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公開番号2025043058
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-28
出願番号2023150360
出願日2023-09-15
発明の名称細胞凝集体および細胞凝集体の製造方法
出願人株式会社クラレ,クラレクラフレックス株式会社,個人
代理人個人,個人
主分類C12N 5/00 20060101AFI20250321BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、凍結保存可能な細胞凝集体および細胞凝集体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】付着性細胞および細胞外基質を含む細胞凝集体であって、該凝集体の表面から30μm以上の深部においても生存細胞を含む、細胞凝集体、および、エチレン-ビルアルコール系共重合体を含む繊維よりなり且つ不織繊維構造を有する成形体に、付着性細胞を担持させ、攪拌下で該細胞を培養することを含む、細胞凝集体の製造方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
付着性細胞および細胞外基質を含む細胞凝集体であって、該凝集体の表面から30μm以上の深部においても生存細胞を含む、細胞凝集体。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
該凝集体の凍結融解後、該凝集体の表面から30μm以上の深部においても生存細胞を含む、請求項1に記載の細胞凝集体。
【請求項3】
1.5mmを超える直径を有する粒状である、請求項1に記載の細胞凝集体。
【請求項4】
前記細胞外基質の50%未満がコラーゲンである、請求項1に記載の細胞凝集体。
【請求項5】
凍結状態である、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞凝集体。
【請求項6】
エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維よりなり且つ不織繊維構造を有する成形体に、付着性細胞を担持させ、攪拌下で該細胞を培養することを含む、細胞凝集体の製造方法。
【請求項7】
前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維が、湿熱接着性繊維である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維が、非湿熱接着性繊維を含む複合繊維である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記複合繊維が、エチレン-ビニルアルコール系共重合体で構成された鞘部とポリエステル系樹脂で構成された芯部とを含む芯鞘型複合繊維である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
0.02~0.7g/cm

の見掛け密度を有する前記成形体に付着性細胞を担持させ、30~140rpmの攪拌下で該細胞を培養することを含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、付着性細胞および細胞外基質を含む細胞凝集体、および該細胞凝集体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、細胞移植治療において、移植細胞の機能を十分に発揮させるために、単層培養された単独の細胞ではなく、生体内の細胞間相互作用および細胞-細胞外基質間相互作用をより反映する、三次元培養によって作製された細胞凝集体(細胞塊、または細胞スフェロイドともいう)を移植することが注目されている。
【0003】
細胞凝集体の作製方法は以前から報告されており、代表的なものには、非接着性の底面を有する培養プレートを用いて細胞を培養して、培地中で浮遊する細胞同士を接着させることにより細胞凝集体を作製する方法(non-adhesive surface 細胞培養法)、細胞懸濁液を培養プレートの蓋の内側に滴下し、表面張力でドーム状になった液滴を逆さまに培養することにより、重力で細胞が液滴下方に集まって細胞同士が接着して細胞凝集体を形成する方法(Hanging drop 細胞培養法)、細胞培養チャンバーを回転させて細胞を培養することにより、チャンバー内で細胞同士が接触して細胞凝集体を形成する方法(rotary細胞培養法)等がある。さらに、コラーゲンを産生させる因子を添加した増殖培地中で製造される、コラーゲンを豊富に含む間葉系幹細胞の細胞集塊、および該細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存することによって得られる、間葉系幹細胞移植のための凍結移植体が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第7105487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
細胞凝集体を用いた細胞移植治療においては、移植手術の都度、細胞凝集体を作製する必要があるが、細胞凝集体の細胞数や細胞機能を均一にできる保証がない。一方、一定の品質を満たす細胞凝集体を凍結保存し、移植手術時に融解させて移植すれば、安定した移植効果が期待できるが、従来の技術では細胞凝集体の融解後の細胞生存性が低いため、細胞凝集体の凍結保存が困難であった。そこで、本発明は、凍結保存可能な細胞凝集体および該細胞凝集体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、鋭意研究の結果、驚くべきことに、エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維よりなり且つ不織繊維構造を有する成形体に付着性細胞を担持させ、攪拌下で該細胞を培養することによって、細胞凝集体を得ることに成功した。さらに驚くべきことに、該細胞凝集体は、凍結融解後も中心部の細胞が生存しており細胞生存率が高く、凍結保存可能であることが分かった。かくして、本発明が完成された。
【0007】
すなわち、本発明は、下記を提供する。
(1)付着性細胞および細胞外基質を含む細胞凝集体であって、該凝集体の表面から30μm以上の深部においても生存細胞を含む、細胞凝集体。
(2)該凝集体の凍結融解後、該凝集体の表面から30μm以上の深部においても生存細胞を含む、上記(1)に記載の細胞凝集体。
(3)1.5mmを超える直径を有する粒状である、上記(1)又は(2)に記載の細胞凝集体。
(4)前記細胞外基質の50%未満がコラーゲンである、上記(1)~(3)のいずれかに記載の細胞凝集体。
(5)凍結状態である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の細胞凝集体。
(6)エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維よりなり且つ不織繊維構造を有する成形体に、付着性細胞を担持させ、攪拌下で該細胞を培養することを含む、細胞凝集体の製造方法。
(7)前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維が、湿熱接着性繊維である、(6)に記載の製造方法。
(8)前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維が非湿熱接着性繊維を含む複合繊維である、上記(6)に記載の製造方法。
(9)前記複合繊維が、エチレン-ビニルアルコール系共重合体で構成された鞘部とポリエステル系樹脂で構成された芯部とを含む芯鞘型複合繊維である、上記(8)に記載の製造方法。
(10)0.02~0.7g/cm3の見掛け密度を有する前記成形体に付着性細胞を担持させ、30~140rpmの攪拌下で該細胞を培養することを含む、上記(6)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エチレン-ビニルアルコール系共重合体を含む繊維よりなり且つ不織繊維構造を有する成形体に付着性細胞を担持させ、攪拌下で該細胞を培養するという簡便な方法によって、細胞凝集体が得られる。本発明によって得られた細胞凝集体は、従来技術によって得られた細胞凝集体と比べて、サイズが大きく、培養時の細胞の生存性が向上し、さらに、凍結融解後の細胞の生存性が向上している。本発明の細胞凝集体は、凍結融解しても凝集体の中心部の細胞が生存しているため、凍結可能な細胞凝集体である。かくして、本発明の細胞凝集体を用いれば、治療毎に細胞凝集体を調製する必要がなく、細胞移植治療のリードタイム(治療の決定から治療を開始するまでの時間)が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
細胞凝集体のLive-Deadアッセイ結果を示す顕微鏡写真。
凍結融解後の細胞凝集体のLive-Deadアッセイ結果を示す顕微鏡写真。
細胞凝集体のピクロシリウスレッド染色結果を示す顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.細胞凝集体
本願明細書において「細胞凝集体」とは、複数の細胞が集合または凝集して形成された細胞の塊をいう。本発明の細胞凝集体は、付着性細胞の凝集体であり、細胞の他に細胞外基質を含む。本発明の細胞凝集体は、生体外で(in vitroまたはex vivoで)作製された細胞凝集体である。
(【0011】以降は省略されています)

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