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公開番号2025160613
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-23
出願番号2024063257
出願日2024-04-10
発明の名称シリコン試料の炭素濃度評価方法、シリコンウェーハ製造工程の評価方法、シリコンウェーハの製造方法およびシリコン単結晶インゴットの製造方法
出願人株式会社SUMCO
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類H01L 21/66 20060101AFI20251016BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】シリコン試料の炭素濃度を正確に評価し得る評価方法を提供すること。
【解決手段】シリコン試料に水素原子を導入する水素原子導入処理を行うこと、上記水素原子導入処理後のシリコン試料の一方の表面にショットキー電極を形成し、他方の表面にオーミック層を形成してダイオードを作製すること、上記ダイオードのDLTS測定を行うこと、および、上記DLTS測定によって得られた測定結果に基づき、上記シリコン試料の炭素濃度を評価すること、を含むシリコン試料の炭素濃度評価方法。上記測定結果は、少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果を含み、上記ショットキー電極の形成を、上記水素原子導入処理後のシリコン試料を蒸着装置内に導入してショットキー電極形成用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって行い、かつ上記炭素濃度評価方法は、上記水素原子導入処理後のシリコン試料を導入する前に、上記蒸着装置内で上記ショットキー電極形成用蒸着材料と同一の蒸着材料または同種の蒸着材料である前処理用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって、上記蒸着装置内の少なくとも一部に上記前処理用蒸着材料を堆積させることを更に含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
シリコン試料に水素原子を導入する水素原子導入処理を行うこと、
前記水素原子導入処理後のシリコン試料の一方の表面にショットキー電極を形成し、他方の表面にオーミック層を形成してダイオードを作製すること、
前記ダイオードのDLTS測定を行うこと、および
前記DLTS測定によって得られた測定結果に基づき、前記シリコン試料の炭素濃度を評価すること、
を含み、
前記測定結果は、少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果を含み、
前記ショットキー電極の形成を、前記水素原子導入処理後のシリコン試料を蒸着装置内に導入してショットキー電極形成用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって行い、かつ
前記水素原子導入処理後のシリコン試料を導入する前に、前記蒸着装置内で前記ショットキー電極形成用蒸着材料と同一の蒸着材料または同種の蒸着材料である前処理用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって、前記蒸着装置内の少なくとも一部に前記前処理用蒸着材料を堆積させることを更に含む、シリコン試料の炭素濃度評価方法。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記シリコン試料はn型シリコンであり、かつ前記ショットキー電極はAu電極である、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項3】
前記Au電極の金属不純物含有量は9μg/mm

未満である、請求項2に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項4】
前記金属不純物はAlである、請求項3に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項5】
前記前処理用蒸着材料を堆積させる蒸着処理が実施される蒸着装置は、該蒸着装置内にAl含有蒸着材料を配置して蒸着処理が行われた後の蒸着装置である、請求項4に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項6】
前記ショットキー電極の形成における蒸着処理時間は、4分以上10分以下である、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項7】
前記少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果は、Ec-0.10eV、Ec-0.13eVおよびEc-0.15eVからなる群から選ばれる少なくとも1つのトラップ準位の密度に関する測定結果である、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項8】
前記少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果は、Ec-0.15eVのトラップ準位の密度に関する測定結果である、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項9】
前記水素原子導入処理は、前記シリコン試料をフッ硝酸と接触させることを含む、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
【請求項10】
評価対象のシリコンウェーハ製造工程において製造されたシリコンウェーハの炭素濃度を請求項1~9のいずれか1項に記載の方法により評価すること、および
前記評価の結果に基づき評価対象のシリコンウェーハ製造工程における炭素汚染の程度を評価すること、
を含む、シリコンウェーハ製造工程の評価方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン試料の炭素濃度評価方法、シリコンウェーハ製造工程の評価方法、シリコンウェーハの製造方法およびシリコン単結晶インゴットの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、シリコン試料の炭素濃度を評価することが検討されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6528710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板として使用されるシリコンウェーハには、デバイス特性の低下を引き起こす不純物汚染を低減することが望まれる。近年、シリコンウェーハに含まれる不純物として炭素が注目され、シリコンウェーハの炭素汚染を低減することが検討されている。
【0005】
炭素汚染低減のためには、シリコン試料の炭素濃度を評価し、評価結果に基づき、シリコンウェーハの製造工程やシリコンウェーハを切り出すシリコン単結晶インゴットの製造工程を、製造工程で混入する炭素を低減するように管理することが望ましい。シリコン試料の炭素濃度を正確に評価できることは、そのような工程管理を行ううえで有用である。
