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公開番号
2025134792
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-17
出願番号
2025098517,2024158882
出願日
2025-06-12,2020-04-14
発明の名称
シクロアルカン縮合多環芳香族化合物
出願人
学校法人関西学院
,
エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C07F
5/02 20060101AFI20250909BHJP(有機化学)
要約
【課題】有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる有機EL素子用材料等の有機デバイス用材料を提供する。
【解決手段】ホウ素原子と酸素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物にシクロアルカンを縮合させることで、有機EL素子用材料等、有機デバイス用材料の選択肢を増やす。また、新規なシクロアルカン縮合多環芳香族化合物を有機EL素子用材料として用いることで、例えば発光効率や素子寿命に優れた有機EL素子を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構
造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
TIFF
2025134792000428.tif
45
170
(上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であ
り、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり
、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)
2
、>Sまたは
>Seであり、前記>N-RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていても
よいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロ
アルキルであり、前記>C(-R)
2
のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置
換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、
前記>N-RのRおよび前記>C(-R)
2
のRの少なくとも1つは連結基または単結合
により前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよく、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シア
ノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘ
テロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されており、
当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロ
アルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置換されていてもよい。)
続きを表示(約 6,400 文字)
【請求項2】
上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であ
り、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換
もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしく
は無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミ
ノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介
して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシク
ロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、
または、置換シリルで置換されていてもよく、また、これらの環はY
1
、X
1
およびX
2
から構成される上記式中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり
、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)
2
、>Sまたは
>Seであり、前記>N-RのRは、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていて
もよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリー
ル、アルキルまたはシクロアルキルであり、前記>C(-R)
2
のRは、水素、アルキル
もしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキ
ルであり、また、前記>N-RのRおよび前記>C(-R)
2
のRの少なくとも1つは、
-O-、-S-、-C(-R)
2
-または単結合により、前記A環、B環およびC環の少
なくとも1つと結合していてもよく、前記-C(-R)
2
-のRは、水素、アルキルまた
はシクロアルキルであり、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シア
ノまたはハロゲンで置換されていてもよく、
多量体の場合には、一般式(1)で表される構造を2個または3個有する2量体または
3量体であり、そして、
式(1)で表される化合物または構造における、A環、B環、C環、アリールおよびヘ
テロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されており、
当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロ
アルカンにおける少なくとも1つの-CH
2
-は-O-で置換されていてもよい、
請求項1に記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物。
TIFF
2025134792000429.tif
54
170
(上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールア
ミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2
つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロア
ルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリ
シクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキ
ルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、
アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R
1
~R
11
のうちの隣
接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環
を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテ
ロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミ
ノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよ
い)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアリールシリル、
トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまた
はアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも
1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されて
いてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり
、前記Si-RおよびGe-RのRは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアル
キルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)
2
、>Sまたは
>Seであり、前記>N-RのRは、炭素数6~12のアリール、炭素数2~15のヘテ
ロアリール、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、前
記>C(-R)
2
のRは、水素、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキルま
たは炭素数3~14のシクロアルキルであり、また、前記>N-RのRおよび前記>C(
-R)
2
のRの少なくとも1つは、-O-、-S-、-C(-R)
2
-または単結合によ
り、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよく、前記-C(-R
)
2
-のRは炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、
【請求項4】
上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキル、または炭素数3~14の
シクロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~30のアリール、炭素数2~3
0のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)
、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6~12のアリールであり、2つのアリー
ルは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1~24のアルキル、炭
素数3~24のシクロアルキル、トリアリールシリル(ただしアリールは炭素数6~12
のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキルは炭素数1~6のアルキル)
であり、また、R
1
~R
11
のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と
共に炭素数9~16のアリール環または炭素数6~15のヘテロアリール環を形成してい
てもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6~10のアリール、
炭素数1~12のアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、トリアリールシリル(た
だしアリールは炭素数6~12のアリール)、またはトリアルキルシリル(ただしアルキ
ルは炭素数1~5のアルキル)で置換されていてもよく、
Y
1
は、B、P、P=O、P=SまたはSi-Rであり、前記Si-RのRは、炭素数
6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで
あり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)
2
または>Sで
あり、前記>N-RのRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは
炭素数5~10のシクロアルキルであり、前記>C(-R)
2
のRは、水素、炭素数6~
10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり
