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公開番号2025091536
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023206791
出願日2023-12-07
発明の名称樹脂組成物、硬化物及び積層体
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08L 83/10 20060101AFI20250612BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 LiDARシグナルを吸収せずに近赤外線(NIR)を透過するペリレンブラック顔料において、樹脂への分散性が良く、黒色の発色による隠蔽性や、塗料塗布・乾燥後における紫外線(UV)硬化性(短時間硬化性)に優れた樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】 無機微粒子複合体(M)とペリレンブラック顔料とを含有する樹脂組成物であって、前記無機微粒子複合体(M)が、複合樹脂(A)と無機微粒子(m)とからなり、前記複合樹脂(A)が、重合性二重結合を有する基またはエポキシ基を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とを含み、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有し、前記無機微粒子複合体(M)では、前記ポリシロキサンセグメント(a1)とシロキサン結合を介して結合しており、前記複合樹脂(A)と、前記無機微粒子(m)とが下記一般式(4)で表される結合により結合している、樹脂組成物。
(式中の説明は、本明細書に記載のとおりである)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
無機微粒子複合体(M)とペリレンブラック顔料とを含有する樹脂組成物であって、
前記無機微粒子複合体(M)が、複合樹脂(A)と無機微粒子(m)とからなり、
前記複合樹脂(A)が、重合性二重結合を有する基またはエポキシ基を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とを含み、
前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有し、
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36
59
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2025091536000024.tif
36
59
(一般式(1)及び(2)中、R
1
、R
2
及びR
3
は、それぞれ独立して、-R
4
-CH=CH
2
、-R
4
-C(CH
3
)=CH
2
、-R
4
-O-CO-C(CH
3
)=CH
2
、及び-R
4
-O-CO-CH=CH
2
、または下記式(3)で表される基からなる群から選ばれる重合性二重結合を有する基(但し、R
4
は単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を表す))
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2025091536000025.tif
23
72
(一般式(3)中、n1は1から5で表される整数であり、構造Qは、-CH=CH
2
または-C(CH
3
)=CH
2
いずれかを表す)
前記無機微粒子複合体(M)では、前記ポリシロキサンセグメント(a1)とシロキサン結合を介して結合しており、
前記複合樹脂(A)と、前記無機微粒子(m)とが下記一般式(4)で表される結合により結合している、樹脂組成物。
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69
(一般式(4)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記無機微粒子(m)が、シリカである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ペリレンブラック顔料が、下記式(I)、(II)、又は(III)で表される黒色顔料、ペリレンテトラカルボン酸のジイミド誘導体、ペリレンジイミノジカルボン酸のジイミド誘導体を焼成処理して得られた黒色ペリレン系顔料、下記式(VI)、又は(V)で表される異性体の1種又は2つの異性体の混合物を含有する黒色顔料である請求項1記載の樹脂組成物。
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2025091536000027.tif
99
105
(式(I)中、R
5
およびR
6
は、それぞれ同一で、それぞれブチル基、フェニルエチル基、メトキシエチル基、4-メトキシフェニルメチル基、3,5-ジメチルフェニル基を示し、式(II)及び(III)中、R
7
およびR
8
は同一または異なっていてもよく、それぞれフェニレン基、アルキルフェニレン基、アルコキシフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、ハロゲン化フェニレン基、ピリジンジイル基、アルキルピリジンジイル基、アルコキシピリジンジイル基、ハロゲン化ピリジンジイル基およびナフタレンジイル基を示し、それぞれ芳香族環の隣接した位置で結合している。)
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94
107
(式(IV)及び(V)中、R
9
、R
10
は互いに独立にフェニレン、ナフチレンまたはピリジレンであり、これらはそれぞれ炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ニトロおよび/またはハロゲンにより一置換または多置換されていてもよく、Xはハロゲンであり、n2は0~4の整数である)
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むインクおよび塗料。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の樹脂組成物を含む硬化物。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化物の塗膜を有する積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、当該樹脂組成物の硬化物及び当該硬化物の塗膜を有する積層体に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
黒色顔料は、一般的に塗料、印刷インキ、プラスチック、ガラス、皮革またはその他のほかの材料を黒く着色するために用いられている。黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化鉄ブラック、酸化クロムブラックまたは三色性着色剤混合物が知られている。これらの黒色顔料は、一般的に、紫外線から遠赤外線まで、すなわち太陽の赤外線および熱放射線の波長を有する光を吸収するという性質を有しているため、太陽光の照射で大きく加熱されるという問題がある。
【0003】
上記のように大きく加熱されることは自動車分野など車体塗料、特に省エネが重視される電気自動車において、冷房効率に影響を及ぼすなど、大きな問題となる。更に自動車では、近年LiDARセンサーと呼ばれる、前方を走行する自動車との距離を測ったり、障害物を高精度に検知したりするために、レーザー光が用いられているが、黒色顔料がLiDARシグナル(905nmと1550nm)をも吸収してしまうため、自動運転車の眼ともいわれるLiDARセンサーが十分に機能しないことが懸念される。