【0006】
本発明の一態様は、シリコン試料の炭素濃度を正確に評価し得る評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許第6528710号明細書(特許文献1)には、DLTS法(Deep-Level Transient Spectroscopy)による測定結果に基づきシリコン試料の炭素濃度を評価することが提案されている。
DLTS測定のためには、シリコン試料の一方の表面にショットキー電極を形成し、他方の表面にオーミック層を形成して、シリコン試料にダイオード(試料素子)が作製される。上記のショットキー電極は、ショットキー電極形成用蒸着材料が配置された蒸着装置内にシリコン試料を導入して蒸着処理を行うことによって形成することができる。本発明者は、シリコン試料の炭素濃度を正確に評価し得る評価方法を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、ショットキー電極の形成前、蒸着装置内で前処理としてショットキー電極形成用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって、炭素濃度評価を正確に行うことが可能になることを新たに見出した。これは、上記前処理を実施することによって蒸着装置内の少なくとも一部にショットキー電極形成用蒸着材料を堆積させることができるため、この堆積物によって、蒸着装置内(例えば内壁、部材表面等)に付着していた金属不純物がショットキー電極に混入することを抑制できることに依るものであると本発明者は推察している。金属不純物が混入したショットキー電極であっても電極としては機能するため、従来、DLTS測定によってシリコン試料を評価するにあたり、DLTS測定用ダイオードのショットキー電極への金属不純物の混入が注目されることはなかった。これに対し本発明者は、DLTS測定によってシリコン試料の炭素濃度を正確に評価するために鋭意検討を重ねた結果、ショットキー電極への金属不純物の混入に注目するに至ったのである。
【0008】
即ち、本発明の一態様は、以下の通りである。
[1]シリコン試料に水素原子を導入する水素原子導入処理を行うこと、
上記水素原子導入処理後のシリコン試料の一方の表面にショットキー電極を形成し、他方の表面にオーミック層を形成してダイオードを作製すること、
上記ダイオードのDLTS測定を行うこと、および
上記DLTS測定によって得られた測定結果に基づき、上記シリコン試料の炭素濃度を評価すること、
を含み、
上記測定結果は、少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果を含み、
上記ショットキー電極の形成を、上記水素原子導入処理後のシリコン試料を蒸着装置内に導入してショットキー電極形成用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって行い、かつ
上記水素原子導入処理後のシリコン試料を導入する前に、上記蒸着装置内で上記ショットキー電極形成用蒸着材料と同一の蒸着材料または同種の蒸着材料である前処理用蒸着材料による蒸着処理を実施することによって、上記蒸着装置内の少なくとも一部に上記前処理用蒸着材料を堆積させることを更に含む、シリコン試料の炭素濃度評価方法。
[2]上記シリコン試料はn型シリコンであり、かつ上記ショットキー電極はAu電極である、請求項1に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[3]上記Au電極の金属不純物含有量は9μg/mm

未満である、[2]に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[4]上記金属不純物はAlである、[3]に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[5]上記前処理用蒸着材料を堆積させる蒸着処理が実施される蒸着装置は、この蒸着装置内にAl含有蒸着材料を配置して蒸着処理が行われた後の蒸着装置である、[4]に記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[6]上記ショットキー電極の形成における蒸着処理時間は、4分以上10分以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[7]上記少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果は、Ec-0.10eV、Ec-0.13eVおよびEc-0.15eVからなる群から選ばれる少なくとも1つのトラップ準位の密度に関する測定結果である、[1]~[6]のいずれかに記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[8]上記少なくとも炭素原子と水素原子とによって形成された複合体に起因するトラップ準位の密度に関する測定結果は、Ec-0.15eVのトラップ準位の密度に関する測定結果である、[1]~[7]のいずれかに記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[9]上記水素原子導入処理は、上記シリコン試料をフッ硝酸と接触させることを含む、[1]~[8]のいずれかに記載のシリコン試料の炭素濃度評価方法。
[10]評価対象のシリコンウェーハ製造工程において製造されたシリコンウェーハの炭素濃度を[1]~[9]のいずれかに記載の方法により評価すること、および
上記評価の結果に基づき評価対象のシリコンウェーハ製造工程における炭素汚染の程度を評価すること、
を含む、シリコンウェーハ製造工程の評価方法。
[11][10]に記載の評価方法によりシリコンウェーハ製造工程の評価を行うこと、および
上記評価の結果、炭素汚染の程度が許容レベルと判定されたシリコンウェーハ製造工程において、または、上記評価の結果、炭素汚染の程度が許容レベルを超えると判定されたシリコンウェーハ製造工程に炭素汚染低減処理を施した後に、このシリコンウェーハ製造工程において、シリコンウェーハを製造すること、
を含む、シリコンウェーハの製造方法。
[12]シリコン単結晶インゴットを育成すること、
上記シリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン試料の炭素濃度を、[1]~[9]のいずれかに記載の方法により評価すること、
上記評価の結果に基づき、シリコン単結晶インゴットの製造条件を決定すること、および、
決定された製造条件下でシリコン単結晶インゴットを育成すること、
を含む、シリコン単結晶インゴットの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、シリコン試料の炭素濃度を正確に評価し得る評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1に、実施例1~3および比較例1~3において求められた炭素濃度を示す。
図2に、実施例1および比較例1において得られたDLTSスペクトル(フィッティング処理後)を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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