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公開番号2025101531
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-07
出願番号2023218445
出願日2023-12-25
発明の名称電子ペーパー用油中分散粒子
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類G02F 1/167 20190101AFI20250630BHJP(光学)
要約【課題】優れた電気泳動性を有する電子ペーパー用油中分散粒子及びその製造方法の提供。
【解決手段】非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含む油中分散粒子であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位を有し、
前記酸変性物Aの含有量が、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の合計量100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であって、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である、電子ペーパー用油中分散粒子。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含む油中分散粒子であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位を有し、
前記酸変性物Aの含有量が、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の合計量100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であって、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である、電子ペーパー用油中分散粒子。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記着色剤がカーボンブラックである、請求項1に記載の電子ペーパー用油中分散粒子。
【請求項3】
前記アルコール成分がビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物を含む、請求項1又は2に記載の電子ペーパー用油中分散粒子。
【請求項4】
前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が3mgKOH/g以上15mgKOH/g以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子ペーパー用油中分散粒子。
【請求項5】
炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物Aの重量平均分子量が、500以上3,000以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子ペーパー用油中分散粒子。
【請求項6】
炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物Aが、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらの酸の無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸により変性された酸変性物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子ペーパー用油中分散粒子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項の油中分散粒子が、油性の分散媒に分散してなる、分散体組成物。
【請求項8】
非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含有する油中分散粒子の製造方法であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位とを有し、
工程I:前記非晶性ポリエステル樹脂及び前記着色剤を含む原料を前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上の温度で溶融混練する工程、及び
工程II:工程Iの混練物に、絶縁性液体を前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)に対し、(Tg+20)℃以上(Tg+35)℃以下の温度で滴下することにより転相乳化して、油中分散粒子を得る工程を含み、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である、
油中分散粒子の製造方法。
【請求項9】
絶縁性液体の量が、非晶性ポリエステル樹脂と着色剤の合計量100質量部に対して、300質量部以上1500質量部以下となる量である、請求項8に記載の油中分散粒子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー用油中分散粒子及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
電子書籍の浸透及びコロナ禍以降のテレワーク需要の増大に伴い、電子ペーパー関連市場が急拡大しており、すでに約4億個の電子棚札と約1億3000万台の電子ブックデバイスが普及していると言われている。また、紙の代替として電子ペーパーが採用されており、二酸化炭素排出削減に貢献するなど、SDGsやESG観点からも注目されている。
電子ペーパーは一般的に、油中に分散させた着色微粒子に電場を付与することによって粒子を移動(電気泳動)させ所望の情報を表示させており、電子ペーパーは文字や画像など、あらゆる情報を瞬時に切り替える必要があるため、電子ペーパー用の着色微粒子には均一で高い電気泳動性が求められる。電子ペーパー関連市場の急拡大に伴い、より優れた電子ペーパー用油中分散粒子が求められている。
【0003】
特許文献1には、表面に水酸基および/またはカルボキシル基を有する顔料粒子と、前記顔料粒子を被覆する高分子重合体とを含む電気泳動粒子であって、前記顔料粒子表面の水酸基および/またはカルボキシル基に、前記高分子重合体のモノマーに対して親和性を有し、かつ非重合性である化合物が結合されていることを特徴とする電気泳動粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-293028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば引用文献1に記載されているような現在の電子ペーパー用着色微粒子の多くは、スチレン等のビニルモノマーを使用して着色微粒子を作製している。ビニルモノマーを使った粒子は、帯電保持能力は高いものの、その粒子自体に帯電する特性が無いため、帯電が不均一となりやすく、電気泳動性が安定しないという課題がある。
【0006】
本発明は、優れた電気泳動性を有する電子ペーパー用油中分散粒子及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の態様を包含する。
[1] 非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含む油中分散粒子であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位を有し、
前記酸変性物Aの含有量が、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の合計量100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であって、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である、電子ペーパー用油中分散粒子。
[2] 非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含有する油中分散粒子の製造方法であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位とを有し、
工程I:前記非晶性ポリエステル樹脂及び前記着色剤を含む原料を前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上の温度で溶融混練する工程、及び
工程II:工程Iの混練物に、絶縁性液体を前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)に対し、(Tg+20)℃以上(Tg+35)℃以下の温度で滴下することにより転相乳化して、油中分散粒子を得る工程を含み、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である、
油中分散粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れた電気泳動性を有する電子ペーパー用油中分散粒子及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[電子ペーパー用油中分散粒子]
本発明の電子ペーパー用油中分散粒子は、非晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を含む油中分散粒子であって、
前記非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分由来の構成単位と、カルボン酸成分由来の構成単位と、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A由来の構成単位を有し、
前記酸変性物Aの含有量が、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の合計量100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であって、
前記油中分散粒子の体積中位粒径が100nm以上1500nm以下である。
以上の構成によれば、優れた電気泳動性を有する電子ペーパー用油中分散粒子を提供することができる。
【0010】
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
ポリエステル樹脂は、それ自体が電荷を帯びる性質を有するため、電子ペーパー用油中分散粒子として使用することが可能であると本発明者は考えた。一方で、電子ペーパー用の分散媒は絶縁性の疎水性液体であり、極性を持つエステル基を多数有するポリエステル樹脂を適切な粒径を持つ粒子として、分散媒中に安定化させる必要がある。
本発明の油中分散粒子は、炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を特定量有する非晶性ポリエステル樹脂を含有する。酸変性物Aによりポリエステル樹脂中に導入された炭素数2以上8以下のα-オレフィン重合体部位が、疎水性が高く、分散媒である絶縁性液体と親和性が高いため、ポリエステル樹脂を適度な粒径を持つ粒子として、分散媒中に安定化する。電子ペーパー用分散媒中で安定に粒子化されたポリエステル樹脂は、帯電保持能力に優れるため、帯電が均一安定化され、優れた電気泳動性を発揮できると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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