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公開番号
2025154380
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-10
出願番号
2024057336
出願日
2024-03-29
発明の名称
前処理組成物
出願人
日本化薬株式会社
代理人
主分類
C09D
11/54 20140101AFI20251002BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】
前処理の痕跡、裏抜けによる発色性の低下、及び毛羽立ちを生じにくく、白色を含むカラーインクを使用したときに、高い白色度及び高い隠蔽性を有する画像が得られる、前処理組成物と、カラーインクとのインクセット、インクジェット捺染方法の提供
【解決手段】
重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマー、樹脂粒子、架橋剤及び水を含む前処理組成物であって、前記樹脂粒子が、樹脂塗膜上における水の着液1秒後の接触角(ca1)が84°以上であり、樹脂塗膜上における水の着液10秒後の接触角(ca2)が65°以上であり、前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーの総質量をA、前記樹脂粒子の総質量をB、とした場合、A/Bで求められる値が、0.8~3.7の範囲である、前処理剤組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマー、樹脂粒子、架橋剤及び水を含む前処理組成物であって、前記樹脂粒子が、樹脂塗膜上における水の着液1秒後の接触角(ca1)が84°以上であり、樹脂塗膜上における水の着液10秒後の接触角(ca2)が65°以上であり、前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーの総質量をA、前記樹脂粒子の総質量をB、とした場合、A/Bで求められる値が、0.8~3.7の範囲である、前処理剤組成物。
続きを表示(約 870 文字)
【請求項2】
前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーが、アリルアミン構造単位、ジアリルアミン構造単位、ジアリルアンモニウム構造単位、エピハロヒドリン構造単位からなる群から選択される少なくともいずれか構造単位を含む、請求項1に記載の前処理組成物。
【請求項3】
前記架橋剤が、ブロック型イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物からなる群から選択される少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の前処理組成物。
【請求項4】
前記ブロック型イソシアネート基含有化合物の解離温度が120℃以上である、請求項3に記載の前処理組成物。
【請求項5】
25℃における静的表面張力が36~60mN/mである、請求項1又は2に記載の前処理組成物。
【請求項6】
pHが6.5~10.0である、請求項1又は2に記載の前処理組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の前処理組成物と、顔料、高分子分散剤、ウレタン樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び水を含有する水系インク組成物と、を含むインクセット。
【請求項8】
前記顔料が白色顔料であり、前記水溶性有機溶剤が、沸点250℃以上である多価アルコールと、沸点210℃以下である多価アルコールと、を含み、前記沸点250℃以上である多価アルコールの含有量が前記水系インク組成物の総質量に対して20質量%以下である、請求項7に記載のインクセット。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の前処理組成物を布帛に塗布する前処理工程、布帛に塗布された前記前処理液を乾燥する第1の乾燥工程、該第1の乾燥工程により布帛に形成された前処理層の少なくとも一部にインクを塗布する記録工程、該インクを乾燥する第2の乾燥工程、を有するインクジェット捺染方法。
【請求項10】
請求項7に記載のインクセットを用いて印刷された印刷物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット捺染用の前処理組成物およびインクジェット捺染方法、前処理組成物を含むインクセット、インクセットを用いて印刷された印刷物に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、繊維の捺染方法においては、手描きやスクリーン印刷が主流であった。しかし、最近ではインクジェットプリンタを用いる繊維の捺染(インクジェット捺染)方法が増加している。
インクジェット捺染方法は、スクリーン印刷やグラビア印刷等のアナログ印刷方法よりも、少量多品種の印刷物に適しており、インクジェット捺染方法による布帛の適用範囲の拡大が望まれている。このような適用範囲の拡大に伴い、ガーメント印刷やホームテキスタイル印刷において、様々な布帛(例えば、綿、ポリエステル、ナイロン、又は2種以上の繊維を含む混紡等)や様々な生地の種類(例えば、ニット、シーチング、ブロード、オックスフォード、シャンブレー、メッシュなど)に対して、濃度、堅牢性(例えば、摩擦堅牢度、洗濯堅牢度、耐光性等)の更なる向上が求められている。
【0003】
インクジェット捺染に用いる着色剤として、水溶性の染料が挙げられる。そのような染料は、色相が鮮明で、再現できる色域も広い。その反面、水溶性の染料は耐光性が低く、繊維に染料を付着させた後の定着、及び水洗等の工程、さらには水洗等により生じる染料廃液の処理等が煩雑という欠点を有する。このため、水溶性の染料の代わりに、水不溶性の着色剤の使用が注目されている。
【0004】
水不溶性の着色剤を用いるインクジェット捺染では、繊維上での「にじみ」が問題とされてきた。この問題については、繊維に対して前処理を行うことが提案されている。例えば、下記の特許文献1及び2等には、そのような処理液が提案されている。
【0005】
一方、ポリエステル繊維(スポーツウェア等に使用されるメッシュ生地)、又は、生地の薄い繊維や編み目の粗い繊維等の片面に捺染を行うと、その繊維の捺染を行っていない反対側の面にまで着色剤が浸透してしまう「裏抜け」が生じることがあり、これが濃度低下の大きな問題の1つとなっている。
