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公開番号2025120156
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2025015337
出願日2025-01-31
発明の名称環状ジエン含有組成物、アルデヒドの製造方法、アルコールの製造方法、及び環状ジエン含有組成物の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C07C 13/61 20060101AFI20250807BHJP(有機化学)
要約【課題】ヒドロホルミル化反応液から回収、再利されるヒドロホルミル化反応触媒の活性低下を抑制しつつ、脂環式アルデヒド等のアルデヒドを効率的に製造することが可能な環状ジエン含有組成物を提供する。さらに、前記環状ジエン含有組成物を用いたアルデヒドの製造方法及び前記環状ジエン含有組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】過酸化物の濃度が2.8mmol/L以下である環状ジエン含有組成物。環状ジエン含有組成物から、ヒドロホルミル化反応によりアルデヒドを製造する方法であって、環状ジエン含有組成物中の過酸化物の濃度を予め決めた閾値以下にすることを含む、アルデヒドの製造方法。炭化水素含有組成物の熱分解生成物を蒸留精製して、環状ジエン含有組成物を製造する方法であって、環状ジエン含有組成物中の過酸化物の濃度を予め決めた閾値以下にすることを含む、環状ジエン含有組成物の製造方法。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
環状ジエンを含む環状ジエン含有組成物であって、
前記環状ジエン組成物中の過酸化物の濃度が2.8mmol/L以下である、環状ジエン含有組成物。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
前記環状ジエンの濃度が60GC面積%以上である、請求項1に記載の環状ジエン含有組成物。
【請求項3】
前記過酸化物の濃度が、2.0mmol/L以下、好ましくは1.0mmol/L以下、さらに好ましくは0.6mmol/L以下、特に好ましくは0.3mmol/L以下である、請求項1に記載の環状ジエン含有組成物。
【請求項4】
前記過酸化物がアルケン化合物の過酸化物を含む、請求項1に記載の環状ジエン含有組成物。
【請求項5】
前記過酸化物の濃度が、下記の測定方法1により測定されるものである、請求項1に記載の環状ジエン含有組成物。
<測定方法1>
窒素雰囲気下、環状ジエン含有組成物にクロロホルムと酢酸の混合液を添加し、さらに飽和ヨウ化カリウム水溶液を添加して撹拌し、さらに蒸留水で希釈して、測定用サンプルを作製する。得られた測定用サンプルに、標準液として0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いるヨウ素還元滴定を行い、前記標準液の消費量に基づいて当該環状ジエン含有組成物中の過酸化物の濃度(mmol/L)を求める。
【請求項6】
前記環状ジエンが多環式ジエンである、請求項1に記載の環状ジエン含有組成物。
【請求項7】
前記多環式ジエンがジシクロペンタジエンである、請求項6に記載の環状ジエン含有組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の環状ジエン含有組成物を、ヒドロホルミル化反応させて、前記環状ジエンに対応するアルデヒドを製造する、アルデヒドの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法によりアルデヒドを製造し、該アルデヒドから対応するアルコールを製造する、アルコールの製造方法。
【請求項10】
環状ジエン含有組成物中の環状ジエンをヒドロホルミル化反応させ、対応するアルデヒドを製造する方法であって、
前記環状ジエン含有組成物に含まれる過酸化物の濃度を予め決めた閾値以下にすることを含む、アルデヒドの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ジエン含有組成物、アルデヒドの製造方法、アルコールの製造方法及び環状ジエン含有組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
脂環式アルデヒド等のアルデヒドは、可塑剤の添加剤、接着剤、殺菌剤等の原料として有用である。また、脂環式アルデヒド等のアルデヒドを水素添加反応させて得られる脂環式アルコール等のアルコールは、ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂の高耐熱性化、耐屈曲性化又は低レターデーション化を図るための原料モノマーとして有用である。具体的には、トリシクロデカンジカルバルデヒド等の脂環式アルデヒドや、トリシクロデカンジメタノールやペンタシクロペンタデカンジメタノール等の脂環式アルコールが、各用途における高機能化や工業的な生産性に優れる観点から注目されている。
【0003】
トリシクロデカンジカルバルデヒド等の脂環式アルデヒドの製造方法としては、ナフサ、石炭及び天然ガス等の炭化水素含有組成物を熱分解して得られるC5炭化水素留分を加熱することにより、該C5炭化水素留分中のシクロペンタジエン等の環式ジエン(本発明においては「環状ジエン」とも称す。)を二量化反応させ、対応するジシクロペンタジエン等の環式ジエンとした後、二量化反応後のC5炭化水素留分を精製してジシクロペンタジエン等の環式ジエンを高濃度で含む組成物(以下、「環状ジエン含有組成物」という。
)を得、得られた環状ジエン含有組成物を、長周期型周期表第8~10族金属(以下、単に「第8~10族金属」と称す場合がある。)-有機リン系錯体触媒の存在下で、ヒドロホルミル化反応に供して、該環式ジエンに対応する脂環式アルデヒドに転化する方法が知られている。
【0004】
上述した、環状ジエン含有組成物のヒドロホルミル化反応に用いられる前記触媒は、ロジウム等の高価な第8~10族金属を含むため、ヒドロホルミル化反応後の反応液から回収~再利用を繰り返して、半永久的に使用するのが理想的である。
【0005】
上述した環状ジエン含有組成物をヒドロホルミル化反応に供して脂環式アルデヒドを得る方法として、例えば、特許文献1の実施例には、高純度に精製されたジシクロペンタジエンをヒドロホルミル化して、ビスホルミルトリシクロデカンを製造する技術が開示されている。
また、特許文献2には、ヒドロホルミル化反応を阻害する不純物として、ジシクロペンタジエンに含まれる共役ジエンに着目し、この共役ジエンを低減する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1~2に開示されている技術では、環状ジエン含有組成物に含まれる不純物を極力除去し、高純度の環式ジエンを分離・回収するために、製造工程が複雑化したり、設備投資や製造コスト、ユーティリティコストが増加するという課題があった。また、該環状ジエン含有組成物に含まれる不純物を、経済性を鑑みながら低減するにしても、どのような不純物が、ヒドロホルミル化反応触媒、特にヒドロホルミル化反応後の工程液から、回収~再利用することを繰り返した触媒の活性に影響を及ぼすか、十分に解明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005-139181号公報
特開平11-80067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、トリシクロデカンジカルバルデヒド等のアルデヒドの出発原料として用いられる、ジシクロペンタジエン等の環状ジエンを含む環状ジエン含有組成物であって、ヒドロホルミル化反応後の反応液から回収~再利用を繰り返した場合であっても、ヒドロホルミル化反応触媒の触媒活性が低下することを抑制しつつ、環状ジエン含有組成物をヒドロホルミル化して、前記環状ジエンに対応するアルデヒドを効率的に製造することが可能な、環状ジエン含有組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記環状ジエン含有組成物を用いて、前記環状ジエンに対応するアルデヒドを製造する、アルデヒドの製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記製造方法によりアルデヒドを製造し、該アルデヒドから対応するアルコールを製造する、アルコールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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