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公開番号2025092789
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2025063346,2023149791
出願日2025-04-07,2020-06-18
発明の名称地盤注入用薬液、その製造方法及び地盤注入硬化方法
出願人名古屋カレット株式会社
代理人個人,個人
主分類C09K 17/12 20060101AFI20250612BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】地盤中に薬液を注入して該地盤を硬化させるための地盤注入用薬液、その製造方法及び地盤注入硬化方法を提供する。
【解決手段】A液として水ガラス及び可溶性アルカリ物質の水溶液と、B液としてスラグ懸濁液の組成を有し、次の(a)、(b)、(c)の条件を満たすことを特徴とする地盤注入用薬液:
該地盤注入用薬液1L当たり、
(a)3.5>[SiO2]>0.3
(b)2.5>[SiO2]/[Na2O]>1.7
(c)5>[CaO]>0.3
を用いる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
地盤中に薬液を注入して該地盤を硬化させるための地盤注入用薬液であって、A液として水ガラス及びゲルタイム短縮剤としての可溶性アルカリ物質の水溶液と、B液としてスラグ懸濁液の組成を有し、次の(a)、(b)、(c)の条件を満たすことを特徴とする地盤注入用薬液:
該地盤注入用薬液1リットル当たり、
(a)3.5>[SiO

]>0.3
(b)2.5>[SiO

]/[Na

O]>1.7
(c)5>[CaO]>0.3
ここで[SiO

]は水ガラス中のSiO

のモル濃度と可溶性アルカリ物質中のSiO

の合計のモル濃度、[Na

O]は水ガラス中のNa

Oのモル濃度と可溶性アルカリ物質をNa

O換算した合計のモル濃度、[CaO]はスラグ中のCaOのモル濃度をそれぞれ表し、
前記可溶性アルカリ物質は、結晶性ケイ酸ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、セスキケイ酸ソーダ、又は苛性アルカリの1以上である。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記可溶性アルカリ物質は、結晶性ケイ酸ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、又はセスキケイ酸ソーダの1以上である請求項1記載の地盤注入用薬液。
【請求項3】
前記スラグのブレーン値が8000cm

/g以上の請求項1又は2記載の地盤注入用薬液。
【請求項4】
液状化防止または礫層注入に使用する請求項1~3のいずれかに記載の地盤注入用薬液。
【請求項5】
ゲル化時間が、0.5時間以上の範囲又は1時間以上の範囲で調節可能である請求項1~4のいずれかに記載の地盤注入用薬液。
【請求項6】
地盤中に薬液を注入して該地盤を硬化させるための地盤注入用薬液の製造方法であって、
A液として水ガラス及びゲルタイム短縮剤としての可溶性アルカリ物質の水溶液と、B液としてスラグ懸濁液の組成を有する地盤注入用薬液を、次の(a)、(b)、(c)の条件を満たすよう夫々調製すること:
該地盤注入用薬液1リットル当たり、
(a)3.5>[SiO

]>0.3
(b)2.5>[SiO

]/[Na

O]>1.7
(c)5>[CaO]>0.3
ここで[SiO

]は水ガラス中のSiO

のモル濃度と可溶性アルカリ物質中のSiO

の合計のモル濃度、[Na

O]は水ガラス中のNa

Oのモル濃度と可溶性アルカリ物質をNa

O換算した合計のモル濃度、[CaO]はスラグ中のCaOのモル濃度をそれぞれ表し、
前記可溶性アルカリ物質は、結晶性ケイ酸ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、セスキケイ酸ソーダ、又は苛性アルカリの1以上であること
を特徴とする地盤注入用薬液の製造方法。
【請求項7】
前記可溶性アルカリ物質は、結晶性ケイ酸ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、又はセスキケイ酸ソーダの1以上である請求項6記載の地盤注入用薬液の製造方法。
【請求項8】
前記スラグのブレーン値が8000cm

/g以上である請求項6又は7記載の地盤注入用薬液の製造方法。
【請求項9】
ゲル化時間を、0.5時間以上の範囲又は1時間以上の範囲で調節する請求項6~8のいずれかに記載の地盤注入用薬液の製造方法。
【請求項10】
地盤中に薬液を注入して該地盤を硬化させるための地盤注入硬化方法であって、
A液として水ガラス及びゲルタイム短縮剤としての可溶性アルカリ物質の水溶液と、B液としてスラグ懸濁液の組成を有する地盤注入用薬液を、次の(a)、(b)、(c)の条件を満たすよう準備する工程:
該地盤注入用薬液1リットル当たり、
(a)3.5>[SiO

