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公開番号2025010781
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-23
出願番号2023112990
出願日2023-07-10
発明の名称音源の向きを考慮した音響信号生成装置、プログラム及び方法、並びに音響情報DB生成方法
出願人KDDI株式会社
代理人個人,個人
主分類H04S 7/00 20060101AFI20250116BHJP(電気通信技術)
要約【課題】音源の聴取者に対する向きを考慮して、音源及び聴取者に合った音響信号を生成可能な装置を提供する。
【解決手段】本音響信号生成装置は、音源の向き情報と合わせて取得される、入力された音響信号を用いて、出力音響信号を生成する装置である。具体的に本装置は、データベース生成用の音源と受音体との間に係る音響情報であって、このデータベース生成用の音源の受音体に対する向きが複数の向きの各々である場合における各場合での音響情報を保存したデータベースから、上記の向き情報を用いて、この向き情報に係る音響情報を検索する音響情報検索手段と、検索された音響情報を用いて、入力された音響信号から出力音響信号を生成する音響信号生成手段とを有する。ここで音響情報は、インパルス応答、伝達関数、又は、周波数特性、位相特性及び振幅特性のうちの少なくとも1つとすることができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
入力された音響信号を用いて出力音響信号を生成する装置であって、
当該入力された音響信号は、該音響信号に係る音源の向き情報と合わせて取得され、
データベース生成用の音源と受音体との間に係る音響情報であって、当該データベース生成用の音源の当該受音体に対する向きが複数の向きの各々である場合における各場合での音響情報を保存したデータベースから、当該向き情報を用いて、当該向き情報に係る音響情報を検索する音響情報検索手段と、
検索された音響情報を用いて、当該入力された音響信号から当該出力音響信号を生成する音響信号生成手段と
を有することを特徴とする音響信号生成装置。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
当該入力された音響信号は、該音響信号に係る音源の位置情報とも合わせて取得され、
当該データベースは、当該データベース生成用の音源の当該受音体に対する向きが複数の向きの各々であって、当該データベース生成用の音源の位置と当該受音体の位置との隔たり具合いが複数の隔たり具合いの各々である場合における各場合での音響情報を保存しており、
前記音響情報検索手段は、当該データベースから、当該向き情報及び当該位置情報を用いて、当該向き情報及び当該位置情報に係る音響情報を検索する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響信号生成装置。
【請求項3】
当該出力音響信号の提供先としての聴取者の向きに係る聴取者向き情報を取得する聴取者情報取得手段を更に有し、
当該データベースは、当該データベース生成用の音源の当該受音体に対する向きが複数の向きの各々であって、当該データベース生成用の音源の位置と当該受音体の位置との隔たり具合いが複数の隔たり具合いの各々であって、当該データベース生成用の音源に対する当該受音体の向きが複数の向きの各々である場合における各場合での音響情報を保存しており、
前記音響情報検索手段は、当該データベースから、当該向き情報、当該位置情報及び当該聴取者向き情報を用いて、当該向き情報、当該位置情報及び当該聴取者向き情報に係る音響情報を検索する
ことを特徴とする請求項2に記載の音響信号生成装置。
【請求項4】
当該出力音響信号は、当該出力音響信号の提供先としての聴取者に装着されるヘッドフォン又はイヤフォンに入力され、
当該データベースは、右耳に係る音響情報及び左耳に係る音響情報を保存しており、
前記音響信号生成手段は、検索された音響情報としての当該右耳に係る音響情報及び当該左耳に係る音響情報を用いて、当該入力された音響信号から、当該ヘッドフォン又はイヤフォンに入力される当該出力音響信号を生成する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の音響信号生成装置。
【請求項5】
当該出力音響信号は、設置された複数のスピーカに入力され、
前記音響信号生成手段は、検索された音響情報、当該スピーカの設置位置情報、及び当該入力された音響信号に係る音源の位置情報を用いて、当該入力された音響信号から、当該スピーカに入力される当該出力音響信号を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の音響信号生成装置。
【請求項6】
当該入力された音響信号には、該音響信号に係る音源の向き情報及び位置情報が付与されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の音響信号生成装置。
【請求項7】
当該入力された音響信号に係る音源の向き情報及び位置情報は、該音源に対し向き及び位置の測定を行うことによって得られた情報であることを特徴とする請求項2又は3に記載の音響信号生成装置。
【請求項8】
当該音響情報は、インパルス応答、伝達関数、又は、周波数特性、位相特性及び振幅特性のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の音響信号生成装置。
【請求項9】
ある音源から出力される音響に係る出力音響信号を生成する装置であって、
当該音源の向き情報及び位置情報を取得する音源情報取得手段と、
当該音源と受音体との間に係る音響信号情報であって、当該音源の当該受音体に対する向きが複数の向きの各々であって、当該音源の位置と当該受音体の位置との隔たり具合いが複数の隔たり具合いの各々である場合における各場合での音響信号情報を保存したデータベースから、当該向き情報及び当該位置情報を用いて、当該向き情報及び当該位置情報に係る音響信号情報を検索する音響情報検索手段と、