、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハ
ロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、前記形成された
環、前記アリールおよび前記ヘテロアリールの少なくとも1つは、炭素数3~20の、少
なくとも1つのシクロアルカンで縮合されており、当該シクロアルカンにおける少なくと
も1つの水素は、炭素数6~16のアリール、炭素数2~22のヘテロアリール、炭素数
1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよい、
請求項3に記載する多環芳香族化合物。
【請求項5】
上記式(2)中、
a環、b環、およびc環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(2)中
のR
1
~R
11
である)は「-N=」に置き換わっていてもよく、任意の「-C(-R)
=C(-R)-」(ここでRは式(2)中のR
1
~R
11
である)は、「-N(-R)-
」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」
のRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキル、または炭素数5~10の
シクロアルキルであり、
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、炭素数2~2
0のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)
、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルであり、
Y
1
は、B、P、P=OまたはP=Sであり、
X
1
およびX
2
は、それぞれ独立して、>O、>N-Rまたは>C(-R)
2
であり、
前記>N-RのRは、炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数
5~10のシクロアルキルであり、前記>C(-R)
2
のRは、水素、炭素数6~10の
アリール、炭素数1~5のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハ
ロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、および、前記>
N-RのRとしての炭素数6~10のアリールの少なくとも1つは、炭素数3~16の、
少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されており、当該シクロアルカンにおける少なく
とも1つの水素は炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換
されていてもよい、
請求項3に記載する多環芳香族化合物。
【請求項6】
R
1
~R
11
は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、ジアリールア
ミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは
炭素数3~16のシクロアルキルであり、
Y
1
はBであり、
X
1
およびX
2
は共に>N-Rであるか、または、X
1
は>N-RであってX
2
は>O
であり、前記>N-RのRは炭素数6~10のアリール、炭素数1~5のアルキルまたは
炭素数5~10のシクロアルキルであり、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素またはハロゲンで置
換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における、前記a環、前記b環、前記c環、および、前記>
N-RのRとしての炭素数6~10のアリールの少なくとも1つは、炭素数3~14のシ
クロアルカンで縮合されており、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は炭
素数1~5のアルキルで置換されていてもよい、
請求項3に記載する多環芳香族化合物。
【請求項7】
シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ基、シクロアルカンで縮合されたカルバ
ゾリル基またはシクロアルカンで縮合されたベンゾカルバゾリル基で置換されている、請
求項1~6のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
【請求項8】
R
2
は、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ基またはシクロアルカンで縮合
されたカルバゾリル基である、請求項3~6のいずれかに記載する多環芳香族化合物。
【請求項9】
前記シクロアルカンは炭素数3~20のシクロアルカンである、請求項7または8に記
載する多環芳香族化合物。
【請求項10】
前記ハロゲンはフッ素である、請求項1~8のいずれかに記載する多環芳香族化合物ま
たはその多量体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロアルカン縮合多環芳香族化合物およびその多量体(以下、まとめて「
多環芳香族化合物」ともいう)と、これを用いた有機電界発光素子、有機電界効果トラン
ジスタおよび有機薄膜太陽電池、並びに、表示装置および照明装置に関する。なお、本明
細書中で「有機電界発光素子」のことを「有機EL素子」または単に「素子」と表記する
ことがある。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから
、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易
なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を
有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可
能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わ
ずこれまで活発に研究されてきた。
【0003】
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され
、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層に
は、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがある
が、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
【0004】
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際
公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン
系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料として
は、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
【0005】
また、近年では有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルア
ミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材
料は既に実用化されていたN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル
)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニル
アミンを構成する芳香環同士を連結することでその平面性を高めたことを特徴とする材料
である。この文献では例えばNO連結系化合物(63頁の化合物1)の電荷輸送特性が評
価されているが、NO連結系化合物以外の材料の製造方法については記載されておらず、
また、連結する元素が異なれば化合物全体の電子状態が異なるため、NO連結系化合物以
外の材料から得られる特性も未だ知られていない。このような化合物の例は他にも見られ
る(国際公開第2011/107186号公報)。例えば、三重項励起子のエネルギー(T1)が大
きい共役構造を有する化合物は、より短い波長の燐光を発することができるため、青色の
発光層用材料として有益である。また、発光層を挟む電子輸送材料や正孔輸送材料として
もT1が大きい新規共役構造を有する化合物が求められている。
【0006】
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香環を
単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さ
な芳香環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO-LUMOギ
ャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料
や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネル
ギー(E
T
)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香環や置換基を
連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、
両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E
T
)を向上させ
ることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香環はレドックス安定性が十分ではなく
、既存の芳香環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではな
い。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れ
ているが、HOMO-LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励
起エネルギー(E
T
)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2004/061047号公報
特開2001-172232号公報
特開2005-170911号公報
国際公開第2012/118164号公報
国際公開第2011/107186号公報
国際公開第2015/102118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されている
が、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の
開発が望まれている。特に、特許文献1~4で報告されたNO連結系化合物以外の材料か
ら得られる有機EL特性やその製造方法は未だ知られていない。
【0009】
また、特許文献6では、ホウ素を含む多環芳香族化合物とそれを用いた有機EL素子が
報告されているが、更に素子特性を向上させるべく、発光効率や素子寿命を向上させるこ
とができる発光層用材料、特にドーパント材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、シクロアルカンを縮合した
多環芳香族化合物を含有する層を一対の電極間に配置して例えば有機EL素子を構成する
ことにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわ
ち本発明は、以下のようなシクロアルカン縮合多環芳香族化合物またはその多量体、さら
には以下のようなシクロアルカン縮合多環芳香族化合物またはその多量体を含む有機EL
素子用材料等の有機デバイス用材料を提供する。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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