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公開番号
2025039310
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-21
出願番号
2023146307
出願日
2023-09-08
発明の名称
補機冷却系の状態監視装置、及び、補機冷却系の状態監視方法
出願人
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人
弁理士法人信友国際特許事務所
主分類
G21C
15/18 20060101AFI20250313BHJP(核物理;核工学)
要約
【課題】原子炉補機冷却系、タービン補機冷却系における各熱交換器及び各ポンプの状態を監視する手段を提供する。
【解決手段】本発明の一態様の熱交性能評価システム100は、RCW系に設けられた計器による測定データ、及び、RCW系に接続された他系統に設けられた計器による測定データに基づいて、RCW系の熱交換器における交換熱量を算出するRCW接続系統の熱負荷計算プログラムPg3と、RCW系のポンプに入力する冷水の入口温度と交換熱量とに基づいて、RCW系の熱交換器の通水流量、及び、RCW系の熱交換器からの冷水の出口温度を推定する熱交流量及び温度推定プログラムPg4と、交換熱量、通水流量及び出口温度の、マスバランス及びエネルギーバランスとの整合性に基づいて、熱交換器の交換熱量、熱交換器の通水流量、熱交換器の出口温度を補正するRCW系のマスバランス及びエネルギーバランス補正プログラムPg5と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
原子炉補機を冷却する補機冷却系又はタービン補機を冷却する補機冷却系の状態監視装置であって、
前記補機冷却系に設けられた計器による測定データ、及び、前記補機冷却系に接続された負荷側の他系統に設けられた計器による測定データに基づいて、前記補機冷却系の熱交換器における交換熱量を算出する交換熱量計算部と、
前記補機冷却系のポンプに入力する冷水の入口温度と前記交換熱量とに基づいて、前記補機冷却系の熱交換器の通水流量、及び、前記熱交換器からの前記冷水の出口温度を推定する通水流量及び出口温度推定部と、
前記交換熱量、前記通水流量及び前記出口温度の、マスバランスとエネルギーバランスとの整合性に基づいて、前記交換熱量、前記通水流量及び前記出口温度を補正する補正部と、を備える
補機冷却系の状態監視装置。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
前記計器は、前記熱交換器又は前記ポンプの近傍に設置された温度計及び/又は圧力計、並びに、前記ポンプの近傍に設置されたレベル計を含み、
前記温度計による測定温度及び前記圧力計により測定された圧力値、又は、前記測定温度及び前記レベル計によって測定された前記ポンプの水位に基づいて、前記温度計の設置箇所を流れる前記冷水の流体エンタルピを算出するエンタルピ計算部と、
前記ポンプの近傍に設けられた前記圧力計により測定された圧力値に基づき定まる前記ポンプの揚程に基づいて、前記ポンプの吐出流量を算出するポンプ流量計算部と、をさらに備え、
前記交換熱量計算部は、前記エンタルピ計算部により算出された流体エンタルピ、及び、前記ポンプ流量計算部によって計算された前記ポンプの吐出流量に基づいて、前記交換熱量を算出する
請求項1に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項3】
前記ポンプ流量計算部は、前記ポンプの揚程と前記ポンプの吐出流量との関係を示す特性カーブを用いて、前記ポンプの吐出流量を算出する
請求項2に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項4】
前記通水流量及び出口温度推定部は、前記補機冷却系の前記熱交換器の冷却側における熱交換量に関する第1のヒートバランス式、前記補機冷却系の前記熱交換器に接続された負荷側における熱交換量に関する第2のヒートバランス式、及び、前記補機冷却系の前記熱交換器の性能式による連立方程式を用いて、前記補機冷却系の前記熱交換器の通水流量、及び、前記補機冷却系の前記熱交換器からの前記冷水の出口温度を推定する
請求項3に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項5】
前記マスバランスは、前記補機冷却系における質量保存則に基づく制約条件式によって示され、前記エネルギーバランスは、前記補機冷却系におけるエネルギー保存則に基づく制約条件式によって示される
請求項4に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記補機冷却系の前記熱交換器の熱貫流率、及び、前記特性カーブに示される前記補機冷却系の前記ポンプのQ-H特性に劣化係数を乗算することにより、前記補正を行う
請求項3に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項7】
前記補機冷却系は前記原子炉補機を冷却する補機冷却系であり、
前記補機冷却系に接続された負荷側の他系統は、原子炉補機冷却海水系、換気空調補機非常用冷却水系、残留熱除去系、燃料プール冷却浄化系、原子炉冷却材浄化系及び所内温水系である
請求項1~6のいずれか一項に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項8】
前記補機冷却系は前記タービン補機を冷却する補機冷却系であり、