また、この裏抜けを防止する目的で、繊維に前処理を行うことも提案されている。しかし、裏抜けの防止を重視するあまり高濃度の前処理液(以下、前処理組成物ともいう)や、多量の前処理液を繊維に塗布すると、前処理液が付与された部分の繊維に、その前処理液を付与した「痕跡」が残ってしまう問題も生じ、これも問題の1つとなっている。「痕跡」とは、例えば黒色等の濃色の繊維においては、白っぽく見える状態として観察される。一方、例えば水色等の淡色の繊維においては、水に濡れたように色が濃く見える状態として観察される。そのような痕跡が残ると、捺染物の見た目が著しく悪化する。このため、捺染物の商品としての価値の低下、又は消失にもつながるため、裏抜けの防止と共に、「痕跡」が残らない前処理液が強く望まれている。
【0006】
また、黒色を含む濃色の繊維に対して白色以外のカラーインクを直接捺染すると、目視ではカラーインクの色を認識できないことがある。このため、濃色の繊維にカラーインクで捺染をするとき、通常は白色の下地を設置し、この下地に対してカラーインクで捺染を行う。この下地の白色度が低いと、カラーインクで捺染した画像の発色が低下する。この理由から、下地の白色度及び隠蔽性は高い方が望ましい。しかし、前処理液の種類によっては、この白色度及び隠蔽性が低下してしまうことが知られている。
また、濃色の繊維に白色インクで下地を設置するときも、繊維(生地)の種類によっては、上記の「裏抜け」が生じることがあり、これが白色度及び隠蔽性の低下の大きな問題の1つとなっている。特にポリエステル繊維(スポーツウェア等に使用されるメッシュ生地)、又は、生地の薄い繊維や編み目の粗い繊維等では白色度及び隠蔽性の低下が著しい傾向にある。
裏抜け以外にも、前処理された部分の繊維が毛羽立ってしまうことにより、白色の下地にムラが観察されることがある。このムラによっても捺染物としての品質が大きく低下する。
このため、これらの問題を解決できる前処理組成物と、捺染方法、カラーインクとのインクセット、が強く望まれている。
【0007】
さらに、白色を含む淡い色の繊維に対してイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、ブルー、バイオレット、オレンジ、及びブラック等のカラーインクで捺染をするときは、白色下地の設置は行わず、これらのカラーインクを直接繊維に付着させることも多い。このようなときであっても、発色性の高いカラー画像が得られる前処理組成物と、捺染方法、カラーインクとのインクセットが強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平07-119047号公報
特開2000-226781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記の痕跡、裏抜け、及び毛羽立ちを生じにくく、白色を含むカラーインクを使用したときに、高い白色度及び高い隠蔽性を有する画像が得られる、前処理組成物と、カラーインクとのインクセット、インクジェット捺染方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は鋭意検討の結果、重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマー、樹脂粒子、架橋剤及び水を含む前処理組成物であって、前記樹脂粒子が、樹脂塗膜上における水の着液1秒後の接触角(ca1)が84°以上であり、樹脂塗膜上における水の着液10秒後の接触角(ca2)が65°以上であり、前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーの総質量をA、前記樹脂粒子の総質量をB、とした場合、A/Bで求められる値が、0.8~3.7の範囲である、前処理剤組成物により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の1)~10)に関する。
1)
重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマー、樹脂粒子、架橋剤及び水を含む前処理組成物であって、前記樹脂粒子が、樹脂塗膜上における水の着液1秒後の接触角(ca1)が84°以上であり、樹脂塗膜上における水の着液10秒後の接触角(ca2)が65°以上であり、前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーの総質量をA、前記樹脂粒子の総質量をB、とした場合、A/Bで求められる値が、0.8~3.7の範囲である、前処理剤組成物。
2)
前記重量平均分子量700以上6000以下のカチオン性ポリマーが、アリルアミン構造単位、ジアリルアミン構造単位、ジアリルアンモニウム構造単位、エピハロヒドリン構造単位からなる群から選択される少なくともいずれか構造単位を含む、1)に記載の前処理組成物。
3)
前記架橋剤が、ブロック型イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物からなる群から選択される少なくともいずれかを含む、1)又は2)に記載の前処理組成物。
4)
前記ブロック型イソシアネート基含有化合物の解離温度が120℃以上である、3)に記載の前処理組成物。
5)
25℃における静的表面張力が36~60mN/mである、1)~4)のいずれか一項に記載の前処理組成物。
6)
pHが6.5~10.0である、1)~5)のいずれか一項に記載の前処理組成物。
7)
1)~6)のいずれか一項に記載の前処理組成物と、顔料、高分子分散剤、ウレタン樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び水を含有する水系インク組成物と、を含むインクセット。
8)
前記顔料が白色顔料であり、前記水溶性有機溶剤が、沸点250℃以上である多価アルコールと、沸点210℃以下である多価アルコールと、を含み、前記沸点250℃以上である多価アルコールの含有量が前記水系インク組成物の総質量に対して20質量%以下である、7)に記載のインクセット。
9)
1)~6)に記載の前処理組成物を布帛に塗布する前処理工程、布帛に塗布された前記前処理液を乾燥する第1の乾燥工程、該第1の乾燥工程により布帛に形成された前処理層の少なくとも一部にインクを塗布する記録工程、該インクを乾燥する第2の乾燥工程、を有するインクジェット捺染方法。
10)
7)又は8)に記載のインクセットを用いて印刷された印刷物。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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