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公開番号2025108173
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-23
出願番号2024001910
出願日2024-01-10
発明の名称圃場水管理装置、圃場水管理システム、および圃場水管理方法
出願人株式会社クボタケミックス,地方独立行政法人青森県産業技術センター,株式会社クボタ
代理人個人,個人
主分類A01G 25/00 20060101AFI20250715BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】圃場管理者の労力の増大を招くことなく、気象条件などの環境の変動に対応して、水稲を適切に生育管理することができる圃場水管理装置を提供する。
【解決手段】移植から収穫までの水稲の生育期間を複数の生育段階に区分けし、各生育段階に応じて潅水態様を定めた潅水スケジュールを生成するとともに、移植から後の積算気温に基づいて潅水スケジュールを更新する潅水スケジュール管理部と、潅水スケジュールに基づいて各圃場に備えた水位制御機器を遠隔制御することで、生育期間に応じた潅水態様となるように、各圃場の水位を調節する圃場水位制御部と、を備え、圃場水位制御部は、潅水スケジュールに基づいて水稲が特定の生育段階に到るときに、特定の生育段階に応じた潅水態様で各圃場の水位を調節するか、潅水態様とは異なる特定の潅水態様で各圃場の水位を調節するかを、各圃場の温度指標に基づいて選択するように構成されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
圃場への給水を管理する圃場水管理装置であって、
移植から収穫までの水稲の生育期間を複数の生育段階に区分けし、各生育段階に応じて潅水態様を定めた潅水スケジュールを生成するとともに、前記移植から後の積算気温に基づいて前記潅水スケジュールを更新する潅水スケジュール管理部と、
前記潅水スケジュールに基づいて各圃場に備えた水位制御機器を遠隔制御することで、前記生育期間に応じた前記潅水態様となるように、各圃場の水位を調節する圃場水位制御部と、
を備え、
前記圃場水位制御部は、前記潅水スケジュールに基づいて前記水稲が特定の生育段階に到るときに、前記特定の生育段階に応じた潅水態様で各圃場の水位を調節するか、前記潅水態様とは異なる特定の潅水態様で各圃場の水位を調節するかを、各圃場の温度指標に基づいて選択するように構成されている圃場水管理装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記圃場水位制御部は、前記特定の生育段階が減数分裂期であり、前記温度指標に基づいて冷害の影響を受ける虞があると判断する場合に、対応する圃場の潅水態様である浅水管理とは異なる特定の潅水態様である深水管理を選択する請求項1記載の圃場水管理装置。
【請求項3】
前記圃場水位制御部は、前記特定の生育段階が出穂・開花期であり、前記温度指標に基づいて高温障害の影響を受ける虞があると判断する場合に、対応する圃場の潅水態様である浅水管理とは異なる特定の潅水態様であるかけ流し管理を選択する請求項1記載の圃場水管理装置。
【請求項4】
前記潅水スケジュール管理部は、前記移植から後の積算気温に基づいて前記特定の生育段階またはその前の生育段階を予測する予測モデルに基づいて前記潅水スケジュールを更新するように構成され、前記予測モデルは、前年以前における移植日から前記特定の生育段階またはその前の生育段階に到るまでの積算気温を説明変数とし、前記特定の生育段階またはその前の生育段階を目的変数とする回帰分析により得られる回帰モデルであり、当年の移植日から前記回帰モデルの演算時の積算気温を当年の日平均気温を採用して算出し、演算時より先の積算気温を予測気温または平年値を採用して算出することにより、前記特定の生育段階またはその前の生育段階に到る時期を予測する請求項1記載の圃場水管理装置。
【請求項5】
前記特定の生育段階またはその前の生育段階は、減数分裂期の開始時期または幼穂形成期の終了時期である請求項4記載の圃場水管理装置。
【請求項6】
前記温度指標は、前記圃場水管理装置に備えた通信部を介して得られ、気象情報提供サーバから提供される各圃場近傍の気温情報、衛星測位システムから提供される各圃場近傍の温度情報、または、各圃場に設置された温度センサにより検出される圃場の水温情報または気温情報の何れかが採用される請求項1記載の圃場水管理装置。
【請求項7】
前記潅水スケジュールは、各圃場で栽培される水稲の品種情報と栽培地である位置情報に基づいて個々に設定される請求項1記載の圃場水管理装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載された圃場水管理装置と、
前記圃場水管理装置との間で通信可能に接続され、各圃場に設置された水位制御機器と、
を含み、
前記水位制御機器は、前記圃場水位制御部からの制御指令に基づいて、前記圃場の水位を調節する圃場水管理システム。
【請求項9】