前記補機冷却系に接続された負荷側の他系統は、タービン補機冷却海水系及び常用空調機器冷水系である
請求項2~6のいずれか一項に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項9】
前記補機冷却系の前記熱交換器の入口配管の表面及び出口配管の表面のそれぞれ設置される追設温度センサをさらに備え、
前記エンタルピ計算部は、前記追設温度センサによって測定される前記配管の表面温度に基づいて前記流体エンタルピを算出する
請求項8に記載の補機冷却系の状態監視装置。
【請求項10】
前記補機冷却海水系の海水ポンプの出口配管の表面に設置されるひずみセンサをさらに備え、
前記ポンプ流量計算部は、前記ひずみセンサによって測定された前記配管のひずみに基づいて、前記配管の内部における流体圧力を算出し、算出した前記流体圧力に基づいて前記ポンプの吐出流量を算出する
請求項8に記載の補機冷却系の状態監視装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、補機冷却系の状態監視装置、及び、補機冷却系の状態監視方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
原子力プラントには、原子炉補機冷却系(以下、RCW(Reactor Building Closed Cooling Water System)系と称する)及びタービン補機冷却系(以下、TCW(Turbine Building Cooling Water System)系と称する)が備えられている。それぞれ、原子炉設備又はタービン設備から発生する熱を最終ヒートシンクである海水に放出するとともに、各設備に対して冷却用の冷水を供給する役割を担っている。特にRCW系は、運転時の除熱だけでなく、事故時に発生する崩壊熱を除去する機能を有している。したがって、原子力プラントを安全に運転する上で、RCW系の性能が確保されることが重要となる。
【0003】
RCW系及びTCW系は、それぞれ、閉ループの配管、ポンプ、熱交換器、サージタンクで構成される。熱交換器は、各熱負荷、及び、最終ヒートシンクである海水冷却系に接続される。海水冷却系には、原子炉補機冷却海水系(以下、RSW(Reactor Sea Water System)系と称する)及びタービン補機冷却海水系(以下、TSW(Turbine Sea Water System)系と称する)がある。RCW系、TCW系の各性能を確保するためには、ポンプ及び熱交換器が所定の性能を発揮できる状態が維持されている必要がある。
【0004】
原子炉設備、タービン設備からの各排熱は、プラントが停止中であっても発生するため、RCW系及びTCW系は、定検中においても停止することができない系統設備である。したがって、RCW系及びTCW系の各ポンプ、熱交換器は多重性を有する構成となっており、保守点検時には、複数設けられた系統の一部を隔離及び停止される。しかしながら、この方法で保守点検を行う場合、保守点検中には多重性が低下するため、長時間にわたる保守点検は困難となる。また、複数系統の一部を隔離及び停止して実施される保守点検においては、工事作業を行う時期が制限されたりするため、定検(定期検査)全体の工程へ与える影響も大きくなる。
【0005】
国内の原子力発電所においては、定期的に機器を保守点検する、時間管理保全が主流であるが、近年、対象機器の状態を監視して必要に応じて保守点検を行う、状態監視保全を取り入れようという動きがある。RCW系及びTCW系は、上述のように保守点検時にかかる負荷が大きいため、ポンプ、熱交換器の状態を監視して必要に応じて保守・点検を行うことが望ましい。
【0006】
以上の点から、RCW系、TCW系のそれぞれを構成するポンプ及び熱交換器の状態を監視することは、プラントの定検を合理化する面からも重要であると言える。
【0007】
特許文献1には、熱交換器への入口給水流量又はドレン出口流量若しくはそれらの相当量を監視する事により、ドレン水位調節弁へのスケール付着の有無、熱交換用チューブの漏洩の有無、水室仕切板や熱交換器ドレン冷却部囲い板の破損によるドレンのショートパス又はドレン冷却部への抽気蒸気の巻き込みの有無を判定可能な熱交換器の異常監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平5-39902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の技術では、異常監視装置は、熱交換性能を監視するために、熱交換器の入口温度及び出口温度、加熱源となる蒸気温度、ドレンの出口温度の実測値から熱貫流率を求め、熱貫流率を監視することによって熱交換器の状態を監視する。しかしながらRCW系、TCW系においては、特許文献1に記載の異常監視装置が熱貫流率を算出するために必要なプロセス量が測定されていないため、実施を行うためには、多数の温度計、圧力計、流量計等を追設する必要がある。
【0010】
しかし、RCW系、TCW系は、前述の通りプラント停止中も運転が必要な系統設備であり、センサの追設に伴う大規模工事はプラント全体の停止に繋がってしまうため、多数のセンサの追設は望ましくない。特許文献1においては、ドレン冷却部、凝縮部出口近傍における温度を他のプロセス量から推定する手段が開示されているが、特許文献1に記載の技術は蒸気凝縮を伴う給水加熱器を対象としたものであり、相変化を伴わないRCW系、TCW系熱交換器の状態監視には直接適用することができないという課題がある。
(【0011】以降は省略されています)
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