TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025040818
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-25
出願番号2023147857
出願日2023-09-12
発明の名称熱成形装置
出願人株式会社浅野研究所
代理人弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
主分類B29C 51/10 20060101AFI20250317BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】シート又はフィルムの挙動を抑えつつ、生産性を向上可能な熱成形装置の提供。
【解決手段】圧空成形又は真空成形を行う熱成形装置100において、上部チャンバー101と下部チャンバー102が閉じた状態で保持される樹脂製シートSによって、作業空間50が区切られることで上部チャンバー101に上室51が形成され、下部チャンバー102に下室52が形成され、上室51と接続して上側真空回路120を形成する第1主配管路121と、第1主配管路121より流路が絞られ、第1主配管路121から分岐して設けられる第1副配管路122と、下室52と接続して下側真空回路130を形成する第2主配管路131と、第2主配管路131より流路が絞られ、第2主配管路131から分岐して設けられる第2副配管路132と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
耐圧性能を有して下側に開口する上側容器と、耐圧性能を有して上側に開口する下側容器と、前記上側容器と前記下側容器に真空回路が接続され、前記上側容器と前記下側容器が閉じた状態で形成される作業空間内に樹脂製の被成形体が保持された状態で加熱する加熱手段と、を有し、圧空成形又は真空成形を行う熱成形装置において、
前記上側容器と前記下側容器が閉じた状態で保持される前記被成形体によって、前記作業空間が区切られることで前記上側容器側に上室が形成され、前記下側容器側に下室が形成され、
前記上室と接続して該上室内の圧力調整を行う上側真空回路は、
第1主配管路、及び該第1主配管路より流路が絞られた第1副配管路よりなり、
前記下室と接続して該下室内の圧力調整を行う下側真空回路は、
第2主配管路、及び該第2主配管路より流路が絞られた第2副配管路よりなり、
前記加熱手段によって前記被成形体の加熱を行う際に、前記第1主配管路から前記第1副配管路に、前記第2主配管路から前記第2副配管路に、それぞれ流路を切り替えることで流量調整を行うこと、
を特徴とする熱成形装置。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
請求項1に記載の熱成形装置において、
前記上側真空回路に、
前記第1主配管路の連通・遮断を行う第1主配管用バルブと、
前記第1副配管路の連通・遮断を行う第1副配管用バルブと、
前記第1副配管路の流路を絞る目的で用いられる第1流量調整バルブと、を備え、
前記下側真空回路に、
前記第2主配管路の連通・遮断を行う第2主配管用バルブと、
前記第2副配管路の連通・遮断を行う第2副配管用バルブと、
前記第2副配管路の流路を絞る目的で用いられる第2流量調整バルブと、を備え、
前記第1主配管路及び前記第2主配管路を使って前記上室及び前記下室の真空度を下げた後に前記第1主配管用バルブ及び前記第2主配管用バルブを閉じ、その後、前記上側真空回路の流量と前記下側真空回路の流量を、前記第1副配管用バルブ及び前記第2副配管用バルブの開閉によって調整しながら前記加熱手段による前記被成形体の加熱を行うこと、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱成形装置において、
前記上室又は前記第1主配管路に、真空度を計測するための第1真空度計を備え、
前記下室又は前記第2主配管路に、真空度を計測するための第2真空度計を備え、
前記第1副配管用バルブ又は前記第2副配管用バルブの開閉制御に、前記第1真空度計又は前記第2真空度計で得られる前記上室又は前記下室の真空度を用いること、
を特徴とする熱成形装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の熱成形装置において、
前記第1主配管路には、前記上室の真空度を高めるための第1真空ポンプが接続され、
前記第2主配管路には、前記下室の真空度を高めるための第2真空ポンプまたは前記第1真空ポンプが接続され、
前記上側真空回路で排気する空気の流量と前記下側真空回路で排気する空気の流量を、前記第1副配管用バルブ及び前記第2副配管用バルブの開閉によって調整すること、
を特徴とする熱成形装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形装置内部の圧力をコントロールする技術に関し、詳しくは上下チャンバー式加熱成形機の真空立ち上がりの真空度を調整する技術に関するものである。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
