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公開番号
2025089080
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-12
出願番号
2023204059
出願日
2023-12-01
発明の名称
ルテニウムナノ粒子触媒の製造方法、シリル基含有化合物の製造方法、及びシリル基含有化合物
出願人
株式会社カネカ
代理人
主分類
B01J
31/22 20060101AFI20250605BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】アリル基含有化合物の分子量に依らず、効率良くシリル基を導入することができるシリル基含有化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】配位子(B)を有するルテニウムナノ粒子触媒(A)をヒドロシリル化反応触媒として使用する。または、配位子として配位子(B)を有さないルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)と、配位子(B)を混合してヒドロシリル化反応触媒を構成する。配位子(B)は、一分子中に少なくとも1個以上の炭素-炭素二重結合を有し、かつ、炭素-炭素二重結合を形成する炭素原子のうち、少なくとも1個以上の炭素原子にハロゲノ基が結合している。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)を製造する際に、ヒドロシリル化触媒として使用するルテニウムナノ粒子触媒(A)の製造方法であって、
ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱してルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を製造する工程1;及び
前記ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)に、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)を配位させてルテニウムナノ粒子触媒(A)を製造する工程2;
を含む、製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記工程1において、前記ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)の粒子径を0.3~200nmに調整する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記配位子(B)が2,3-ジブロモノルボルナジエン、または1,3,5-トリブロモベンゼンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒がジメチルホルムアミドである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
ヒドロシリル化触媒としてルテニウムナノ粒子触媒(A)を用いる、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)の製造方法であって、
ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱してルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を製造する工程1;
前記ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)に、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)を配位させてルテニウムナノ粒子触媒(A)を製造する工程2;及び
前記ルテニウムナノ粒子触媒(A)と、アリル基含有化合物(C)と、ヒドロシラン化合物(D)とを混合し、ヒドロシリル化する工程3;
を含む、製造方法。
【請求項6】
前記ルテニウムナノ粒子触媒(A)の使用量が、アリル基含有化合物(C)に対して、前記ルテニウムナノ粒子触媒(A)由来のルテニウム元素の重量割合で、0.1~100ppmである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ヒドロシリル化触媒としてルテニウムナノ粒子触媒(A)を用いる、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)の製造方法であって、
ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱し、ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を調製する工程1;及び
前記ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)と、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)と、アリル基含有化合物(C)と、ヒドロシラン化合物(D)とを混合し、ヒドロシリル化する工程3’;を含む、製造方法。
【請求項8】
請求項5又は7の製造方法により製造された、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)。
【請求項9】
前記ルテニウムナノ粒子触媒(A)由来のルテニウム元素含有量が、0.1~10ppmである、請求項8に記載のシリル基含有化合物(E)。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテニウムナノ粒子触媒の製造方法、シリル基含有化合物の製造方法、及びシリル基含有化合物に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
ケイ素原子を有する有機重合体、特にケイ素原子上に水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成し得るシリル基(以下、「加水分解性シリル基」という)を有する有機重合体は、湿分反応性ポリマーとして知られている。これは、加水分解反応により硬化して、柔軟性を有するゴム状硬化物を形成することから、シーリング材や接着剤、コーティング材、塗料、粘着剤などの多くの工業製品で利用されている。
【0003】
このようなシリル基含有有機重合体を得る手段として、金属触媒存在下、アリル基含有有機重合体とヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応させる方法が採用されているが、該反応中に、1-プロペニル基(内部オレフィン)への異性化や、水素化などの副反応が起きることが知られている。具体的には、当該反応においてKarstedt触媒(白金ジビニルジシロキサン錯体)が広く用いられており、約20%程度上記の副反応が進行するために、シリル基の導入率には制限があった。その結果、得られる加水分解性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性組成物が硬化したゴム状硬化物は、そのモジュラス、引張強度等に向上の余地があった。
