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公開番号2025035507
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023142596
出願日2023-09-01
発明の名称耐屈曲性に優れた薄型電熱デバイス
出願人株式会社太陽機械製作所
代理人個人,個人
主分類H05B 3/20 20060101AFI20250306BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】可撓性に優れ、曲げ半径0.5mm以下の耐屈曲性を達成することができる薄膜状のインキ膜厚であっても、低電圧(12v以下)で所望温度が得られる薄型電熱デバイスを提供することを課題としている。
【解決手段】電気絶縁性材料からなる基材と、該基材上に導電性インキにより形成された薄膜状のヒーター電熱線を有するヒーターエリアと、該ヒーターエリアの両端の対向する2つの辺に沿って導電性材料によりそれぞれ形成された、外部電源にそれぞれ接続される接続端子部が設定される接続エリアとを備え、接続エリアの電気的抵抗がヒーターエリアの電気的抵抗よりも低いことを特徴とする構成になっている。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
電気絶縁性材料からなる基材と、
該基材上に導電性インキにより形成された薄膜状のヒーター電熱線を有するヒーターエリアと、
該ヒーターエリアの両端の対向する2つの辺に沿って導電性材料によりそれぞれ形成された、外部電源にそれぞれ接続される接続端子部が設定される接続エリアと
を備え、
前記接続エリアの電気的抵抗がヒーターエリアの電気的抵抗よりも低い
ことを特徴とする薄型電熱デバイス。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記ヒーター電熱線は、導電性インキをフレキソ印刷若しくはインクジェット方式印刷又はコーティングにより基材上の前記ヒーターエリアの全域に形成された薄膜状の導電性インキ膜であると共に、
前記接続エリアは、
前記対向する2つの辺に沿って、
前記ヒーター電熱線を形成する導電性インキとは異なる導電性材料で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の薄型電熱デバイス。
【請求項3】
前記ヒーター電熱線は、導電性インキをフレキソ印刷若しくはインクジェット方式印刷することにより形成された薄膜状のヒーター電熱線であって、
前記接続端子部の一方から他方へと向かう電流の流れる方向が複数回変化するパターンを形成するものであると共に、
前記接続エリアの前記電流の流れる方向の幅が、前記ヒーター電熱線の線幅よりも広い
ことを特徴とする請求項1に記載の薄型電熱デバイス。
【請求項4】
前記接続エリアの前記電流の流れる方向の幅は、前記接続端子部が設定された個所から前記電流の流れる方向と直交する方向へ遠ざかるほどに広くなることを特徴とする請求項3に記載の薄型電熱デバイス。
【請求項5】
前記パターンは、異なる方向へ延びる線が交差して形作られる分岐点を有する形状を複数回繰り返すパターンである
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型電熱デバイス。
【請求項6】
前記基材を折り曲げ若しくは屈曲させることで、前記ヒーターエリアが多層に重なる形状としたことを特徴とする請求項1に記載の薄型電熱デバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に導電性インキを用いて印刷等することにより形成されたヒーター電熱線を有する薄型電熱デバイスに関し、特に、ヒーター電熱線を薄膜状に形成可能であり、耐屈曲性に優れた薄型電熱デバイスに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
これまで、導電性インキを用いた印刷を行うことで基材上に電熱線を形成した薄型化ヒーターが種々提案されてきた。例えば、基材上に、スクリーン印刷により銀ペーストパターンを印刷した薄型電熱デバイス(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2018-513544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来からある薄型電熱デバイスの多くは、スクリーン印刷によりヒーター電熱線が形成されている。この場合、その印刷方式の特性から電熱線を形成するインキ層の厚みは少なくとも5μm以上となる。このような厚みのインキ層は可撓性に乏しいため曲げることが難しく、特に曲げ半径0.5mm以下の優れた屈曲を実現することが困難であった。このため、従来の薄型電熱デバイスの多くは、シート状に広げた状態での使用に限られるものが多かった。しかし、ヒーターにより温める対象の形状に合わせた曲面形状や円筒形状のヒーターが実現できれば、対象物を効率的に温めることが可能になるばかりでなく、ヒーターの使用用途も広がることが期待できる。また、曲げたり丸めたりが容易であれば、ヒーターの可搬性向上も期待できる。
【0005】
