TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025101919
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023219019
出願日2023-12-26
発明の名称リチウムイオン二次電池の製造方法
出願人トヨタバッテリー株式会社
代理人個人
主分類H01M 10/058 20100101AFI20250701BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】セル制御を実施する上でセル抵抗を適正に見積もり、充放電の上限値を適正に設定すること。
【解決手段】対向容量比RCと、LiBOB添加量AA[wt%]ごとのサンプルを作成する(S31)。次に、保存劣化試験を行い、初期抵抗RIと末期抵抗REを測定する(S32)。また、初期抵抗RI=末期抵抗REとなるLiBOB添加量AAを算出する(S33)。そして、対向容量比RCとLiBOB添加量AAと最適量の相関を観測する(S34)。観測結果を一次関数近似し、関係式Fを算出する(S35)。この関係式Fにより充放電の上限値を適正に設定するLiBOB添加量AA[wt%]を算出する。
【選択図】図11
特許請求の範囲【請求項1】
正極板と負極板と、これらをセパレータを介して積層した電極体を電池セルに備え、非水電解液にオキサレートボレート系の添加剤を添加したリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記正極板の正極合材層と前記負極板の負極合材層とが対向している面における前記正極板に対する前記負極板の容量比である対向容量比R

を算出する対向容量比算出工程と、
前記添加剤の添加量A

[wt%]に応じた前記リチウムイオン二次電池の使用初期の初期抵抗R

[mΩ]と、予定した使用末期の末期抵抗R

[mΩ]を予め求め、前記初期抵抗R

[mΩ]と前記末期抵抗R

[mΩ]とが等しくなるような前記添加剤の添加量A

[wt%]を求める関係式Fを、前記対向容量比R

に応じて、導出する添加剤添加量算出関係式導出工程と、
前記添加剤添加量算出関係式導出工程で導出された前記関係式Fから、前記対向容量比算出工程で算出した前記対向容量比R

に基づいて、前記初期抵抗R

[mΩ]と前記末期抵抗R

[mΩ]とが等しくなる前記添加剤の添加量A

[wt%]を算出する添加剤添加量算出工程と、
を備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記添加剤添加量算出工程において算出した添加量A

[wt%]の前記オキサレートボレート系の前記添加剤を非水電解液に添加する添加剤添加工程と、
前記添加剤添加工程で前記添加剤を添加した非水電解液を電池セルに注液して封止する注液工程と、
前記注液工程後に、予め設定した条件で行う初充電を含むコンディショニング工程と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記添加剤添加量算出関係式導出工程で導出される前記関係式Fは、
前記対向容量比R

ごとに、前記添加剤の添加量A

[wt%]に応じた前記リチウムイオン二次電池の前記初期抵抗R

[mΩ]と、予定した前記末期抵抗R

[mΩ]を測定するセル抵抗測定工程と、
前記対向容量比R

ごとに、前記セル抵抗測定工程において求めた前記初期抵抗R

[mΩ]と前記末期抵抗R

[mΩ]との抵抗差ΔR[mΩ]と前記添加剤の添加量A

[wt%]の関係を求める添加剤添加量・抵抗差関係導出の工程と、
前記添加剤添加量・抵抗差関係導出の工程により導出された前記関係に基づいて前記対向容量比R

に応じた前記抵抗差ΔR[mΩ]がゼロになる前記添加剤の添加量A

[wt%]を算出する前記関係式を導出する対向容量比・添加剤添加量関係式導出の工程と、
により導出されることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記関係式Fが、最適添加量をA

[wt%]、対向容量比をR

、傾きをa、切片をbとしたとき


[wt%]=a×R

+b…(式1)
で表されることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記(式1)において、1.0≦a≦2.5、3.0≦b≦5.0であることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記コンディショニング工程における前記初充電は、
前記オキサレートボレート系の前記添加剤が還元分解される第1の負極電位V

[Vvs.Li/Li
+
]において設定された時間、前記第1の負極電位[Vvs.Li/Li
+
]が維持される第1のホールド工程と、前記オキサレートボレート系の前記添加剤が負極活物質において膜を形成する第2の負極電位V

[Vvs.Li/Li
+
]において設定された時間、前記第2の負極電位[Vvs.Li/Li
+
]が維持される第2のホールド工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記第1のホールド工程の負極電位V

