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公開番号2025152468
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024054376
出願日2024-03-28
発明の名称熱可塑性樹脂組成物の製造方法
出願人トヨタ紡織株式会社,国立大学法人京都大学
代理人個人,個人,個人
主分類C08L 23/00 20060101AFI20251002BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】従来とは異なる方法によって、水系分散体内に含まれたセルロース質繊維を樹脂配合することができる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本方法による熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を連続相として、前記連続相内に分散された繊維状複合体を備え、前記繊維状複合体は、セルロース質繊維と、酸変性基を有する共重合体と、が結合されてなり、前記酸変性基は、無水カルボキシ基、及び/又は、無水カルボキシ基に由来するカルボキシ基であり、前記セルロース質繊維と前記共重合体とは、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えるヒドロキシ基と、前記酸変性基と、のエステル結合によって結合されている。この熱可塑性樹脂組成物は、前記ポリオレフィン系樹脂と、前記セルロース質繊維が含まれた水系分散体と、前記共重合体と、を共存させたうえで、これらを混錬する混錬工程を備えて得る。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を連続相として、前記連続相内に分散された繊維状複合体を備える熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
前記繊維状複合体は、セルロース質繊維と、酸変性基を有する共重合体と、が結合されてなり、
前記酸変性基は、無水カルボキシ基、及び/又は、無水カルボキシ基に由来するカルボキシ基であり、
前記セルロース質繊維と前記共重合体とは、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えるヒドロキシ基と、前記酸変性基と、のエステル結合によって結合されており、
前記ポリオレフィン系樹脂と、前記セルロース質繊維が含まれた水系分散体と、前記共重合体と、を共存させたうえで、これらを混錬する混錬工程を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記混錬は、100℃以上で行う請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記混錬工程前に、前記共重合体を100℃以上で混錬する予備混錬工程を備える請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記予備混錬工程と、前記混錬工程と、を同じ混錬機内で連続して行う請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、又は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体を骨格とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記共重合体は、炭素数が2以上異なる少なくとも2種のモノマーに由来する構成単位を有する請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
前記酸変性基は、5つ以上である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、セルロース質繊維を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、セルロース繊維は、水系用途において、増粘剤等の粘弾性制御の利用は実用されている。一方で、複合材料用途において、例えば、セルロース繊維は樹脂に対する優れた補強材であることが実証されて時間が経過しているが、依然として実用には至っていないという実情がある。複合材料用途におけるセルロース繊維の有用性を示唆するものとして、下記特許文献1~3の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-148629号公報
特開2016-176052号公報
特開2019-189792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルロース繊維は一般に水分散状態で扱われるが、その固形分濃度を60質量%以上に高めることが困難な状況がある。この固形分濃度は、水分散体に含まれるセルロース繊維の解繊度が高まるほどに低くなり、一般にナノセルロースと称される製品になると固形分濃度は15質量%に至らないものとなる。即ち、目的成分よりも圧倒的に多くの水と共存させて扱われているのが実際である。これは、多糖類からなるセルロースが、糖鎖由来のヒドロキシ基を多く有するため、強い親水性を呈するからであるとされている。例えば、上述の通り、樹脂配合しようにも目的成分よりも多くの水が共存しては配合自体が困難であり、仮に配合できたとしても、水分除去に多大なエネルギーコストを要することになる。一方で、セルロース繊維は、水分散体から水を除去しようとすると、除去量の増大にともない、次第にセルロース同士が水素結合により強く凝集・固化するという性質を有する。この性質は、紙の作製においては極めて有効に利用されているものの、水の不存在下では分散状態を形成できないことになる。従って、セルロース繊維を非親水性環境下において分散できず、樹脂内にもセルロース繊維を分散させることができないという問題が存在する。このようにセルロース繊維は、水と共存させて扱う必要があり、分散媒を除去しようとすると凝集してしまうという扱い難さに起因して、実用が妨げられている用途・用法が多く存在している。