圃場への給水を管理する圃場水管理装置によって実行される圃場水管理方法であって、
移植から収穫までの水稲の生育期間を複数の生育段階に区分けし、各生育段階に応じて潅水態様を定めた潅水スケジュールを生成するとともに、前記移植から後の積算気温に基づいて前記潅水スケジュールを更新する潅水スケジュール管理ステップと、
前記潅水スケジュールに基づいて各圃場に備えた水位制御機器を遠隔制御することで、前記生育期間に応じた前記潅水態様となるように、各圃場の水位を調節する圃場水位制御ステップと、
を備え、
前記圃場水位制御ステップは、前記潅水スケジュールに基づいて前記水稲が特定の生育段階に到るときに、前記特定の生育段階に応じた潅水態様で各圃場の水位を調節するか、前記潅水態様とは異なる特定の潅水態様で各圃場の水位を調節するかを、各圃場の温度指標に基づいて選択するように構成されている圃場水管理方法。
【請求項10】
前記圃場水位制御ステップは、前記特定の生育段階が減数分裂期であり、前記温度指標に基づいて冷害の影響を受ける虞があると判断する場合に、対応する圃場の潅水態様である浅水管理とは異なる特定の潅水態様である深水管理を選択する請求項9記載の圃場水管理方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場水管理装置、圃場水管理システム、および圃場水管理方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年の熟練者の離農や離農に伴う農地の分散という課題に対処すべく、圃場の集約による大面積化と営農の機械化が促進されつつある。それに伴って、圃場の水管理の自動化技術も開発されつつある。
【0003】
特許文献1には、圃場への給水または圃場からの排水を制御するための変位機構を作動させる圃場用電動アクチュエータを備えた給水栓や排水栓が開示されている。これらの給水栓や排水栓を用いることにより、圃場水管理装置を介して圃場への給水や圃場からの排水を遠隔制御することが可能になる。
【0004】
特許文献2には、水田への給排水を制御して当該水田の水位を管理するための水位管理スケジュールを生成する生成装置であって、水田水位の管理パターンが異なる複数の水管理要素から選択される1以上の水管理要素を、水田の水位を管理する管理期間を分割した複数の分割期間のそれぞれに割り当てて作成された水位管理スケジュールを受け付け、当該水位管理スケジュールに含まれる前記水管理要素の水田水位の管理パターンを、ユーザからの入力に基づいて変更する変更部を含んでいる生成装置が開示されている。
【0005】
水位管理パターンには、水位の管理方法、最大水位、水位の管理方法の繰り返し周期、水位の管理方法の期間の開始日などの情報が含まれ、水管理要素には、一定湛水、落水管理、間断灌漑、または深水管理などが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-193914号公報
特開2022-31210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1,2に記載された給水栓や排水栓、生成装置を組み合わせた圃場水管理装置を構築することにより、圃場の水管理を担う数少ない圃場管理者に課される労力の低減、つまり水稲の生育段階に応じて圃場の水位を適切に管理するための労力の低減が期待される。
【0008】
しかし、水稲の生育は気象条件などの環境により毎年変動するものであり、圃場水管理装置に設定された水位管理スケジュールに従って圃場の水位を一律に管理すると、水稲を適切に栽培することが困難な場合も多くあり、そのような場合に、圃場管理者が状況を見極めて水位管理スケジュールを手動で補正するのは労力の低減に著しく反することとなる。
【0009】
本発明の目的は、圃場管理者の労力の増大を招くことなく、気象条件などの環境の変動に対応して、水稲を適切に生育管理することができる圃場水管理装置、圃場水管理システム、および圃場水管理方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による圃場水管理装置の第一の特徴構成は、圃場への給水を管理する圃場水管理装置であって、移植から収穫までの水稲の生育期間を複数の生育段階に区分けし、各生育段階に応じて潅水態様を定めた潅水スケジュールを生成するとともに、前記移植から後の積算気温に基づいて前記潅水スケジュールを更新する潅水スケジュール管理部と、前記潅水スケジュールに基づいて各圃場に備えた水位制御機器を遠隔制御することで、前記生育期間に応じた前記潅水態様となるように、各圃場の水位を調節する圃場水位制御部と、を備え、前記圃場水位制御部は、前記潅水スケジュールに基づいて前記水稲が特定の生育段階に到るときに、前記特定の生育段階に応じた潅水態様で各圃場の水位を調節するか、前記潅水態様とは異なる特定の潅水態様で各圃場の水位を調節するかを、各圃場の温度指標に基づいて選択するように構成されている点にある。
(【0011】以降は省略されています)

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