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公開番号2025117148
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-12
出願番号2024011859
出願日2024-01-30
発明の名称トンネル計測装置、及びこそく方法
出願人株式会社安藤・間
代理人弁理士法人 武政国際特許商標事務所
主分類E21D 9/00 20060101AFI20250804BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、トンネル縦断方向におけるあたりの位置を把握することができるトンネル計測装置と、これを用いてこそくを行う方法を提供することである。
【解決手段】本願発明のトンネル計測装置は、「掘削周面」を計測する装置であって、移動体と地山計測手段、計測標的、位置計測手段、代表座標算出手段、あたり部検出手段を備えたものである。代表座標算出手段は、地山計測手段によって取得された計測点を主座標系における3次元座標に変換する。代表座標算出手段は、分割領域に含まれる複数の計測点の主座標系における3次元座標を統計処理することによって、分割領域に係る代表座標を求める。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
トンネル掘削によって露出した地山のうち周面部分となる「掘削周面」を計測する装置であって、
トンネル内を移動する移動体と、
前記移動体に取り付けられる地山計測手段と、
前記移動体に取り付けられる計測標的と、
トンネル内に設置される位置計測手段と、
前記掘削周面に対して設定される複数の分割領域ごとに、代表座標を求める代表座標算出手段と、
「計画周面」と前記代表座標とを比較するとともに、該代表座標が該計画周面よりトンネルの内空側に位置するとき、該代表座標に係る前記分割領域をあたり部分として検出するあたり部検出手段と、を備え、
前記計画周面は、あらかじめ計画された掘削後の地山のうちの周面部分であって、3次元の主座標系において設定され、
前記地山計測手段は、前記掘削周面を計測することによって、副座標系における3次元座標を有する複数の計測点を取得し、
前記位置計測手段は、前記計測標的を視準することによって、該計測標的の位置を前記主座標系における3次元座標として求め、
前記代表座標算出手段は、前記位置計測手段によって得られた前記計測標的の位置に基づいて、前記地山計測手段の位置を前記主座標系における3次元座標として求めるとともに、前記計測点を該主座標系における3次元座標に変換し、
また前記代表座標算出手段は、前記分割領域に含まれる複数の前記計測点の前記主座標系における3次元座標を統計処理することによって、該分割領域に係る前記代表座標を求める、
ことを特徴とするトンネル計測装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記地山計測手段は、レーザー計測によって前記掘削周面の前記計測点を取得する測量機器である、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項3】
前記移動体に取り付けられ、光を照射する2以上の照射手段を、さらに備え、
前記照射手段は、前記地山計測手段によって前記計測点を取得し得る範囲を示すように配置された、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項4】
前記地山計測手段を取り囲むように、前記移動体に取り付けられる第1函体と、
前記計測標的を取り囲むように、前記移動体に取り付けられる第2函体と、をさらに備え、
前記第1函体は、遠隔操作によって開閉する第1開閉手段を有し、
前記第2函体は、遠隔操作によって開閉する第2開閉手段を有し、
前記第1開閉手段が開放状態になると前記地山計測手段による計測が可能になり、該第1開閉手段が閉鎖状態になると該地山計測手段が前記第1函体によって覆われ、
前記第2開閉手段が開放状態になると前記位置計測手段による前記計測標的の視準が可能になり、該第2開閉手段が閉鎖状態になると該計測標的が前記第2函体によって覆われる、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項5】
前記移動体が、前記掘削周面のこそくを行うブレーカであり、
前記分割領域は、前記ブレーカに係るのみの寸法と同等の寸法で設定される、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項6】
前記あたり部検出手段によって検出された前記分割領域におけるあたり量を算出するあたり量算出手段を、さらに備え、
前記あたり量算出手段は、前記代表座標と前記計画周面との最短距離を、前記あたり量として算出する、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項7】
前記あたり部検出手段によって検出された前記分割領域を明示するように、前記掘削周面を表示する掘削周面表示手段を、さらに備え、
前記掘削周面表示手段は、トンネルの縦断方向が把握できるように、前記掘削周面を表示する、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル計測装置。
【請求項8】
トンネル掘削によって生じる「あたり部分」に対してこそくを行う方法であって、
ブレーカに取り付けられた計測標的をトンネル内に設置された位置計測手段で視準することによって、該計測標的の位置を主座標系における3次元座標として求める計測標的測位工程と、
前記ブレーカに取り付けられた地山計測手段を用いて、トンネル掘削で露出した地山のうち周面部分となる「掘削周面」を計測することによって、副座標系における3次元座標を有する複数の計測点を取得する掘削周面計測工程と、
前記計測標的の位置に基づいて前記地山計測手段の位置を前記主座標系における3次元座標として求めるとともに、前記計測点を該主座標系における3次元座標に変換する計測点変換工程と、
前記掘削周面に対して設定される複数の分割領域ごとに、代表座標を求める代表座標算出工程と、
「計画周面」と前記代表座標とを比較するとともに、該代表座標が該計画周面よりトンネルの内空側に位置するとき、該代表座標に係る前記分割領域を「あたり部分」として検出するあたり部検出工程と、を備え、