【0005】
この点、上記特許文献1には、新規な変性ナノセルロース及びこれを含む樹脂組成物の提供を目的として([0011])、ナノセルロースを構成するセルロース中の水酸基の一部を、脂環式炭化水素基を備えたアルカノイル基で化学修飾する技術([請求項1]等)が開示されている。
上記特許文献2には、分散性良好な繊維が好適に複合化された繊維強化樹脂組成物、その製造方法の提供を目的として([0007])、(A)化学修飾セルロースナノファイバー及び(B)熱可塑性樹脂を含有し、(B)のSP値に対する(A)のSP値の比率Rが0.87~1.88であり、(A)の結晶化度が42.7%以上である繊維強化樹脂組成物([請求項1]等)が開示されている。この開示は、アセチル基等のアルカノイル基の導入(即ち水酸基が化学修飾されている)により、セルロース分子の水酸基が封鎖され、セルロース分子の水素結合力を抑制できることに言及([0012])している。
上記特許文献3には、乾燥粉末状態で熱可塑性樹脂と混練することができ、熱可塑性樹脂に対する相溶性、分散性が良好な変性セルロースナノファイバーを提供することを目的として([0009])、セルロースナノファイバーと、そのセルロース分子と結合しているポリカルボン酸と、そのポリカルボン酸のカルボキシ基のうちセルロース分子と結合しているカルボキシ基以外のカルボキシ基とキレート結合している炭素数8~24の脂肪酸多価金属塩と、を有する、変性セルロースナノファイバー([請求項1]等)が開示されている。
【0006】
上記特許文献1~3の技術は、いずれも、糖鎖由来のヒドロキシ基を化学修飾することによって、上記問題を解消する技術である。これらの技術により、セルロース繊維を非水系で扱うことが可能となり、前述した樹脂配合における問題を解決できることになる。
しかしながら、例えば、特許文献1では、特殊な脂環式化合物を化学修飾因子として利用する必要がある点が懸念され、特許文献2では、固形分5gの植物繊維に対して有機溶媒計750mL(特許文献1[0445])の量で利用する必要があるという製造時の有機溶媒量の多さが懸念される。更に、特許文献3の技術は、金属塩を介したキレート結合であることから、共有結合による化学修飾に比べて不安定さを擁し、当該変性セルロースを用いて得られる製品の長期安定性、耐加水分解性、金属イオンに起因した耐触媒分解性等が懸念される。
【0007】
上記特許文献1~3の技術は、いずれも、糖鎖由来のヒドロキシ基を化学修飾することによって、上記問題を解消する技術である。これらの技術により、セルロース繊維を非水系で扱うことが可能となり、前述した樹脂配合における問題を解決できることになる。
このように、セルロース繊維を非水系で扱うことを可能にするという観点からは、様々な手法が現在検討されているものの、どのような技術において、どの解決手段が適切であり、実用可能であるのかは依然として不明な状態が続いており、将来に向けてより多くの選択肢を得るという観点から、より多くの異なる選択肢が求められている実情がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来とは異なる方法によって、水系分散体内に含まれたセルロース質繊維を樹脂配合することができる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明には以下が含まれる。
[1]ポリオレフィン系樹脂を連続相として、前記連続相内に分散された繊維状複合体を備える熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
前記繊維状複合体は、セルロース質繊維と、酸変性基を有する共重合体と、が結合されてなり、
前記酸変性基は、無水カルボキシ基、及び/又は、無水カルボキシ基に由来するカルボキシ基であり、
前記セルロース質繊維と前記共重合体とは、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えるヒドロキシ基と、前記酸変性基と、のエステル結合によって結合されており、
前記ポリオレフィン系樹脂と、前記セルロース質繊維が含まれた水系分散体と、前記共重合体と、を共存させたうえで、これらを混錬する混錬工程を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[2]前記混錬は、100℃以上で行う上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[3]前記混錬工程前に、前記共重合体を100℃以上で混錬する予備混錬工程を備える上記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[4]前記予備混錬工程と、前記混錬工程と、を同じ混錬機内で連続して行う上記[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[5]前記共重合体は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、又は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体を骨格とする上記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[6]前記共重合体は、炭素数が2以上異なる少なくとも2種のモノマーに由来する構成単位を有する上記[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[7]前記酸変性基は、5つ以上である上記[1]乃至[6]のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、従来とは異なる方法によって、水系分散体内に含まれたセルロース質繊維を樹脂配合することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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