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公開番号2025158874
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-17
出願番号2024061812
出願日2024-04-06
発明の名称芯鞘複合繊維及びそれを含む織編物ならびに芯鞘複合繊維の製造方法
出願人美津濃株式会社,ユニチカトレーディング株式会社,日本エステル株式会社
代理人個人
主分類D01F 8/06 20060101AFI20251009BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】優れた太陽光遮蔽効果と優れた接触冷感作用とを有する繊維製品を形成することができる繊維を提供する。
【解決手段】繊維の長さ方向に対して垂直方向に切断した断面において、その断面中心部に芯部を有し、その芯部の周囲に鞘部を有する単繊維であって、(1)芯部がポリオレフィン樹脂を含み、鞘部がポリエステル樹脂を含み、(2)複合繊維中に二酸化チタンを1~3質量%含有し、(3)前記断面において、下記の条件:(3-1)芯部と鞘部の面積比(芯部/鞘部)が1/4~1/12であること、(3-2)2.0≦[(LS1)/(LS2)]≦5.0(但し、LS1は、鞘部の長軸方向の最大長さを示す。LS2は、鞘部の長軸方向に直交する短軸方向の最大長さを示す。)、(3-3)0.5≦[(LC)/(LS1)]≦0.8(但し、LCは、芯部の長軸方向の最大長さを示す。)及び(3-4)走査型電子顕微鏡による5000倍の前記断面の観察において、芯部の外周面に4個以上の凹部が認められることをいずれも満たすことを特徴とする芯鞘複合繊維に係る。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
繊維の長さ方向に対して垂直方向に切断した断面において、その断面中心部に芯部を有し、その芯部の周囲に鞘部を有する単繊維であって、
(1)芯部がポリオレフィン樹脂を含み、鞘部がポリエステル樹脂を含み、
(2)前記単繊維中に二酸化チタンを1~3質量%含有し、
(3)前記断面において、下記(3-1)~(3-4)の条件:
(3-1)芯部と鞘部の面積比(芯部/鞘部)が1/4~1/12であること、
(3-2)2.0≦[(L
S1
)/(L
S2
)]≦5.0(但し、L
S1
は、鞘部の長軸方向の最大長さを示す。L
S2
は、鞘部の長軸方向に直交する短軸方向の最大長さを示す。)、
(3-3)0.5≦[(L

)/(L
S1
)]≦0.8(但し、L

は、芯部の長軸方向の最大長さを示す。L
S1
は、鞘部の長軸方向の最大長さを示す。)及び
(3-4)走査型電子顕微鏡による3000~5000倍の前記断面の観察において、芯部の外周面に4個以上の凹部が認められること、
をいずれも満たす、
ことを特徴とする芯鞘複合繊維。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
芯部と鞘部の体積比(芯部/鞘部)が1/4~1/12である、請求項1に記載の芯鞘複合繊維。
【請求項3】
請求項1に記載の芯鞘複合繊維を2本以上含むマルチフィラメント。
【請求項4】
請求項1に記載の芯鞘複合繊維を含む仮撚糸。
【請求項5】
請求項1に記載の芯鞘複合繊維を含む織編物。
【請求項6】
請求項5に記載の織編物を含む縫製品。
【請求項7】
芯鞘複合繊維を製造する方法であって、
(1)芯部形成用吐出孔として略一列に配列された3個以上の吐出孔と、その周囲に形成された鞘部形成用吐出孔とを有する多孔板とその下方に積層された口金とを含む口金パックを用い、ポリエステル樹脂を含む鞘部用原料及びポリオレフィン樹脂を含む芯部用原料を前記口金パックに供給し、紡糸温度(口金温度)280~300℃及び芯部と鞘部の体積比(芯部/鞘部)1/4~1/12となる条件下で溶融紡糸を行う工程、
(2)紡糸された糸条に口金の下面から50~150mmの位置で20~30℃の冷却風を吹き付けることにより冷却する工程、及び
(3)冷却固化した糸条を2500m/分以上の速度で巻き取る工程
を順に含むことを特徴とする、芯鞘複合繊維の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な芯鞘複合繊維に関する。さらに、本発明は、その芯鞘複合繊維を含む織編物及び芯鞘複合繊維の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、遮光性を目的としたカーテン、衣服等に用いる繊維として、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム等の白色顔料のほか、カーボンブラック、アルミニウム粉末等の無機微粒子を繊維中に分散した繊維が知られている(特許文献1、2)
【0003】
しかしながら、このような繊維では、太陽からの輻射熱を十分に遮蔽するために繊維中に大量の無機微粒子を含有させる必要がある。その結果、製糸工程の安定性が悪くなるだけでなく、繊維及び製品の風合いが著しく損なわれるという問題がある。
【0004】
また、繊維中に高濃度に含有させたセラミック微粒子により太陽光を遮蔽させ、さらに、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を積層した繊維構造とし、層界面で太陽光を散乱させることでも太陽光を遮蔽する繊維も提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の繊維においても、太陽光を十分に遮蔽するには、繊維中に大量の無機微粒子を含有させるか、あるいは層界面での太陽光の散乱効率を高める必要がある。無機微粒子の含有量を増やすと、製糸工程の安定性が悪くなるだけでなく、繊維及び製品の風合いが著しく損なわれる。
【0006】
その一方で、上記の層界面については、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂は、接着性が悪く、両樹脂成分を積層した繊維構造とした際に層間剥離を生じることがある。層間剥離が生じると、染色工程において染色スジ、色斑等の染色不良が生じる。このため、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の層界面の面積はできるだけ小さくせざるを得ない。その結果、上記繊維においては、層界面における太陽光の散乱効率を向上させるにも限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平11-81048号公報
特開平9-137345号公報
特許第5667981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、太陽光を遮蔽できる繊維材料が種々提案されているものの、その遮蔽効果、遮光効果等においてはさらなる改良が必要である。とりわけ、近年の温暖化による異常気象により、気温が極めて高くなる日が多くなり、太陽光を遮蔽するだけでなく、肌に直接触れた時に冷感作用を得ることができる、接触冷感に優れた衣服への要望が高まっている。
【0009】
従って、本発明の主な目的は、優れた太陽光遮蔽効果と優れた接触冷感作用とを有する繊維製品を形成することができる繊維を提供することにある。また、本発明は、かかる繊維を効率的かつ確実に製造できる製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の芯鞘構造を有する複合繊維が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
(【0011】以降は省略されています)

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