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公開番号2025065668
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-22
出願番号2023175030
出願日2023-10-10
発明の名称グラウト充填方法
出願人川田建設株式会社
代理人個人
主分類E04G 21/12 20060101AFI20250415BHJP(建築物)
要約【課題】空洞部内に直径3mm程度の狭小空隙が存在している場合であっても、問題なくグラウトを通過させることができ、空洞部内の全領域にグラウトを確実に充填することができるグラウト充填方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物の躯体内の空洞部12に注入口3を形成するとともに、注入口3よりも上方の位置に排出口4を形成し、注入管5の先端部を注入口3に接続し、注入管5の基端部をポンプ8(電動グラウトポンプ)に接続し、ポンプ8からグラウトを送出して、空洞部の下方側から上方側へ向かってグラウトを充填する。尚、水粉体比が45%以下で、低粘性型又は超低粘性型のグラウトを使用し、注入作業中に注入圧が0.4MPaを超えた場合、注入速度が2L/min以下となるように、また、注入圧が0.4~0.8MPaの範囲内となるように、ポンプ8の出力を調整する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
コンクリート構造物の躯体内の空洞部に注入口を形成するとともに、注入口よりも上方の位置に排出口を形成し、注入管の先端部を注入口に接続し、排出管の先端部を排出口に接続し、注入管の基端部を電動グラウトポンプに接続し、電動グラウトポンプからグラウトを送出して、空洞部の下方側から上方側へ向かってグラウトを充填する方法であって、
水粉体比が45%以下で、低粘性型又は超低粘性型のグラウトを使用し、
注入作業中に注入圧が0.4MPaを超えた場合、注入速度が2L/min以下となるように電動グラウトポンプの出力を調整することを特徴とするグラウト充填方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
注入作業中に注入圧が0.4MPaを超えた場合、注入圧が0.4~0.8MPaの範囲内となるように電動グラウトポンプの出力を調整することを特徴とする、請求項1に記載のグラウト充填方法。
【請求項3】
排気用細管を、その先端部が排出口を通って空洞部の最上部に位置するように配置することを特徴とする、請求項1に記載のグラウト充填方法。
【請求項4】
空洞部内におけるグラウトの高さが排出口の位置を超えて、グラウトが排出管から外側にあふれ出した時点で、電動グラウトポンプを一時停止し、排出管を閉じて、排出管からグラウトが排出されない状態としたうえで、注入作業を再開し、排出口よりも上方の領域にグラウトを充填することを特徴とする、請求項3に記載のグラウト充填方法。
【請求項5】
注入作業の開始から、グラウトが排出管から排出されるまでの間は、注入作業を中断することなく連続的に行うことを特徴とする、請求項4に記載のグラウト充填方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の中に存在する空洞部にグラウトを充填する方法に関し、特に、既設のポストテンション方式のプレストレストコンクリート(PC)構造物において、PC鋼材を挿通させたシース内に狭小空隙を含む空洞部が存在している場合等において、それらの空洞部にグラウトを充填する方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
ポストテンション方式によってPC構造物の躯体が製作される場合、PC鋼材を挿通させたシース内には、その端部等に適切に接続したグラウトホースからPCグラウトが注入され、シース内空間の全体に隙間なく行き渡るように充填される。しかしながら、シース内に充填したPCグラウトのブリーディングなどによって充填不足が生じ、シース内に空洞部が残存していることがある。このような空洞部を放置すると、雨水等の浸入により、空洞部内で露出するPC鋼材が腐食してしまう恐れがある。
【0003】
そこで、シース内に空洞部が残存している場合には、PC鋼材の腐食を抑制するため、シース内へ新たにPCグラウトを注入して空洞部を埋めるという補修工事(PCグラウトの再注入)が実施されている。そして、シース内の空洞部にPCグラウトを再注入するための方法として、様々な技術が提案されている(特許文献1~5等)。
【0004】
例えば、特許文献1には、空洞部にアクセスするための孔を複数形成し、一方の孔から内部の空気を吸引しつつ、他方の孔からPCグラウトを注入する方法が開示され、特許文献2には、PCグラウトを収容した容器を、空洞部よりも高い位置に保持し、PCグラウトを自然流下によって空洞部内に注入する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005-23567号公報
特開2013-249636号公報
特開2013-241762号公報
特開2013-249637号公報
特開2018-105063号公報
特開2019-143394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シース内に残存する空洞部は、複雑な様相を呈していることが多く、例えば、直径3mm程度の狭小空隙が含まれていることもあるが、PCグラウトを再注入する際に、そのような狭小空隙が空洞部内に存在していると、注入したPCグラウトが、ドライアウト現象等によって狭小空隙内で閉塞してしまい、通過させることができなくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術における課題を解決しようとするものであって、空洞部内に直径3mm程度の狭小空隙が存在している場合であっても、問題なくグラウトを通過させることができ、空洞部内の全領域にグラウトを確実に充填することができるグラウト充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るグラウト充填方法は、コンクリート構造物の躯体内の空洞部に注入口を形成するとともに、注入口よりも上方の位置に排出口を形成し、注入管の先端部を注入口に接続し、排出管の先端部を排出口に接続し、注入管の基端部を電動グラウトポンプに接続し、電動グラウトポンプからグラウトを送出して、空洞部の下方側から上方側へ向かってグラウトを充填する方法であって、水粉体比が45%以下で、低粘性型又は超低粘性型のグラウトを使用し、注入作業中に注入圧が0.4MPaを超えた場合、注入速度が2L/min以下となるように、また、注入圧が0.4~0.8MPaの範囲内となるように、電動グラウトポンプの出力を調整することを特徴としている。
【0009】
尚、排気用細管を、その先端部が排出口を通って空洞部の最上部に位置するように配置することが好ましく、この場合、空洞部内におけるグラウトの高さが排出口の位置を超えて、グラウトが排出管から外側にあふれ出した時点で、電動グラウトポンプを一時停止し、排出管を閉じて、排出管からグラウトが排出されない状態としたうえで、注入作業を再開し、排出口よりも上方の領域にグラウトを充填することが好ましい。また、注入作業の開始から、グラウトが排出管から排出されるまでの間は、注入作業を中断することなく連続的に行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るグラウト充填方法は、グラウトを充填しようとする空洞部内に直径3mm程度の狭小空隙が存在している場合であっても、注入圧等を監視するとともに、状況に応じてポンプの出力を適切に調整することにより、問題なくそれらを通過させることができ、空洞部内の全領域にグラウトを確実に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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