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公開番号
2025013397
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2024190863,2023059087
出願日
2024-10-30,2023-03-31
発明の名称
電源、溶接システム及び制御方法
出願人
株式会社神戸製鋼所
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
B23K
9/095 20060101AFI20250117BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約
【課題】送給制御溶接において、優れたロバスト性を実現する。
【解決手段】送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する電源は、波形制御テーブルリニア演算部を備え、波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、溶接電流に係る条件が、逆送期間から正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、かつ、ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを有する。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する電源であって、
前記電源は、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、電源。
続きを表示(約 1,900 文字)
【請求項2】
前記溶接電流に係る条件は、
ピーク電流Ip、ベース電流Ib、ベース電流Ibの開始、及びベース電流Ibの終了のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記予め定めた設定条件は、
平均送給速度Favg及び設定溶接電流値Isetのうち少なくともいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項4】
前記電源は、送給設定データ部を備え、
前記送給設定データ部は、設定値として、平均送給速度Favg、ワイヤ振幅Wf、ワイヤ正逆周波数Sf及びワイヤ正逆周期Tfのうち少なくとも一つを有することを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項5】
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T
90~180deg
における溶接電流の平均値I
90~180deg_ave
と、設定溶接電流値I
set
との比である(I
90~180deg_ave
)/(I
set
)が1.10以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項6】
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T
180~270deg
における溶接電流の平均値I
180~270deg_ave
と、設定溶接電流値I
set
との比である(I
180~270deg_ave
)/(I
set
)が0.90以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項7】
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T
90~180deg
における溶接電流の平均値I
90~180deg_ave
と、前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T
180~270deg
における溶接電流の平均値I
180~270deg_ave
との比である(I
180~270deg_ave
)/(I
90~180deg_ave
)が0.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電源。
【請求項8】
送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する溶接システムであって、
前記溶接システムは、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、溶接システム。
【請求項9】
送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する電源を用いた制御方法であって、
前記電源は、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源、溶接システム及び制御方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
すみ肉溶接は、ガスシールドアーク溶接で用いられる施工方法の1つであり、薄板の鋼板を重ねて溶接する場合(以降、「重ねすみ肉溶接」とも称する。)や鋼板をT字に直交させて溶接する場合などが挙げられ、様々な業種で適用されている。このすみ肉溶接においては、鋼板の固定精度、鋼板の加工性精度、組立精度、溶接中の歪み等の原因により、溶接の狙い位置のズレや鋼板と鋼板の間にギャップ(隙間)が生じる。これら狙い位置のズレやギャップの存在によって、従来、ギャップに落ち込む溶落ちが発生するという架橋性の悪さやビード形状不良の発生といった問題があった。
【0003】
上記の問題を解決するため、例えば、特許文献1では、薄鋼板のマグ溶接用ワイヤを、質量%でC:0.04~0.15%,Si:0.75~1.00%,Mn:1.00~2.00%,Cr:0.35~0.80%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、板厚が0.5~1.2mmの薄鋼板のガスシールドアーク溶接において、ワイヤ径が0.5~0.9mmであり、質量%で、C:0.02~0.10%、Si:0.7~2.0%、Mn:0.5~3.0%、P≦0.020%、S:0.005~0.020%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるワイヤを用い、ピーク電流(Ip):300~450A、ベース電流(Ib):20~100Aで、かつピーク電流(Ip)及びピーク時間(Tp)の関係が所定の(1)式を満足するパルスを付加することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2012-170970号公報
特開2001-321946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2で開示されているとおり、従来では、溶接のビード幅を広げるために、マグ溶接やパルスマグ溶接が用いられていた。しかしながら、近年、スパッタ低減などの溶接作業性の利点から採用が増加している送給制御溶接において、上記問題を解決したものはない。送給制御溶接は、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間に交互に切り替えて、溶接を行う手法であるが、一般的に、短絡期間とアーク期間とを発生させる短絡移行をベースとしたものであるため、低入熱の溶接には適しているが、溶接の狙い位置のズレや鋼板と鋼板の間にギャップが生じる場合の溶接にいては、溶込みが浅く、ビード幅も広がらないという特性のため、ビード形状不良やギャップに落ち込む溶落ちが発生しやすくなる。特に、溶接の狙い位置のズレやギャップが大きくなるほど、ビード形状不良や架橋性の問題はより顕著になり、ロバスト性が非常に悪いと言える。そのため、溶接作業性の優れた送給制御溶接において、従来のマグ溶接やパルスマグ溶接と同等以上のロバスト性が望まれる。
【0007】
よって、本発明は、送給制御溶接において、優れたロバスト性を実現できる電源、溶接システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の構成からなる。
(1) 送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する電源であって、
前記電源は、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、電源。
【0009】
(2) 送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する溶接システムであって、
前記溶接システムは、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、溶接システム。
【0010】
(3) 送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替える送給制御を行う機能を有する電源を用いた制御方法であって、
前記電源は、波形制御テーブルリニア演算部を備え、
前記波形制御テーブルリニア演算部は、予め定めた設定条件ごとに決定する条件として、少なくとも溶接電流に係る条件を含み、
前記溶接電流に係る条件が、
前記逆送期間から前記正送期間への切り替え時における溶接ワイヤの位置を基準としたワイヤ位置位相を0degとした場合に、
前記ワイヤ位置位相が90deg~180degの期間T90~180degにおける溶接電流の平均値I90~180deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも大きく、
かつ、
前記ワイヤ位置位相が180deg~270degの期間T180~270degにおける溶接電流の平均値I180~270deg_aveが、設定溶接電流値Isetよりも小さくなるように設定されているテーブルを少なくとも有することを特徴とする、制御方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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