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公開番号
2025123367
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-22
出願番号
2025099226,2021507320
出願日
2025-06-13,2020-03-13
発明の名称
核酸増幅方法
出願人
国立研究開発法人産業技術総合研究所
,
杏林製薬株式会社
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
C12Q
1/6851 20180101AFI20250815BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】マルチプレックスPCRを行う場合においても、迅速でありかつノイズの低下させたリアルタイムPCR法を提供する。
【解決手段】空間的に離れた2つの温度帯が微小流路で結ばれており、試料液を微小流路中前記2つの温度帯間を往復移動させサーマルサイクリングを行うレシプロカルフロー型の核酸増幅方法において、前記2つの温度帯は変性温度帯及び伸長・アニーリング温度帯であり、前記微小流路は変性温度帯に対応する曲線流路、伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路、前記変性温度帯に対応する曲線流路と伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路とをつなぐ直線状又は曲線状の中間流路、並びに、試料液の移動を実現するための送液用機構に接続可能な接続部を少なくとも備え、微小流路中での試料液の移動は送液停止時には大気圧開放される送液用機構により行われ、前記変性温度帯に対応する流路及び前記伸長・アニーリング温度帯に対応する流路の所定の位置でサーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行う、方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
空間的に離れた2つの温度帯が微小流路で結ばれており、試料液を微小流路中前記2つの温度帯間を往復移動させサーマルサイクリングを行うレシプロカルフロー型の核酸増幅方法において、
前記2つの温度帯は変性温度帯及び伸長・アニーリング温度帯であり、
前記微小流路は変性温度帯に対応する曲線流路、伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路、前記変性温度帯に対応する曲線流路と伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路とをつなぐ直線状又は曲線状の中間流路、並びに、試料液の移動を実現するための送液用機構に接続可能な接続部を少なくとも備え、
微小流路中での試料液の移動は送液停止時には大気圧開放される送液用機構により行われ、
前記変性温度帯に対応する流路及び前記伸長・アニーリング温度帯に対応する流路の所定の位置でサーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行う、方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年3月15日に出願された、日本国特許出願第2019-049009号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明は、核酸増幅方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
核酸の検出は、医薬品の研究開発、法医学、臨床検査、農作物や病原性微生物の種類の同定など、様々な分野において中核をなすものである。癌を含む種々の疾患、微生物の感染、分子系統解析に基づいた遺伝子マーカーなどを検出する能力は、疾患及び発症リスク診断、マーカーの探索、食品や環境中の安全性評価、犯罪の立証、及び他の多くの技術にとって普遍的技術となっている。
【0003】
遺伝子である少量の核酸を高感度に検出する最も強力な基礎技術の1つは、核酸配列の一部又は全部を指数関数的に複製し増幅した産物を分析する手法である。
【0004】
PCR法は、DNAのある特定領域を選択的に増幅する強力な技術である。PCRを用いると、テンプレートDNAの中の標的とするDNA配列について、単一のテンプレートDNAから数百万コピーのDNA断片を生成することができる。PCRは、サーマルサイクルと呼ばれる三相もしくは二相の温度条件を繰り返すことにより、単一鎖へのDNAの変性、変性されたDNA一本鎖とプライマーのアニーリング、及び熱安定性DNAポリメラーゼ酵素によるプライマーの伸長という個々の反応が順次繰り返される。このサイクルは、分析に必要な十分なコピー数が得られるまで繰り返し行われる。原理上、PCRの1回のサイクルで、コピー数を倍にすることが可能である。実際には、サーマルサイクルが続くと、必要な反応試薬の濃度が減少するので、増幅されたDNA産物の集積が、最終的に止まる。PCRの一般的詳細については、「Clinical Applications of PCR」、Dennis Lo(編集)、Humana Press(ニュージャージー州トトワ所在)(1998年)、及び「PCR Protocols A Guide to Methods and Applications」、M.A.Innisら(編集)、Academic Press Inc.社(カリフォルニア州サンディエゴ所在)(1990年)を参照のこと。
【0005】
PCR法は目的のDNAを選択的に増幅できる強力な手法であるが、増幅したDNAを確認するためには、PCRの終了後に別途ゲル電気泳動などによる確認作業が必要であった。そこで、PCR法の改良として、目的のDNAの増幅量に合わせ蛍光を発生もしくは消光させるリアルタイムPCR法が開発され、試料中の目的のDNAの有無を簡便に確認できるようになった。従来のPCR法では、PCR前の試料中のテンプレートDNA量が一定量を超えると、PCR後の増幅DNA量はプラトーに達していることが多く、PCR前のテンプレートDNA量を定量することは出来ない。しかし、リアルタイムPCR法においては、プラトーに達する前に、PCR途中の増幅DNA量をリアルタイムに検出できるため、DNA増幅の様子からPCR前のテンプレートDNA量を定量することが可能である。そのためリアルタイムPCR法は、定量的PCR法とも呼ばれる。
【0006】
リアルタイムPCR法による標的DNA量の定量性は,臨床において特に有用であり、例えばエイズウイルス(HIV)などウイルス感染の治療効果を確認する上で、ウイルス量の推移をモニタリングすること等に利用されている。また、ヘルペスウイルス(HHV)のような、多くが幼児期より不顕性感染しているが、体力減衰等により増殖し発症する日和見感染症の診断においても、リアルタイムPCR法によるDNA定量が有効である。
【0007】
PCR法及びリアルタイムPCR法は、サーマルサイクルにより遺伝子を指数関数的に増幅する強力な手法であるが、PCRに使用される汎用のサーマルサイクラー装置は、ヒーターであるアルミブロック部の巨大な熱容量のため温度制御が遅く、30~40サイクルのPCR操作に従来1~2時間、場合によってはそれ以上を要する。そのため、最新の遺伝子検査装置を用いても分析にはトータルで、通常1時間以上を要しており、PCR操作の高速化は、技術登場以来の大きな課題であった。
【0008】
本願発明者らは、PCR操作の高速化を図る目的からマイクロブロア等を送液用機構として使用するレシプロカルフロー型の核酸増幅装置を開発した(特許文献1)。
【0009】
一方、1つのPCR反応系に複数のプライマー対を用いることで、複数の遺伝子領域を同時に増幅するマルチプレックスPCRが注目されている。マルチプレックスPCRを発展させたリアルタイムマルチプレックスPCRは、それぞれのターゲットを、他のターゲットの影響(クロストーク)を受けにくく、感度を落とすことなく、複数の異なるターゲット遺伝子を区別して検出し、定量的な結果を得ることを目的としている。しかし、ラベル可能な蛍光物質の種類や、蛍光波長のオーバーラップの問題のために、2類以上の定量的マルチプレックス反応は、困難な場合が多いという報告がある。
【0010】
特許文献1では、マルチプレックスPCRの例として3種類の蛍光の同時計測が可能な多色蛍光検出器を使用して微小流路の直線流路上の1点を検出点として計測した結果が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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