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公開番号
2025066149
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-22
出願番号
2025012562,2022168321
出願日
2025-01-29,2014-11-11
発明の名称
改変された抗体可変領域を含む抗原結合分子
出願人
中外製薬株式会社
代理人
個人
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個人
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個人
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個人
主分類
C07K
19/00 20060101AFI20250415BHJP(有機化学)
要約
【課題】副作用を回避しつつ、癌抗原特異的に、T細胞による細胞障害活性とT細胞以外の細胞による細胞傷害活性の両方を作用させることのできる抗体の提供。
【解決手段】第1の抗原および該第1の抗原とは異なる第2の抗原に結合することができるが、第1の抗原と第2の抗原に同時には結合しない、抗体の可変領域、並びに該第1の抗原および第2の抗原とは異なる第3の抗原に結合する可変領域を含む、抗原結合分子。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる2つの抗原(第1の抗原及び第2の抗原)に結合することができるが、両抗原に同時には結合しない抗体の可変領域と、これらの抗原とは異なる第3の抗原に結合する抗体の可変領域とを含む抗原結合分子、該抗原結合分子を含む医薬組成物、ならびに、それらの製造方法を提供する。
続きを表示(約 5,100 文字)
【背景技術】
【0002】
抗体は血漿中での安定性が高く、副作用が少ないことから医薬品として注目されている(Nat. Biotechnol. (2005) 23, 1073-1078(非特許文献1)およびEur J Pharm Biopharm. (2005) 59 (3), 389-396(非特許文献2))。抗体は、抗原に結合する作用、アゴニスト作用やアンタゴニスト作用だけでなく、ADCC(Antibody Dependent Cytotoxicity:抗体依存性障害活性), ADCP(Antibody Dependent Cell phagocytosis:抗体依存性細胞鈍食作用), CDC(補体依存性細胞傷害活性)といったエフェクター細胞による細胞障害活性(エフェクター機能とも言う)を誘導する。特にIgG1サブクラスの抗体がエフェクター機能をがん細胞に対して示すため、がん領域において多数の抗体医薬品が開発されている。
【0003】
抗体がADCC, ADCP, CDCを発現するためには、抗体のFc領域と、NK細胞やマクロファージ等のエフェクター細胞に存在する抗体レセプター(FcγR)および各種補体成分が結合することが必須である。ヒトでは、FcγRのタンパク質ファミリーとして、FcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIbのアイソフォームが報告されており、それぞれのアロタイプも報告されている(Immunol. Lett. (2002) 82, 57-65(非特許文献3))。これらのアイソフォームのうち、FcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIIaは細胞内ドメインにITAM(Immunoreceptor Tyrosine-based Activation Motif)と呼ばれるドメインを持ち、活性化シグナルを伝達する。一方で、FcγRIIbのみが細胞内ドメインにITIM (Immunoreceptor Tyrosine-based Inhibitory Motif)と呼ばれるドメインを持ち、抑制シグナルを伝達する。いずれのFcγRも、免疫複合体などによってクロスリンクされることで、シグナルを伝達することが知られている(Nat. Rev. Immunol. (2008) 8, 34-47(非特許文献4))。実際に、抗体ががん細胞にエフェクター機能を発揮するときは、がん細胞膜上に複数個結合している抗体のFc領域でエフェクター細胞膜上のFcγRがクラスターとなり、エフェクター細胞で活性化シグナルが伝達される。その結果、殺細胞効果が発揮されるが、このときFcγRのクロスリンクはがん細胞近傍に存在するエフェクター細胞に限られることから、免疫の活性化はがん細胞局所でのみ起こることを示している。(Ann. Rev. Immunol. (1988). 6. 251-81(非特許文献5))