【0004】
一方、Karstedt触媒等の白金触媒以外にも、ヒドロシリル化に良好な活性を示す金属触媒が知られており、その一つとしてルテニウム触媒が挙げられる。特許文献1では、特定のルテニウム錯体の存在下でアリルエーテル化合物とヒドロシラン化合物を反応させることにより、対応するシリル化体を効率よく製造できることが報告されている。しかしながら、アリルエーテル化合物が高分子量である場合に副反応率が高くなり、シリル化体の選択性が低下するために、分子量3,000以下のシリル化体の製造に限定されていた。更には、使用する触媒が少ない場合に反応性が十分でなく、特に工業スケールで製造する場合に製造時間が長くなる等の課題があった。
【0005】
また、ヒドロシリル化に活性を示す金属触媒として、金属ナノ粒子触媒が知られている。例えば、白金ナノ粒子触媒又は白金ナノ粒子触媒と鉄ナノ粒子触媒との混合触媒、又は鉄元素含有ナノ粒子のみを利用し、有機ケイ素化合物を製造する方法が開示されている(特許文献2、特許文献3)。また、ルテニウムナノ粒子を利用し、有機ケイ素化合物を製造する方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、アリル基含有化合物とヒドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応において、これらの触媒を用いた場合では、アリル基含有化合物が高分子量である場合に、副反応率が高くなり、シリル化率を向上させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-11456号公報
国際公開第2018/131430号
特開2015-129103号公報
特開2021-123545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ヒドロシリル化反応により数平均分子量3,000超のシリル基含有化合物を製造する際に、末端に効率良くシリル基を導入することができる、ルテニウムナノ粒子触媒、その製造方法、及び当該触媒を用いた数平均分子量3,000超で85%以上の末端がシリル化されたシリル基含有化合物、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を配位子として有するルテニウムナノ粒子触媒を製造し、その存在下、アリル基含有化合物のヒドロシリル化反応を行うことで、アリル基含有化合物の分子量に依らず、シリル化体を効率良く製造できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)を製造する際に、ヒドロシリル化触媒として使用するルテニウムナノ粒子触媒(A)の製造方法であって、
ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱してルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を製造する工程1;及び
ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)に、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)を配位させてルテニウムナノ粒子触媒(A)を製造する工程2を含む、製造方法に関する。
また、本発明は、ヒドロシリル化触媒としてルテニウムナノ粒子触媒(A)を用いる、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)の製造方法であって、ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱し、ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を調製する工程1;
ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)と、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)を配位させてルテニウムナノ粒子触媒(A)を製造する工程2;及び
前記ルテニウムナノ粒子触媒(A)と、アリル基含有化合物(C)と、ヒドロシラン化合物(D)とを混合し、ヒドロシリル化する工程3;を含む、製造方法に関する。
また、本発明は、ヒドロシリル化触媒としてルテニウムナノ粒子触媒(A)を用いる、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)の製造方法であって、
ルテニウム化合物(A’’)を有機溶媒中、50~250℃で加熱し、ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)を調製する工程1;及び
ルテニウムナノ粒子触媒前駆体(A’)と、ベンゼン環骨格又はノルボルナジエン骨格を有し、当該骨格中の炭素原子の少なくとも1個に、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲノ基が結合している配位子(B)と、アリル基含有化合物(C)と、ヒドロシラン化合物(D)とを混合し、ヒドロシリル化する工程3’;を含む、製造方法に関する。
更に本発明は、これらの製造方法を用いることで産生される、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物(E)にも関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、数平均分子量3,000超で85%以上の末端シリル化率のシリル基含有化合物を製造する際に、ヒドロシリル化触媒として使用可能なルテニウムナノ粒子触媒の製造方法を提供する事ができる。また、本発明によれば、アリル基含有化合物とヒドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応時に、高効率でシリル基を導入可能な、シリル基含有化合物の製造方法を提供することができる。また、本発明の方法によれば、ルテニウムナノ粒子触媒の原料として、汎用的なルテニウム化合物を使用することができる。更に、少量のルテニウム触媒で効率よくヒドロシリル化反応を進行させることが可能となるため、本発明の製法は産業上有用である。また、本発明の製法により産生されるシリル基含有化合物は、末端が高確率でシリル化されており、意図しない末端基への変換が抑制されていることから、従来のシリル基含有化合物よりも高い硬度や高い耐久性を発揮し得る等、優れた物性を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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