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公開番号
2025024667
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-20
出願番号
2024043051
出願日
2024-03-19
発明の名称
耐腐食性ニッケル基合金の表面処理方法及びその構造
出願人
翔名科技股分有限公司
,
Feedback Technology Corp.
代理人
個人
主分類
C23C
8/10 20060101AFI20250213BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】ニッケル基合金の表面に安定して均質な鈍化層を形成するとともにエネルギーを節約して合金の固有性能を保持できるニッケル基合金の表面処理方法を提供する。
【解決手段】
本発明の抗腐食性を有するニッケル基合金の表面処理方法は、ニッケル基合金を第一の中性またはアルカリ性溶液に浸漬することによって表面の汚染物質を除去するステップと、洗浄された前記ニッケル基合金を第二の中性またはアルカリ性溶液に浸漬することによって、前記ニッケル基合金の表面に官能基を形成するステップと、前記ニッケル基合金を低温熱処理プロセスにて処理することによって、前記ニッケル基合金の少なくとも一つの表面に鈍化層を形成するステップと、を含み、前記低温熱処理プロセスは、酸素及び保護ガスを含む環境で行われ、前記鈍化層の表面粗さは0.04μm以下であって、かつ厚さは5nm以上200nm以下であることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
抗腐食性を有するニッケル基合金の表面処理方法であって、
前記ニッケル基合金を第一の中性またはアルカリ性溶液に浸漬することによって表面の汚染物質を除去するステップと、
洗浄された前記ニッケル基合金を第二の中性またはアルカリ性溶液に浸漬することによって、前記ニッケル基合金の表面に官能基を形成するステップと、
前記ニッケル基合金を低温熱処理プロセスにて処理することによって、前記ニッケル基合金の少なくとも一つの表面に鈍化層を形成するステップと、を含み、
前記第一の中性またはアルカリ性溶液のpH値は、7以上12以下であり、
前記第二の中性またはアルカリ性溶液のpH値は、7以上12以下であり、
前記低温熱処理プロセスは、酸素及び保護ガスを含む環境で行われ、
前記鈍化層の表面粗さは0.04μm以下であって、かつ厚さは5nm以上200nm以下である、抗腐食性を有するニッケル基合金の表面処理方法。
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【請求項2】
前記官能基が、ヒドロキシ基、カルボニル基及びカルボキシル基からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項3】
前記第一の中性またはアルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、酢酸、水酸化カリウム及び塩化ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項4】
前記第二の中性またはアルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、酢酸、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、過酸化水素及び塩化ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項5】
前記ニッケル基合金が、前記第一の中性またはアルカリ性溶液に1時間以上3時間以下浸漬され、かつその温度が25℃以上50℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項6】
前記ニッケル基合金が、前記第一の中性またはアルカリ性溶液に浸漬される際に、超音波振動処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項7】
前記ニッケル基合金が、前記第二の中性またはアルカリ性溶液に1時間以上12時間以下浸漬され、かつその温度が25℃以上60℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項8】
前記低温熱処理プロセスの温度が250℃以上600℃以下であり、ガスの流量が5sccm以上200sccm以下であり、圧力が0.1気圧以上1気圧以下であり、かす処理時間が1時間以上6時間以下であることを特徴とする、請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項9】
前記保護ガスが、窒素又はアルゴンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗腐食性ニッケル基合金の表面処理方法。
【請求項10】
抗腐食性を有するニッケル基合金であって、
