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公開番号2025153609
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024056166
出願日2024-03-29
発明の名称量子ドット、波長変換部材、バックライトユニット、画像表示装置及び量子ドットの製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C09K 11/08 20060101AFI20251002BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】
光安定性が向上した量子ドット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアと、該第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアを被覆する単一又は複数の半導体ナノ結晶シェルを含むコアシェル型量子ドットであって、有効質量近似法により見積もられる束縛条件を満たす前記コアシェル型量子ドットにおける励起電子準位が、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの伝導帯の下端と前記半導体ナノ結晶シェルの伝導帯の下端との間に1つである量子ドット。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアと、該第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアを被覆する単一又は複数の半導体ナノ結晶シェルを含むコアシェル型量子ドットであって、
有効質量近似法により見積もられる束縛条件を満たす前記コアシェル型量子ドットにおける励起電子準位が、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの伝導帯の下端と前記半導体ナノ結晶シェルの伝導帯の下端との間に1つであることを特徴とする量子ドット。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアがCuIn

Ga
1-x
Se

、CuIn

Ga
1-x


、AgIn

Ga
1-x
Se

、AgIn

Ga
1-x


(但し、0≦X≦1)から選択される半導体ナノ結晶又はその混晶であることを特徴とする請求項1に記載の量子ドット。
【請求項3】
前記半導体ナノ結晶シェルが、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアのエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有するCuIn

