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公開番号
2025160263
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-22
出願番号
2025119723,2020173643
出願日
2025-07-16,2020-10-15
発明の名称
シアノ置換多環芳香族化合物
出願人
学校法人関西学院
,
エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C07F
5/02 20060101AFI20251015BHJP(有機化学)
要約
【課題】新規なシアノ置換多環芳香族化合物およびそれを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】ホウ素原子と酸素原子などで複数の芳香族環を連結した新規な多環芳香族化合物にシアノ基を導入することで、有機EL素子用材料等、有機デバイス用材料の選択肢を増やす。また、新規なシアノ置換多環芳香族化合物を有機EL素子用材料として用いることで、例えば発光効率や素子寿命に優れた有機EL素子を提供する。本発明の化合物は、例えば下記に示される多環芳香族化合物である。
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【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構
造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
TIFF
2025160263000232.tif
44
170
(上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であ
り、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり
、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>Sまたは>Seであり、前
記>N-RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリー
ル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
また、前記>N-RのRは連結基または単結合により前記A環、B環およびC環の少なく
とも1つと結合していてもよく、
B環およびC環は連結基または単結合を介して結合していてもよく、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素
、臭素、ヨウ素または重水素で置換されていてもよく、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘ
テロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていても
よく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該
シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置換されていてもよく、
そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はシアノで置換さ
れている。)
続きを表示(約 7,100 文字)
【請求項2】
上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であ
り、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換
もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしく
は無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミ
ノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介
して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシク
ロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシま
たは置換シリルで置換されていてもよく、また、これらの環はY
1
、X
1
およびX
2
から
構成される上記式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し
、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり
、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>Sまたは>Seであり、前
記>N-RのRは、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、
アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまた
はシクロアルキルであり、また、前記>N-RのRは-O-、-S-、-C(-R)
2
-
または単結合により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよく、
前記-C(-R)
2
-のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり、
B環およびC環は、>O、>N-R、>Si(-R)
2
、>C(-R)
2
、>S、>S
eまたは単結合を介して結合していてもよく、前記>N-Rおよび>Si(-R)
2
のR
は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロア
リール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであ
り、前記>C(-R)
2
のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていて
もよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシク
ロアルキルであり、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素
、臭素、ヨウ素または重水素で置換されていてもよく、
多量体の場合には、一般式(1)で表される構造を2または3個有する2または3量体
であり、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘ
テロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていても
よく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該
シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置換されていてもよく、
そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素はシアノで置換さ
【請求項3】
下記一般式(2)で表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物またはその多量体
。
TIFF
2025160263000233.tif
55
170
(上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールア
ミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2
つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロア
ルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリ
シクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキ
ルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、
アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R
1
~R
11
のうちの隣
接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環
を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテ
ロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミ
ノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよ
い)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、
トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまた
はアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも
1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されて
いてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアル
キルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>Sまたは>Seであり、前
記>N-RのRは、炭素数6~12のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、炭素
数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、また、前記>N-R
のRは-O-、-S-、-C(-R)
2
-または単結合により前記a環、b環およびc環
の少なくとも1つと結合していてもよく、前記-C(-R)
2
-のRは炭素数1~6のア
ルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、
b環のR
8
およびc環のR
7
は、>O、>N-R、>Si(-R)
2
、>C(-R)
【請求項4】
上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシ
クロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~30のアリール、炭素数2~3
0のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)
、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6~12のアリールであり、2つのアリー
ルは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~24のアルキルまた
は炭素数3~24のシクロアルキルであり、また、R
1
~R
11
のうちの隣接する基同士
が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9~16のアリール環または炭素数6~1
5のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水
素は、炭素数6~10のアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシ
クロアルキルで置換されていてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=SまたはSi-Rであり、前記Si-RのRは、炭素数
6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで
あり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-Rまたは>Sであり、前記>N-
RのRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10の
シクロアルキルであり、
b環のR
8
およびc環のR
7
は、>O、>N-R、>C(-R)
2
または>Sを介して
結合していてもよく、前記>N-RのRは、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリー
ル、炭素数2~30のヘテロアリール、炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24
のシクロアルキルであり、これらは炭素数1~24のアルキルで置換されていてもよく、
前記>C(-R)
