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公開番号2025107239
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-17
出願番号2025073407,2024065910
出願日2025-04-25,2021-03-31
発明の名称標的RNAを編集する方法
出願人エディットフォース株式会社
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C12N 15/29 20060101AFI20250710BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】標的RNAに含まれる編集標的CをUに、又は編集標的UをCに変換する方法を提供する。
【解決手段】下記a、b、c、及びbcのいずれか一のポリペプチドからなるDYWドメインを含む、人工DYWタンパク質を標的RNAに適用する、標的RNAを編集する方法:a. xa1PGxa2SWIExa3-xa16HP … HxaaE … Cxa17xa18CH … DYWを有し、配列番号:1の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド、b. xb1PGxb2SWWTDxb3-xb16HP … HxbbE … Cxb17xb18CH … DYWを有し、配列番号:2の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド、c. KPAxc1Axc2IExc3 … HxccE … Cxc4xc5CH … xc6xc7xc8を有し、配列番号:3の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド、bc. xb1PGxb2SWWTDxb3-xb16HP … HxccE … Cxc4xc5CH … Dxbc1xbc2を有し、配列番号:2の90の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド(配列中、xは任意のアミノ酸を表し、…は任意のポリペプチド断片を表す。)。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
DYWタンパク質をコードする核酸であって、
DYWタンパク質が、
少なくとも1個のPPRモチーフを含み、標的RNAに配列特異的に結合可能なRNA結合ドメイン、及び
下記のいずれか一のポリペプチドからなる、DYWドメイン
を含む、DYWタンパク質である、核酸。
・配列番号:1の配列からなるポリペプチド;配列番号:1の配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつC-to-U編集活性を有するポリペプチド;配列番号:1の配列において1~13個のアミノ酸を、置換、欠失又は付加した配列を有し、かつC-to-U編集活性を有するポリペプチド;又は配列番号:41の配列からなるポリペプチド
・配列番号:2の配列からなるポリペプチド;配列番号:2の配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつC-to-U編集活性を有するポリペプチド;配列番号:2の配列において1~12個のアミノ酸を、置換、欠失又は付加した配列を有し、かつC-to-U編集活性を有するポリペプチド;又は配列番号:54の配列からなるポリペプチド
続きを表示(約 320 文字)【請求項2】
DYWドメインが、下記のいずれか一のポリペプチドからなるものである、請求項1に記載の核酸。
・配列番号:1の配列からなるポリペプチド
・配列番号:2の配列からなるポリペプチド
【請求項3】
RNA結合ドメインが、PLS型である、請求項1又は2に記載の核酸。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載のベクターを含む、細胞(ヒト個体は除く。)。
【請求項6】
真核細胞においてRNAを編集するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の核酸、又は請求項4に記載のベクターを含む、組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、標的RNAに結合可能なタンパク質を用いるRNA編集技術に関する。本発明は、医療(創薬支援、治療)、農業(農水畜産物生産、育種)、化学(生物学的物質生産)などの幅広い分野で有用である。
続きを表示(約 6,200 文字)【背景技術】
【0002】
植物のミトコンドリア及び葉緑体ではゲノム中の特定の塩基がRNAレベルで置換されるRNA編集が頻繁に起こり、この現象にRNA結合タンパク質であるペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質が介在していることが知られている。
【0003】
PPRタンパク質は、このタンパク質を構成するPPRモチーフの構造によって、PとPLSの2つのファミリーに分類される(非特許文献1)。PクラスのPPRタンパク質が標準的な35アミノ酸のPPRモチーフ(P)の単純な繰り返しから構成されている一方、PLSタンパク質は、Pの他に、それに類似したL及びSと呼ばれる2つのモチーフを含んでいる。PLSタンパク質のPPRアレイ(PPRモチーフの並び)は、P1(約35アミノ酸)、L1(約35アミノ酸)、そしてS1(約31アミノ酸)の3つのPPRモチーフがP-L-Sの繰り返し単位として構成され、そのP1L1S1のC末端側に、少し配列の異なるP-L-S、すなわち、P2(35アミノ酸)、L2(36アミノ酸)、そしてS2(32アミノ酸)モチーフが続く。また、P-L-Sの繰り返し単位で構成されているものとは別に、SS(31アミノ酸)が繰り返している場合もある。さらにこの最後のP2L2S2モチーフのC末端側にE1及びE2と呼ばれる2つのPPR様モチーフ、そして136アミノ酸のシチジンデアミナーゼドメイン様配列を持つDYWドメインが続く場合がある(非特許文献2)。