ニッケル基合金から構成される基板と、
前記基板の少なくとも一つの表面に設置される鈍化層と、を含み、
前記鈍化層の表面粗さは0.04μm以下であり、厚さは5nm以上200nm以下である抗腐食性を有するニッケル基合金。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐腐食性合金の表面処理方法及び耐腐食性合金に関し、特に、耐腐食性ニッケル基合金の表面処理方法及び耐腐食性ニッケル基合金に関する。
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【背景技術】
【0002】
ニッケル基合金は、優れた機械的性能と高い耐腐食性のため、多くの産業分野で広く使用されている。これらの合金は特に、高温、高圧、腐食性材料が存在する過酷な環境、例えば化学処理、航空宇宙、エネルギー分野に適している。ニッケル基合金はある程度の耐腐食性を持つが、特に極端な条件下や長期間の使用時には、特定の種類の腐食に対して脆弱であることがある。
【0003】
ニッケル基合金を使用する主要な課題の一つは、合金表面に安定した保護的な鈍化層を形成することである。この層は通常、金属酸化物で構成され、基材金属のさらなる腐食を防ぐ障壁として機能する。しかし、ニッケル基合金上に均一で密な安定した鈍化層を形成することは、挑戦的である場合がある。従来の方法は通常、高温熱処理プロセスを伴い、これはエネルギー集約的であり、合金の微細構造や機械的性質に不利な変化を引き起こす可能性がある。さらに、表面の汚染物質(例えば有機残留物)の存在は、効果的な鈍化層の形成を妨げる。これらの汚染物質は層内に不均一性を生じさせ、局部的な腐食感受性を高める。したがって、これらの汚染物質を鈍化層の形成前に効果的に除去する方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のこれらの課題を踏まえ、ニッケル基合金の処理方法を改善し、その耐腐食性を向上させることが非常に求められている。具体的には、合金表面に安定して均一な鈍化層を効果的に形成し、同時にエネルギーを節約し、合金の固有性能を保持する方法が必要である。これらの問題をどのように解決するかは、本分野の一般的な知識を持つ者にとって考慮すべき重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するため、本発明の目的は、耐腐食性ニッケル基合金の表面処理方法及び耐腐食性ニッケル基合金を提供することである。
【0006】
上述の目的及びその他の目的に基づき、本発明は耐腐食性ニッケル基合金の表面処理方法及び得られた合金を提供する。この方法には以下のステップが含まれる。まず、ニッケル基合金を第一の中性またはアルカリ性溶液に浸漬して表面の汚染物質を除去する。該溶液のpH値は7以上12以下である。次に、清潔化されたニッケル基合金を第二の中性またはアルカリ性溶液に浸漬し、合金表面に官能基を形成する。第二の中性またはアルカリ性溶液のpH値も7以上12以下である。その後、ニッケル基合金に低温熱処理プロセスを施し、合金の少なくとも一つの表面に鈍化層を形成する。この低温熱処理プロセスは、酸素と保護ガスを含む環境で行われる。ここで、鈍化層の表面粗さは0.04μm以下で、厚さは5nm以上200nm以下である。
【0007】
一つの実施例では、ニッケル基合金表面に形成される官能基は、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基から成る群から選択される。さらに、第一の中性またはアルカリ性溶液及び第二の中性またはアルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム、酢酸、水酸化カリウム、塩化ナトリウムなどの様々な化合物から選択されることができる。
【0008】
別の実施例では、ニッケル基合金を25℃以上50℃以下の温度で第一溶液に1時間以上3時間以下浸漬することができる。この浸漬期間中、超音波振動処理を行うことができる。合金を25℃以上60℃以下の温度で第二の中性またはアルカリ性溶液に1時間以上12時間以下浸漬することができる。
【0009】
別の実施例では、低温熱処理プロセスの温度は250℃以上600℃以下であり、ガスの流量は5sccm以上200sccm以下であり、処理時間は1時間以上6時間以下である。使用される保護ガスは、窒素またはアルゴンであってもよい。
【0010】
上記の方法によって得られた耐腐食性ニッケル基合金は、ニッケル基合金から構成される基板と、基板の少なくとも一つの表面に設置される鈍化層を含む。ニッケル基合金のニッケル含量は50%以上であり、合金にはクロム(Cr)、マンガン(Mn)金属も含まれることがある。鈍化層は、ニッケルを含む酸化層、マンガン(MnO
x
)を含む酸化層、クロム(CrO
x
)を含む酸化層、またはその組み合わせであってもよい。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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