TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025082754
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-29
出願番号2023196301
出願日2023-11-17
発明の名称フッ素含有水の処理方法
出願人栗田工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C02F 1/56 20230101AFI20250522BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】フッ化物イオン及び水を含む液から低いフッ素元素濃度の水を安定的に得ることができる、フッ素含有水の処理方法及び処理装置の提供。
【解決手段】フッ化カルシウム及び水を含む分散液に凝集剤を添加してフッ化カルシウム凝集体及び水を含む懸濁液を得ること、該懸濁液中のフッ化カルシウム凝集体を沈降させて上澄液11と沈積物9,10とに分離すること、沈積物の一部とカルシウムイオン含有液4とをフッ化物イオン含有液12に添加して硫酸イオン存在下にフッ化カルシウムを析出させフッ化カルシウム及び水を含む分散液を得ること、ならびに分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とをフッ化物イオンおよび水を含む液に添加する際の硫酸イオンの存在量をフッ化物イオン及び水を含む液に含まれるフッ素元素の量に対して35質量%以下に、且つ上澄液における硫酸イオン濃度を100mg/L以上にすることを含む、フッ素含有水の処理方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
フッ化カルシウムおよび水を含む分散液に凝集剤を添加してフッ化カルシウム凝集体および水を含む懸濁液を得ること、
フッ化カルシウム凝集体および水を含む懸濁液においてフッ化カルシウム凝集体を沈降させて上澄液と沈積物とに分離すること、
分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とをフッ化物イオンおよび水を含む液に添加し硫酸イオンの存在下にフッ化カルシウムを析出させフッ化カルシウムおよび水を含む分散液を得ること、ならびに
分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とをフッ化物イオンおよび水を含む液に添加する際の硫酸イオンの存在量をフッ化物イオンおよび水を含む液に含まれるフッ素元素の量に対して35質量%以下に、且つ上澄液における硫酸イオン濃度を100mg/L以上にすることを含む、
フッ素含有水の処理方法。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
孔径0.025μm膜フィルタに上澄液を通過させて得られる液におけるカルシウム元素濃度を20mg/L以上にすることをさらに含む、請求項1に記載のフッ素含有水の処理方法。
【請求項3】
孔径0.45μm膜フィルタに上澄液を通過させて得られる液におけるフッ素元素濃度を15mg/L以下にすることをさらに含む、請求項1に記載のフッ素含有水の処理方法。
【請求項4】
分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液との添加は、分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とを混ぜ合わせて得られる混合液の添加である、請求項1に記載のフッ素含有水の処理方法。
【請求項5】
凝集槽、沈殿槽、反応槽、および調節機構を含み、
凝集槽は、フッ化カルシウムおよび水を含む分散液に凝集剤を添加してフッ化カルシウム凝集体および水を含む懸濁液を得ることができるように構成されており、
沈殿槽は、フッ化カルシウム凝集体および水を含む懸濁液においてフッ化カルシウム凝集体を沈降させて上澄液と沈積物とに分離することができるように構成されており、
反応槽は、沈殿槽で分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とをフッ化物イオンおよび水を含む液に添加して硫酸イオンの存在下にフッ化カルシウムを析出させてフッ化カルシウムおよび水を含む分散液を得ることができるように構成されており、
調節機構は、分離された沈積物の一部とカルシウムイオンを含む液とをフッ化物イオンおよび水を含む液に添加する際の硫酸イオンの存在量をフッ化物イオンおよび水を含む液に含まれるフッ素元素の量に対して35質量%以下に、且つ上澄液における硫酸イオン濃度を100mg/L以上にすることができるように構成されている、
フッ素含有水の処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有水の処理方法に関する。より詳細に、本発明は、フッ化物イオンおよび水を含む液から低いフッ素元素濃度の水を安定的に得ることができる、フッ素含有水の処理方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
フッ素含有水の処理方法として、凝集沈殿法、HDS法が知られている。凝集沈殿法は、フッ素含有水(F

)に水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物(Ca
2+
)を添加してフッ化カルシウム(CaF

)を析出させ、析出したフッ化カルシウムを凝集剤によって凝集させ、フッ化カルシウム凝集体と水とを沈殿によって分離することを含む方法である。HDS法は、析出したフッ化カルシウムを凝集剤によって凝集させ、フッ化カルシウム凝集体と水とを沈殿によって分離し、フッ素含有水にカルシウム化合物と前記で分離されたフッ化カルシウム凝集体の一部とを添加してフッ化カルシウムを析出させることを含む方法である。HDS法は、フッ化カルシウム凝集体を、凝集沈殿法に比べて、高密度、低含水率にすることができる。そして、得られるフッ化カルシウム(CaF