]>0.3
(b)2.5>[SiO

]/[Na

O]>1.7
(c)5>[CaO]>0.3
ここで[SiO

]は水ガラス中のSiO

のモル濃度と可溶性アルカリ物質中のSiO

の合計のモル濃度、[Na

O]は水ガラス中のNa

Oのモル濃度と可溶性アルカリ物質をNa

O換算した合計のモル濃度、[CaO]はスラグ中のCaOのモル濃度をそれぞれ表し、
前記可溶性アルカリ物質は、結晶性ケイ酸ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、セスキケイ酸ソーダ、又は苛性アルカリの1以上である、
A液、B液を混合して地盤に注入する工程
を含むことを特徴とする地盤注入硬化方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
[関連出願の記載]
本願は特願2023-149791の分割出願であり、特願2023-149791は特願2020-105564(令和2年6月18日出願)の分割出願である。本願の親となる各上記出願は引用をもって、本書に繰込み記載されているものと見做される。
本発明は地盤注入用薬液、その製造方法及び地盤注入硬化方法に関する。地盤の強化や止水を図るため、地盤中に薬液を注入して該地盤を硬化させることが行われる。特に地震による地盤の液状化防止にも薬液注入が行われる。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、上記のような地盤改良剤ないし地盤注入硬化方法として、高炉スラグと水酸化アルカリを用いたものとして特許文献1、スラグを主成分とし水ガラスを用いたものとしては、特許文献2、特許文献3等がある。その他スラグと水ガラスを用いたものには、特許文献4、特許文献5がある。また、水ガラスを用いないものとしては特許文献6がある。
【0003】
通常のモル比の水ガラスを使用する場合、液状化防止等に使用するような時間単位の長いゲルタイムは得られない。そのため特許文献3ではSiO

/Na

Oのモル比が1.45以下であり、遅延剤として炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムの群から選ばれた一種または二種以上のゲル化遅延剤が添加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平4-293994
特開平7-119138
特開平7-127047
特開平9-263759
特開平9-316449
特開平11-293244
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献の開示内容は引用をもって、本書に繰込み記載されているものとする。
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
例えば、特許文献4では、アルミン酸ソーダを用いて、10分~35分、又は、さらに重炭酸ソーダを用いて33~57分のゲル化時間が実施例として示されている。しかしアルミン酸ソーダは2019年に劇物指定となり、少量であっても使用できないという問題がある。
【0006】
特許文献3においては、上述の遅延剤特に重炭酸ソーダは、水とスラグと配合直後は水ガラス希釈液と混合したゲルタイムを遅延させるに有効ではあるけれども、配合してから時間経過とともにB液であるスラグと遅延剤が反応し、A液である水ガラスと混合した時のゲルタイムが遅延し、B液の煉り置き数時間後には硬化しなくなる。そのためB液の調製後、速やかにA液との混合注入を完了しなければならないという問題がある。
【0007】
また、水ガラスとスラグと、ゲル化時間調整剤としてアルカリ剤であるアルミン酸アルカリからなるものとしては特許文献4、特許文献5等がある。しかし、アルミン酸ソーダは劇物指定となり、使用できないことは既述のとおりである。
【0008】
そのため特許文献6では水ガラスを使用せずスラグの潜在水硬性を消石灰で刺激することによって長いゲルタイムを得ている。しかし水ガラスを使用しないため粘度の立ち上がりが非常に悪く、ゲルタイムが不安定であり、実用上問題がある。またスラグと同等のミクロンオーダーの微粒子消石灰を使用しているが、消石灰は凝集性が非常に強く界面活性剤を用いても完全に分散させることができない。その結果浸透阻害を起こして細砂に浸透できないという問題がある。
【0009】
水ガラスとスラグと、アルカリ剤としてアルミン酸アルカリを用いる注入薬液は、アルミン酸ソーダが、2019年に劇物指定となって使用できなくなった。そのためにそれに代わるものとして劇物を用いないで同等以上の性能を有する地盤注入用薬剤及び地盤注入硬化方法が求められている。
【0010】
本発明は、その一視点において、懸濁物質としてはスラグを主体とし、水ガラスを使用しても(特に1時間オーダの)長いゲルタイムが調整可能な、液状化防止にも安心して(即ち、劇物を使用することなく)使用できる地盤注入用薬液を提供することを目的とする。本発明は他の一視点において、同様な地盤注入硬化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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