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公開番号
2025049784
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-04
出願番号
2023158180
出願日
2023-09-22
発明の名称
金属張積層板及びその製造方法
出願人
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
弁理士法人田治米国際特許事務所
主分類
B32B
15/08 20060101AFI20250327BHJP(積層体)
要約
【課題】熱圧着時の接着層の流れ出しや厚みムラの発生を予防しながら、無機フィラー含有樹脂層における空隙の解消と、金属箔との密着性担保の両立を図る。
【解決手段】金属層10A/接着層20A/無機フィラー含有樹脂層30/接着層20B/金属層10Bがこの順に積層された金属張積層板100において、接着層及び無機フィラー含有樹脂層は結晶性樹脂又は非結晶性樹脂により構成され、a)接着層の主たる樹脂の融点Tm1が無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2より高い;b)接着層の主たる樹脂の融点Tm1が無機フィラー含有樹脂層ガラス転移点Tg2より高い;c)無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2における接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上である;d)無機フィラー含有樹脂層のガラス転移点Tg2における接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上である;のいずれかの条件を満たしている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
金属層と、
前記金属層に直接接する接着層と、
前記接着層に直接又は間接的に積層されている、樹脂中に無機フィラーを含有する無機フィラー含有樹脂層と、
を備え、
前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層が、以下のa)~d)、
a)前記接着層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとき、前記接着層を構成する主たる樹脂の融点Tm1が前記無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2より高いこと;
b)前記接着層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとき、前記接着層を構成する主たる樹脂の融点Tm1が前記無機フィラー含有樹脂層のガラス転移点Tg2より高いこと;
c)前記接着層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとき、前記無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2における前記接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上であること;
d)前記接着層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとき、前記無機フィラー含有樹脂層のガラス転移点Tg2における前記接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上であること;
のいずれかの条件を満たし、
前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層とを含む絶縁層全体の熱膨張係数(CTE)が60ppm/K以下である金属張積層板。
続きを表示(約 820 文字)
【請求項2】
前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層とを含む絶縁層全体を、温度;24~26℃、湿度;45~55%の条件下で、24時間放置した後に、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR共振器)により測定される20GHzにおける誘電正接が0.0025未満である請求項1に記載の金属張積層板。
【請求項3】
金属層/接着層/無機フィラー含有樹脂層/接着層/金属層がこの順に積層された層構成を有する請求項1に記載の金属張積層板。
【請求項4】
前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層の合計厚みに対する前記接着層の厚みの比率が1~25%の範囲内である請求項1に記載の金属張積層板。
【請求項5】
前記無機フィラー含有樹脂層が、前記主たる樹脂とともに、フィルム化したときに、50℃での貯蔵弾性率が2500MPa以下であり、180℃から260℃の温度領域での貯蔵弾性率の最大値が800MPa以下である低弾性樹脂を含有する請求項1に記載の金属張積層板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の金属張積層板を製造する方法であって、
金属層上に接着層が積層された第1の積層体を準備する工程と、
前記接着層上に、無機フィラー及び前記主たる樹脂のパウダーを含有する分散組成物を塗布し、熱処理することによって、前記金属層上に前記接着層及び分散組成物層が積層された第2の積層体を形成する工程と、
2つの前記第2の積層体を用い、前記分散組成物層を向い合せにして熱圧着することによって、又は、前記第1の積層体と前記第2の積層体を用い、前記接着層と前記分散組成物層を向い合せにして熱圧着することによって、金属層/接着層/無機フィラー含有樹脂層/接着層/金属層がこの順に積層された層構成を有する金属張積層板を形成する工程と、
を含む金属張積層板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、回路基板材料として有用な金属張積層板の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
【0003】
FPCは、材料となる銅張積層板(CCL)などの金属張積層板の金属層をエッチングして配線加工することによって製造される。現在は、金属張積層板として、金属箔と接する絶縁樹脂層に耐熱性の高いポリイミドを用いたものが汎用されている。しかし、近年の通信機器の高速化に伴い、5G通信、更には6G通信の開発が進んでおり、回路基板材料についても、高速通信規格に対応可能なミリ波レーダー用基板、アンテナ基板などに向けて材料の検討が行われている。そのような材料として、例えばフッ素系樹脂、液晶ポリマーなどは、低い誘電正接を有し、信号の伝送損失の低減が期待できる材料として注目を浴びている。
【0004】
低誘電正接を示す樹脂であっても、熱膨張係数が大きい場合には、回路基板用の絶縁材料としての要求特性である低熱膨張化を図るため、無機フィラーを配合する検討が行われている。しかし、無機フィラーを高充填すると低粗化銅箔との密着性が低下する、という問題がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6997104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、フッ素系樹脂のマトリックス中に無機フィラーを含む複合材料層を製造する過程で、フッ素系樹脂と無機フィラーを含む分散組成物を基材に塗布し、乾燥するキャスト工程を実施している。このように無機フィラーを含む複合材料をキャスト工程で形成すると、塗布膜中に空隙が発生する。空隙を解消するためには、熱圧着により複合材料の流動温度以上の熱をかけながら加熱する必要がある。しかしながら、金属箔上に予め接着層を形成しておき、その上に塗布膜を形成する場合には、接着層の流動抑制と複合材料層の空隙解消の双方を考慮する必要がある。すなわち、接着層を設ける場合には、空隙の解消と、接着層の流れ出しや厚みムラの抑制との両立が困難であることが懸念される。この点に関し、特許文献1では、金属層に隣接して明確に接着層と位置付けられるものを設けていないことから、接着層の流動抑制について考慮されていない。
【0007】
したがって、本発明は、熱圧着時の接着層の流れ出しや厚みムラの発生を予防しながら、無機フィラー含有樹脂層における空隙の解消と、金属箔との密着性担保の両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記実情に鑑み、鋭意検討を行った結果、無機フィラー含有樹脂層の融点に着目し、この融点と、接着層の融点又は貯蔵弾性率の関係を考慮することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の金属張積層板は、金属層と、
前記金属層に直接接する接着層と、
前記接着層に直接又は間接的に積層されている、樹脂中に無機フィラーを含有する無機フィラー含有樹脂層と、
を備えている。そして、本発明の金属張積層板は、前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層が、以下のa)~d)、
a)前記接着層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとき、前記接着層を構成する主たる樹脂の融点Tm1が前記無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2より高いこと;
b)前記接着層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとき、前記接着層を構成する主たる樹脂の融点Tm1が前記無機フィラー含有樹脂層のガラス転移点Tg2より高いこと;
c)前記接着層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が結晶性樹脂であるとき、前記無機フィラー含有樹脂層の融点Tm2における前記接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上であること;
d)前記接着層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとともに、前記無機フィラー含有樹脂層を構成する主たる樹脂が非晶性樹脂であるとき、前記無機フィラー含有樹脂層のガラス転移点Tg2における前記接着層の貯蔵弾性率E’が1×10
6
Pa以上であること;
のいずれかの条件を満たし、
前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層とを含む絶縁層全体の熱膨張係数(CTE)が60ppm/K以下である。
【0010】
本発明の金属張積層板は、前記接着層と前記無機フィラー含有樹脂層とを含む絶縁層全体を、温度;24~26℃、湿度;45~55%の条件下で、24時間放置した後に、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR共振器)により測定される20GHzにおける誘電正接が0.0025未満であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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