TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025122384
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-21
出願番号
2024017821
出願日
2024-02-08
発明の名称
ロータにフェライト磁石を用いた回転電機
出願人
トヨタ自動車株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
H02K
1/276 20220101AFI20250814BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】 ロータ10にフェライト磁石14を採用した永久磁石式回転電機に於いて、簡単な構成でフェライト磁石の昇温が達成できるようにする。
【解決手段】 ロータに於ける磁極の付与のためにロータコアにフェライト磁石が組み込まれた永久磁石式回転電機に於いて、フェライト磁石に於けるロータの回転中にステータの極に対向する面上に該面内にて渦電流が発生可能な軟磁性体から成る部材16が配置されている。ロータが回転すると、軟磁性体部材を貫くステータ極からの磁束密度が変化することで、軟磁性体部材に於いて渦電流が発生し、そのジュール熱によって、フェライト磁石は、加熱されて、保磁力が上昇し、減磁が抑制される。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
ロータに於ける磁極の付与のためにロータコアにフェライト磁石が組み込まれた永久磁石式回転電機であって、前記フェライト磁石に於ける前記ロータの回転中にステータの極に対向する面上に該面内にて渦電流が発生可能な軟磁性体から成る部材が配置されている回転電機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石式回転電機に係り、より詳細には、永久磁石としてフェライト磁石を用いた回転電機に係る。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
電動車両用のモータには、主に永久磁石式回転電機が採用され、そのロータに用いられる永久磁石としては、一般的には、磁束密度の高いネオジム磁石が利用されているところ、ネオジム磁石は、高温時に保磁力が低下するので、保磁力が温度に対して正の相関を持つフェライト磁石の活用が検討されている。フェライト磁石は、低温時には保磁力が低く、減磁しやすい特性を有するので、例えば、特許文献1に於いては、電動パワーステアリング装置のブラシレスモータにフェライト磁石を採用した構成に於いて、フェライト磁石の温度を一定以上に保つために、ステータのコイルに更に昇温のための電流が流れるようにコイル電流を制御することが提案されている。なお、フェライト磁石を用いた例ではないが、特許文献2に於いて、ロータにネオジム磁石を用いた回転電機に於いて、ロータの径方向外方のネオジム磁石の磁極面上に、ロータコアよりも電気抵抗率の高い軟磁性体を配置して、磁極面上の渦電流の発生を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-86502
特開2021-136860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く、フェライト磁石は、昇温と共に、保磁力が上がるが、低温での保磁力が低いため、低温域で回転電機を作動させると減磁してしまい、回転電機としての機能(トルクや出力)が損なわれてしまう。従って、フェライト磁石を採用する場合には、その温度を上昇させ、減磁を防止できるようになっていることが好ましい。この点に関し、フェライト磁石の昇温を、特別な電気系統制御やハード機器の追加、複雑なソフト組み込みなどを要せず、簡単な構成で達成できると有利である。
【0005】
上記の事情に鑑み、本発明の主な課題は、ロータにフェライト磁石を採用した回転電機に於いて、簡単な構成でフェライト磁石の昇温が達成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記の課題は、ロータに於ける磁極の付与のためにロータコアにフェライト磁石が組み込まれた永久磁石式回転電機であって、前記フェライト磁石に於ける前記ロータの回転中にステータの極に対向する面上に該面内にて渦電流が発生可能な軟磁性体から成る部材が配置されている回転電機によって達成される。
【0007】
上記の構成に於いて、「ロータコア」は、通常の態様にて形成されていてよく、典型的には、回転軸方向に絶縁層を挟んで積層された電磁鋼板により形成されてよい。フェライト磁石は、後に図面にて説明される如く、ロータコアにて、ロータの磁極を形成するように任意の態様にて配置される。回転電機のステータは、通常の態様にて形成されたステータであってよい。フェライト磁石に於ける「前記ロータの回転中にステータの極に対向する面」とは、ロータの回転中にステータコイルから生ずる磁束線と交差する面であり、ロータの回転中にステータの極からその面を貫通する磁束密度が変化する面である(以下、「ステータ対向面」と称する。)。「該面内にて渦電流が発生可能な軟磁性体から成る部材」(以下、「軟磁性体部材」と称する。)とは、薄板や環状又は渦巻き状に配置された導線など、面内に連続的に電流が流れるよう構成されている部材であれば、任意の形状の部材であってよい。軟磁性体部材を成す軟磁性体は、その物性が比透磁率>1(空気)及び電気抵抗率<10Ωmであり、具体的には、鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金、ナノ結晶磁性合金などであってよい。
【0008】
上記の構成によれば、回転電機が作動されてロータが回転すると、フェライト磁石に於けるステータ対向面に於けるステータ極からの磁束密度が変化することで、前記のステータの極に対向する面に配置された軟磁性体部材に於いて渦電流が発生することとなる。そうすると、かかる渦電流の発生に伴い発生するジュール熱によってフェライト磁石が加熱され、かくして、フェライト磁石の保磁力が上昇し、減磁が抑制されることとなる。
【0009】
上記の構成に於いて、軟磁性体部材の置かれるステータ対向面は、フェライト磁石に於けるロータの回転軸に平行な面のいずれでもよいが、ロータ回転軸に垂直な方向に沿ったフェライト磁石の断面が長方形である場合には、長辺の面に軟磁性体部材が配置されると、渦電流による発熱面積が大きくなり、これにより速やかにフェライト磁石が昇温される点で好ましい。その際、軟磁性体部材は、フェライト磁石の長辺面の全域を覆うように配置されることで、より速やかにフェライト磁石の昇温が達成されることとなる。(ロータ回転軸に垂直な方向の)軟磁性体部材の厚みは、適合により決定されてよい。[ロータコアの電磁鋼板も軟磁性体であるがロータ回転軸に垂直な方向の電磁鋼板の間に絶縁層が挟持されていることにより、ロータ回転軸に平行な面内の電流が流れることができず、渦電流が発生しない。]
【発明の効果】
【0010】
かくして、本発明によれば、特別な電気系統制御やハード機器の追加、複雑なソフト組み込みなどを要せず、軟磁性体部材をフェライト磁石に於けるロータの回転中にステータの極に対向する面に配置するだけの簡単な構成にて、フェライト磁石の昇温が達成できることとなる。本発明の構成は、電動車の駆動用回転電機やその他の任意の機械器具の回転電機に採用されてよい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
他の特許を見る