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公開番号
2025061552
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-10
出願番号
2025008641,2022512069
出願日
2025-01-21,2021-03-25
発明の名称
幹細胞の染色体安定化剤
出願人
オリエンタル酵母工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
1/00 20060101AFI20250403BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 幹細胞の染色体安定化剤の提供。
【解決手段】 本発明は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、幹細胞の染色体安定化剤、及び、多能性幹細胞を、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する培養培地中で培養することを特徴とする幹細胞の培養方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、幹細胞の染色体安定化剤。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
幹細胞の培養培地に、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド換算で0.01~5mM添加される、請求項1に記載の染色体安定化剤。
【請求項3】
胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、及び造血幹細胞からなる群より選択される一種以上の幹細胞の染色体安定化のために用いられる、請求項1又は2に記載の染色体安定化剤。
【請求項4】
多能性幹細胞を、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する培養培地中で培養することを特徴とする、幹細胞の培養方法。
【請求項5】
前記培養培地のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド濃度が0.01~5mMである、請求項4に記載の培養方法。
【請求項6】
前記幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、及び造血幹細胞からなる群より選択される一種以上である、請求項4又は5に記載の培養方法。
【請求項7】
幹細胞を、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する培養培地中で培養することを特徴とする、幹細胞の染色体安定化方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞の培養・継代の過程において染色体異常の発生を防止することができる素材、及び当該素材を使用した幹細胞の染色体安定化剤に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
多分化能性幹細胞に代表される幹細胞は、自己複製能を有する未分化細胞であり、様々な細胞へ分化可能な細胞である。近年、患者の損なわれた組織に幹細胞や幹細胞から分化誘導させた細胞を移植し、その機能の再生をはかる再生医療が盛んに研究されている。再生医療では、幹細胞やその分化細胞を大量に準備する必要があるため、幹細胞を効率よく増殖させる方法や、幹細胞を効率よく分化させる方法の開発が盛んである。
【0003】
しかし、幹細胞は、培養期間が長くなったり、継代回数が多くなると、染色体異常が起こることがある。染色体異常には、2本で対となっている染色体が1本になるモノソミー、3本になるトリソミー等の異数性異常の他、転座、逆位、部分重複、部分欠失等の構造異常がある。幹細胞にそのような染色体異常が生じると、幹細胞が保持している増殖能や分化能が失われるだけでなく、その幹細胞から分化した細胞や組織を再生医療等に使用すると、癌細胞に変異したり、腫瘍となる危険性がある。癌細胞や腫瘍では染色体異常が起きていることがあり、近年、染色体異常をより正確に検知する方法が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
一方で、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、補酵素NAD
+
の生合成中間代謝産物である。近年、NMNは、老化マウスにおけるインスリン分泌能の改善効果、高脂肪食や老化によってひき起こされる2型糖尿病のマウスモデルにおいてインスリン感受性や分泌を劇的に改善する効果を有すること(例えば、特許文献3参照。)、老化した筋肉のミトコンドリア機能を顕著に高める効果を有することなどが報告されている。さらに、NMNの存在下で多能性幹細胞を培養することにより、その増殖能や分化能を向上させることができることも報告されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2019-213537号公報
特開2019-144097号公報
米国特許第7737158号明細書
国際公開第2018/143258号
国際公開第2019/182044号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、幹細胞の培養・継代の過程において染色体異常の発生を防止することができる素材、並びに当該素材を使用した幹細胞の染色体安定化剤、幹細胞の培養方法、及び幹細胞の染色体安定化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、β-NMNの存在下では、幹細胞中の染色体の安定性が向上し、染色体異常が抑制・防止されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、以下の幹細胞の染色体安定化剤、幹細胞の培養方法、及び幹細胞の染色体安定化方法を提供するものである。
[1] β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、幹細胞の染色体安定化剤。
[2] 幹細胞の培養培地に、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド換算で0.01~5mM添加される、前記[1]の染色体安定化剤。
[3] 胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、及び造血幹細胞からなる群より選択される一種以上の幹細胞の染色体安定化のために用いられる、前記[1]又は[2]の染色体安定化剤。
[4] 多能性幹細胞を、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する培養培地中で培養することを特徴とする、幹細胞の培養方法。
[5] 前記培養培地のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド濃度が0.01~5mMである、前記[4]の培養方法。
[6] 前記幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、及び造血幹細胞からなる群より選択される一種以上である、前記[4]又は[5]の培養方法。
[7] 幹細胞を、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその薬理学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する培養培地中で培養することを特徴とする、幹細胞の染色体安定化方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る幹細胞の染色体安定化剤は、幹細胞に働きかけることにより、その幹細胞の染色体の安定性を向上させ、染色体異常の発生を抑制ないし防止させることができる。このため、当該染色体安定化剤を培養培地に含有させることによって、幹細胞の染色体の安定性を向上させ、染色体異常の発生を抑制ないし防止し、幹細胞をより安定的に培養することができる。加えて、当該染色体安定化剤を用いることにより、幹細胞から分化させた細胞や組織の癌化・腫瘍化のリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(a)は、実施例2において、細胞をPIで染色した蛍光写真であり、(b)は、実施例2において、細胞を抗γH2A.X抗体で免疫染色した蛍光写真であり、(c)は、(a)と(b)をマージした写真である。
PIで染色された全細胞中のγH2A.X陽性の細胞核の比率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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