【0004】
PPRタンパク質とRNAの相互作用は、各PPRモチーフ中の数カ所のアミノ酸の組み合わせによって結合RNA塩基を指定するPPRコードによって規定されており、これらのアミノ酸が水素結合を介して対応するヌクレオチドと結合する(特許文献1、特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開WO2013/058404
国際公開WO2014/175284
【非特許文献】
【0006】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
陸上植物のオルガネラにおいて、RNA塩基がシチジンからウリジンに置換されるC-to-U RNA編集が一般的に起こる。しかし、ツノゴケ類や、小葉類及びシダ植物の一部では、ウリジンがシチジンへ置換されるU-to-C RNA編集も見られる(非特許文献9)。2つの異なるバイオインフォマティクス研究から、U-to-C RNA編集を持つ植物において、標準的なDYWドメインと配列の異なるユニークなDYWドメインが発見された(非特許文献10、非特許文献11)。
【0008】
ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)由来の2種のDYW:PGタンパク質が、大腸菌内でCからUのRNA編集活性を示すことが報告された(非特許文献12)。陸上植物の進化の初期に分岐した植物群において、DYWドメインは大きく2つのグループに分類される。1つ目はDYW:PG/WWグループと呼ばれ、これには標準的なDYWドメインであるDYW:PG型及びPGボックスにトリプトファン(W)が1つ付加されたDYW:WW型が含まれる。2つ目のグループはDYW:KPと呼ばれ、このDYWドメインはPGボックスとC末端の3つのアミノ酸配列がPG/WWグループと異なる配列を持ち、さらにU-to-C RNA編集を持つ植物のみに存在する。任意のRNA配列内の1塩基を特定の塩基に変える技術は、遺伝子治療や、産業利用における遺伝子変異導入技術において有用である。これまでに、様々なRNA結合分子が開発されているが、DYWドメインと人工的なRNA結合タンパク質を用いることで、任意の標的RNAのシチジン(C)をウリジン(U)に、あるいはその逆方向であるウリジン(U)をシチジン(C)に変換する分子の設計方法は確立されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本研究において我々は、PPR-DYWタンパク質のC末端DYWドメインを含む部分がRNA編集のモジュラードメイン(modular editing domain)として利用可能であることを示す。本研究において設計した3種のDYWドメインをそれぞれPPR-P又はPLSアレイと融合させた場合、DYW:PG及びDYW:WWドメインはC-to-U、DYW:KPはU-to-CのRNA編集活性を示した。
【0010】
本発明は、以下を提供する。
[1] 下記a、b、c、及びbcのいずれか一のポリペプチドからなるDYWドメインを含む、人工DYWタンパク質を標的RNAに適用する、標的RNAを編集する方法。
a. x
a1
PGx
a2
SWIEx
a3
-x
a16
HP … Hx
aa
E … Cx
a17
x
a18
CH … DYWを有し、配列番号:1の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド
b. x
b1
PGx
b2
SWWTDx
b3
-x
b16
HP … Hx
bb
E … Cx
b17
x
b18
CH … DYWを有し、配列番号:2の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド
c. KPAx
c1
Ax
c2
IEx
c3
… Hx
cc
E … Cx
c4
x
c5
CH … x
c6
x
c7
x
c8
を有し、配列番号:3の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド
bc. x
b1
PGx
b2
SWWTDx
b3
-x
b16
HP … Hx
cc
E … Cx
c4
x
c5
CH … Dx
bc1
x
bc2
を有し、配列番号:2の90の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド
(配列中、xは任意のアミノ酸を表し、…は任意のポリペプチド断片を表す。)
[2] 下記a、b、c、及びbcのいずれか一のポリペプチドからなるDYWドメイン。
a. x
a1
PGx
a2
SWIEx
a3
-x
a16
HP … Hx
aa
E … Cx
a17
x
a18
CH … DYWを有し、配列番号:1の配列と少なくとも40%の配列同一性を有し、かつC-to-U/U-to-C編集活性を有するポリペプチド
b. x
b1
PGx
b2
(【0011】以降は省略されています)

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