2
のRは、水素、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロ
アリール、炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルであり、こ
れらは炭素数1~24のアルキルで置換されていてもよく、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素または重水素で置換されていてもよく、
式(2)で表される化合物または構造における、前記a環、前記b環、前記c環、前記
形成された環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3~16の、
少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける
少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキル
【請求項5】
上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシ
クロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、炭素数2~2
0のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)
、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6~10のアリールであり、2つのアリー
ルは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~12のアルキルまた
は炭素数3~16のシクロアルキルであり、
Y
1
は、B、P、P=OまたはP=Sであり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>Oまたは>N-Rであり、前記>N-RのR
は、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロ
アルキルであり、
式(2)で表される化合物または構造における、前記a環、前記b環、前記c環、前記
形成された環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3~16の、
少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける
少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキル
で置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素はシアノで置換されている、
請求項3に記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項6】
上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシ
クロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、ジアリールア
ミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリー
ルは炭素数6~10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結
合していてもよい)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキル
であり、
Y
1
はBであり、
X
1
およびX
2
は共に>N-Rであるか、または、X
1
は>N-RであってX
2
は>O
であり、前記>N-RのRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまた
は炭素数5~10のシクロアルキルであり、
式(2)で表される化合物または構造における、前記a環、前記b環、前記c環、前記
形成された環、アリールおよびヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3~16の、
少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける
少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキル
で置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素はシアノで置換されている、
請求項3に記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項7】
前記>N-RのRが、シアノ置換されたアリールまたはヘテロアリールである、請求項
1~6のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項8】
前記>N-RのRが、シアノ置換されたフェニルである、請求項7に記載する多環芳香
族化合物またはその多量体。
【請求項9】
シアノ置換されたアルキル基もしくはシクロアルキル基、シアノ置換されたアルコキシ
基、シアノ置換されたジアリールアミノ基、シアノ置換されたジアリールボリル基(2つ
のアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、シアノ置換されたカル
バゾリル基またはシアノ置換されたベンゾカルバゾリル基で置換されている、請求項1~
8のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項10】
シアノ置換されたジアリールアミノ基で置換されている、請求項9に記載する多環芳香
族化合物またはその多量体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアノ置換の多環芳香族化合物およびその多量体(以下、まとめて「多環芳
香族化合物」ともいう)と、これを用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタ
および有機薄膜太陽電池、並びに、表示装置および照明装置に関する。なお、本明細書中
で「有機電界発光素子」のことを「有機EL素子」または単に「素子」と表記することが
ある。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから
、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易
なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色などの発光特性を
有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可
能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わ
ずこれまで活発に研究されてきた。
【0003】
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され
、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層に
は、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがある
が、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
【0004】
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際
公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン
系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料として
は、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
【0005】
また、近年では有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルア
ミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材
料は既に実用化されていたN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル
)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニル
アミンを構成する芳香環同士を連結することでその平面性を高めたことを特徴とする材料
である。この文献では例えばNO連結系化合物(63頁の化合物1)の電荷輸送特性が評
価されているが、NO連結系化合物以外の材料の製造方法については記載されておらず、
また、連結する元素が異なれば化合物全体の電子状態が異なるため、NO連結系化合物以
外の材料から得られる特性も未だ知られていない。このような化合物の例は他にも見られ
る(国際公開第2011/107186号公報)。例えば、三重項励起子のエネルギー(T1)が大
きい共役構造を有する化合物は、より短い波長の燐光を発することができるため、青色の
発光層用材料として有益である。また、発光層を挟む電子輸送材料や正孔輸送材料として
もT1が大きい新規共役構造を有する化合物が求められている。
【0006】
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香環を
単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さ
な芳香環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO-LUMOギ
ャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料
や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネル
ギー(E
T
)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香環や置換基を
連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、
両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E
T
)を向上させ
ることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香環はレドックス安定性が十分ではなく
、既存の芳香環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではな
い。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れ
ているが、HOMO-LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励
起エネルギー(E
T
)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2004/061047号公報
特開2001-172232号公報
特開2005-170911号公報
国際公開第2012/118164号公報
国際公開第2011/107186号公報
国際公開第2015/102118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されている
が、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の
開発が望まれている。特に、特許文献1~4で報告されたNO連結系化合物以外の材料か
ら得られる有機EL特性やその製造方法は未だ知られていない。
【0009】
また、特許文献6では、ホウ素を含む多環芳香族化合物とそれを用いた有機EL素子が
報告されているが、更に素子特性を向上させるべく、発光効率や素子寿命を向上させるこ
とができる発光層用材料、特にドーパント材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、シアノ基を導入した多環芳
香族化合物を含有する層を一対の電極間に配置して例えば有機EL素子を構成することに
より、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発
明は、以下のようなシアノ置換多環芳香族化合物またはその多量体、さらには以下のよう
なシアノ置換多環芳香族化合物またはその多量体を含む有機EL素子用材料等の有機デバ
イス用材料を提供する。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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