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公開番号2025153016
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024055270
出願日2024-03-29
発明の名称ジオポリマー組成物、ジオポリマー硬化体およびジオポリマー硬化体の製造方法
出願人株式会社神戸製鋼所,清水建設株式会社,シーカ・ジャパン株式会社
代理人弁理士法人三協国際特許事務所
主分類C04B 28/26 20060101AFI20251002BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】本発明は、原料として未燃カーボンを多く含む石炭灰を用いる場合であっても、簡易な手法で良好な流動性を維持できるジオポリマー組成物を提供する。
【解決手段】ジオポリマー組成物は、活性フィラーと骨材とアクティベーターとポリアルキレングリコールモノフェニルエーテルを部分構造として有する重縮合物系分散剤と水分とを含むジオポリマー組成物であって、前記活性フィラーは、未処理の石炭灰および高炉スラグ微粉末を含み、前記石炭灰の強熱減量は3.0%以上であり、前記高炉スラグ微粉末の配合量は、前記石炭灰の配合量の2倍以上であり、前記ジオポリマー組成物のw/b(w/bは(前記水分の配合量(質量%))/(前記活性フィラーの合計の配合量(質量%))の百分率を表す)は、30以上37以下であり、かつ、前記活性フィラーの全質量に対するシリカフュームの配合量は、20質量%未満である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
活性フィラーと、骨材と、アクティベーターと、ポリアルキレングリコールモノフェニルエーテルを部分構造として有する重縮合物系分散剤と、水分とを含むジオポリマー組成物であって、
前記活性フィラーは、JIS A 6201:2015で規定されているコンクリート用フライアッシュの規格に適合するための処理を施していない石炭灰および高炉スラグ微粉末を含み、
前記石炭灰の強熱減量は、3.0%以上であり、
前記高炉スラグ微粉末の配合量は、前記石炭灰の配合量の2倍以上であり、
前記ジオポリマー組成物のw/b(w/bは(前記水分の配合量(質量%))/(前記活性フィラーの合計の配合量(質量%))の百分率を表す)は、30以上37以下であり、かつ、
前記活性フィラーの全質量に対するシリカフュームの配合量は、20質量%未満である、ジオポリマー組成物。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
前記石炭灰の強熱減量は、8%以上である、請求項1に記載のジオポリマー組成物。
【請求項3】
前記活性フィラーの全質量に対するシリカフュームの配合量は、15質量%以下である、請求項1に記載のジオポリマー組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のジオポリマー組成物が硬化してなる、ジオポリマー硬化体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のジオポリマー組成物を混練した後、養生することを含む、ジオポリマー硬化体の製造方法。
【請求項6】
前記養生が、大気養生および封緘養生のうちの1つ以上である、請求項5に記載のジオポリマー硬化体の製造方法。
【請求項7】
前記ジオポリマー硬化体は、モルタルまたはコンクリートである、請求項5に記載のジオポリマー硬化体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオポリマー組成物、ジオポリマー硬化体およびジオポリマー硬化体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
コンクリート、モルタル、人造石、建築用硬化部材等の硬化体は、一般的に、セメントを含んでいる。しかしながら、セメントは、焼成する際に多量のCO

を排出してしまう。そのため、セメントを使用せず、環境面から好適である、コンクリート、モルタル等の硬化体を製造する方法が注目されている。特に、ジオポリマー法を用いる硬化体の製造方法が盛んに研究されている。
【0003】
ジオポリマー法では、ケイ素やアルミニウムを主成分として含む粉体をバインダーとして用い、粉末同士を接合して、人工の岩石を製造する。ジオポリマー法により形成されるジオポリマー硬化体は、アルミノシリケート源としての活性フィラーとアクティベーターとしてのアルカリ水溶液とを用い、ジオポリマー反応を生じさせることによって製造される。活性フィラーとしては、例えば、石炭灰、カオリン、粘土等の天然物、シリカフューム、高炉スラグ等が利用できる。これらの活性フィラーのうち、産業廃棄物を効率的に再利用することができるとの観点から、ジオポリマー硬化体の製造には石炭灰が多く利用されている。
【0004】
一方、硬化体製品の製造現場または施工現場におけるジオポリマー組成物の取り扱い性の観点から、硬化前のジオポリマー組成物は、良好な流動性を有することが好ましい(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、石炭灰に含まれる未燃カーボンが、ジオポリマー組成物の流動性に悪影響を及ぼすことが知られている。具体的には、石炭灰中の未燃カーボンの含有量が多い程、ジオポリマー組成物の流動性を低下させることが知られている。そのため、例えば、特許文献2には、石炭灰(具体的にはフライアッシュ)の未燃カーボンの含有率を低下させる工程を含むジオポリマー組成物の製造方法が開示されている。具体的には、特許文献2には、未燃カーボンを含有する原料を水に分散させ、スラリー化した被処理液を浮遊選鉱し、未燃カーボンの含有率が2%以下のフライアッシュを生成するフライアッシュ生成工程と、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末およびアルカリシリカ溶液を含む原料を混練したジオポリマー混練物を生成する混練工程と、ジオポリマー混練物を硬化させる硬化工程とを含む、硬化前の流動性が高いジオポリマー組成物の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-26357号公報
特開2020-186143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献2に記載の方法によると、未燃カーボンの含有量が多い石炭灰を原料として用いてジオポリマー組成物を調製する際、未燃カーボンの含有量を低減させるための追加の工程が必要となる。従って、ジオポリマー組成物を用いた硬化体製品の製造コストおよび製造工程の煩雑性の観点から好ましくない。そのため、原料として使用される石炭灰中の未燃カーボンの含有量が多い場合であっても、追加の工程を必要とせず、硬化前に良好な流動性を有するジオポリマー組成物を得ることができれば好適である。
【0007】
例えば、石炭灰中の未燃カーボンによるジオポリマー組成物の流動性悪化の問題を解消するために、ジオポリマー組成物中に含まれる水分の配合量を増加させることによって、流動性を向上させるという対応策が考えられる。しかしながら、水分の配合量が多過ぎると、ジオポリマー組成物の硬化後の硬化体の強度が不足したり、またはブリーディング(材料分離)が発生する場合もある。従って、このような水分の配合量の調整のみによって、石炭灰中の未燃カーボンによるジオポリマー組成物の流動性悪化の問題を解消することは難しい。
【0008】
そこで、本発明は、原料として未燃カーボンを多く含む石炭灰を用いる場合であっても、簡易な手法で良好な流動性を維持できるジオポリマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の好適な態様を包含する。
【0010】
本発明の第1の態様に係るジオポリマー組成物は、活性フィラーと、骨材と、アクティベーターと、ポリアルキレングリコールモノフェニルエーテルを部分構造として有する重縮合物系分散剤と、水分とを含むジオポリマー組成物であって、
前記活性フィラーは、JIS A 6201:2015で規定されているコンクリート用フライアッシュの規格に適合するための処理を施していない石炭灰および高炉スラグ微粉末を含み、
前記石炭灰の強熱減量は、3.0%以上であり、
前記高炉スラグ微粉末の配合量は、前記石炭灰の配合量の2倍以上であり、
前記ジオポリマー組成物のw/b(w/bは(前記水分の配合量(質量%))/(前記活性フィラーの合計の配合量(質量%))の百分率を表す)は、30以上37以下であり、かつ、
前記活性フィラーの全質量に対するシリカフュームの配合量は、20質量%未満である。
(【0011】以降は省略されています)

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