【0004】
上記の事情があり、自動車分野など車体に用いられる黒色顔料としては、LiDARシグナル(905nmと1550nm)を吸収しにくい近赤外線(NIR)を透過するペリレンブラック顔料が使用されている。しかし、ペリレンブラック顔料は、樹脂との分散性に課題がある。例えば、下記特許文献1では、2つの異性体の混合物を含有する黒いペリレン顔料が用いられている。下記特許文献2では、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料としては、アゾ系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック等の有機顔料や複合酸化物顔料が用いられている。下記特許文献3では、ベンゾジフラノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アゾ系黒色顔料およびそれらの異性体からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機黒色顔料を含む核と、シリカ、金属酸化物および/または金属水酸化物を含む被覆層とを有する黒色顔料が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2007-522297号公報
特開2014-210856号公報
国際公開第2018/038083号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記特許文献1-3のペリレンブラックを用いた黒色顔料について検討したところ、黒色顔料の樹脂への分散性が悪いことが分かった。また、黒色の発色による隠蔽性や、塗料塗布・乾燥後における紫外線(UV)硬化性にも問題があることが分かった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、LiDARシグナルを吸収せずに近赤外線(NIR)を透過するペリレンブラック顔料において、樹脂への分散性が良く、黒色の発色性や、塗料塗布・乾燥後における紫外線(UV)硬化性(短時間硬化性)に優れた樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、不飽和二重結合をもつポリシロキサン/コロイダルシリカ/アクリル樹脂からなる特定の無機微粒子複合体を分散用樹脂として用いることで、特別な分散剤を使用することなく、安定的にペリレンブラック顔料を分散でき、発色による隠蔽性や短時間硬化性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、以下の発明に関するものである。
[1] 無機微粒子複合体(M)とペリレンブラック顔料とを含有する樹脂組成物であって、前記無機微粒子複合体(M)が、複合樹脂(A)と無機微粒子(m)とからなり、前記複合樹脂(A)が、重合性二重結合を有する基またはエポキシ基を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とを含み、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有し、
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2025091536000001.tif
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(一般式(1)及び(2)中、R
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、R
2
及びR
3
は、それぞれ独立して、-R
4
-CH=CH
2
、-R
4
-C(CH
3
)=CH
2
、-R
4
-O-CO-C(CH
3
)=CH
2
、及び-R
4
-O-CO-CH=CH
2
、または下記式(3)で表される基からなる群から選ばれる重合性二重結合を有する基(但し、R
4
は単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を表す))
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72
(一般式(3)中、n1は1から5で表される整数であり、構造Qは、-CH=CH
2
または-C(CH
3
)=CH
2
いずれかを表す)
前記無機微粒子複合体(M)では、前記ポリシロキサンセグメント(a1)とシロキサン結合を介して結合しており、
前記複合樹脂(A)と、前記無機微粒子(m)とが下記一般式(4)で表される結合により結合している、樹脂組成物。
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23
70
(一般式(4)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
[2] 前記無機微粒子(m)が、シリカである[1]記載の樹脂組成物。
[3] 前記ペリレンブラック顔料が、下記式(I)、(II)、又は(III)で表される黒色顔料、ペリレンテトラカルボン酸のジイミド誘導体、ペリレンジイミノジカルボン酸のジイミド誘導体を焼成処理して得られた黒色ペリレン系顔料、下記式(VI)、又は(V)で表される異性体の1種又は2つの異性体の混合物を含有する黒色顔料である[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
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100
105
(式(I)中、R
5
およびR
6
は、それぞれ同一で、それぞれブチル基、フェニルエチル基、メトキシエチル基、4-メトキシフェニルメチル基、3,5-ジメチルフェニル基を示し、式(II)及び(III)中、R
7
およびR
8
は同一または異なっていてもよく、それぞれフェニレン基、アルキルフェニレン基、アルコキシフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、ハロゲン化フェニレン基、ピリジンジイル基、アルキルピリジンジイル基、アルコキシピリジンジイル基、ハロゲン化ピリジンジイル基およびナフタレンジイル基を示し、それぞれ芳香族環の隣接した位置で結合している。)
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(式(IV)及び(V)中、R
9
、R
10
は互いに独立にフェニレン、ナフチレンまたはピリジレンであり、これらはそれぞれ炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ニトロおよび/またはハロゲンにより一置換または多置換されていてもよく、Xはハロゲンであり、n2は0~4の整数である)。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むインクおよび塗料。
[5] [1]~[3]のいずれか1項記載の樹脂組成物を含む硬化物。
[6] [5]に記載の硬化物の塗膜を有する積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、ペリレンブラック顔料を用いているため、LiDARシグナルを吸収せずに近赤外線(NIR)を透過できる。また、特定のMFG樹脂を用いているため分散性が良く、黒色の発色性や、塗料塗布・乾燥後における紫外線(UV)硬化性(短時間硬化性)に優れる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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