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公開番号2025012555
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115462
出願日2023-07-13
発明の名称回転機械の運転音を評価する運転音評価方法および運転音評価装置
出願人株式会社荏原製作所,学校法人 中央大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01H 3/00 20060101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】回転機械の運転音を適正に評価することができる技術を提供する。
【解決手段】運転音評価方法は、高速変調音評価指標と突出音評価指標を少なくとも用いて総合音質評価指標を算定する。高速変調音評価指標の算定は、運転音に対してエンベロープ解析を行って運転音の変調周波数成分の強さを決定し、変調周波数成分の強さにラフネスの重み係数を乗算することを含む。突出音評価指標の算定は、運転音の1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について突出レベルの複数のスコアをそれぞれ算出し、複数のスコアから突出音評価指標を決定することを含む。
【選択図】図19
特許請求の範囲【請求項1】
回転機械の運転音を評価する運転音評価方法であって、
高速変調音評価指標と突出音評価指標を少なくとも用いて総合音質評価指標を算定し、
前記高速変調音評価指標の算定は、前記運転音に対してエンベロープ解析を行って前記運転音の変調周波数成分の強さを決定し、前記変調周波数成分の強さにラフネスの重み係数を乗算することを含み、
前記突出音評価指標の算定は、
前記運転音に対して1/Nオクターブバンド分析を行い、1/Nオクターブごとの周波数と音圧レベルとの関係を示す1/Nオクターブバンドスペクトルを生成し、
前記1/Nオクターブバンドスペクトル内に枠を設定し、
前記枠に含まれる複数の1/Nオクターブ成分の複数の音圧レベルのエネルギー和に基づいて基準レベルを算出し、
前記複数の音圧レベルのそれぞれから前記基準レベルを減算することで、複数の突出レベルを前記枠について算出し、
前記枠の設定と、前記基準レベルの算出と、前記複数の突出レベルの算出を、前記枠を1/Nオクターブずつシフトしながら行うことで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の枠のそれぞれについて複数の突出レベルを決定し、
前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルに基づいて、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について複数のスコアをそれぞれ算出し、
前記複数のスコアから前記突出音評価指標を決定することを含み、
Nは1よりも大きい数である、方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記高速変調音評価指標と前記突出音評価指標を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することは、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音のシャープネスを少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することである、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項3】
前記高速変調音評価指標と前記突出音評価指標を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することは、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音の変動強度を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することである、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項4】
前記枠は、1/1オクターブバンドの枠である、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項5】
前記基準レベルは、前記複数の音圧レベルの前記エネルギー和から所定値を引いた値である、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項6】
前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について前記複数のスコアをそれぞれ算出することは、
前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルを、1/Nオクターブごとに複数のグループに分類し、
各グループ内の複数の突出レベルに対して統計処理を実行することで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の前記複数の1/Nオクターブ成分について前記複数のスコアをそれぞれ算出することである、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項7】
前記枠は、臨界帯域幅を有する枠であり、前記臨界帯域幅は、前記枠が設定される周波数に従って変化する、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項8】
前記総合音質評価指標が下限値を下回ったとき、または上限値を上回ったときに、警報信号を生成することをさらに含む、請求項1に記載の運転音評価方法。
【請求項9】
回転機械の運転音を評価するための運転音評価装置であって、
前記回転機械の運転音を取得するマイクロフォンと、
高速変調音評価指標と突出音評価指標を少なくとも用いて総合音質評価指標を算定する指標計算装置を備え、
前記指標計算装置は、前記運転音に対してエンベロープ解析を行って前記運転音の変調周波数成分の強さを決定し、前記変調周波数成分の強さにラフネスの重み係数を乗算することで前記高速変調音評価指標を算定するように構成され、
前記指標計算装置は、
前記運転音に対して1/Nオクターブバンド分析を行い、1/Nオクターブごとの周波数と音圧レベルとの関係を示す1/Nオクターブバンドスペクトルを生成し、
前記1/Nオクターブバンドスペクトル内に枠を設定し、
前記枠に含まれる複数の1/Nオクターブ成分の複数の音圧レベルのエネルギー和に基づいて基準レベルを算出し、
前記複数の音圧レベルのそれぞれから前記基準レベルを減算することで、複数の突出レベルを前記枠について算出し、
前記枠の設定と、前記基準レベルの算出と、前記複数の突出レベルの算出を、前記枠を1/Nオクターブずつシフトしながら行うことで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の枠のそれぞれについて複数の突出レベルを決定し、
前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルに基づいて、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について複数のスコアをそれぞれ算出し、
前記複数のスコアから前記突出音評価指標を決定するように構成されており、
Nは1よりも大きい数である、運転音評価装置。
【請求項10】
前記指標計算装置は、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音のシャープネスを少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定するように構成されている、請求項9に記載の運転音評価装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ、送風機、圧縮機、タービン、電動機などの回転機械の運転音を評価する技術に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
ポンプ、送風機、圧縮機、タービン、電動機などの回転機械の運転音は、騒音値dB(A)で表されることが一般的である。しかしながら、低騒音を実現した回転機械においても、うるさい、気になる、耳障り等の騒音(異音)を指摘されることがある。
【0003】
