発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 関連出願の相互参照 本出願は、米国仮出願第61/637,631号(2012年4月24日出願)および同第61/779,533号(2013年3月13日出願)(その内容の全体を参照により本明細書に組み入れる)の米国特許法第119条(e)の下の利益を請求する。 続きを表示(約 3,600 文字)【0002】 技術分野 本明細書に記載する技術は多能性細胞の産生に関する。 【背景技術】 【0003】 背景 現在の多能性細胞を取得する方法は、主に限定された入手可能性の組織(例えば、胚組織もしくは臍帯血)または外来核酸の導入を含むリプログラミング因子の添加に依存している(Hanna,J. et al. Cell 2008 133, 250-264;Hockemeyer, D. et al. Cell stem cell 2008 3,346-353;Kim, D. et al. Cell stem cell 2009 4, 472-476;Kim, J. B. Nature 2009461, 649-643; Okabe, M. et al. Blood 2009 114, 1764-1767)。外来リプ ログラミング因子の添加によってもたらされる面倒な事態なしに、幹細胞、特に、自己幹細胞を容易に産生する方法は、細胞分化の研究および幹細胞に基づく治療の開発を加速させる。熱傷、化学的損傷、外傷および照射のような刺激物への曝露の結果としての細胞への損傷が、正常体細胞をがん細胞になるように変化させ得ると仮定されているが、リプログラミング因子の特定の操作なしに健常成体体細胞が他の状態に転換され得ることの直接的な証拠は存在しない。 【0004】 以前に、研究者らは、成体組織において「成体幹細胞」を見出したことを報告した(Reynolds, B. A. & Weiss, S. Science1992 255, 1707-1710;Megeney, L. A. et al. ,Genes & development 1996 10,1173-1183;Caplan, A. I. Journal of orthopaedic research 1991 9, 641-650;Lavker,R. M. & Sun, T. T. The Journal of investigative dermatology 1983 81,121s-127s)。そのような報告は議論の余地があるままである。例え ば、幹細胞マーカーであるOct4を発現する細胞を求める研究者は、正常ホメオスタシスにある成体骨髄においてOct4発現細胞を見出すことができず(Lengner,C. J. et al. Cell Cycle 2008 7, 725-728;Berg, J. S. & Goodell, M. A. Cellstem cell 2007 1, 359-360)、他者は様々な成体組織からOct4発現細胞を単離できることを報告している(Jiang, Y. et al. Nature 2010418, 41-49;D’Ippolito, G. et al. Journal of cell science 2004 117, 2971-2981;Johnson, J. et al. Cell 2005 122, 303-315;Kucia,M. et al. Leukemia 2006 20, 857-869;Kuroda, Y. et al. PNAS 2011 107, 8639-8643;Obokata,H. et al. Tissue engineering. 2011 Part A 17, 607-615;Rahnemai-Azar, A. et al.Cytotherapy 2011 13, 179-192;Huang, Y. et al. Transplantation 2010 89, 677-685;Zuba-Surma,E. K. et al. Journal of cellular and molecular medicine 2011 15, 1319-1328;Paczkowska,E. et al. Annals of transplantation 2011 16, 59-71)。これらの細胞が、成体幹細胞の集団を表すか、または、単に使用された技術のアーティファクトであるかのいずれかであると仮定されている。いずれの場合でも、それらは稀なままであり、そして研究および治療目的のための多能性細胞の適切な供給源の代表とはならない。 【発明の概要】 【0005】 要旨 例えば、分化したまたは成体の細胞から、デノボで多能性細胞を生成または産生する方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の方法はさらに、例えば、複能性(multipotent)細胞を多能性(pluripotent)にして、細胞の多能性を増加させる(または、例えば、細胞の成熟度を減少させる)ことに関し得る。多能性細胞の産生に関する本明細書に記載の技術の局面は、環境ストレスが細胞をより多能性の表現型をとるように誘導し得るという本発明者らの認識に基づいている。 【0006】 1つの局面において、本明細書に、細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法を記載する。いくつかの実施態様において、方法は、多能性を示す細胞を選択する工程をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、細胞は組織の部分として存在しない。いくつかの実施態様において、ストレスは、細胞質の少なくとも約40%を細胞から除去すること含む。いくつかの実施態様において、ストレスは、ミトコンドリアの少なくとも約40%を細胞から除去すること含む。いくつかの実施態様において、ストレスは、ストレスに曝露された細胞の少なくとも10%の細胞膜を破壊するために十分である。いくつかの実施態様において、細胞は体細胞、幹細胞、前駆細胞または胚細胞である。いくつかの実施態様において、細胞は単離された細胞である。いくつかの実施態様において、細胞は細胞の不均一な集団中に存在する。いくつかの実施態様において、細胞は細胞の均一な集団中に存在する。いくつかの実施態様において、多能性を示す細胞を選択する工程は、Oct4もしくはNanog、またはOct4およびNanog発現を発現する細胞を選択することを含む。いくつかの実施態様において、多能性を示す細胞を選択する工程は、接着性でない細胞を選択することを含む。 【0007】 いくつかの実施態様において、細胞質の少なくとも約50%を細胞から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質の少なくとも約60%を細胞から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質の60~80%を細胞から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質の少なくとも約80%を細胞から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質の少なくとも約90%を細胞から除去する。 【0008】 いくつかの実施態様において、ストレスは以下から選択される少なくとも1つの環境刺激への細胞の曝露を含む:外傷、機械的刺激、化学的曝露、超音波刺激、酸素欠乏、照射、および極度な温度への曝露。いくつかの実施態様において、ストレスは約4.5~約6.0のpHに細胞を曝露することを含む。いくつかの実施態様において、ストレスは約5.4~約5.8のpHに細胞を曝露することを含む。いくつかの実施態様において、細胞は1日間以下曝露される。いくつかの実施態様において、細胞は1時間以下曝露される。いくつかの実施態様において、細胞は約30分間曝露される 【0009】 いくつかの実施態様において、極度な温度への曝露は、35℃未満または42℃超の温度に細胞を曝露することを含む。いくつかの実施態様において、極度な温度への曝露は、凍結以下の温度への細胞の曝露または少なくとも約85℃の温度への細胞の曝露を含む。いくつかの実施態様において、機械的刺激は、細胞のサイズより小さな開口を有する少なくとも1つのデバイスを通して細胞を通過させることを含む。いくつかの実施態様において、機械的刺激は、漸進的により小さな開口を有するいくつかのデバイスを通して細胞を通過させることを含む。 【0010】 いくつかの実施態様において、細胞質の一部の除去は、ミトコンドリアの少なくとも約50%を細胞質から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質またはミトコンドリアの除去は、ミトコンドリアの約50%~90%を細胞質から除去する。いくつかの実施態様において、細胞質またはミトコンドリアの除去は、ミトコンドリアの90%超を細胞質から除去する。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する