[Vvs.Li/Li
+
]が、0.1≦V

≦1.5であることを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記第1のホールド工程は、1時間以上継続することを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記第2のホールド工程の負極電位V

[Vvs.Li/Li
+
]が、0.5≦V

≦2.0であることを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記第2のホールド工程は、1時間以上継続することを特徴とする請求項9に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
リチウムイオン二次電池の製造方法に係り、詳しくはリチウムイオン二次電池の製造工程において、非水電解液に添加する添加剤の添加量を最適化して、電池性能を向上させることができるリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、質量当たりの容量が大きく、大電流の充放電が可能なことから車載の駆動用の電池をはじめ広く採用されている。
リチウムイオン二次電池では非水電解液を用いているが、充電時に負極の電位で分解される。このためコンディショニング工程における所定の手順に従って、初充電で負極活物質と非水電解液との界面に、リチウムアルキルカーボネートなどの有機質やリチウム塩などの無機質からなる、厚さ数~数十nmのSEI(Solid Electrolyte Interphase)の被膜を生成する。SEIは、その後の充放電において非水電解液の分解を抑制するために必要であるが、SEIそれ自体は抵抗が大きく、Liや非水電解液を消耗するため必要以上の厚さに成長することは好ましくない。
【0003】
そこで、このような容量劣化を抑制するために非水電解液への添加剤を使用することが知られている。例えば添加剤には、被膜形成剤であるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)系を使用することが多い。
【0004】
例えば、特許文献1では、耐久性と入出力特性が高いレベルで両立しうるような、リチウムビスオキサラトボレートの添加量を最適化するような発明が開示されている。
このような発明によれば、リチウムイオン二次電池において、耐久性と入出力特性が高いレベルで両立しうるようなリチウムイオン二次電池の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-032777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リチウムイオン二次電池の場合では、充放電中に負極における電位によっては金属リチウムLiを析出する可能性がある。このため充電中の負極における金属リチウムLiの析出を防止するために充放電時の電流値に上限を設けた制御をしている。
【0007】
一方、LiBOBなどを非水電解液に添加した場合、使用初期にはLiBOB由来の被膜の形成には時間が掛かるためセル電池の内部抵抗が高くなる。その後LiBOB由来の被膜の形成が進むとセル電池の内部抵抗が低くなる。さらに使用するとLiBOB由来の被膜の還元分解が進行し、再びSEIの被膜が形成されてセル電池の内部抵抗が高くなる。リチウムイオン二次電池の充放電制御は、セル抵抗が最も高くなる場合を想定して実施するため、出荷時から容量劣化末期(容量維持率78%)までの間におけるセル抵抗の最大値を低減することで、電流値の上限を緩和できる。
【0008】
特許文献1は、オキサレートボレート系添加剤の添加量を調整して添加しているが、サイクル性、ガス発生量などを改善する特許のため、セル抵抗を制御するものではない。
このため従来のリチウムイオン二次電池では、セル制御を実施する上でセル抵抗を過大に見積もり、充放電の上限値を過大に抑制することがある。
【0009】
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法が解決しようとする課題は、セル制御を実施する上でセル抵抗を適正に見積もり、充放電の上限値を適正に設定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法では、正極板と負極板と、これらをセパレータを介して積層した電極体を電池セルに備え、非水電解液にオキサレートボレート系の添加剤を添加したリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記正極板の正極合材層と前記負極板の負極合材層とが対向している面における前記正極板に対する前記負極板の容量比である対向容量比R

を算出する対向容量比算出工程と、前記添加剤の添加量A

[wt%]に応じた前記リチウムイオン二次電池の使用初期の初期抵抗R

[mΩ]と、予定した使用末期の末期抵抗R

[mΩ]を予め求め、前記初期抵抗R

[mΩ]と前記末期抵抗R

[mΩ]とが等しくなるような前記添加剤の添加量A

[wt%]を求める関係式Fを、前記対向容量比R

に応じて、導出する添加剤添加量算出関係式導出工程と、前記添加剤添加量算出関係式導出工程で導出された前記関係式Fから、前記対向容量比算出工程で算出した前記対向容量比R

に基づいて、前記初期抵抗R

[mΩ]と前記末期抵抗R

[mΩ]とが等しくなる前記添加剤の添加量A

[wt%]を算出する添加剤添加量算出工程と、を備えたことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許