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公開番号
2025059573
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-10
出願番号
2023169733
出願日
2023-09-29
発明の名称
ウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入された機能性微粒子
出願人
株式会社松風
代理人
主分類
A61K
6/71 20200101AFI20250403BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】
医科歯科用硬化性組成物にはラジカル重合性モノマーに加え機械的強度向上の目的で無機充填材が添加される。一般的にそれらの無機充填材はラジカル重合性基を有するシランカップリング剤により表面処理され、濡れ性の向上や機械的強度向上が図られている。従来より、このシランカップリング剤には、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下KBM-503と記す)が広く用いられていた。しかし、これらシランカップリング剤は炭素骨格であるために脱アルコール後の脱水縮合時での乾燥温度に限界があり、生成したシラノール基の脱水縮合が完全には出来なかった。すなわち脆弱なキセロゲル層を有するため、期待した程の機械的強度および耐久性は得られないのが現状であった。
【解決手段】
無機充填材表面のシラノール基の90%以上にウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入されていることを特徴とする機能性微粒子。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
無機充填材表面のシラノール基の90%以上に
ウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入されていることを特徴とする機能性微粒子。
続きを表示(約 980 文字)
【請求項2】
請求項1記載の機能性微粒子の母材となる無機充填材が二酸化珪素、アルミナ、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-ジルコニア、シリカ-アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスから少なくとも一つ以上からなる事を特徴とした請求項1記載の機能性微粒子。
【請求項3】
請求項1記載の機能性微粒子を含有した医科歯科用硬化性組成物。
【請求項4】
請求項1記載の機能性微粒子、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を含むことを特徴とする医科歯科用硬化性組成物。
【請求項5】
ポリアクリル酸、水溶性ラジカル重合性モノマー、酸反応性無機粉末、重合開始剤、有機酸、および水を含有する請求項1記載の医科歯科用硬化性組成物
【請求項6】
重合開始剤がカルボニル系光重合開始剤及びその還元剤である請求項4または5記載の医科歯科用硬化性組成物
【請求項7】
重合開始剤がレドックス重合開始剤である請求項4または5記載の医科歯科用硬化性組成物
【請求項8】
水溶性ラジカル重合性モノマーがアミド基またはウレタン基を有する請求項5記載の医科歯科用硬化性組成物
【請求項9】
ポリアクリル酸の含有量が1~70重量%、水溶性ラジカル重合性モノマーの含有量が1~50重量%、酸反応性無機粉末の含有量が0.1~90重量%、重合開始剤の含有量が0.001~10重量%および有機酸の含有量が0.01~25重量%である請求項5記載の医科歯科用硬化性組成物
【請求項10】
ポリアクリル酸のアクリル酸モノマー繰り返し数が10~1000の範囲内である請求項5記載の医科歯科用硬化性組成物
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機充填材表面のシラノール基にウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入されていることを特徴とする機能性微粒子に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
医科歯科分野で骨や歯牙の欠損を修復するために金属補綴物や合成樹脂成型物などが用いられている。それらの生体硬組織への接着には、接着重合性モノマーを含有する接着剤が多用されている。保存修復分野では、コンポジットレジンやレジン強化型グラスアイオノマーセメントと呼ばれる硬化性組成物が日々臨床にて使用されている。コンポジットレジンにおいては、未硬化体(ラジカル重合前)ペーストを、歯牙等の欠損部位に充填した後に光照射等の外的エネルギーを付与することでラジカル重合硬化体を得る。一般的にこれらの接着剤やコンポジットレジンには、メチルメタクリレートやトリエチレングリコールジメタクリレート、ウレタン系ジメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーが使用されている。これら(メタ)アクリル酸誘導体モノマー等のビニルモノマーのフリーラジカル重合(以下ラジカル重合と記す)では、炭素‐炭素の二重結合が解裂し単結合になることで高分子体を形成し硬化する。このコンポジットレジンにはビニルモノマーだけではなく、無機充填材が機械的強度向上の目的で添加される。一般的にそれらの無機充填材は重合性基を有するシランカップリング剤により表面処理され、濡れ性の向上や機械的強度向上が図られている。
【0003】
