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公開番号2025054493
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-08
出願番号2023163556
出願日2023-09-26
発明の名称粒子、及び粒子の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 51/00 20060101AFI20250331BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】(メタ)アクリル系共重合体の粒子であって、重合反応中の液滴の分散安定性が高く、より小さい粒子径を持つ粒子とすることができ、当該粒子を含む成形材料及びこの成形材料を成形してなる成形体において優れた離型性と外観を得ることができる粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系共重合体(A)及び成分(B)を含む粒子であって、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)がブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体であり、前記成分(B)が脂肪酸、脂肪酸誘導体及び脂肪族アルコールから選択される少なくとも1種である、粒子。この粒子の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(メタ)アクリル系共重合体(A)及び成分(B)を含む粒子であって、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)がブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体であり、
前記成分(B)が脂肪酸、脂肪酸誘導体及び脂肪族アルコールから選択される少なくとも1種である、粒子。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記成分(B)が、炭素数が12以上18以下のアルキル鎖を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記成分(B)が、脂肪族アルコールを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記成分(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.0001質量部以上0.5質量部以下である、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、重合体分子中にメチルメタクリレート由来の繰り返し単位を50質量%以上含む重合体(A1)を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
前記粒子の体積平均粒径が30μm以上600μm以下である、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
前記粒子中の目開き1,400μmの篩上に残る粗大粒子の割合が30質量%以下である、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、重合体分子中に前記重合体(A1)と重合体(A2)を含む重合体であり、前記重合体(A2)が0℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項5に記載の粒子。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル共重合体(A)が、前記重合体(A1)として下記一般式(1)で表されるマクロモノマー(a1)に由来する構造単位を含む、請求項5に記載の粒子。
TIFF
2025054493000006.tif
62
170
(式(1)中、R

~R

は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X

~X

は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Zは、末端基である。nは、1~10,000の自然数である。)
【請求項10】
前記重合体(A2)を構成する単量体単位が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、i-ステアリル(メタ)アクリレート、及びスチレンからなる群から選ばれる1種以上のモノマー(a2)由来の構成単位である、請求項8に記載の粒子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は粒子及び粒子の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
アクリル樹脂は透明性や耐候性、高い弾性率、表面硬度等に優れるので、液晶や有機EL等のディスプレイ前面板、看板用品、照明用品、玩具、容器、家電製品、車両内装・外装部品等の車両用部品、医療用部材、工業資材、建築用資材、レンズ、導光板、集光部材、液晶や有機EL等のディスプレイに使用される光学フィルム等の光学部材などに広く用いられている。
これらの用途の一部では、アクリル樹脂製品に、柔軟性及び耐衝撃性を付与することが求められている。また、射出成形や押出成形等の溶融成形法を用いて、アクリル樹脂を薄厚形状や複雑な形状に成形することが可能な、溶融成形性に優れたアクリル樹脂が要求されている。
【0003】
アクリル樹脂の耐衝撃性を向上させる技術としては、例えば、特許文献1には、架橋ゴムからなるコア部とマトリクスとなる(メタ)アクリル系重合体との相容性や分散性を担保するシェル部とを有するコアシェル構造を有するゴム(コアシェルゴム)を、(メタ)アクリル系樹脂に配合した樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されている樹脂組成物は、コアシェルゴムを含有することにより溶融粘度が上昇して、溶融成形性が低下する傾向があるため、樹脂組成物の使用用途が、厚みの大きい樹脂製品や単純な形状の樹脂製品に限定されるという問題があった。
【0004】
アクリル樹脂の溶融成形性を向上させる技術として、ブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体を、(メタ)アクリル系樹脂に配合した樹脂組成物が知られている。ブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体とは、2種以上のポリマーセグメントが互いに化学結合で連結しているため、ポリ(メタ)アクリレート鎖を有するブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体をアクリル樹脂に配合した樹脂組成物の相分離構造は、ナノメーターサイズになる(「ミクロ相分離構造」と呼ばれる。)。そのため、このような樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる成形体において、マトリクスとなるアクリル樹脂とブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体のそれぞれが有する特性を共に発現させることが可能となり、更にブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体の各々のポリマーセグメントが有する特性を発現させることができる。
【0005】
前述のブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体の製造方法として、懸濁重合法を用いて該共重合体を粒子として得る方法が挙げられる。懸濁重合法は、重合発熱の制御が容易であり、粒子の洗浄によって不純物除去が可能である点などにおいて、乳化重合法や塊状重合法等の他の重合方法よりも優れた重合方法である。
一方で、得られる粒子の粒子径を最適な範囲にすることは、製造現場における重合安定性、洗浄・乾燥工程等の後工程通過性や、得られる粒子の取り扱い性、製品としての品質を向上させるために重要である。しかし、ブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体を製造する場合は、それぞれのポリマー鎖を順次合成する必要があるため、重合反応の途中でポリマーとモノマーが共存する高粘度な状態となる経過時間が長い。そのため、懸濁重合法において、分散安定性と粒子径の制御が困難になる懸念があった。
【0006】
例えば、特許文献2では、(ポリ)メタアクリレート共重合体の水系懸濁液に、(メタ)アクリレートモノマーを投入してビーズ状のブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体を得ることが開示されている。
また、特許文献3及び4では、懸濁重合系内の油滴の分散安定性を向上させ、粒子径分布の均一化及び粒子径を微細化する方法として、コロイダルシリカ及びアルカリ金属のハロゲン化物の存在下で懸濁重合を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特公昭62-21804号公報
特開2022-65185号公報
特開2007-217645号公報
特開2015-193861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の方法では、重合性成分からなる液滴の粘度が高いことから、得られた粒子の平均粒子径が大きく、粗大粒子が発生しやすいという課題があった。
また、特許文献3及び4に記載の方法では、得られる粒子がシリカを含むため、この粒子を他の樹脂と混練して成形材料を製造した際に、その成形材料を用いて製造した成形体が白濁するという課題があった。
【0009】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、(メタ)アクリル系共重合体の粒子であって、重合反応中の液滴の分散安定性が高く、より小さい粒子径を持つ粒子とすることができ、当該粒子を含む成形材料及びこの成形材料を成形してなる成形体において優れた離型性と外観を得ることができる粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、特定の成分(B)を(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子製造時に添加することで、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
(【0011】以降は省略されています)

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