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公開番号
2025143346
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-01
出願番号
2025110129,2021548944
出願日
2025-06-30,2020-09-23
発明の名称
マイクロ粒子
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
47/06 20060101AFI20250924BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】人工酸素運搬体として利用し得る、フルオロカーボンベースのコアシェル型マイクロ粒子を提供する。
【解決手段】ヤング率が100MPa以下であるポリマーを含むシェルと、 フルオロカーボンを含むコアと、を含む、コアシェル型のマイクロ粒子。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ヤング率が100MPa以下であるポリマーを含むシェルと、フルオロカーボンを含むコアと、を含む、コアシェル型のマイクロ粒子。
続きを表示(約 700 文字)
【請求項2】
コアシェル型のマイクロ粒子であって、ポリマーを含むシェルと、フルオロカーボンを含むコアと、フルオロカーボンを含むコアと、を含み、前記マイクロ粒子のヤング率が500kPa以下である、粒子。
【請求項3】
前記マイクロ粒子のサイズは、1~20μmの範囲である、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
前記マイクロ粒子のサイズは、1~10μmの範囲である、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記フルオロカーボンの分子量は、100~2,000g/molの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
前記フルオロカーボンの含有量が、前記マイクロ粒子中、30重量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
前記シェルの厚みは、0.1~4μmの範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
前記ポリマーはエラストマーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記ポリマーは、ポリラクチドおよび/またはポリグリコリドとポリカプロラクタンとのコポリマー、ポリラクチドおよび/またはポリグリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーから選択される少なくとも一種を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
前記コアは、前記フルオロカーボンに溶解した気体を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は人工酸素運搬体として利用可能なマイクロ粒子に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
輸血用の赤血球の酸素運搬能の人工的代替を目的として、多くの酸素運搬体が開発されてきた。人工酸素運搬体は大別して、ヘモグロビンを用いたタイプと、PFC(パーフルオロカーボン)を用いた酸素運搬体に分類される。
ヘモグロビンは一つの分子に4つのサブユニットを持ち、各サブユニットにあるヘム鉄を酸素分子とグロビンタンパク質のイミダゾール基を配位することで、酸素を運搬することができる。ヘモグロビンベースの酸素運搬体として、ヘモグロビンをグルタルアルデヒドで架橋したポリマーからなる酸素運搬体やヘモグロビンを封入したリポソーム型の酸素運搬体などが開発されている。これらのヘモグロビンベースの酸素運搬体は高い酸素運搬能力を有する一方で、メトヘモグロビン化(MetHb化)による酸素運搬能の低下や感染のリスクの問題が課題として挙げられている。
PFCは、酸素や二酸化炭素などの気体の溶解能が高く、化学的にも生物学的にも不活性な化合物であることから、酸素運搬体として使用可能である。PFCベースの酸素運搬体は、酸素の運搬能の面ではヘモグロビン型と比較して劣るものの、滅菌性、保存安定性、および/または原料供給面において利点を有しており、実用化に向けて精力的に研究開発が行われている。
【0003】
近年では、再生医療・組織工学分野においても赤血球に代わる人工酸素運搬体の活用が期待されている。例えば、昨今、再生医療・組織工学の進歩に伴い、3次元的な大型の組織の再生が試みられている。3次元組織の再生においては、酸素供給は拡散のみに頼ることはできない。特に、酸素の溶解度は培地中では低く、成長する組織への酸素の拡散が不充分となり、これにより低酸素症による細胞死を引き起こし得る。したがって、人体のように血管網を具備した組織再生、そして再生過程においても、培地灌流が必須であり、組織工学の3要素である「細胞」「足場材料」「液性因子」のうち、血管網を具備した足場材料の開発とともに、新たな要素として足場材料の流路中を流通させる人工酸素運搬体の開発研究が期待されている。
【0004】
従来開発されてきた酸素運搬体の多くはDDS製剤と同程度の200nm前後のサイズを有している。このようなナノスケールサイズの酸素運搬体は、体内に投与されても凝集・血管塞栓の恐れがなく、血液循環の面でも安全であるためである。
一方で、天然の血小板(2μm程度)や赤血球(8μm程度)はマイクロメートルオーダーのサイズを有している。このようなマイクロサイズの微粒子は、エンドサイトーシスまたは食作用による細胞取り込みを回避できることから、マイクロサイズの酸素運搬体の開発も試みられており、最近では、マイクロサイズの酸素運搬体の開発例が報告されている(例えば、非特許文献1:Xiong, Yu et al., Biomocromolecules (13) 3292-3300, 2012、非特許文献2:Xiong, Yu et al., ACS NANO (7) 7454-7461, 2013など)。また、マイクロサイズの酸素運搬体は、毛細血管などの微細流路を通過可能とするために変形性を有することが好ましい。変形可能性を有する酸素運搬体の検討も行われており、例えば、Chenらは、赤血球のサイズでは直径8μmの円盤形状を模倣し、ヘモグロビンゲルを固定した直径6μmの円盤状の柔らかいゲル粒子を作製した(非特許文献3:Chen, K et al., Biomocromolecules (13)2748-2759, 2012)。当該ゲル粒子は円盤形状による折れ曲がりで、毛細血管が通過可能であるとしている。しかし、これらのマイクロサイズの酸素運搬体はいずれもヘモグロビンベースのものであり、メトヘモグロビン化(MetHb化)や感染などによってヘモグロビンの失活が生じやすい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Xiong, Yu et al., Biomocromolecules (13) 3292-3300, 2012
Xiong, Yu et al., ACS NANO (7) 7454-7461, 2013
