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公開番号2025034920
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023141601
出願日2023-08-31
発明の名称アルミニウム合金ディスク材、アルミニウム合金原料の製造方法、アルミニウム合金鋳塊の製造方法、アルミニウム合金板の製造方法、めっき用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスク
出願人株式会社UACJ,古河電気工業株式会社
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人
主分類G11B 5/73 20060101AFI20250306BHJP(情報記憶)
要約【課題】リサイクル性に優れた、アルミニウム合金ディスク材、アルミニウム合金原料の製造方法、アルミニウム合金鋳塊の製造方法、アルミニウム合金板の製造方法、めっき用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスクを提供する。
【解決手段】アルミニウム合金ディスク1と、Niを含む下地層と、を備える中間材及び完成品の少なくともいずれかのリサイクル材から前記下地層が剥離された剥離面を有するアルミニウム合金ディスク材であって、前記剥離面の表面に酸化皮膜10を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アルミニウム合金ディスクと、Niを含む下地層と、を備える中間材及び完成品の少なくともいずれかのリサイクル材から前記下地層が剥離された剥離面を有するアルミニウム合金ディスク材であって、前記剥離面の表面に酸化皮膜を有することを特徴とする、前記アルミニウム合金ディスク材。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記酸化皮膜はS及びPの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のアルミニウム合金ディスク材。
【請求項3】
前記下地層はNi-Pめっき層を含む、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金ディスク材。
【請求項4】
アルミニウム合金ディスクと、Niを含む下地層と、を備える中間材及び完成品の少なくともいずれかをリサイクル材としてアルミニウム合金素材の少なくとも一部に再利用して、前記リサイクル材を含むアルミニウム合金素材の加熱又湿式処理により前記アルミニウム合金ディスクと前記下地層を分離する分離工程を含むアルミニウム合金原料の製造方法であって、前記下地層が剥離されて得られたアルミニウム合金ディスク材の剥離面に酸化皮膜が形成されていることを特徴とするアルミニウム合金原料の製造方法。
【請求項5】
グロー放電発光分光分析法により前記酸化皮膜の表面から深さ方向の定量元素分析を行ったときに、酸素(O)の発光強度のピークが半分になる時間が0.1秒以上である、請求項4に記載のアルミニウム合金原料の製造方法。
【請求項6】
前記酸化皮膜はS及びPの少なくとも1つを含む、請求項4又は5に記載のアルミニウム合金原料の製造方法。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の製造方法で得られたアルミニウム合金原料の少なくとも一部を使用してアルミニウム合金の溶湯を調整する溶湯調整工程と、調整した溶湯を加熱保持する溶湯加熱保持工程と、加熱保持した溶湯を鋳造する鋳造工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
【請求項8】
前記溶湯加熱保持工程において、前記アルミニウム合金の溶湯表面に存在する酸化皮膜を除去する、請求項7に記載のアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の製造方法で得られたアルミニウム合金鋳塊を任意に加熱処理する均質化処理工程と、任意に均質化処理したアルミニウム合金鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延した熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金板の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法で得られたアルミニウム合金板を円環状ディスクブランクに加工する加工工程と、円環状ディスクブランクを加圧平坦化する加圧焼鈍工程と、加圧平坦化した円環状ディスクブランクに切削加工と研削加工を施す切削・研削加工工程とを含むことを特徴とするめっき用アルミニウム合金基板の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル性に優れた、アルミニウム合金ディスク材、アルミニウム合金原料の製造方法、アルミニウム合金鋳塊の製造方法、アルミニウム合金板の製造方法、めっき用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法、及びその製造方法で得られた磁気ディスクに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
