TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025125854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-28
出願番号2024022079
出願日2024-02-16
発明の名称再生正極前駆体、再生正極前駆体の製造方法、及び再生正極前駆体を使用した再生リチウムイオン電池
出願人冨士色素株式会社
代理人個人,個人
主分類H01M 10/54 20060101AFI20250821BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】リチウムイオン電池の需要増加に伴う使用済み電池のリサイクル処理の増加に貢献できる再生正極前駆体、及び再生正極前駆体を使用した再生リチウムイオン電池を提供すること、ブラックマスから簡単な工程で正極前駆体を製造することができる再生正極前駆体の製造方法を提供すること。
【解決手段】再生正極前駆体は、マンガンを主としてなる粉末状の再生正極前駆体であって、鉄、銅及びアルミニウムの各々の含有率が0.5質量%未満である。再生正極前駆体の平均粒径は0.01μm~50μmである。再生正極前駆体に対するコバルトの含有量は31質量%~85質量%である。再生正極前駆体に対するニッケルの含有量は31質量%~85質量%である。再生正極前駆体の比表面積は10m2/g以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
マンガンを主としてなる粉末状の再生正極前駆体であって、鉄、銅及びアルミニウムの各々の含有率が0.5質量%未満である、再生正極前駆体。
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
前記再生正極前駆体の平均粒径は0.01μm~50μmである、請求項1に記載の再生正極前駆体。
【請求項3】
前記再生正極前駆体に対するコバルトの含有量は31質量%~85質量%である、請求項1に記載の再生正極前駆体。
【請求項4】
前記再生正極前駆体に対するニッケルの含有量は31質量%~85質量%である、請求項1に記載の再生正極前駆体。
【請求項5】
前記再生正極前駆体の比表面積は10m

/g以上である、請求項1に記載の再生正極前駆体。
【請求項6】
使用済み電池より回収された正極材を焼成して得られる焼成物を粉砕して粉末にする粉砕工程と、
前記粉末を分散剤で分散させて分散液とする分散工程と、
前記分散液から、磁気選別によりコバルト、ニッケル及び化合物を取り出す磁気選別工程と、
コバルト、ニッケル及び化合物を含む分散液を焼成する焼成工程と
を有する、再生正極前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記粉砕工程は、ジェットミル又はロール式ミルを用いて50μm以下の粉末にする、請求項6に記載の再生正極前駆体の製造方法。
【請求項8】
前記磁気選別工程は、前記粉末を液体分散体として管内を流動させ、前記管の外側に配置した磁石より下流側で、コバルト、ニッケル及びこれらの化合物からなる磁性体を含む流れと、非磁性体を含む流れに分流して選別する、請求項6に記載の再生正極前駆体の製造方法。
【請求項9】
前記焼成工程は、前記コバルト、ニッケル及び化合物を含む分散液をアルゴン若しくは窒素雰囲気で700°以上に加熱し、Cを添加して加熱して、コバルト、ニッケル及び化合物を含む粉末を得る、請求項6に記載の再生正極前駆体の製造方法。
【請求項10】
正極と、負極と、セパレータと、電解質を備えるリチウムイオン電池であって、
前記正極は前記請求項1から5のいずれかに記載の再生正極前駆体を用いた、再生リチウムイオン電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、再生正極前駆体、再生正極前駆体の製造方法、及び再生正極前駆体を使用した再生リチウムイオン電池に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池は、ハイブリッドやEVの自動車を始め、スマートフォンやPC等の広範な電子・電気機器に使用され、生産量が増大しているが、今後さらに電気自動車(EV)が普及するにつれ、使用済となる廃電池の数もますます増加することが予想される。
【0003】
リチウムイオン電池には、ニッケルやコバルトなどの貴重な物質が含まれているので、使用済のリチウムイオン電池からこれらの物質を回収し、新たなリチウムイオン電池の製造に再利用することが重要である。リチウムイオン電池の需要増加と、廃電池のリサイクル処理の増加に対応できる再生正極前駆体の供給増大が要望されている。
【0004】
リチウムイオン電池から有用な物質を回収する方法としては、従来より、熱処理による乾式精錬と、溶液を使用する湿式精錬とがあるが、コストがかかり、必要な物質をすべて回収できないうえ、回収した金属資源の純度や品質、リサイクルコストと金属資源の価格を考えると、利益が出にくく、採算性が低いという問題があった。
【0005】
特許文献1には、リチウムイオン電池を所定温度で熱処理した熱処理物を破砕し、粉砕物に対して分級選別または磁気選別により物理的選別を行う再生正極材前駆体の製造方法が記載されている。この方法は、物理的選別の後、物理的処理物に対して酸処理により物理的処理物中の金属元素を溶解させ、酸処理溶液をアルカリ処理して酸処理溶液中の金属元素を水酸化物として沈殿させて回収する湿式精錬である。
【0006】
特許文献1の方法は、物理的選別や酸とアルカリの溶液処理等の工程が多くてリサイクルコストが高く、採算が取れないという問題があった。
【0007】
一方、ブラックマスを前駆体として電極を製造する過程で、前駆体に金属粒が含まれていると、電極の析出物がデンドライト(針状結晶)成長して内部短絡を引き起こし、発火事故が生じる危険性がある。このため、ブラックマスから短絡原因となる金属を十分に取り除くことが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第7176707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、鉄、銅、アルミニウム等の導電体の含有量が少なく、発火の防止することができ、リチウムイオン電池の需要増加に伴う廃電池のリサイクル処理の増加に貢献できる再生正極前駆体、及び再生正極前駆体を使用した再生リチウムイオン電池を提供すること、ブラックマスから簡単な工程で正極前駆体を製造することができる再生正極前駆体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための、第1の手段は、
マンガンを主としてなる粉末状の再生正極前駆体であって、鉄、銅及びアルミニウムの各々の含有率が0.5質量%未満である、再生正極前駆体である。
前記再生正極前駆体の平均粒径は0.01μm~50μmである。
前記再生正極前駆体に対するコバルトの含有量は31質量%~85質量%である。
前記再生正極前駆体に対するニッケルの含有量は31質量%~85質量%である。
前記再生正極前駆体の比表面積は10m

/g以上である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許