Chen, K et al., Biomocromolecules (13)2748-2759, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況の下、新規なフルオロカーボンベースのコアシェル型マイクロ粒子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば次の通りである。
[1] ヤング率が100MPa以下であるポリマーを含むシェルと、フルオロカーボンを含むコアと、を含む、コアシェル型のマイクロ粒子。
[1a] 前記ポリマーのヤング率が0.5~100MPaである、[1]に記載の粒子。
[1b] 前記マイクロ粒子のヤング率が500kPa以下である、[1]または[1a]に記載の粒子。
[2] コアシェル型のマイクロ粒子であって、ポリマーを含むシェルと、フルオロカーボンを含むコアと、を含み、前記マイクロ粒子のヤング率が500kPa以下である、粒子。
[2a]前記ポリマーのヤング率が100MPa以下である、[2]に記載の粒子。
[2b] 前記ポリマーのヤング率が0.5~100MPaである、[2]または[2a]に記載の粒子。
[3] 前記マイクロ粒子のサイズは、1~20μmの範囲である、[1]~[2]、[1a]~[1b]および[2a]~[2b]のいずれかに記載の粒子。
[4] 前記マイクロ粒子のサイズは、1~10μmの範囲である、[3]に記載の粒子。
[5] 前記フルオロカーボンの分子量は、100~2,000g/molの範囲である、[1]~[4]、[1a]~[1b]および[2a]~[2b]のいずれかに記載の粒子。
[5a] 前記フルオロカーボンは、常温常圧で液体またはゲル状である、[1]~[5]、[1a]~[1b]および[2a]~[2b]のいずれかに記載の粒子。
【0008】
[6] 前記フルオロカーボンの含有量が、前記マイクロ粒子中、30重量%以上である、[1]~[5]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]および[5a]のいずれかに記載の粒子。
[7] 前記シェルの厚みは、0.1~4μmの範囲である、[1]~[6]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、および[5a]のいずれかに記載の粒子。
[8] 前記ポリマーはエラストマーである、[1]~[7]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、および[5a]のいずれかに記載の粒子。
[9] 前記ポリマーは、ポリラクチドおよび/またはポリグリコリドとポリカプロラクタンとのコポリマー、ポリラクチドおよび/またはポリグリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーから選択される少なくとも一種を含む、[1]~[8]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、および[5a]のいずれかに記載の粒子。
[10] 前記コアは、前記フルオロカーボンに溶解した気体を含む、[1]~[8]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]および[5a]のいずれかに記載の粒子。
[10a] 前記気体は酸素を含む、[9]に記載の粒子。
【0009】
[11] 前記フルオロカーボンは、沸点が35℃以上(好ましくは50℃以上、より好ましくは120℃以上)である、[1]~[10]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]、および[10a]のいずれかに記載の粒子。
[12] 前記コアは、酸素溶解度が30vol/vol%以上のフルオロカーボンを含む、[1]~[11]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]および[10a]のいずれかに記載の粒子。
[13] 前記フルオロカーボンは、ビス(フルオロアルキル)エテン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、環状パーフルオロカーボン、パーフルオロアミン、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)、臭素化パーフルオロカーボン、ヨウ化パーフルオロカーボン、塩化パーフルオロカーボン、およびパーフルオロアルキルエーテルまたはポリエーテルからなる群から選択される少なくとも一種を含む、[1]~[12]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]および[10a]のいずれかに記載の粒子。
[14] 前記粒子は、変形可能である、[1]~[13]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]および[10a]のいずれかに記載の粒子。
[15] 前記粒子は、異方性を有する形状である、[1]~[14]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]および[10a]のいずれかに記載の粒子。
[15a] 前記粒子は、くぼみを有する形状である、[1]~[15]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]および[10a]のいずれかに記載の粒子。
【0010】
[16] 前記マイクロ粒子のCV値が40%以下である、[1]~[15]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]、[5b]、[10a]および[15a]のいずれかに記載の粒子。
[16a] 前記粒子は、生分解性である、[1]~[16]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]、[10a]および[15a]のいずれかに記載の粒子。
[17] [1]~[16]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]、[10a]、[15a]および[16a]のいずれかに記載の粒子を水性媒体中に含む、分散液。
[18] 酸素輸液、移植器官潅流液、移植器官保存液、再生医療用酸素供給液、またはバイオ医薬品を製造する動物細胞もしくは微生物の培養液として用いられる、[17]に記載の分散液。
[19] [1]~[16]、[1a]~[1b]、[2a]~[2b]、[5a]、[10a]、[15a]および[16a]のいずれかに記載の粒子の製造方法であって、
フルオロカーボンとヤング率が100MPa以下であるポリマーとを有機溶媒中に分散させた分散相を、均一な細孔径を有する多孔質膜を介して、界面活性剤を含む連続相中に、膜乳化させてエマルションを得ること、および
前記ポリマーを含むシェルと前記フルオロカーボンを含むコアとを含むコアシェル型のマイクロ粒子を形成させること、
を含む、方法。
[20] 前記コアシェル型のマイクロ粒子の形成が、エマルションに含まれる有機溶媒相を除去することにより、行われる、[19]に記載の方法。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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