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公開番号2025151356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024052734
出願日2024-03-28
発明の名称強誘電体及び強誘電体キャパシタ
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人個人
主分類C23C 14/08 20060101AFI20251002BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】本発明は、HfO2を母材としつつ、分極特性が安定化された強誘電体及び当該強誘電体を用いた強誘電体キャパシタを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の強誘電体は、HfO2母材に、平均価数が3.98+~4.02+となるように価数が3+のイオンを形成する第一元素と、価数が5+のイオンを形成する第二元素が共添加されることを特徴とする。また、本発明の強誘電体キャパシタは、当該強誘電体を含んで形成される強誘電体層が、上部電極と下部電極との間に配されることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
HfO

母材を構成する結晶格子の一部が、価数が3

のイオンを形成する第一元素と、価数が5

のイオンを形成する第二元素とで置換され、
前記第一元素及び前記第二元素のイオンの価数を前記第一元素及び前記第二元素の組成比に応じて平均化した平均価数が3.98

~4.02

とされることを特徴とする強誘電体。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
平均価数が4.0

~4.02

とされる請求項1に記載の強誘電体。
【請求項3】
電界印加に伴う書き換え回数が1回目の残留分極をPr

とし、前記書き換え回数が10

回目の前記残留分極をPr

とし、前記書き換え回数が10
10
回目の残留分極をPr

としたとき、下記の式(1)及び式(2)を満足する請求項1又は2に記載の強誘電体。
0.95≦Pr

/Pr

≦1.05 (1)
0.95≦Pr

/Pr

≦1.05 (2)
【請求項4】
第一元素が、Y、La、Pr及びNdの群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の強誘電体。
【請求項5】
第二元素が、Nb及びTaの群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の強誘電体。
【請求項6】
第一元素がYであり、第二元素がNbである請求項1又は2に記載の強誘電体。
【請求項7】
下記化学式(1)で表される化合物を含む請求項6に記載の強誘電体。


Nb

Hf
1-2x


(1)
ただし、前記化学式(1)中、xは、0.02~0.10の数値を示す。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の強誘電体を含んで形成される強誘電体層が、上部電極と下部電極との間に配されることを特徴とする強誘電体キャパシタ。
【請求項9】
強誘電体層の厚みが10nm未満である請求項8に記載の強誘電体キャパシタ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ハフニウム酸化物(HfO

)を母材とし、強誘電体を有して構成される半導体デバイスに好適に適用可能な強誘電体及び強誘電体キャパシタに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
Pb(Zr,Ti)O

(PZT)やSrBi

Ta



(SBT)といった既存のペロブスカイト系強誘電体に続く、新たな強誘電体材料としてHfO

系強誘電体が注目されている。前記HfO

系強誘電体の強誘電性は、2011年に初めて報告され、HfO

にY,La,Al,Zr等がドープされたものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
前記HfO

系強誘電体は、半導体デバイスの製造プロセスとの親和性に富み、また、薄膜化しても強誘電性が劣化しない特性を有することから、強誘電体ゲート電界効果型トランジスタ(FeFET)や強誘電体メモリ(FeRAM)等の強誘電体を用いた半導体デバイスへの応用が強く期待される。
【0003】
しかしながら、前記HfO

系強誘電体に対しては、前記ペロブスカイト系強誘電体と異なり、ウェイクアップ(Wake-up)及び分極疲労(Fatigue)といった分極特性の劣化が生じることが報告されている(非特許文献2参照)。前記ウェイクアップや前記分極疲労は、書き換え処理の経過とともに自発分極が大きく変化し、分極特性が不安定であることを意味する。
つまり、現状の前記HfO

系強誘電体においては、前記ペロブスカイト系強誘電体に近しい分極特性が得られない問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
T. S. Boscke, et. al., APL 99, 102903 (2011)
A. G. Chernikova, et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 10, 2701-2708 (2018)
舟窪浩ら、応用物理 第87巻 第12号(2018)
鳥海明、応用物理 第88巻 第9号(2019)
M. Hoffman, et. al., JAP 118, 072006 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、HfO

を母材としつつ、分極特性が安定化された強誘電体及び当該強誘電体を用いた強誘電体キャパシタを提供することを課題とする。
【0006】
前記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ね、次の知見を得た。
【0007】
前記HfO

系強誘電体の強誘電性は、中心対称を持たない直方晶(空間群:Pca2

)の結晶構造に由来することが報告されている(非特許文献3,4参照)。また、結晶中の酸素空孔が増えると、前記直方晶が安定化されることが報告されている(非特許文献5参照)。つまり、前記HfO

系強誘電体においては、前記酸素空孔の存在が前記直方晶の安定化に重要な役割を果たしていると考えられる。
【0008】
一方、前記ウェイクアップや前記分極疲労の問題は、電界印加の操作を通じて実施される書き換え処理の実施回数に応じて、結晶中における前記酸素空孔の配置が変化することに由来すると考えられる。つまり、前記酸素空孔は、前記HfO

系強誘電体における強誘電性の起源であると同時に、前記ウェイクアップや前記分極疲労の問題を引き起こす原因にもなるジレンマを与えていると考えられる。
【0009】
今、前記HfO

系強誘電体における前記直方晶の安定化は、前記酸素空孔自身ではなく、前記酸素空孔が引き起こす結晶歪みによりもたらされると仮定してみる。この結晶歪み自身が前記直方晶を安定化させる鍵であるならば、前記酸素空孔によらずとも、前記結晶歪みのみによって前記直方晶が安定化されるはずである。
【0010】
こうした仮定のもと、本発明者らは、前記酸素空孔によらない前記結晶歪みを与える目的で、価数の異なる2つのタイプの元素をHfO

母材中に共添加することを検討した。
即ち、本発明者らは、前記HfO

母材中に共添加される前記2つのタイプの元素同士が異なる価数を持つことで、結晶中に局所的な不均一性が生じ、前記酸素空孔によらない前記結晶歪みが与えられるのではないか、と考えた。また、共添加される前記2つのタイプの元素におけるイオンの平均価数が前記HfO

母材中のHf
4+
と同等の4

程度であるならば、電荷平衡が保たれたまま前記2つのタイプの元素の原子が一部のHf原子(Hf
4+
)と置換されることで、前記HfO

母材における前記直方晶の結晶構造が維持され、延いては、前記酸素空孔の存在なしに、安定化された前記直方晶が得られるのではないか、と考えた。
(【0011】以降は省略されています)

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