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公開番号2025024395
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-20
出願番号2023128465
出願日2023-08-07
発明の名称音響材
出願人横浜ゴム株式会社
代理人個人
主分類G10K 11/16 20060101AFI20250213BHJP(楽器;音響)
要約【課題】曲げ剛性、耐久性、音響性能を確保する上で有利な音響材を提供する。
【解決手段】音響材10Aは、所定の音響性能を有する音響材料で形成された板状の音響材本体12と、音響材本体12よりも剛性が高い材料で形成され補強板14とを備えている。補強板14には、補強板14の厚さT2方向に貫通する複数の貫通孔18が設けられている。補強板14の外側に位置する音響材本体12の外周部箇所1210と、補強板14の内側に位置する内周部箇所1212とは、複数の貫通孔18内に位置する音響材本体12の箇所1214とにより連結され、音響材本体12の外周部箇所1210と、補強板14の内側に位置する内周部箇所1212と、補強板14とが一体化され、すなわち、音響材本体12と補強板14とが一体化されている。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
所定の音響性能を有する音響材料で形成された厚さを有する板状の音響材本体と、
音響材本体よりも剛性が高い材料で形成され、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さを有し前記音響材本体に埋設された補強板とを備え、
前記補強板には、前記補強板の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている、
ことを特徴とする音響板。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記貫通孔は、前記補強板の長さ方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の音響板。
【請求項3】
前記補強板は、前記補強板の高さ方向を前記音響材本体の厚さ方向に沿わせて配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の音響板。
【請求項4】
前記補強板の高さ方向の両端は、前記音響材本体の厚さ方向の両面と同一面上に位置している、
ことを特徴とする請求項3記載の音響板。
【請求項5】
前記補強板の高さ方向の両端は、前記音響材本体の厚さ方向の両面から離れた箇所に位置している、
ことを特徴とする請求項3記載の音響板。
【請求項6】
前記補強板は、前記音響材本体を形成する音響材料と音響性能が近い材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の音響材。
【請求項7】
前記音響材本体を形成する音響材料は粘弾性体であり、
前記補強板はFRPで形成されている、
ことを特徴とする請求項6記載の音響材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、音響材に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
船舶の船体などの構造体に取り付けることで、音波の反射、吸収、透過を図る音響材が提供されている(特許文献1参照)。
このような音響材として、粘弾性体からなり均一の厚さの矩形板状を呈するものがあり、音響材は構造体を構成する鋼板の外面に重ね合わされて取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2005-227702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、構造体はその軽量化を図るために構造体を構成する鋼板の薄型化が求められているが、鋼板を薄型化すると構造体の強度を確保する上で不利となる。
そこで、音響材に曲げ剛性を付与するためのFRP、合成樹脂、あるいは、金属材料などから構成される補強層を音響材の内部に組み込むことで音響材自体を構造部材(補強部材)として構造体の構造設計に組み込むことが考えられる。
すなわち、音響材自体を船体などの構造体を構成する構造部材として用いることにより、構造体の鋼板を薄くしても構造体と音響材とで構成される構造体全体の強度を確保することができる。
しかしながら、この場合、補強層と音響材との一体化を図ることが容易ではないことから、音響材の耐久性を高める上で不利となる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、曲げ剛性、耐久性、音響性能を確保する上で有利な音響材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の一実施の形態は、所定の音響性能を有する音響材料で形成された厚さを有する板状の音響材本体と、音響材本体よりも剛性が高い材料で形成され、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さを有し前記音響材本体に埋設された補強板とを備え、前記補強板には、前記補強板の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、補強板によって音響材の曲げ剛性を確保する上で有利となる。
また、補強板の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を介して音響材本体と補強板とが一体化されるので、音響材の耐久性を高める上で有利となる。
