TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025089101
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-12
出願番号2023204093
出願日2023-12-01
発明の名称電気化学セル及びその製造方法
出願人ポーライト株式会社,国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人個人,個人,個人
主分類H01M 8/1226 20160101AFI20250605BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】構造安定性及び電気化学セル性能に優れた電気化学セル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の電気化学セル(1)は、空気極(2)、固体電解質層(4)、燃料極(6)及び多孔質層(8)をこの順に備え、多孔質層(8)は、Cr及びFeを含む合金からなり、空隙率が15~50%であり、空孔径(円相当径の平均)が5~50μmである。固体電解質層(4)は、Sc、Y、Yb及びCeから選ばれた少なくとも1種の安定化元素を含む安定化ジルコニアを含有することが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
空気極、固体電解質層、燃料極及び多孔質層をこの順に備える電気化学セルであって、
前記多孔質層は、Cr及びFeを含む合金からなり、空隙率が15~50%であり、空孔径(円相当径の平均)が5~50μmであることを特徴とする、電気化学セル。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記固体電解質層が、Sc、Y、Yb及びCeから選ばれた少なくとも1種の安定化元素を含む安定化ジルコニアを含有する請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学セルを製造する方法であって、
Cr及びFeを含む合金粒子部の連結構造体からなり、空隙率が50~80%である多孔質金属板の表面に、燃料極用膜を形成又は載置し、第1積載体を作製する第1積載体作製工程と、
前記燃料極用膜の表面に、固体電解質層用膜を形成又は載置し、第2積載体を作製する第2積載体作製工程と、
前記第2積載体を熱処理し、前記燃料極用膜及び前記固体電解質層用膜を共焼結し、前記多孔質金属板に由来する多孔質層、燃料極及び固体電解質層からなる一体化物(A)を作製する第1焼結工程と、
前記固体電解質層の表面に、空気極用膜を形成又は載置し、第3積載体を作製する第3積載体作製工程と、
前記第3積載体を熱処理し、前記空気極用膜を前記固体電解質層に接合させる空気極形成工程とを、順次、備えることを特徴とする、電気化学セル製造方法。
【請求項4】
前記第1焼結工程の後、前記一体化物(A)における前記固体電解質層の表面に、Sc、Y、Yb及びCeから選ばれた少なくとも1種の安定化元素を含む安定化ジルコニアを含有し、平均粒子径が150nm以下である電解質粒子の分散液を塗工し、乾燥させ、更に熱処理し、前記固体電解質層を緻密化する請求項3に記載の電気化学セル製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属支持セル型の固体酸化物形燃料電池又は固体酸化物形電解セルとすることができる電気化学セル及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
固体酸化物形電気化学セルとして、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セルが知られている。このうち、固体酸化物形燃料電池は、酸素イオン伝導性固体酸化物を含む固体電解質層と、この電解質層の両面側に、互いに対向する状態で配置された燃料極及び空気極とからなる3層型の発電セルを備え、燃料極に水素等の燃料ガスを供給し、一方、空気極に空気等の酸化性ガスを供給して、電気化学反応に基づいて直流電力を発生させるものである。
【0003】
このような燃料電池においては、近年、燃料極を介して、発電セルを、気体透過性及び電気伝導性を有する金属支持部(メタルサポート部)により支持した金属支持セル型固体酸化物形燃料電池が知られている。
【0004】
特許文献1には、電解質層を、電極層を介して金属支持層に固着したメタルサポートセルと、前記メタルサポートセルの周囲を囲曉する金属フレームと、を有し、前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、前記金属フレームは、前記電解質層に焼結結合され、前記金属フレームの線膨張率は、前記金属支持層の線膨張率と同程度である、メタルサポートセルの支持構造が開示されている。
【0005】
特許文献2には、全体として板状に形成されて電極層が設けられる表側面から裏側面に貫通する複数の貫通孔を有する金属支持体であって、貫通孔として、厚み方向に対して中心軸が傾斜している傾斜貫通孔を有する金属支持体が開示されている。また、この金属支持体の表側面に、電極層と電解質層と対極電極層とを設けて構成された電気化学素子が開示されている。
【0006】
特許文献3には、金属支持体と、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と上記固体電解質層の一方面側に積層された第1電極と上記固体電解質層の他方面側に積層された第2電極とを備えるセル部と、上記金属支持体と上記セル部の上記第1電極とを接合する接合層と、を有しており、上記接合層は、上記金属支持体を構成する少なくとも1つの金属元素である金属支持体構成元素と上記第1電極を構成する少なくとも1つの金属元素である第1電極構成元素とを含む合金、および、上記金属支持体構成元素と上記第1電極構成元素とを含む金属酸化物のうち、少なくとも1つを含む、電気化学セルが開示されている。
【0007】
また、例えば、金属支持体に燃料極を形成する方法として、焼成法(例えば、1100℃程度で焼成処理を適用する湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法、エアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジション法、パウダージェットデポジション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法等)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法等)、CVD法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2020-21646号公報
特開2021-163655号公報
特開2023-3622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属支持体(層)の機械的強度が高いと、金属支持セル型固体酸化物形電気化学セルのそれも高くなるが、1面側から他面側への通気性及び電気化学的性能を考慮すると、空隙率の下限も限定される。更に、焼成法により電気化学セルを製造するために、製造資材として、厚さ方向(断面方向)に通気性を有する金属板を用い、これに燃料極用膜及び固体電解質層用膜を載置し、この積載体を熱処理(共焼結)すると、収縮することがあり、空隙率が低下して金属支持体(層)の強度は向上する一方、通気性が低下することがあり、得られる金属支持セル型固体酸化物形電気化学セルの性能及び構造安定性の観点から、共焼結により、高い強度を持ちつつ通気性が良好な金属支持体(層)が形成されることが好ましいとされる。
【0010】
本発明の目的は、金属製多孔質層、燃料極、固体電解質層及び空気極を備える、金属支持セル型固体酸化物形燃料電池及び金属支持セル型固体酸化物形電解セルに代表される金属支持セル型の電気化学セルであって、構造安定性及び電気化学セル性能に優れた電気化学セル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許