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公開番号2025137157
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2024036206
出願日2024-03-08
発明の名称構造体及び腫瘍組織の移植方法
出願人ジェリクル株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 11/04 20060101AFI20250911BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】腫瘍組織の生着に有効な構造体を提供する。
【解決手段】ハイドロゲルと、前記ハイドロゲルで覆われた腫瘍組織とを含み、前記ハイドロゲルが、ポリエーテルで架橋されたゼラチンから構成されている、構造体である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ハイドロゲルと、前記ハイドロゲルで覆われた腫瘍組織とを含み、前記ハイドロゲルが、ポリエーテルで架橋されたゼラチンから構成されている、構造体。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記ハイドロゲルが、前記腫瘍組織中のタンパク質と化学結合を形成している、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記ポリエーテルが、ポリアルキレンングリコール骨格を有するポリマーである、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記ポリエーテルが、2分岐、3分岐、4分岐又は8分岐のポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記ポリエーテルが、側鎖又は末端に合計1以上の求電子性官能基を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記求電子性官能基が、N-ヒドロキシスクシンイミジル基、マレイミド基、及びスルホスクシンイミジル基よりなる群から選択される、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記腫瘍組織が、膀胱癌組織を含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
腫瘍組織の移植に用いるための足場材料であって、ポリエーテルで架橋されたゼラチンから構成されているハイドロゲルを含む、足場材料。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の構造体を用いて前記ハイドロゲルで覆われた腫瘍組織を被検体に移植することを含む、腫瘍組織の移植方法。
【請求項10】
移植された前記腫瘍組織の周囲における血管形成を促進することを含む、請求項9に記載の移植方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍組織をハイドロゲルで覆った構造体、並びに当該構造体を用いた腫瘍組織の移植方法及び当該構造体に適した足場材料に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、抗がん剤の創製では、臨床試験に進む前の段階で、患者から樹立したがん細胞株を用いたin vitroスクリーニング試験や、がん細胞株を皮下移植したげっ歯類を用いたin vivo試験が行われてきた。しかし、臨床試験に進む前の段階で有効性が示された薬剤候補であっても、実際にヒトに使用した場合に十分な有効性を示さないことも多い。その原因の一つに、がん細胞株が樹立時に人工的な環境に適応し、栄養豊富な培地で継代を繰り返すことで本来の性質を失ってしまうことがあると考えられている。この問題を解決するため、近年、腫瘍本来の性質を再現する実験モデルとして、患者由来異種移植(PDX:patient-derived xenograft)モデルへの関心が高まっている(非特許文献1)。このPDXモデルは、患者由来の腫瘍組織の一部をマウスに移植することで作製されるモデルであり、臨床試験における薬剤の有効性を正確に予測することを可能にするツールとなることが期待されている。
【0003】
しかし、腫瘍組織そのままではげっ歯類等のモデル動物への生着率が必ずしも高くないことから、腫瘍組織の生着を助ける足場が使用されている。中でもマトリゲル基底膜マトリックス(以下、単に「マトリゲル」ともいう。)が広く使用されている(非特許文献2)。「マトリゲル(登録商標)」は、BD Biosciences社等から販売されている商品であり、細胞外マトリックスタンパク質が豊富な腫瘍であるEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫から抽出された可溶化基底膜調製品であり、ラミニン(主成分)、コラーゲンIV、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン/ナイトゲン等が含まれる。
【0004】
しかし、マトリゲルは、生着を助ける足場としての有効性が癌の種類によってばらつきがあり、例えば膀胱癌に関する研究においてはむしろ悪影響を与える可能性があることすら示唆されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Eugenia R. Zenella et al., Nature Reviews Clinical Oncology 2022 Nov.; 19(11): 719-732. doi: 10.1038/s41571-022-00682-6
John W. Cassidy et al., Cancer Research 2015 Aug 1; 75(15): 2963-2968. doi: 10.1158/0008-5472.CAN-15-0727
Yuki Kita et al., Blader Cancer, vol. 6, no. 2, pp. 131-141, 2020. doi: 10.3233/BLC-200281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、腫瘍組織の生着に有効な構造体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、当該構造体を用いた腫瘍組織の移植方法及び当該構造体に適した足場材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、腫瘍組織の生着を助ける足場として、ポリエーテルで架橋されたゼラチンから構成されているハイドロゲルが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
従って、本発明の構造体は、ハイドロゲルと、前記ハイドロゲルで覆われた腫瘍組織とを含み、前記ハイドロゲルが、ポリエーテルで架橋されたゼラチンから構成されている、構造体である。
【0009】
本発明の構造体の好適例においては、前記ハイドロゲルが、前記腫瘍組織中のタンパク質と化学結合を形成している。
【0010】
本発明の構造体の他の好適例においては、ポリアルキレンングリコール骨格を有するポリマーである。
(【0011】以降は省略されています)

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