聞き心地を評価するための音質評価指標(例えば、ラウドネス、シャープネス、ラフネス、トナリティ、変動強度等)は、既に実用化されている。しかしながら、これらの音質評価指標では、回転機械の異音を評価することが難しい現象も存在する。例えば、回転機械の甲高い音(シャープネス)、うなり音(変動強度)は、音質評価指標で評価することが可能である。これに対し、回転機械の突出音(卓越音)、高速変調音(ジジジ、ビビビなど)は、上記音質評価指標では評価することが難しい。
【0004】
ポンプ等の回転機械の異常、故障を音で診断する技術も既に実用化されており、例えば、狭帯域分析(FFT法)やオクターブバンド分析が用いられる。しかしながら、既存の技術は、OA(Overall)やPOA(Partial Overall)での故障診断であり、上記回転機械の異音の特徴を直接的に表現できる音質評価指標を用いた故障診断は実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平10-253440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、回転機械の運転音を適正に評価することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、回転機械の運転音を評価する運転音評価方法であって、高速変調音評価指標と突出音評価指標を少なくとも用いて総合音質評価指標を算定し、前記高速変調音評価指標の算定は、前記運転音に対してエンベロープ解析を行って前記運転音の変調周波数成分の強さを決定し、前記変調周波数成分の強さにラフネスの重み係数を乗算することを含み、前記突出音評価指標の算定は、前記運転音に対して1/Nオクターブバンド分析を行い、1/Nオクターブごとの周波数と音圧レベルとの関係を示す1/Nオクターブバンドスペクトルを生成し、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内に枠を設定し、前記枠に含まれる複数の1/Nオクターブ成分の複数の音圧レベルのエネルギー和に基づいて基準レベルを算出し、前記複数の音圧レベルのそれぞれから前記基準レベルを減算することで、複数の突出レベルを前記枠について算出し、前記枠の設定と、前記基準レベルの算出と、前記複数の突出レベルの算出を、前記枠を1/Nオクターブずつシフトしながら行うことで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の枠のそれぞれについて複数の突出レベルを決定し、前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルに基づいて、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について複数のスコアをそれぞれ算出し、前記複数のスコアから前記突出音評価指標を決定することを含み、Nは1よりも大きい数である、方法が提供される。
【0008】
一態様では、前記高速変調音評価指標と前記突出音評価指標を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することは、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音のシャープネスを少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することである。
一態様では、前記高速変調音評価指標と前記突出音評価指標を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することは、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音の変動強度を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定することである。
一態様では、前記枠は、1/1オクターブバンドの枠である。
一態様では、前記基準レベルは、前記複数の音圧レベルの前記エネルギー和から所定値を引いた値である。
一態様では、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について前記複数のスコアをそれぞれ算出することは、前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルを、1/Nオクターブごとに複数のグループに分類し、各グループ内の複数の突出レベルに対して統計処理を実行することで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の前記複数の1/Nオクターブ成分について前記複数のスコアをそれぞれ算出することである。
一態様では、前記枠は、臨界帯域幅を有する枠であり、前記臨界帯域幅は、前記枠が設定される周波数に従って変化する。
一態様では、前記方法は、前記総合音質評価指標が下限値を下回ったとき、または上限値を上回ったときに、警報信号を生成することをさらに含む。
【0009】
一態様では、回転機械の運転音を評価するための運転音評価装置であって、前記回転機械の運転音を取得するマイクロフォンと、高速変調音評価指標と突出音評価指標を少なくとも用いて総合音質評価指標を算定する指標計算装置を備え、前記指標計算装置は、前記運転音に対してエンベロープ解析を行って前記運転音の変調周波数成分の強さを決定し、前記変調周波数成分の強さにラフネスの重み係数を乗算することで前記高速変調音評価指標を算定するように構成され、前記指標計算装置は、前記運転音に対して1/Nオクターブバンド分析を行い、1/Nオクターブごとの周波数と音圧レベルとの関係を示す1/Nオクターブバンドスペクトルを生成し、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内に枠を設定し、前記枠に含まれる複数の1/Nオクターブ成分の複数の音圧レベルのエネルギー和に基づいて基準レベルを算出し、前記複数の音圧レベルのそれぞれから前記基準レベルを減算することで、複数の突出レベルを前記枠について算出し、前記枠の設定と、前記基準レベルの算出と、前記複数の突出レベルの算出を、前記枠を1/Nオクターブずつシフトしながら行うことで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の枠のそれぞれについて複数の突出レベルを決定し、前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルに基づいて、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の複数の1/Nオクターブ成分について複数のスコアをそれぞれ算出し、前記複数のスコアから前記突出音評価指標を決定するように構成されており、Nは1よりも大きい数である、運転音評価装置が提供される。
【0010】
一態様では、前記指標計算装置は、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音のシャープネスを少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定するように構成されている。
一態様では、前記指標計算装置は、前記高速変調音評価指標と、前記突出音評価指標と、前記運転音の変動強度を少なくとも用いて前記総合音質評価指標を算定するように構成されている。
一態様では、前記枠は、1/1オクターブバンドの枠である。
一態様では、前記指標計算装置は、前記複数の音圧レベルの前記エネルギー和から所定値を引くことで前記基準レベルを算出するように構成されている。
一態様では、前記指標計算装置は、前記複数の枠のそれぞれについて決定された前記複数の突出レベルを、1/Nオクターブごとに複数のグループに分類し、各グループ内の複数の突出レベルに対して統計処理を実行することで、前記1/Nオクターブバンドスペクトル内の前記複数の1/Nオクターブ成分について前記複数のスコアをそれぞれ算出するように構成されている。
一態様では、前記枠は、臨界帯域幅を有する枠であり、前記臨界帯域幅は、前記枠が設定される周波数に従って変化する。
一態様では、前記指標計算装置は、前記総合音質評価指標が下限値を下回ったとき、または上限値を上回ったときに、警報信号を生成するように構成されている。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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