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公開番号2025009444
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023112452
出願日2023-07-07
発明の名称ケミカルリサイクル方法
出願人キリンホールディングス株式会社
代理人個人
主分類C08J 11/10 20060101AFI20250110BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルが得られる一つ又は複数の原料が混在する場合に適用することができるケミカルリサイクル方法を提供する。
【解決手段】ケミカルリサイクル方法は、ベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルの二種類のモノマーが得られる一つ又は複数の原料を原料ポリエステルが含む場合に適用される。具体的には、ケミカルリサイクル方法は、例えばリサイクル対象の原料ポリエステルがPETフレーク及びPEFフレークの二つの原料を含む場合に、そこに溶媒を添加して解重合することによりBHET、及びBHEFの二種類のモノマーを含む解重合液を生成する解重合工程と、生成した解重合液を冷却することにより二種類のモノマーのうちBHETを晶析させて得る晶析工程と、を含んでいる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原料ポリエステルを解重合してモノマーに分解し、当該モノマーを素材として再利用するケミカルリサイクル方法であって、
前記モノマーとしてベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルの二種類のモノマーが得られる一つ又は複数の原料を前記原料ポリエステルが含む場合に、前記一つ又は複数の原料に溶媒を添加して当該一つ又は複数の原料を解重合することにより前記二種類のモノマーを含む解重合液を生成する解重合工程と、
前記解重合液を冷却することにより前記二種類のモノマーのうち前記ベンゼン系芳香族エステルを晶析させて得る晶析工程と、
を含む、ケミカルリサイクル方法。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記一つ又は複数の原料として、前記ベンゼン系芳香族エステルが得られる原料としてのベンゼン系原料と前記ヘテロ環芳香族エステルが得られる原料としてのヘテロ環原料とを別々に含む二以上の原料、前記ベンゼン系原料と前記ヘテロ環原料との混合によって成形される一つの原料としての混合原料、及び前記ベンゼン系芳香族エステルと前記ヘテロ環芳香族エステルとの共重合体を含み、前記ベンゼン系原料及び前記ヘテロ環原料の両方として機能する一つの原料の少なくともいずれか一つが使用される、請求項1に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項3】
前記解重合工程は、前記一つ又は複数の原料に解重合を促す触媒を添加する手順、及び前記一つ又は複数の原料を前記溶媒の中で加熱する手順を含んでいる、請求項2に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項4】
前記ベンゼン系芳香族エステルは、ベンゼン環、又はナフタレン環を有している、請求項3に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項5】
前記ベンゼン系原料は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、及びPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の少なくともいずれか一つを含んでいる、請求項4に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項6】
前記ヘテロ環芳香族エステルは、フラン環を有している、請求項5に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項7】
前記ヘテロ環原料は、PEF(ポリエチレンフラノエート)、PBF(ポリブチレンフラノエート)、PTF(ポリトリメチレンフラノエート)、PPeF(ポリ(ペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート))、PISF(ポリ(イソソルビド-2、5-フランジカルボキシレート))、PIIF(ポリ(イソイジド-2、5-フランジカルボキシレート))、PIMF(ポリ(イソマンニド-2、5-フランジカルボキシレート))、PNPGF(ポリ(ネオペンチレン-2、5-フランジカルボキシレート)、PEFPEN(1、8-ナフタレンジカルボキシレートを有するポリ(エチレン-2、5-フランジカルボキシレート))、PCHF(ポリ(1、4-フェニレン-2、5-フランジカルボキシレート))、及びPDMFF(ポリ(1、2-ジメチルフェニレン-2、5-フランジカルボキシレート))の少なくともいずれか一つを含んでいる、請求項6に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項8】
前記一つ又は複数の原料として、前記二以上の原料、若しくは前記混合原料が使用され、
前記ベンゼン系原料及び前記ヘテロ環原料として、前記PET、及び前記PEFがそれぞれ使用され、
前記ベンゼン系芳香族エステル、及び前記ヘテロ環芳香族エステルとして、BHET(テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル))、及びBHEF(3-メチルー2―フランカルボン酸メチル)がそれぞれ機能する、請求項7に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項9】