一般的に、導体の厚みが薄くなるほど、導体層の抵抗が高くなる。このため、薄い導体層で所望のヒーター温度を得るためには、供給電圧を高くする必要があるが、これは消費電力の増大に繋がる。導体の厚みを厚くすることで供給電圧を下げることは可能であるが、これは製造コストの増大、生産性の低下につながるばかりでなく、上述の可撓性の要望と相反することとなる。以上のことを総合的に考慮し、従来のスクリーン印刷により電熱線を形成したヒーターでは、インキ膜厚を10~20μmとして、1本の電熱線をヒーター発熱エリア内で何度も折り返して往復するパターンとすることで電熱線の距離を長くしたものが多かった。このように電熱線の距離を長くした場合、抵抗が高くなるため消費電力は増大する傾向にある。特に、A3サイズ以上のようなヒーターの大面積化を考える場合、消費電力をできるだけ抑えたいことを考えると、現実的には30μm以上の膜厚が必要となってしまう。特にヒーター発熱エリア内での発熱温度ムラをなくすために、エリア内全域で電熱線間の隙間を生じないように細かく往復するパターンを採用する場合には、できるだけ抵抗を低くして消費電力を抑えるためには、電熱線を形成するインキ膜厚は200μm以上であることが望ましいと言える。
【0006】
上述の特許文献1では、低電圧(12v以下)で所望の温度が達成され得る電熱デバイスとして、例えばスクリーン印刷を用いて、グラフェン上に銀ペーストパターンを印刷したものが開示されているが、その銀ペーストの厚さは25μmである。このように、従来から用いられているスクリーン印刷では、優れた可撓性を有する実用的な薄型電熱デバイスを製造することは困難であった。
【0007】
ここで、フレキソ印刷若しくはインクジェット方式印刷を用いて電熱線を形成した場合、そのインキ膜厚は5μm以下とすることができるため、薄型電熱デバイスに可撓性を付与することができる。しかし、上述のように膜厚を薄くすると導体層の抵抗が高くなるため、従来のスクリーン印刷による電熱線の場合と同様の、1本の電熱線を何度も往復させるパターンとする考え方のみでは、低電圧で所望の発熱温度が得られる電熱デバイスを作成することはできなかった。具体的には、可撓性を有する膜厚5μm以下の電熱線であって、かつ、低電圧(12v以下)で所望温度を得られる電熱デバイスが求められており、特に曲げ半径0.5mm以下の優れた可撓性を得るには、膜厚1μm以下の電熱線であっても、低電圧(12v以下)で所望温度を得られることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討した結果、フレキソ印刷若しくはインクジェット方式印刷又はコーティングにより形成された薄膜状の電熱線を有するヒーターについて、電熱線を有するエリアと外部電源に接続される端子を有するエリアのそれぞれの電気的抵抗に着目することで、膜厚5μm以下であっても低電圧で所望温度が得られるヒーターを制作できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
ここで、電気的抵抗とは、いわゆる物理的値としての抵抗値のみを意味するものではなく、対象エリアを構成する電熱線パターンの形状、当該電熱線の太さ(線幅)、電熱線同士の間隔、電熱線を形成する導電性材料等の相違等により、対象エリアの電流の流れ易さ(流れ難さ)を総合的に評価した概念を意味するものである。すなわち、例えば、電熱線の太さ(線幅)が太いほど、また電熱線の直線性が高い程、電流は流れ易い。このような電流の流れ易さを電気的抵抗が低いと評価する。逆に電熱線が細い、電熱線が互いに交差し分岐することで電熱線の延びる方向が複数回変化するパターンであるとき、変化が多いほど電流は流れ難くなる。このような電流の流れ難さを電気的抵抗が高いと評価する。対象となるエリア全体について、このような電流の流れ易さ(難さ)に影響を与える要因を総合的に評価することで当該エリアの電気的抵抗の高低を導き出す概念である。
【0010】
上記課題を解決するため、本願発明の薄型電熱デバイスは、電気絶縁性材料からなる基材と、該基材上に導電性インキにより形成された薄膜状のヒーター電熱線を有するヒーターエリアと、該ヒーターエリアの両端に導電性材料によりそれぞれ形成された、外部電源にそれぞれ接続される接続端子部を有する接続エリアとを備え、前記接続エリアの電気的抵抗がヒーターエリアの電気的抵抗よりも低いことを特徴としている。この構成によれば、可撓性に優れた5μm以下のインキ膜厚を達成できるフレキソ印刷若しくはインクジェット方式印刷により形成されたヒーター電熱線であっても、低電圧(12v以下)で所望温度の発熱を得ることができる。ここで、接続エリアを形成する導電性材料とは、文字通り導電性を有する材料であればよく、例えば、ヒーターエリアを形成する導電性インキであってもよい。すなわち、接続エリアもヒーターエリアと同様に、導電性インキを印刷することにより形成してもよい。もちろん、接続エリアは、ヒーターエリアの形成に用いた導電性インキとは異なる別個の導電性材料、例えば銅等の金属材料で形成してもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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