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公開番号2025099842
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023216794
出願日2023-12-22
発明の名称鉄化合物と糸状菌エンドファイトを含む資材、植物の生育を促進する方法、及び植物から得られる作物を生産する方法
出願人セトラスホールディングス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A01N 63/30 20200101AFI20250626BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植物の生育を促進するための新規な手段の提供。
【解決手段】本発明は、鉄化合物と糸状菌エンドファイトを含む資材であって、前記糸状菌エンドファイトが、フザリウム属(Fusarium sp.)及びレカニシリウム属(Lecanicillium sp.)からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、資材、並びにそれを用いた植物の生育方法及び植物から得られる作物を生産する方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
鉄化合物と糸状菌エンドファイトを含む資材であって、
前記糸状菌エンドファイトが、フザリウム属(Fusarium sp.)及びレカニシリウム属(Lecanicillium sp.)からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、資材。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記鉄化合物が3価の鉄化合物である、請求項1に記載の資材。
【請求項3】
前記鉄化合物の含有量が、前記資材の10~50,000ppmである、請求項1に記載の資材。
【請求項4】
前記糸状菌エンドファイトがシデロフォアを産生する、請求項1に記載の資材。
【請求項5】
前記糸状菌エンドファイトがインドール-3-酢酸を産生する、請求項1に記載の資材。
【請求項6】
さらに、不溶性リン酸及び/又はク溶性リン酸を含む原材料を含む、請求項1に記載の資材。
【請求項7】
前記原材料が、汚泥の焼成物である、請求項6に記載の資材。
【請求項8】
前記糸状菌エンドファイトが乾燥固体培養物の粉砕物であり、体積粒度分布における累積50%粒子径(D
50
)が100~900μmであり、累積90%粒子径(D
90
)が1000~5000μmである、請求項1に記載の資材。
【請求項9】
植物の生育を促進する方法であって、
植物の根圏又はその周辺環境の鉄化合物に糸状菌エンドファイトを接触させること
を含み、
前記糸状菌エンドファイトが、フザリウム属(Fusarium sp.)及びレカニシリウム属(Lecanicillium sp.)からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、方法。
【請求項10】
前記植物の根圏又はその周辺環境の不溶性リン酸及び/又はク溶性リン酸に前記糸状菌エンドファイトを接触させることを含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄化合物と糸状菌エンドファイトを含む資材、植物の生育を促進する方法、及び植物から得られる作物を生産する方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
植物は空気及び土壌から無機栄養素を吸収し、それらを太陽光のエネルギーを利用して有機物へ変換したり、代謝反応等で利用しながら成長する。
【0003】
植物の生育に必須な栄養素(元素)のうち、鉄(Fe)は、植物の要求量が小さいため、微量必須元素に分類される。鉄は、植物を含む生物において、DNAなどの核酸合成やエネルギー産生及び各種の酵素反応に必須な元素である。そのため、鉄は生命活動の維持に不可欠な元素である。しかしながら、植物は一度土地に根付くと移動することができないため、根付いた場所の土壌中から生育に必要な栄養素を優先的に取り込む機構が必要となる。
【0004】
中性又はアルカリ性の土壌において、鉄は3価の鉄(Fe
3+
)として存在する。3価の鉄(Fe
3+
)は水に溶けにくいため、中性又はアルカリ性の土壌では、植物への鉄の吸収が著しく阻害される。イネ科植物の中には、シデロフォアと呼ばれる3価の鉄(Fe
3+
)と強力に結合する分子を分泌するものが存在する。シデロフォアは3価の鉄(Fe
3+
)に対して高い親和性を有しており、3価の鉄(Fe
3+
)と錯体を形成するキレート剤として作用する。3価の鉄(Fe
3+
)は、シデロフォアとの錯体を形成した結果可溶化し、根から吸収されて植物に取り込まれる。
【0005】
微生物の中にもシデロフォアを産生するものが存在しており、糸状菌エンドファイトとして植物宿主と共生しているものが報告されている(非特許文献1)。
【0006】
糸状菌エンドファイトとは、内生菌とも呼ばれ、植物宿主の体内で生息し共生することにより生長促進、ストレス耐性の増大等の利益を宿主にもたらす糸状菌をいう(特許文献1)。糸状菌エンドファイトの中には、土壌中において、不溶性リン酸やク溶性リン酸(クエン酸中など酸性条件下で溶解するリン酸)を、植物の根から吸収可能とする水溶性リン酸へと変換するリン酸可溶化能を有する糸状菌も報告されている(非特許文献2及び3)。また、土壌中に存在し、植物の成長に悪影響を与える重金属(例えば、カドミウム)と吸着することで、植物へのその取り込みを減少させる糸状菌も報告されている(非特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2018-174708号公報
【非特許文献】
【0008】
Chowdappa, S. et al., Detection and characterization of antibacterial siderophores secreted by endophytic fungi from Cymbidium aloifolium. Biomolecules. (2020), 10(10):1412.
Milani R., et al. Bacillus subtilis isolates with different abilities to promote plant growth in maize, cotton and soybean crops isolation and characterization of bacterial strains. Asian Jr. of Microbiol. Biotech. Env. Sc.(2019), Vol.21, No.(4): 827-836
Kumer, P. et al., Seed bio-priming with tri-species consortia of phosphate solubilizing rhizobacteria (PSR) and its effect on plant growth promotion. Heliyon.(2020), Volume 6, issue 12, e05701.
Joner, E. J., et al., (2000) Metal-binding capacity of arbuscular mycorrhizal mycelium. (2000) Plant and Soil volume 226:227-234
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、植物の根圏又はその周辺環境の鉄化合物を可溶化して、植物の生育を促進するための新規な手段の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は鋭意検討の結果、植物の根圏又はその周辺環境の鉄化合物を可溶化する作用を発揮し、植物の生育を促進する新たな糸状菌エンドファイトを見出し、以下の発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)

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