コンピュータの記憶装置に用いられるアルミニウム合金製磁気ディスクは、良好なめっき性を有するとともに機械的特性や加工性に優れたJIS5086系アルミニウム合金をベースにしたアルミニウム合金基板から製造されている。
【0003】
さらに、アルミニウム合金製磁気ディスクは、めっき前処理工程における金属間化合物の抜け落ちによるピット不具合の改善を目的に、JIS5086系アルミニウム合金中の不純物であるFe、Si、Mn等の含有量を制限し、マトリックス中の金属間化合物のサイズを小さくしたアルミニウム合金基板、或いは、めっき性の改善を目的にJIS5086系アルミニウム合金中のCuやZnを意識的に添加したアルミニウム合金基板等から製造されている。
【0004】
一般的なアルミニウム合金製磁気ディスクの製造において、まず、アルミニウム合金板を作製した後、円環状アルミニウム合金ディスクブランクを作製し、切削加工、研削加工を行った後に加圧焼鈍を施してアルミニウム合金基板を作製する。次いで、このアルミニウム合金基板にめっきを施し、さらにアルミニウム合金基板の表面に磁性体を付着させることによりアルミニウム合金製磁気ディスクが製造される。
【0005】
例えば、JIS5086系アルミニウム合金を用いたアルミニウム合金製磁気ディスクは、以下の製造工程により製造される。まず、所望の合金組成を有するアルミニウム合金を鋳造し、その鋳塊を熱間圧延し、次いで冷間圧延を施し、磁気ディスクとして必要な厚さを有する圧延材を作製する。この圧延材には、必要に応じて冷間圧延の途中等に焼鈍が施される。次に、この圧延材を円環状に打抜き、さらに製造過程により生じた歪み等を除去するため、円環状のアルミニウム合金板を積層し、両面から加圧しつつ焼鈍を施して平坦化する加圧焼鈍を行う。このような工程を経てディスクブランクが作製される。
【0006】
このようにして作製されたディスクブランクに、前処理として切削加工、研削加工を施した後、加工工程により生じた歪み等を除去するために、ディスクブランクを加熱処理すすることでアルミニウム合金基板が作製される。次に、めっき前処理として脱脂、エッチング、ジンケート処理(Zn置換処理)を施し、さらに下地処理として硬質非磁性金属であるNi-Pめっきを施し、表面にポリッシングを施すことで、磁気ディスク用アルミニウム合金基板が作製される。最後に、磁性体等をスパッタリングしてアルミニウム合金製の磁気ディスクが製造される。
【0007】
ところで、近年になって、磁気ディスクには、マルチメディア等のニーズから大容量化及び高密度化が求められている。さらなる大容量化のため、記憶装置に搭載される磁気ディスクの枚数が増加しており、それに伴い磁気ディスクの薄肉化も求められている。しかしながら、磁気ディスク用アルミニウム合金基板を薄肉化すると剛性が低下してしまうため、アルミニウム合金基板には高剛性化が求められ、近年では、Ni等を添加した高剛性材料の検討が行われている。
【0008】
一方、磁気ディスクの搭載枚数の増加に伴い、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の原料であるAl等の必要量が増加している。しかしながら、これらの資源には限りがあるため、めっきや磁性体等が付着したアルミニウム合金基板や磁気ディスクもアルミニウム合金素材の原料の一部として再利用することが求められている。リサイクルの対象は、アルミニウム合金基板であれば欠陥が発生し製品として不適なものが用いられ、磁気ディスクでは欠陥品や使用済みHDDから抽出したものなどが用いられる。
【0009】
このような実情から、近年ではリサイクル性に優れたアルミニウム合金鋳塊の製造方法、この鋳塊を用いたアルミニウム合金板の製造方法、このアルミニウム合金板を用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法、ならびに、このアルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクの製造が強く望まれており、検討がなされている。例えば、特許文献1には、磁気ディスク用アルミニウム合金としてNiを含有させることで、当該アルミニウム合金基板を原料として再利用できることが提案されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、磁気ディスク用アルミニウム合金基板を原料として多量に使用した場合、例えば、重量比で原料の50%以上の磁気ディスク用アルミニウム合金基板を使用した場合、アルミニウム合金原料にはNiが3.0質量%以上含まれる可能性があった。そのため、Niを多く含むことが許容できないアルミニウム合金原料を作製する場合には、磁気ディスク用アルミニウム合金基板を少量しか使用することができず、リサイクル性に欠けることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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