHA2:1320塩基、ヒトIGHM:1686塩基、ヒトIGHD:1678塩基、ヒトIGHE:1485塩基、Light鎖の例_ヒトIGKC:523塩基、ヒトIGLC1:460塩基、ヒトIGLC2:462塩基、ヒトIGLC3:462塩基、ヒトIGLC7:441塩基)が存在する。図1の(2)に示すように、増幅用配列112、細胞識別バーコード111、UMI(分子識別バーコード)110、およびオリゴ(dT)109から成るRTプローブ113を固定化した固相担体106、および液相状態のTSO 105を利用した逆転写反応により、mRNAの可変領域のさらに5’側へTS配列107、C領域の3’側にUMI 110、細胞識別バーコード111、および増幅用配列112を付加させたcDNA108を合成することが可能である。レパトア解析に必要な可変領域、および一細胞解析に必要な細胞識別バーコード、もしくは分子識別するためのUMIをNGS解析するためには、これらをすべて含む領域をPCR増幅させる必要がある。そのため、図1の(3)に示すように、両末端の既知配列(TS配列、増幅用配列)をFW・RVプライマーセット114,115に利用して一般的なPCR増幅を行った場合、1000塩基を超えるサイズの増幅産物が得られる。さらにNGS向けのTCR解析用ライブラリを調製するためには、図1の(4)に示すように、両末端へNGS用共通配列1 116および共通配列2 117を付加しなければならず(各88塩基)、最終的なDNAサイズは約1200~1600塩基まで長くなる(118)。
【0009】
一細胞レベルのTCRレパトア解析では、TCRの可変領域(cDNAの3’末端側)、および細胞識別バーコード・UMIの配列(cDNAの5’末端側)の配列情報を必要とするが、このように1000塩基を大きく超えるような長いサイズのライブラリは、NGS解析が困難となる。一般に、NGSはショートリードを読み取る装置であり、配列決定できるサイズは最長でも600塩基と短い。好適に一細胞レベルのTCRレパトア解析をNGSで行うためには、数百塩基ほどの短いライブラリ内に、(1)TCRの可変領域、および(2)細胞識別バーコードおよびUMIの双方が含まれるライブラリを調製しなければならない課題がある。理由としては、汎用されているNGS(illumina社)はライブラリサイズが長くなるほど(特に1000塩基以上)、NGS装置内で行うブリッジPCR工程の効率が大きく低下するため解析データが取得困難となるためである。
【0010】
本課題を解決する目的で、非特許文献2におけるFIGURE 3のAおよびBの方法では、(2)細胞識別バーコード+UMIをmRNAの5’側(cDNAの3’側)に導入する方法を採用し、NGS解析のためのレパトア用ライブラリ、および遺伝子発現用ライブラリの調製を可能としている。しかし、ともにPCR増幅前の工程で反応効率が低下してしまうため試料損失が生じる課題がある。高感度な一細胞解析の実現のためには、一細胞由来の多くのmRNA(分子)を損失なく、各工程で高い効率で処理し、NGSライブラリを調製する方法でなければならない。
(【0011】以降は省略されています)
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