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公開番号2025147875
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-07
出願番号2024048362
出願日2024-03-25
発明の名称表面被覆切削工具
出願人三菱マテリアル株式会社
代理人個人
主分類B23B 27/14 20060101AFI20250930BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】基体と被覆層との密着性が向上し、耐摩耗性が高い表面被覆切削工具の提供
【解決手段】被覆層は、下部層と上部層を有し、
下部層は、平均厚さが0.2~1.0μmのTiCN層であって、基体から上部層との界面に向かって0.1μmまでにおいて([N]/([C]+[N])×100)が、20~700原子%/μmの勾配で増加しており、
上部層は、平均厚さが3.0~20.0μmであって、格子点にTi、炭素、および窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方構造の結晶粒を含むTiCN層であり、
被覆層のすくい面の縦断面において、上部層の結晶粒結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、構成原子共有格子点分布グラフに整理したとき、Σ3に最高ピークが存在し、かつΣ3の分布割合が単位形態全体の合計分布割合の65~95%を占める表面被覆切削工具
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基体と該基体の表面に被覆層を有する表面被覆切削工具であって、
1)前記基体はCとCoを含み、
2)前記被覆層は、下部層と上部層を有し、
前記下部層は、平均厚さが0.2~1.0μmのTiCN層であって、前記基体から前記上部層との界面に向かって0.1μmまでの範囲において窒素濃度([N]/([C]+[N])×100)が、20~700原子%/μmの勾配で増加しており、
前記上部層は、平均厚さが3.0~20.0μmであって、格子点にTi、炭素、および窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方構造の結晶粒を含むTiCN層であり、
3)前記被覆層のすくい面の縦断面において、前記上部層の結晶粒のそれぞれに電子線を照射し、電子後方散乱回折像装置を用いて、0.1μm/stepの間隔で、前記基体の表面の法線に対する、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、
この傾斜角に基づいて、相互に隣接する前記結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒の相互間で1の構成原子を共有する構成原子共有格子点の分布を算出するとともに、前記構成原子共有格子点間に存在する前記構成原子を共有しない格子点の数:N(NはNaCl型面心立方構造であるため2以上の偶数となるが、分布頻度の点からN=28を上限とする)毎に定めたΣN+1で表される単位形態のそれぞれの分布割合を算出し、
Σ3~Σ29のそれぞれの単位形態の分布割合を、前記Σ3~Σ29の単位形態全体の合計分布割合に占める割合で示す構成原子共有格子点分布グラフに整理したとき、
Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3の分布割合が前記単位形態全体の合計分布割合の65~95%を占める
ことを特徴とする表面被覆切削工具。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
前記TiCN層の上部に、第1表面層としてTiCO層、TiCNO層、TiN層から選択される1層以上を有することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
【請求項3】
前記第1表面層の上部に、第2表面層としてα型またはκ型の結晶構造を有するAl



層、またはAlTiN層を、さらにこのα型またはκ型の結晶構造を有するAl



層、またはAlTiN層上部に、TiN層、TiCNO層、AlN層から選択される1層以上を有することを特徴とする請求項2に記載の表面被覆切削工具。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、表面被覆切削工具(以下、被覆工具ということがある)に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
切削工具の切削性能の改善を目的として、従来、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金等の基体の表面に、被覆層を蒸着法により被覆形成した被覆工具があり、これは、優れた耐摩耗性を発揮することが知られている。
前記従来の被覆層を被覆形成した被覆工具は、耐摩耗性に優れものであるが、さらなる被覆層の改善について、例えば、基体と被覆層との密着性を向上させる提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基体表面部にWとCoとの複合炭化物を主成分とする、厚みが0.005~0.1μmの表面層を有する被覆工具が記載され、該被覆工具は基体と被覆層との密着性が向上しているとされている。
【0004】
また、特許文献2には、基体に接するTiN層がTiNとCを含み、前記Cが前記基体から被覆層の表面に向かって減少する濃度分布を有し、前記Cの最大濃度と最小濃度の差が10原子%以上である被覆工具が記載され、該被覆工具は基体と被覆層との密着性が向上しているとされている。
【0005】
さらに、特許文献3には、基体の切れ刃近傍において、基体表面から垂直方向にTi化合物層中の窒素濃度を測定した場合、基体表面からTi化合物層側へ0.20μm以内の範囲において、基体からの距離が離れるにしたがい、Ti化合物層中の窒素濃度が漸次増加しており、窒素濃度の平均濃度勾配が、20~300原子%/μmである被覆工具が記載され、該被覆工具は基体と被覆層との界面における付着強度が向上しているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5109199号公報
特許第6041160号公報
特許第6677876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記事情や提案を鑑みてなされたものであって、基体と被覆層との密着性が向上し、被覆層の耐摩耗性が高い表面被覆切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具は、
基体と該基体の表面に被覆層を有し、
1)前記基体はCとCoを含み、
2)前記被覆層は、下部層と上部層を有し、
前記下部層は、平均厚さが0.2~1.0μmのTiCN層であって、前記基体から前記上部層との界面に向かって0.1μmまでの範囲において窒素濃度([N]/([C]+[N])×100)が、20~700原子%/μmの勾配で増加しており、
前記上部層は、平均厚さが3.0~20.0μmであって、格子点にTi、炭素、および窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方構造の結晶粒を含むTiCN層であり、
3)前記被覆層のすくい面の縦断面において、前記上部層の結晶粒のそれぞれに電子線を照射し、電子後方散乱回折像装置を用いて、0.1μm/stepの間隔で、前記基体の表面の法線に対する、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、
この傾斜角に基づいて、相互に隣接する前記結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒の相互間で1の構成原子を共有する構成原子共有格子点の分布を算出するとともに、前記構成原子共有格子点間に存在する前記構成原子を共有しない格子点の数:N(NはNaCl型面心立方構造であるため2以上の偶数となるが、分布頻度の点からN=28を上限とする)毎に定めたΣN+1で表される単位形態のそれぞれの分布割合を算出し、
Σ3~Σ29のそれぞれの単位形態の分布割合を、前記Σ3~Σ29の単位形態全体の合計分布割合に占める割合で示す構成原子共有格子点分布グラフに整理したとき、
Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3の分布割合が前記単位形態全体の合計分布割合の65~95%を占める。
【0009】
さらに、前記実施形態に係る表面被覆切削工具は、次の(1)または(1)かつ(2)を満足してもよい。
【0010】
(1)前記TiCN層の上部に、第1表面層としてTiCO層、TiCNO層、TiN層から選択される1層以上を有すること。
(2)前記第1表面相の上部に、第2表面層としてα型またはκ型の結晶構造を有するAl



層、またはAlTiN層を、さらにこのα型またはκ型の結晶構造を有するAl



層、またはAlTiN層上部に、TiN層、TiCNO層、AlN層から選択される1層以上を有すること。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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