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公開番号2025089277
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-12
出願番号2024206737
出願日2024-11-27
発明の名称α-1,3-グルカン結合ポリペプチド、α-1,3-グルカンの検出方法、α-1,3-グルカン検出キット、組換え微生物または細胞
出願人学校法人東京薬科大学
代理人個人
主分類C12N 9/26 20060101AFI20250605BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】α-1,3-グルカンの切断活性を持たず、かつ、α-1,3-グルカンに対する特異的結合活性に優れたα-1,3-グルカン結合ポリペプチドを提供すること。
【解決手段】α-1,3-グルカン結合ポリペプチドは、GH87型酵素に属する野生型α-1,3-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列Wに含まれる以下の2つのモチーフ配列、配列番号11:ADXXN(Xは任意のアミノ酸を表す)、および、配列番号12:RXXGDD(Xは任意のアミノ酸を表す)における3つのアスパラギン酸(D)のうちの少なくともいずれかが、他のアミノ酸に置換されており、かつ、前記アミノ酸配列Wと配列同一性が80%以上である、アミノ酸配列からなる。
【選択図】図2A
特許請求の範囲【請求項1】
α-1,3-グルカン分解活性を示さず、かつ、α-1,3-グルカンとの特異的結合活性を有し、
GH87型酵素に属する野生型α-1,3-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列Wに含まれる以下の2つのモチーフ配列、
配列番号11:ADXXN(Xは任意のアミノ酸を表す)、および、
配列番号12:RXXGDD(Xは任意のアミノ酸を表す)
における3つのアスパラギン酸(D)のうちの少なくともいずれかが、他のアミノ酸に置換されており、かつ、
前記アミノ酸配列Wと配列同一性が80%以上である、
アミノ酸配列を含む、
α-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記他のアミノ酸は、メチオニン(M)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、バリン(V)、トリプトファン(W)、アスパラギン(N)、アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン(Q)、セリン(S)、プロリン(P)、スレオニン(T)、リジン(K)のうちの1~3種である、
請求項1のα-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項3】
前記アミノ酸配列Wが、配列番号1~10で表されるアミノ酸配列のうちのいずれかである、
請求項1のα-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項4】
試験検体と、請求項1から3のいずれかのα-1,3-グルカン結合ポリペプチドを含む試薬とを接触させる工程を含む、
α-1,3-グルカンの検出方法。
【請求項5】
前記α-1,3-グルカンは、3以上のグルコースから構成されるポリマーである、請求項4のα-1,3-グルカンの検出方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかのα-1,3-グルカン結合ポリペプチドを含む試薬を有する、
α-1,3-グルカン検出キット。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかのα-1,3-グルカン結合ポリペプチドをコードする塩基配列を含む、組換え微生物または細胞。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、α-1,3-グルカン分解活性を示さず、かつ、α-1,3-グルカンとの特異的結合活性を有するα-1,3-グルカン結合ポリペプチド、このα-1,3-グルカン結合ポリペプチドを使用したα-1,3-グルカンの検出方法、α-1,3-グルカン検出キット、組換え微生物または細胞に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
α-1,3-グルカンは、グルコースがα-1,3-結合により連結した多糖である。一般的に、水に対して不溶性のポリマーとして知られており、真菌の細胞壁構成多糖として、あるいは細菌類の菌体外多糖として存在する。近年では、α-1,3-グルカンおよびその誘導体の商業的な利用方法も検討されている。
【0003】
また、哺乳類の口腔内に存在するStreptococcus属細菌などは、ショ糖を原料として菌体外でα-1,3-グルカンを合成する。口腔内においてα-1,3-グルカンは、粘着性の多糖体(ムタン)を構成する不溶性ポリマーとして広く認識されている。
【0004】
その他、α-1,3-グルカンは、キノコやカビ、酵母など真菌の細胞壁を構成する多糖としても知られている。特に、植物に感染する真菌類において、α-1,3-グルカンは宿主免疫系の活性化を阻害する働きをもち、感染時に重要な役割を果たしている。
【0005】
また、例えば、アスペルギルス属真菌の菌体外多糖の中には、α-1,3-グルカンが存在していることが知られている(非特許文献1)。α-1,3-グルカンは、ヒトが合成しない多糖であることから、深在性真菌症のバイオマーカーとして利用できる可能性がある。さらに、ヒトに感染する病原性真菌のうち、ヒストプラズマ症、パラコクシジオイデス症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症の原因真菌や、クリプトコックス属真菌、トリコスポロン属真菌、Schizophyllum属真菌(スエヒロタケ)などについても、細胞壁にα-1,3-グルカンが存在するとされる。
【0006】
また、未精製検体に含まれるα-1,3-グルカンを検出・定量するキットを提供するためには、試薬が、α-1,3-グルカンに対して特異的に結合できる分子を含むことが要求される。これまでに、α-1,3-グルカンに結合する分子として、例えば抗体(マウスIgM:MOPC104e)(例えば、非特許文献2)、レクチン(バナナ由来BanLec)(例えば、非特許文献3)、糖鎖結合モジュール(CBM6)(例えば、非特許文献4)などが報告されている。これらの分子の一部は、真菌の細胞壁α-1,3-グルカンを検出するために利用することができる。
【0007】
また、一部のα-1,3-グルカナーゼ(EC 3.2.1.59)のα-1,3-グルカン結合モジュールを利用して、α-1,3-グルカンを検出する試みもなされている。α-1,3-グルカナーゼ(EC 3.2.1.59)は、グリコシドヒドロラーゼ(GH)分類により、GH71型酵素とGH87型酵素に分けることができる。いずれに属する酵素も、α-1,3-グルカン分解活性を持つ触媒ドメイン(Catalytic domain:以下「CatD」と記載する場合がある)を有し、さらに、α-1,3-グルカンとの結合活性をもつ糖質結合モジュール(Carbohydrate binding Module:CBM)を持つ酵素も多数存在する。
【0008】
α-1,3-グルカナーゼ(EC 3.2.1.59)においては、糖質結合モジュール(Carbohydrate binding Module:CBM)を含む領域がα-1,3-グルカン結合活性を担うものであり、触媒ドメインはα-1,3-グルカン結合活性を持たないと認識されており、α-1,3-グルカンの検出にCBMを利用した方法が開発されている。具体的には、例えば、蛍光分子を融合発現させたα-1,3-グルカナーゼCBM(AglKA-DS1CB6DS2、配列番号14に相当)はアスペルギルス菌体の細胞壁に存在するα-1,3-グルカンの検出に利用できることが知られている(非特許文献5)。
【0009】
技術
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Med Mycol J. 2017;58(4):E121-E129. doi: 10.3314/mmj.17-00010.
Biochemistry. 1970 Feb 17;9(4):1023-30. doi: 10.1021/bi00806a043.
Biomolecules. 2021 Jan 28;11(2):180. doi: 10.3390/biom11020180.
Biosci Biotechnol Biochem. 2013;77(3):639-47. doi: 10.1271/bbb.120900.
Microbiol Spectr. 2022;10(1):e0006321. doi: 10.1128/spectrum.00063-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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