【0004】
天然型の免疫グロブリンは、可変領域で抗原と結合し、定常領域でFcγR、FcRn、FcαR、FcεRといったレセプターや補体と結合する。IgGのFc領域で相互作用する結合分子のひとつであるFcRnは、抗体の重鎖それぞれに1分子ずつ結合するため、IgG型の抗体1分子に対して2分子のFcRnが結合することが報告されている。しかし、FcRn等とは異なり、FcγRは抗体のヒンジ領域およびCH2ドメインで相互作用し、IgG型の抗体1分子に対して1分子のみ結合する(J. Bio. Chem., (20001) 276, 16469-16477)。また、FcγRと抗体のFc領域の結合には、抗体のヒンジ領域及びCH2ドメイン内のいくつかのアミノ酸残基およびCH2ドメインに結合しているEUナンバリング297番目のAsnに付加される糖鎖が重要であることが示されている(Chem. Immunol. (1997), 65, 88-110(非特許文献6)、Eur. J. Immunol. (1993) 23, 1098-1104(非特許文献7)、Immunol. (1995) 86, 319-324(非特許文献8))。この結合箇所を中心に、これまでに様々なFcγR結合特性を持つFc領域の変異体が研究され、活性化FcγRに対するより高い結合活性を有するFc領域変異体が得られている(WO2000/042072(特許文献1)、WO2006/019447(特許文献2))。例えば、Lazarらは、ヒトIgG1のEUナンバリング239番目のSer、330のAla、332のIleをそれぞれAsn、Leu、Gluに置換することによって、ヒトFcγRIIIa(V158)に対するヒトIgG1の結合活性を約370倍まで増加させることに成功している(Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (2006) 103, 4005-4010(非特許文献9)、WO2006/019447(特許文献2))。この改変体は野生型と比べて、FcγRIIIaとFcγIIbに対する結合活性の比(A/I比)が約9倍になっている。また、ShinkawaらはEUナンバリング297番目のAsnに付加される糖鎖のフコースを欠損させることによって、FcγRIIIaに対する結合活性を約100倍まで増加させることに成功している(J. Biol. Chem. (2003) 278, 3466-3473(非特許文献10))。これらの方法によって、天然型ヒトIgG1と比較してヒトIgG1のADCC活性を大幅に向上させることが可能である。
【0005】
通常の天然型のIgG型の抗体は、その可変領域(Fab)により1つエピトープを認識して結合することから、1つの抗原にしか結合することが出来ない。一方で、がんや炎症においては多種類のタンパク質が関与することが知られており、タンパク質同士がクロストークしていることがある。たとえば免疫疾患では、いくつかの炎症性サイトカイン(TNF, IL1やIL6)が関与していることが知られている(Nat. Biotech., (2011) 28, 502-10(非特許文献11))。またがんにおいて薬剤耐性を獲得するメカニズムのひとつとして、他のレセプターが活性化することが知られている(Endocr Relat Cancer (2006) 13, 45-51(非特許文献12))。このような場合、1つのエピトープを認識する通常の抗体では、複数のタンパク質を阻害することが出来ない。
【0006】
複数のターゲットを阻害する分子として、1分子で2種類以上の抗原と結合する抗体(Bispecific抗体という)が研究されている。天然型のIgG型の抗体を改良することにより、異なる2つの抗原(第1の抗原と第2の抗原)への結合活性を付与することが可能である(MAbs. (2012) Mar 1, 4(2))。そのため、2種類以上の抗原を1つの分子で中和する作用だけでなく、細胞障害活性をもつ細胞とがん細胞をクロスリンクすることで抗腫瘍活性を高める作用がある。これまでにBispecific抗体の分子形として、抗体のN末端やC末端に抗原結合部位を付加した分子(DVD-IgやscFv-IgG)や抗体の2つのFab領域が異なる配列を有する分子(共通L鎖Bispecific抗体およびハイブリッドハイブリドーマ)、ひとつのFab領域が2つの抗原を認識する分子(Two-in-one IgG)、CH3領域のループ部位を新たな抗原結合部位とした分子(Fcab)が報告されている(Nat. Rev. (2010), 10, 301-316(非特許文献13)、Peds(2010), 23(4), 289-297(非特許文献14))。いずれのBispecific抗体もFc領域でFcγRと相互作用することから、抗体のエフェクター機能は保存されている。したがって、Bispecific抗体が認識するいずれの抗原に対しても、FcγRと同時に結合し、抗原を発現している細胞に対してADCC活性を示す。