この場合、音響材本体とは材料や物性が異なる接着剤を用いることなく音響材を製造できるので、音響性能を確保する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
第1の実施の形態の音響材の平面図である。
第1の実施の形態の音響材の斜視図である。
図2のA-A線断面図である。
補強板の斜視図である。
第2の実施の形態の音響材の斜視図である。
図5のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に、図1-図4を参照して第1の実施の形態に係る音響材10Aから説明する。
音響材10Aは、船舶の船体などの不図示の構造体を構成する鋼板の外面(被取り付け面)に重ね合わされて取り付けられることで、音波の反射、吸収、透過を図るものである。
音響材10Aは、音響材本体12と、補強板14とを含んで構成されている。
音響材本体12は、所定の音響性能(遮音性、吸音性、透過性)を有する音響材料で形成され、本実施の形態では、音響材料として粘弾性体が用いられている。
粘弾性体としては、ゴムやウレタンなどの合成樹脂のような従来公知のさまざまな粘弾性体が使用可能である。
図1、図2に示すように、音響材本体12は、均一の厚さT1と、この厚さT1よりも大きい寸法の均一の幅W1と均一の長さL1とを有し矩形の板状に形成されている。
本実施の形態では幅W1と長さL1が等しい正方形の板状に形成され、音響材本体12の4つの角部1202に、音響材10Aを船体などの構造体に取り付けるための取り付け孔16が貫通形成されている。
音響材10Aは、取り付け孔16に挿通されたボルトにより構造体に取り付けられる。
【0009】
補強板14は、音響材本体12よりも剛性が高い材料で形成され、音響材本体12に埋設されている。
補強板14には、FRP(繊維強化プラスチック)、合成樹脂、金属など従来公知の様々な材料が採用可能である。
補強板14として、音響材料(粘弾性体)と音響性能が近いFRPのような材料、言い換えると、音響材料と音響インピーダンスが近い材料を用いると、音響材10Aの音響性能を確保する上で有利となり、本実施の形態では、補強板14としてFRPを用いている。
図3、図4に示すように、補強板14は、均一の厚さT2と、厚さT2よりも大きい寸法の均一の高さH2と、高さH2よりも大きい寸法の均一の長さL2(図示せず)を有する細長の板状で円環状を呈している。
なお、補強板14を構成する強化繊維は、補強板14の厚さT1方向の両面に平行するように補強板14の内部に埋設されている。
図1、図3に示すように、補強板14の輪郭をなす円環の中心と音響材本体12の中心とは合致している。
図3に示すように、補強板14の高さH2は、音響材本体12の厚さT1と同一の寸法で形成されている。
補強板14は、補強板14の高さH2方向を音響材本体12の厚さT1方向に沿わせて配置され、補強板14の高さH2方向の両端は、音響材本体12の厚さT1方向の両面と同一面上に位置している。
図4に示すように、補強板14には、補強板14の厚さT2方向に貫通する貫通孔18が補強板14の長さL2方向に等間隔をおいて複数設けられている。
複数の貫通孔18は、全て同一の内径で設けられ、貫通孔18の中心は補強板14の高さH2方向の中心に位置している。
したがって、図3に示すように、補強板14の外側に位置する音響材本体12の外周部箇所1210と、補強板14の内側に位置する内周部箇所1212とは、複数の貫通孔18内に位置する音響材本体12の箇所1214とにより連結されている。
なお、加硫前の生ゴム状態の音響材料を用いて音響材10Aを製造する場合には、加硫時に補強板14の表面が音響材本体12にある程度の接着強度で接着され、また、流動性の高いウレタンなどの音響材料を用いて音響材10Aを製造する場合には、音響材料の硬化時に補強板14の表面が音響材本体12にある程度の接着強度で接着される。
また、音響材10Aを製造するに際し、生ゴム状態の音響材料を用いる場合、加硫時に音響材料が膨張、発泡、流動することで貫通孔18に流入し、また、音響材料として流動性の高いウレタンを用いる場合、音響材料が貫通孔18に流入し、貫通孔18に音響材料が充填されることになる。
【0010】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態の音響材10Aは、所定の音響性能を有する音響材料で形成された板状の音響材本体12と、音響材本体12よりも剛性が高い材料で形成され補強板14とを備えている。
そのため、補強板14によって音響材10Aの曲げ剛性を確保する上で有利となり、音響材10Aに圧力が加わった場合の音響材10Aの変形量、変位量(歪み)を抑制する上で有利となる。
したがって、音響材10A自体を船体などの構造体を構成する構造部材として用いることにより、構造体の鋼板を薄くしても構造体と音響材10Aとで構成される構造体全体の強度を確保する上で有利となるので、構造体の軽量化と音響材10Aの音響性能の確保とを両立する上で有利となる。
また、補強板14には、補強板14の厚さT2方向に貫通する複数の貫通孔18が設けられている。
そのため、補強板14の外側に位置する音響材本体12の外周部箇所1210と、補強板14の内側に位置する内周部箇所1212とは、複数の貫通孔18内に位置する音響材本体12の箇所1214とにより連結され、音響材本体12の外周部箇所1210と、補強板14の内側に位置する内周部箇所1212と、補強板14とが一体化され、すなわち、音響材本体12と補強板14とが一体化されている。
そのため、音響材10Aの耐久性を高める上で有利となり、また、接着剤などの異材を用いることなく音響材10Aを製造できるので、音響性能に優れた音響材10Aを効率よく製造する上で有利となる。
(【0011】以降は省略されています)

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