食品トレーやパッケージなど幅広い分野で利用されるようになった熱成形装置は、より精度の高い成形を求められるケースが増えてきている。また、車のインパネなどに成形品が用いられる場合には、表面に加飾フィルムなどを用いて成形品に絵付けをすることで質感を出すケースもあり、機器表示を所定の位置に表示したいケースもある。したがって、成形における位置精度が求められるような事も増えてきている。
【0003】
特許文献1には、真空成形機に関する技術が公開されている。上方に開口した下ボックスと下方に開口した上ボックスとによって成形空間が密閉成形され、前記成形空間内において、被着体の表面に加飾フィルムを密着させて成形する真空成形機であって、上ボックスと下ボックスとで保持した加飾フィルムで仕切られた上側の成形空間を加圧環境とし、下側の成形空間を減圧環境とする圧力調整工程で、被着体に加飾フィルムを密着させる。成形空間に圧力差を発生させる際に加熱を停止することで、加飾フィルムの浮きの要因となる加飾フィルムのたるみ発生を抑える技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015-107638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、製品を熱成形するにあたって、真空度を高めて被着体に対する密着性を高める場合には、目標の真空度に到達するまでに時間を要する。このために、生産性を高めるために真空回路の真空排気速度を高める必要があるが、そうすると、被成形体となる樹脂製シートまたはフィルムの挙動が不安定になってしまうことを、出願人は確認している。特許文献1に記載の技術には、そうした点についての言及がなく解決することは困難である。一般的に、フィルム又はシートの厚みや材質の物性、加熱温度制御によってはフィルム又はシートの加熱時にドローダウンを生じやすくなる。特に真空度を高めて被着体などへの密着性を高める場合には、フィルムのドローダウンの影響が大きく出やすい。
【0006】
出願人の調査の結果、シート又はフィルムを加熱することによって軟化させると、フィルム中央部が垂れ下がるドローダウンの他にも、成形に影響する変形を確認している。圧空成形又は真空成形をするにあたって、上側容器と下側容器を用意して閉じた状態で形成される作業空間の中で、金型などを用いたフィルムの成形を行う場合、フィルムで仕切られる上室と下室の真空度を高める際に圧力差が生じると、圧力が低くなっている側に膨らむ(垂れる)。排気速度を上げると、バルブの開閉に伴って真空度のオーバーシュートが発生(目標範囲を超えてしまう)するため、その影響で差圧が上室と下室で入れ替わる現象が起き、フィルムが上下動を繰り返すことがわかった。この影響で、製品の皺などの不良に繋がるおそれがある。
【0007】
配管径を絞って排気速度を十分に遅くすればこうした問題は解消するが、そうすると今度は生産性を落としてしまうことになる。そこで、本発明はシート又はフィルムの挙動を抑えつつ、生産性を向上可能な熱成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による熱成形装置は、以下のような特徴を有する。
【0009】
(1)耐圧性能を有して下側に開口する上側容器と、耐圧性能を有して上側に開口する下側容器と、前記上側容器と前記下側容器に真空回路が接続され、前記上側容器と前記下側容器が閉じた状態で形成される作業空間内に樹脂製の被成形体が保持された状態で加熱する加熱手段と、を有し、圧空成形又は真空成形を行う熱成形装置において、
前記上側容器と前記下側容器が閉じた状態で保持される前記被成形体によって、前記作業空間が区切られることで前記上側容器側に上室が形成され、前記下側容器側に下室が形成され、
前記上室と接続して該上室内の圧力調整を行う上側真空回路は、
第1主配管路、及び該第1主配管路より流路が絞られた第1副配管路よりなり、
前記下室と接続して該下室内の圧力調整を行う下側真空回路は、
第2主配管路、及び該第2主配管路より流路が絞られた第2副配管路よりなり、
前記加熱手段によって前記被成形体の加熱を行う際に、前記第1主配管路から前記第1副配管路に、前記第2主配管路から前記第2副配管路に、それぞれ流路を切り替えることで流量調整を行うこと、
を特徴とする。
【0010】
上記(1)に記載の態様により、上室と下室の圧力調整を、上側真空回路では第1主配管路と第1副配管路を切り替えることで、下側真空回路では第2主配管路と第2副配管路を切り替えることで、実現している。具体的には第1主配管路より第1副配管路の方が流量を絞られており、第2主配管路より第2副配管路の方が流量を絞られている。このため、任意に排気速度の選択が可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許