【0007】
Bispecific抗体が認識する抗原がいずれもがんに特異的に発現している抗原であれば、いずれの抗原に結合してもがん細胞に対して細胞障害活性を示すため、一つの抗原を認識する通常の抗体医薬品よりも効率的な抗がん効果が期待できる。しかし、Bispecific抗体が認識する抗原のうちいずれか一つの抗原でも正常組織に発現している場合や免疫細胞に発現する細胞である場合、FcγRとのクロスリンクによって正常組織の障害やサイトカインの放出が起こる(J. Immunol. (1999) Aug 1, 163(3), 1246-52(非特許文献15))。その結果、強い副作用を誘導してしまう。
【0008】
例えば、T細胞に発現しているタンパク質とがん細胞に発現しているタンパク質(がん抗原)を認識するBispecific抗体として、Catumaxomabが知られている。Catumaxomabは、2つのFabでそれぞれ癌抗原(EpCAM)とT細胞に発現しているCD3ε鎖に結合する。Catumaxomabは癌抗原とCD3εが同時に結合することによって、T細胞による細胞障害活性を誘導し、がん抗原とFcγRが同時に結合することによってNK細胞やマクロファージ等の抗原提示細胞による細胞障害活性を誘導する。2つの細胞障害活性を利用することによりCatumaxomabは腹腔内投与によって悪性腹水症で高い治療効果が示されており、欧州で承認されている。(Cancer Treat Rev. (2010) Oct 36(6), 458-67(非特許文献16))さらにCatumaxomab投与によって癌細胞に対して反応する抗体が出現した例が報告され、獲得免疫が誘導されることが明らかになった(Future Oncol. (2012) Jan 8(1), 73-85(非特許文献17))。この結果からT細胞による細胞障害活性と共に、FcγRを介したNK細胞やマクロファージなどの細胞による作用の両者を持つ抗体(特にtrifunctional抗体と呼ぶ)は強い抗腫瘍効果と獲得免疫誘導が期待できるため注目されている。
【0009】
しかし、trifunctional抗体はがん抗原が存在しない場合でも、CD3εとFcγRが同時に結合するため、がん細胞が存在しない環境でもCD3εを発現しているT細胞とFcγRを発現している細胞がクロスリンクされ、各種サイトカインが大量に産生される。このようながん抗原非依存的な各種サイトカインの産生誘導により、trifunctional抗体の投与は現状、腹腔内に限定されており(Cancer Treat Rev. 2010 Oct 36(6), 458-67(非特許文献16))、重篤なサイトカインストーム様の副作用により全身投与は極めて困難である(Cancer Immunol Immunother. 2007 Sep;56(9):1397-406(非特許文献18))。
また、従来技術のBispecific抗体では、一つ目の抗原であるがん抗原(EpCAM)と二つ目の抗原であるCD3εの両方の抗原がFcγRと同時に結合し得るため、FcγRと2つ目の抗原のCD3εの同時結合によるこのような副作用を回避することは分子構造的に不可能である。
【0010】
近年、FcγRに対する結合活性を低減させたFc領域を用いることで、副作用を回避しつつ、T細胞による細胞傷害活性を起こすような改良型抗体が提供されている(WO2012/073985)。
しかしながら、このような抗体でも、分子構造的に、がん抗原に結合しつつCD3εとFcγRの2つの免疫レセプターに作用することはできない。
これまで、副作用を回避しつつ、癌抗原特異的に、T細胞による細胞障害活性とT細胞以外の細胞による細胞傷害活性の両方を作用させることのできる抗体は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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