前記溶媒は、水、若しくはエチレングリコールを主成分として含むように構成される、請求項8に記載のケミカルリサイクル方法。
【請求項10】
前記ベンゼン系芳香族エステルの晶析を取り除いた後の前記解重合液の残液成分から前記ヘテロ環芳香族エステルを回収する回収工程を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のケミカルリサイクル方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ポリエステルを解重合してモノマーに分解し、そのモノマーを素材として再利用するケミカルリサイクル方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
原料ポリエステルを解重合してモノマーに分解し、そのモノマーを素材として再利用するケミカルリサイクル方法が存在する。例えば、原料ポリエステルの一つとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合してテレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)(BHET)に分解し、再利用するケミカルリサイクル方法が知られている(例えば特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2~3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000-169623号公報
特開2012-72400号公報
欧州特許出願公開第0723951号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のケミカルリサイクル方法では、使用済PETを中間原料のBHETとすることにより再度高純度のPET製品の製造が図られている。また、特許文献2には、各種ポリエステル類に適用されるケミカルリサイクル方法が開示されている。一方で、海洋ゴミ問題や地球温暖化問題といった各種環境問題の観点からバイオマス由来の化学品に対するニーズが高まってきている。近年、100%バイオマス由来が可能なプラスチックとしてPEF樹脂が注目されている。今後はPEFを使用した製品がPET製品と置き換わることも予想される。例えば、代表的なPET製品はペットボトルであるが、ペットボトルもPEF樹脂を使用したボトル(例えばPEFボトル)に置き代わる可能性がある。
【0005】
現状、PEF製品は一部分野にとどまり、流通量も少なく、結果的にリサイクルの必要性は大きくない。一方、PEF製品のニーズが高まり、例えばPEFボトルが市場に流通し始めると、リサイクル対象としてペットボトル、及びPEFボトルの両方が混在する可能性が想定される。特許文献1及び2のいずれのケミカルリサイクル方法も、当然、これらの混在を想定していない。このため、例えば特許文献1のケミカルリサイクル方法を適用するためには、事前にペットボトルと、PEFボトルとを適切に分別する必要性が生じてしまう。特許文献2のケミカルリサイクル方法の場合も同種の分別が必要となる。
【0006】
また、一般的なケミカルリサイクル方法には、原料をモノマーに解重合する工程が含まれる場合が多く、例えば特許文献1のケミカルリサイクル方法でも同様の工程が含まれ、その工程においてPETのモノマーとしてBHETが得られる。一方、同様の解重合が仮にPEFに生じると、モノマーとしてBHEF(3-メチルー2―フランカルボン酸メチル)が生じることになる。BHETとBHEFとは、化学構造、及び分子量も似通っており、両者が溶液中に存在する場合、蒸留等の一般的な手法では溶液から両者を分類することが困難であることが想定される。
【0007】
特許文献3には、解重合液からBHETを晶析させる際、水溶液の温度を下げる手法が開示されている。しかし、BHEFは、一般的に水に溶けにくい不溶性(難水溶性)のフラン化合物の一種であるため、水(重水、及び半重水といった各種の水を含む)を主成分とする溶媒中で、温度降下による晶析操作を行うと、BHETとBHEFとがともに晶析して沈降するとも予想され、両者が混在する解重合液から各物質を分離することは予測困難である。
【0008】
いずれにしてもリサイクル対象の原料にPET、及びPEFの両方が含まれる場合、得られるモノマーの性質を考慮すると、両方を同時に同一の溶媒中で解重合する工程が抵抗なく適用されるとは考えられない。結果として、得られるモノマーの性質面からしてもやはり事前にPETとPEFとの分別が必要と考えるのが一般的である。しかし、このような事前の分別の徹底は難しい場合が多い。さらに、PETボトルにガスバリア性向上等の目的で、多層またはブレンドの態様でPEFを添加することが可能であり、このような場合は、PETとPEFとが一体不可分となり、分別は事実上できなくなる。
【0009】
同様の傾向はBHET、及びBHEFがそれぞれ属するベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルにも想定される。このため、ベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルが得られる一つ又は複数の原料がリサイクル対象である場合に同様のことが言える。
【0010】
そこで、本発明は、ベンゼン系芳香族エステル、及びヘテロ環芳香族エステルが得られる一つ又は複数の原料が混在する場合に適用することができるケミカルリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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