Ga
1-Y
Se

、CuIn

Ga
1-Y


、AgIn

Ga
1-Y
Se

、AgIn

Ga
1-Y


、ZnSe、ZnS(但し、0≦Y≦1)から選択される半導体ナノ結晶又はその混晶を1層以上含むものであることを特徴とする請求項1に記載の量子ドット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の量子ドットが分散してなるものであることを特徴とする波長変換部材。
【請求項5】
請求項4に記載の波長変換部材と励起光源とを備えたバックライトユニットであって、
前記コアシェル型量子ドットにおける励起電子準位が、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの価電子帯の上端を基準とした前記励起光源からの光の励起エネルギーの範囲に1つであることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のバックライトユニットを備えた画像表示装置。
【請求項7】
コアシェル型の量子ドットの製造方法であって、
溶液中で第III-VI族半導体ナノ結晶コアを合成し、次いで、第I族前駆体が溶解した溶液を前記第III-VI族半導体ナノ結晶コアが分散した溶液に加えて第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアを作製するコア合成工程と、
前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの表面に半導体ナノ結晶シェルを形成するシェル合成工程を含み、
前記コア合成工程において、有効質量近似法により見積もられる束縛条件を満たす前記コアシェル型量子ドットにおける励起電子準位が、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの伝導帯の下端と前記半導体ナノ結晶シェルの伝導帯の下端との間に1つとなるように、前記第I-III-VI族半導体ナノ結晶コアの粒子径を調整することを特徴とする量子ドットの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット、波長変換部材、バックライトユニット、画像表示装置及び量子ドットの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
半導体ナノ粒子単結晶において、結晶のサイズが励起子のボーア半径以下になると強い量子閉じ込め効果が生じ、エネルギー準位が離散的になる。エネルギー準位は結晶のサイズに依存することになり、光吸収波長や発光波長は結晶サイズで調整が可能となる。また、半導体ナノ粒子単結晶の励起子再結合による発光が量子閉じ込め効果により高効率となり、またその発光は基本的に輝線であることから、大きさの揃った粒度分布が実現できれば、高輝度狭帯域な発光が可能となることから注目を集めている。このようなナノ粒子における強い量子閉じ込め効果による現象を量子サイズ効果と呼び、その性質を利用した半導体ナノ結晶を量子ドットとして広く応用展開に向けて検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-152904号公報
国際公開第2022/138905号
【非特許文献】
【0004】
Nozik et al., Highly efficient band-edge emission from InP quantum dots, Appl. Phys. Lett., 68, 3150(1996)
J. P. Park, J.-J. Lee, S.-W.Kim, Highly luminescent InP/GaP/ZnS QDs emitting in the entire colorrange via a heating up process, Sci. Rep. 6: 30094(2016)
Yang Li, Xiaoqi Hou, Xingliang Dai, Zhenlei Yao, Liulin Lv, Yizheng Jin,and Xiaogang Peng, Stoichiometry-controlled InP-based quantum dots: synthesis,photoluminescence, and electroluminescence, J.Am.Chem.Soc., 2019,141,6448-6452
Watcharaporn Hoisang, Taro Uematsu, Tsukasa Torimoto, and Susumu Kuwabata, Photoluminescence Stability Enhancement of AgInGaS/GaSx Core/Shell Quantum Dots with Thicker Shells by THE Addition of Gallium Diethyldithiocarbamate, Chem. Lett., 2021, 50, 1863-1866 | doi:10.1246/cl.210363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
量子ドットの応用として、ディスプレイ用蛍光体材料への利用が検討されてきている。狭帯域高効率な発光を実現できれば既存技術で再現できなかった色を表現できることになることから、次世代のディスプレイ材料として注目されてきている。最も発光特性の良い量子ドットとしてCdSeが検討されてきたが、その高い毒性により使用の制限があり、Cdフリーの材料を検討する必要があった。
【0006】
そこで、注目された材料がInPをコアとした量子ドットである。CdSeがMITのグループから報告された3年後の1996年には可視光の発光が確認され(非特許文献1)、その後、量子サイズ効果により、RGB(赤:λ=630nm 1.97eV、緑:λ=532nm、青:λ=465nm)をカバーできることが明らかとなり、精力的に検討がなされてきた。しかし、CdSeに比べてInPは光学特性が劣ることがわかっている。問題の一つがInP量子ドットの量子効率の改善である。基本的にナノサイズの半導体結晶粒子である量子ドットの表面は非常に活性であり、バンドギャップの小さいコアは非常に反応性が高くなっているため、CdSeやInPなどのコアだけでは結晶表面にダングリングボンド等の欠陥が生じやすい。そのため、コアよりもバンドギャップが大きく、格子ミスマッチの小さい半導体ナノ結晶をシェルとした、コアシェル型の半導体結晶粒子の製造がなされており、CdSe系の量子ドットでは100%に近い量子収率が得られている。一方でInPは、同様にシェルを覆うことで改善するが量子収率は60%~80%に留まっており、量子収率の改善が望まれている。また、CdSe系の量子ドットでは発光の半値幅(FWHM)が30nmを下回り、ディスプレイ用途で求められるシャープな発光特性を実現できているが、InPではFWHMが35nm以上と大きくなっており、量子収率の改善もさることながらFWHMの改善も望まれている。
【0007】
FWHMが大きくなってしまう原因として、InPはCdSeに比べて粒径変化に対するバンドギャップの変化が大きく、CdSeと同様な粒度分布であっても、そのFWHMは広くなってしまう。これは、量子サイズ効果を表す後述の式(1)からも明らかなように、有効質量の小さなInPはCdSeに比べて粒径に対するバンドギャップ変化が大きくなってしまうためである。
【0008】
そのため、有効質量が大きく、量子サイズ効果により緑色、赤色の発光が可能な材料が求められている。その有力な量子ドットにカルコパイライト型の半導体ナノ粒子がある。カルコパイライト構造はII-VI族半導体やIII-V族半導体におけるZnSやInPなどに見られる構造である閃亜鉛鉱型の結晶構造を二つ並べた構造をとる正方晶の結晶である。バンドギャップについても様々な組成の混晶や粒子径の結晶を作ることで0.26~3.5eVまでの幅広い発光波長の結晶を作ることができる。しかし、これまでカルコパイライト構造の量子ドットは欠陥発光によるブロードな発光が主であり、バンド端発光を示すものがなかった。
【0009】
最近、特許文献1に記載されているように、AgInGaS

量子ドットにおいてアモルファスGaSをシェルとすることでバンド端発光を示すカルコパイライト構造の量子ドットが得られている。この報告に端を発して特許文献2に記載されているように、量子収率も高いバンド端発光を示すAgGaSe

やAgGaInS

といったバンド端発光を示す量子ドットが開発され、CdやPbフリー量子ドットの有力な候補となっている。ただし、非特許文献4にあるように、カルコパイライト型の量子ドットにおいてシェル厚が薄いと安定性が低く、大気中で徐々に量子収率が低下することが示されている。一方、量子ドットの応用を考えると光安定性は重要な検討課題であるが、カルコパイライト型量子ドットの光安定性についてほとんど報告がない。実際にカルコパイライト型の量子ドットについて検討してみると、光安定性が低いことが分かっており、問題となっている。
【0010】
以上のように、カルコパイライト型半導体ナノ粒子をコアとして用いた量子ドットは光安定性が低いという問題があった。光安定性が低い原因として、励起電子の束縛準位の数が多く、励起後の緩和の際に複数の束縛状態が存在していることで安定性が下がってしまうことが考えられた。そこで、ナノ粒子の組成と粒径を制御する方法が重要となる。本発明は上記のような問題に鑑みてなされたもので光安定性が向上した量子ドット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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