歯科分野では従来より、シランカップリング剤としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下KBM-503と記す)が広く用いられている。該化合物で表面処理された粒子を用いた場合、確かに無機充填材表面は表面処理により疎水化され、若干の機械的強度向上は認められる。しかしながら、これらシランカップリング剤は炭素骨格のラジカル重合性基を有するために、表面処理後の乾燥温度が150℃程度と限界があった。ここで、シランカップリング剤のアルコキシ基は加水分解を受けた後に生成したシラノール基が脱水縮合してポリシロキサン結合になる。この脱水縮合を促進させるには高い乾燥温度が効果的である。十分な脱水縮合が行われないと、生成したシラノール基が残存するキセロゲル状態となり、十分な機械的強度が得られない。より詳細に説明すると、フィラー表面のシラノール基とシランカップリング剤の脱アルコールにより生成したシラノール基は脱水縮合することで化学的に強固に結合する。この脱水縮合は一般的には自発的に進行するが、反応点が離れている場合には加熱による分子振動が必要となる。より離れた反応点どうしが脱水縮合するには、より高い加熱が必要になる事は言うまでもない。しかしながら前述した様に、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤は150℃を超える高温下では重合が生じシランカップリング剤としての機能が消滅する。従って、加熱温度上限は限られており、その結果、脆弱なキセロゲル層が残存し機械的強度の低下をもたらす。この問題はアルコキシ基の加水分解・縮合にて無機充填材にラジカル重合性基を導入するシランカップリング剤を使用する限り避けられないものであった。その脆弱性を緩和するために、アルキル鎖の長いシランカップリング剤使用する方法(特許文献1、2)、フルオロアルキレン基を有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献3)、重合性基を数多く有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平2-134307号
特開平3-70778号
特開2007-238567号
特開2010-229054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルコキシ基の加水分解・縮合にて無機充填材にラジカル重合性基を導入するシランカップリング剤は加水分解を受けた後に生成したシラノール基が脱水縮合してポリシロキサン結合になる。この脱水縮合を促進させるには高い乾燥温度が効果的である。十分な脱水縮合が行われないと、生成したシラノール基が残存するキセロゲル状態となり、十分な機械的強度が得られない。また、そのキセロゲルは親水性を示す。しかしながらシランカップリング剤は炭素骨格のラジカル重合性基を有するために、表面処理後の乾燥温度が150℃程度以下と限界があった。そのため、脱水・縮合が十分に行われずシラノール基が残存し親水性を有していた。従って、疎水性を高めるためにアルキル鎖の長いシランカップリング剤使用する方法(特許文献1、2)、フルオロアルキレン基を有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献3)、重合性基を数多く有するシランカップリング剤使用する方法(特許文献4)が提案されている。しかしながら、特許文献1~特許文献3に記載の方法を、歯科材料に適用した際には、まだ機械的強度に改善の余地があった。また、特許文献4に記載の方法を歯科材料に適用した際には、材料の耐久性は不十分であった。このように、従来技術でのシランカップリング剤を使用した材料の耐久性及び機械的強度の両立は不十分であり、更なる改良の余地があった。しかしながら前述した様に、従来技術では科学的に達成は困難であると言わざるを得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者等の鋭意検討の結果、無機充填材表面のシラノール基の90%以上にウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入されていることを特徴とする機能性微粒子を含有することで、硬化性組成物において高い機械的強度及び耐久性が得られた。これにより医科歯科用硬化性組成物のみならず電子工業部品等の一般工業材料に用いた際に機械的強度及び耐久性を向上することが出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の医科歯科硬化組成物に含有する無機充填材表面のヒドロキシル基に、高密度にウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入された機能性微粒子は、従来のシランカップリング剤を用いて表面処理した場合に生じる脆弱なキセロゲル層が一切存在せず、強固な共有結合でラジカル重合性基の無機充填材表面への導入が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
無機充填材表面のシラノール基の90%以上にウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入されていることを特徴とする機能性微粒子については、以下の合成方法により合成することが可能である。本合成方法では、無機充填材表面のヒドロキシ基に、片末端がラジカル重合性基と、加熱によりされたイソシアネート基が生成する有機化合物を反応させて得られる機能性微粒子は脆弱なキセロゲル層の存在がなく、強固な共有結合でラジカル重合性基の無機充填材表面への導入が可能となる。
【0009】
JPEG
2025059573000001.jpg
69
123
【0010】
上記に従来技術であるシランカップリング剤を用いた無機充填材の表面改質の模式図を示す。すなわち、シランカップリング剤が部分的にあるいは完全に脱アルコールしシラノール基に変換された後に、ガラス等の無機充填材表面のシラノール基と脱水縮合し表面改質が行われる様子を模式的に描いたものである。炭素骨格のラジカル重合性などの反応基が存在する為に、150℃を超える高温での脱水縮合が完全には行えず、遊離したシラノール基も存在する。これに対して本発明で含有する機能性微粒子では、以下に示すように、ガラス等の無機充填材表面のシラノール基とイソシアナート基が反応し、ウレタン結合により確実に表面改質が行われる。したがって、従来技術のシランカップリング剤を使用した場合の様な脆弱なキセロゲル層は一切存在せず、強固な共有結合でラジカル重合性基の無機充填材表面への導入が可能となる。
(【0011】以降は省略されています)
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