検索された音響信号情報から当該出力音響信号を生成する音響信号生成手段と
を有することを特徴とする音響信号生成装置。
【請求項10】
音源と受音体との間に係る音響情報を保存したデータベースを生成する方法であって、
当該音源の当該受音体に対する向きが複数の向きの各々であって、当該音源の位置と当該受音体の位置との隔たり具合いが複数の隔たり具合いの各々である場合における各場合での当該音響情報の測定結果を取得するステップと、
取得された測定結果としての音響情報を、当該向きに係る情報と当該隔たり具合いに係る情報とを検索パラメータとして検索可能な形で保存するステップと
を有することを特徴とする、コンピュータによって実施されるデータベース生成方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、音源及び聴取者に応じた音響信号を生成する技術に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、聴取者に対し所定の位置の音像を知覚させる音像定位技術の研究開発が、盛んに行われている。音像定位技術は、例えばメタバース(metaverse)において臨場感のある仮想音響空間を構築し、音声によるリアルなコミュニケーションを実現するのに必須の技術となっている。
【0003】
この音像定位技術について、例えば非特許文献1は、音像定位実験の一方法を開示している。また非特許文献2は、音像定位に用いられる頭部インパルス応答(HRIR, Head-Related Impulse Response)の測定方法を開示している。さらに特許文献1は、頭部伝達関数(HRTF, Head-Related Transfer Function)を模擬する小型の音像定位フィルタを用いた、小さいハードウェア規模での音像定位制御装置を開示している。
【0004】
また現在、例えば非特許文献3で紹介されたオブジェクトオーディオ技術が、注目されている。オブジェクトオーディオ技術によれば、音源の音素材にこの音源の位置等の情報をメタデータとして付加し、よりリアルな立体音場を具現させることができる。
【0005】
このオブジェクトオーディオ技術を用いた例として、例えば特許文献2には、入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出し、これらダウンミックス信号とブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成して、このオブジェクトオーディオ信号に3D情報を適用し、3D効果を奏するオブジェクトオーディオ信号を生成するオーディオ信号復号化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2000-023299号公報
特表2009-526467号公報
特開2007-041164号公報
【非特許文献】
【0007】
森川大輔, 「はじめての音像定位実験」, 日本音響学会誌,第74巻, 第10号, pp.547-554, 2018年, [online],[令和5年6月14日検索],インターネット<URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/74/10/74_547/_pdf/-char/ja>
平原達也, 「両耳インパルス応答の測定」, 日本音響学会誌, 第76巻, 第3号, pp.172-179, 2020年, [online],[令和5年6月14日検索],インターネット<URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/76/3/76_172/_pdf>
白柳亨, 「オブジェクトオーディオ」, 映像情報メディア学会誌, 第71巻, 第6号, pp.846-848, 2017年, [online],[令和5年6月14日検索],インターネット<URL: https://www.ite.or.jp/contents/keywords/1711keyword.pdf>
牧勝弘, 「空間放射特性と音色~楽器音解析とスピーカ設計を通して~」, 情報処理学会研究報告, vol.2016-MUS-111, No.13, 2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べた非特許文献1、非特許文献2や、特許文献1に開示された音像定位技術を用いることにより、聴取者に対し、例えばヘッドフォンを介して所望の音像位置を提示することができる。また、非特許文献3や特許文献2に開示されたオブジェクトオーディオ技術を用いることによって、聴取者に対し、例えばサラウンドオーディオシステムを形成する複数のスピーカを介して所望の位置に音像を知覚させることも可能となる。
【0009】
ここで、例えば非特許文献4に開示されたように、音源(非特許文献4では楽器)から放射される音の大きさや音色は通常、その放射向きによって相当に変化する。例えば目の前を横切るように移動する音源から伝播してくる音の大きさや音色は、その音源の聴取者に対する向きの変化に伴い相当に変化するのが一般的である。したがって、このような音源の音像を定位させるに当たり、その放射向きに沿ったインパルス応答や伝達関数を適用して音響信号を生成することが重要になる。
【0010】
しかしながら、非特許文献1~3や特許文献1及び2に開示された音像定位技術やオブジェクトオーディオ技術では、従来通り、あくまで音源の正面又は所定の固定された方向におけるインパルス応答や伝達関数が使用されている。その結果、音源と聴取者との位置関係によっては、音源及び聴取者に合った適切な音響信号を生成することができなくなる。
(【0011】以降は省略されています)

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