前記計画周面は、あらかじめ計画された掘削後の地山のうちの周面部分であって、前記主座標系において設定され、
前記代表座標算出工程では、前記分割領域に含まれる複数の前記計測点の前記主座標系における3次元座標を統計処理することによって、該分割領域に係る前記代表座標を求め、
検出された前記あたり部分のこそくを、前記ブレーカによって行う、
ことを特徴とするこそく方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願発明は、トンネル掘削における「こそく」に関する技術であり、より具体的には、掘削後に露出した地山のうち周面部分における「あたり」を検出することができるトンネル計測装置と、これを用いてこそくを行う方法に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
我が国の国土は、およそ2/3が山地であり、そのため道路や線路など(以下、「道路等」という。)は、多くの区間で山岳部を通過する。山岳部で道路等を構築する際に地山の一部を除去する必要があるときは、地山を掘削する切土工法や、地山の内部をくり抜くトンネル工法を採用するのが一般的である。トンネル工法は、切土工法に比べて施工単価(道路等延長当たりの工事費)が高くなる傾向にある一方で、切土工法よりも掘削土量(つまり排土量)が少なくなる傾向にあるうえ、道路等の線形計画の自由度が高い(例えば、ショートカットできる)といった特長があり、これまでに建設された国内のトンネルは10,000を超える。
【0003】
山岳トンネルの施工方法としては、昭和50年代までは鋼アーチ支保工に木矢板を組み合わせて地山を支保する「矢板工法」が主流であったが、現在では、地山強度を積極的に活かすNATM(New Austrian Tunnelling Method)が主流となっている。NATMは、地山が有する強度(アーチ効果)に期待する設計思想が主な特徴であり、そのため、従来の矢板工法に比べトンネル支保工の規模を小さくすることができ、加えて施工速度が向上することから施工コストを低減することができる。
【0004】
ここでNATMによる掘削手順について簡単に説明する。はじめに、発破掘削や機械掘削によってトンネル切羽の掘削を行う。発破掘削の場合は、ドリルジャンボによって削孔して火薬(含水爆薬)を装填し、作業員とドリルジャンボが退避したうえで発破を実行する。一方、機械掘削の場合は、自由断面掘削機によってトンネル切羽を切削していく。1回(1サイクル)の掘削進行長(1スパン長)は地山の強度に応じて設定される支保パターンによって異なるが、一般的には1.0~2.0mのスパン長で掘削が行われる。1スパン長の掘削を行うと、不安定化した地山部分(浮石など)を取り除きながらダンプトラック(あるいはレール工法)によってズリを搬出(ズリ出し)していく。そしてズリ出し後に、鏡吹付けや1次コンクリート吹付けを行ったうえで必要に応じて(支保パターンによって)鋼製支保工を建て込み、2次コンクリート吹付けを行い、その後ロックボルトの打設を行う。なお、1次コンクリート吹付け工と2次コンクリート吹付け工、ロックボルト工は、掘進したスパン長分、すなわち素掘り部分のトンネル円周面(側壁から天端にかけた周面部分)に対して行われる。
【0005】
このようにNATMは、掘削(例えば、切羽削孔~発破)、ズリ出し、鋼製支保工建込み、コンクリート吹付け、ロックボルト打設といった一連の工程(以下、「掘削サイクル」という。)を繰り返し行うことによって、1スパン(1.0~2.0m)ずつ掘進していく工法である。そして掘削サイクルに掛かる時間(以下、「サイクルタイム」という。)の短縮は、トンネル全体の工期や施工コストの低減に直結するため、施工現場ではこのサイクルタイムの短縮に注力しながら作業を行っている。
【0006】
ある程度の掘進長が得られると、吹付コンクリートの内空側には覆工コンクリートが構築されていく。そして覆工コンクリートによって確保される空間部が、トンネルとして利用される断面であり、いわば完成断面である。なお、トンネル断面のうち上半部分は円形(半円)とされることが多く、故に完成断面(覆工コンクリートの内周面)の半径のことを「設計内空半径」と、設計内空半径に覆工コンクリートと吹付コンクリートの厚さを加えた半径のことを「設計掘削半径」と称することがあり、設計掘削半径にさらに余掘厚を加えた半径のことを「支払掘削半径」と称することもある。
【0007】
覆工コンクリートの地山側には吹付コンクリートや鋼製支保工といった支保部材が設置されることから、トンネル掘削においては少なくとも設計掘削半径が確保された断面(以下、「設計断面」という。)を形成する必要がある。しかしながら、発破掘削や機械掘削によって掘削されたトンネル断面は、部分的に設計掘削半径に達していないこともあり、つまり設計断面の内部に突出するいわゆる「あたり」が残っていることもある。設計断面を確保するためには、当然ながらあたりを取り除く必要があり、ブレーカ等によってあたりをはつり落とす(除去する)作業が「こそく」である。
【0008】
上記したとおり設計断面を確保するためには確実にこそくを行う必要があり、そのためには的確にあたりを検出する必要がある。従来、あたりを検出するにあたっては、施工管理者や作業者(坑夫など)が切羽の直近で目視観察を行って判断していた。そして、その判断結果を伝えられたオペレータが、ブレーカ等によってあたりをはつり落とすこそくを行うわけである。したがって、あたりを検出する精度は目視観察を行う作業者等の技量や経験に依存することになる。建設業界における近年の人手不足を考えると、高い精度であたりを検出することができる作業者を確実に確保することは難しくなっており、とはいえ不慣れな作業者にあたりの検出を任せるとあたりが見逃される可能性もあり、その結果大きな手戻りが生じるおそれもある。
【0009】
そこで、作業者に頼ることなく客観的にあたりを検出する技術がこれまでにも提案されている。例えば特許文献1では、掘削後の切羽面を計測し、その計測断面と設計断面を比較することによってあたりを検出する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2020-26697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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