)に硫酸などの酸を作用させることによってフッ酸を得ることができる。
【0003】
HDS法において、汚泥の高密度化と低含水率化および処理水の低フッ素元素濃度化を、さらに向上させるために、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1は、フッ化物イオン含有排水を反応槽内でカルシウム化合物と反応させて不溶物を生成させ、次に該不溶物を分離し、分離した不溶物を前記反応槽に返送するフッ化物イオン含有排水の処理方法において、該反応槽におけるpHを9.5~11に調整するとともに、前記反応槽に返送する不溶物の量を前記カルシウム化合物と前記排水との反応で生成する不溶物の量の20重量倍以上とすることを特徴とするフッ化物イオン含有排水の処理方法を開示している。
【0005】
特許文献2は、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウム汚泥を生成させ、生成したフッ化カルシウム汚泥を分離するフッ素含有水の処理方法であって、生成したフッ化カルシウム汚泥の一部をカルシウム化合物と接触させた後、フッ素含有水に添加するフッ素含有水の処理方法において、該フッ素含有水に硫酸イオンを添加することを特徴とするフッ素含有水の処理方法を開示している。さらに、特許文献2は、前記フッ素含有水の処理方法において、硫酸イオンを、フッ素含有水中のフッ化物イオンに対する硫酸イオンの量が0.01~0.1当量となるように添加することを開示している。
【0006】
特許文献3は、フッ素含有水とカルシウム化合物を反応させる反応槽と、この反応槽にフッ素含有水を導入する原水路と、反応槽から反応液を移送し高分子凝集剤を添加して凝集を行う凝集装置と、凝集装置において形成されるフロックを含む混合液を導入して上向流通水によりスラッジブランケットを形成し固液分離を行う固液分離槽と、固液分離槽で分離された汚泥の一部にカルシウム化合物を添加して反応槽に循環させる循環路とを有するフッ素除去装置を開示している。
【0007】
特許文献4は、半導体製造工程から排出される、硫酸イオンを実質的に含まないフッ素含有廃水にカルシウム化合物を加えてpH5~10に調整し、生成した不溶化物を沈降分離するフッ素含有廃水の処理方法において、該カルシウム化合物の添加前又は添加時に、該フッ素含有廃水に硫酸イオン濃度が200~1000mg/Lとなるように硫酸及び/又は硫酸塩を添加することを特徴とするフッ素含有廃水の処理方法を開示している。
【0008】
特許文献5は、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加して凝集沈殿処理を行うフッ素含有排水の処理方法において、前記フッ素含有排水のフッ化物イオン濃度をフッ化物イオン電極法で測定するフッ化物イオン濃度測定工程と、該フッ化物イオン濃度測定工程により測定されたフッ化物イオン濃度を式(I)に当てはめて添加すべき前記カルシウム塩のカルシウム濃度を算出するカルシウム濃度算出工程とを有することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法を開示している。
200≦C

-C

×Aw(Ca)/2Aw(F)≦1500 式(I)
但し、C

は前記カルシウム塩のカルシウム濃度[mg/L]を表し、C

は前記フッ化物イオン濃度測定工程により測定されたフッ化物イオン濃度[mg/L]を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Aw(F)はフッ素の原子量を表す。
さらに、特許文献5は、前記フッ素含有排水の処理方法において、前記フッ素含有排水中に硫酸イオンが1000mg/L以上の濃度で存在する場合、前記添加されるカルシウム塩のカルシウムのうち前記硫酸イオンと反応して凝集沈殿して失われるカルシウムを補うため、式(II)に当てはめて算出されるカルシウム濃度のカルシウム塩がさらに前記フッ素含有排水中に補填されると述べている。


=(C

-1000)×Aw(Ca)/Fw(SO
4
2-
) 式(II)
但し、C

は補填されるカルシウム塩のカルシウム濃度を表し、C

はフッ素含有排水中の硫酸イオンの濃度を表し、Aw(Ca)はカルシウムの原子量を表し、Fw(SO
4
2-
)は硫酸イオンの式量を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開平5-293474号公報
特開2001-38368号公報
特開平10-479号公報
特開2000-334470号公報
特開2017-64569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、フッ化物イオンおよび水を含む液から低いフッ素元素濃度の水を安定的に得ることができる、フッ素含有水の処理方法およびフッ素含有水の処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許